提督たちの憂鬱キャラがギアス平行世界に転生。
コードギアスを元としたオリジナル。
ギアス世界特有として民主主義が酷いことに。
これはフィクションであり実在する人物とは関係ありません。
過去話。
共通話。
南ブリタニアと白い狂気
闇。
「遥か太古の地球。そこには1つの文明と統一された1つの勢力があった」
深淵とでも言うべきとても暗い闇に内包された空間。
「争うことなく協力し合い、平和に静かに繁栄を謳歌していた彼らは様々な超常の力を生み出していった」
その暗い闇の中に木霊する抑揚のない声。
「未来を見通す力。過去を読み取る力。意思を押し付ける力。生命から生命へと渡り行く力。そして――他を支配する力」
声の主は語る。
「超常の力を生み出した彼らは、その力を自由に作り出し与えられる力も共に生み出していた」
記録にさえ残っていない遙か遠き時代の昔話を。
「力を与える力を持つ者は、より重要な存在である。故に力を与える者は朽ちてはならないと永遠の生命がもたらされた」
ともすれば自己陶酔に浸る為の独り言とも取られそうな話であったが、声の主にはその様な趣味はなかった。
「生物の限界を超えた身体能力。朽ちる事なき不老不死。ありとあらゆる超常の力を生み出していった彼らは、それらの力を用い更なる高みを目指していた」
唯あるのは、自らが思い描く理想の世界への思い。
「だが、彼らは失敗した。1つの勢力として纏まっていた筈の彼らが3つの勢力に分たれた時、それこそが終わりの始まりでもあったのだ」
誰しもが望んでいる筈の世界。
「分れた3つの勢力は互いに相争い、数多の血を流し、無限の憎しみを生み出した。
争いに敗れた勢力はその地を追われ当て処の無い流浪の旅路へと付き、勝利を掴んだ2つの勢力も多くの仲間を失い超常の技術を維持出来なくなる。
流れ喪われた夥しい血と生命は創世記より存在する集合体へと回帰していき、栄華を誇った文明は僅かな痕跡を残して地上より消え去っていった」
生きとし生けるもの総てが望む世界。
「実に……実に愚かで嘆かわしい。そうは思わないかね?
地上の総てを1つの文明で統一し、高度に発展した現在の科学力を持ってしても実現困難な超常の技術を生み出していった叡智ある者達が、同族同士で争い築き上げてきた総てを失ったのだから、これを愚かと言わずして何を愚かと言えようか」
楽園。
「では、彼らは何故争い滅びていったのか? その答えは恐ろしいほどに簡単なのだよ。
そう、彼らには彼らを管理する者が居なかった。それ故に滅びるべくして滅びた。
では何故叡智ある彼らが管理者を必要とするのか? それは――」
傷付かず。
「それは彼らが不完全な生物だからだ」
涙せず。
「不完全な生物という物はね、きちんと管理してやらねば共食いをする物なのだよ。時を振り返ってみてごらん。ほ~ら、共食いばかりしているだろう?」
壊れず。
「やがてその共食いは神が与えた地上をも滅ぼしかねない大きな大きな火へと発展していく」
喪わず。
「そうなる前に、誰かが管理し導いてやらねばならない」
死することなく。
「現在この地上にはその愚かで不完全な生物が処狭しと蔓延っているわけだが、嘗ての超文明の頃とは比較するのも愚かしいほどに増殖してしまったこの不完全生物を管理するのは非常に困難を極める。
何せこの生物は自らが持つ欲望をコントロールする事さえできないほど頭が悪いというのに、それでいて創世記より地上に現れた生物の中で最も凶暴で強い力を持っているのだからね」
永久の平和を約束された世界。
「ならば放置しておくか? いいや、放置しておくことなどできないだろう。放置すれば地上を滅ぼしてしまうような危険生物を首輪も付けずに野放しにしてはおけん。
だからこそ管理してやらねばならんのだ。我々が管理するのだ。自らを選ばれた特別な生命体であると思い込み、地上の支配者を僭称する不完全で始末に負えない下等生物には教えてやらねばなるまい。
地上の総てを管理する権利を持つ真なる支配者は神だけなのだと。神によって管理された世界こそが真なる楽園であり正しき世界の姿なのだと」
即ち。
「神と、代行者と、その使徒によって管理された争いのない美しき世界を建設するのだ。我々のこの手で作り上げるのだよ」
完全なる管理の下に調和の取れた平和を謳歌する美しき楽園世界。
そんな理想の世界が何時完成するのか?
その楽園を建設する為に動くのは何時になるのか?
否。それは本当に……本当に楽園なのか?
闇の中に居る声の主にも分からないその答えは、総ての存在の集合体にさえも分からない。
過去と現在の記憶はあれど、無限に広がる未来を識る者は居ないのだから。
例え未来を識る者が居たとしても、変わりゆく今の先を視る事などできはしないのだから。
だがそれでも声の主は語る。昔も今も変わる事のない自身の願望と狂気の思想を。
「不完全な下等生物には必要なのだ。絶対なる管理者の下でこそ実現する『全天に秩序ある美しき世界』が」
*
皇歴2011年12月
『ギアナ公国陸軍大将ウゴ・チャベス卿狙撃』
『犯人は未だ特定されて居らず』
『国際テロ組織ペンタゴンが関与か?!』
『神聖ブリタニア帝国政府、ギアナ公国側の要請があればいつでも支援する体勢は整っていると発表』
『大日本帝国政府嶋田繁太郎首相、チャベス卿の回復を祈ると共に許されざるテロ行為に対しては断固とした措置を採ると明言』
新聞や週刊誌の一面を飾る物騒な文字。それはアルガルヴェ連合帝国及びアラウカニア=パタゴニア王国と合同でテロ掃討作戦を展開している国の陸軍司令官が狙撃されたというもの。
北をカリブ海、西をブリタニア、南をアルガルヴェに接した、南ブリタニア大陸北部にある王制国家ギアナ公国。
主に大陸南部を活動拠点にしている民主共和制原理主義組織ペンタゴンには、広大なアルガルヴェを越えてこのギアナへのテロ攻撃を実行する力は無いと考えられていただけに南ブリタニア大陸の国々に衝撃を与えていた。
もし、本当にペンタゴンが関与した暗殺事件であるのならば、これまで行ってきた掃討作戦や軍事行動は一体なんだったのかと疑問符が付けられてしまい、南ブリタニア各国の面目は丸つぶれとなる。
テロリストに屈することはないと唱え続けたウゴ・チャベス大将がテロの凶弾に倒れたとあっては公国の威信にも関わってくる以上、このままで済ませる訳にはいかないと、陸軍と諜報機関を根こそぎ動員した徹底的な捜査が行われていたが、痕跡を残さず消えた暗殺者を特定するのは困難を極めていた。
南ブリタニアに巣くう癌細胞――民主共和制原理主義組織ペンタゴン。
大陸南部に根を下ろし、構成員数50万人は下らないとされるこの組織の始まりは、遡ること約200年前。混沌としていた南ブリタニア東部ラプラタ川周辺地域の武装勢力が結集して生まれたとされている。
*
嘗て欧州で民主主義革命の嵐が吹き荒れ、ブリタニアへと亡命してきた欧州王侯貴族の一部が南ブリタニアの自国領を国家として独立させていった1800年代。
その中で唯一波に乗り遅れたラプラタ地域は、北ブリタニアから渡り来た民主共和勢力USAと、現地政府・住民を巻き込んだ内戦へと突入し、後に入り込んできた思想に疲弊しきったその心の闇を突かれたのだ。
その思想こそが、唯一の絶対者によって管理された秩序ある民主主義――民主共和制原理主義。
“生来傲慢で欲望に塗れた凶暴性の高い人間という生き物は、力ある正しき者に管理されてこそ初めて秩序に満ちた平和な世界を築くことができる”
争いに疲れていた民主勢力と、現地政府・住民の間へ瞬く間に浸透していったその思想は、やがてラプラタ地域を無政府状態へと陥れ、民主共和制原理主義組織ペンタゴンを誕生させてしまった。
当時、独立国家が幾つか存在していたアフリカ東部、および中東南部へと浸透していく途上にあったこの思想は、欧州民主共和制とはまた性質の異なるものであり、その攻撃性が危険視されていたが、欧州革命の混乱が波及していた南ブリタニアは遂に堰き止めること叶わず侵入を許してしまったのだ。
強い指導者の下で秩序ある平和を構築するという耳障りの良い思想を安易に求めてしまった住人達にも問題はあったが、王侯貴族も民主主義勢力も争いばかりを繰り返すという世界情勢を鑑みれば彼らを一方的に責める事もできなかったであろう。
無論、欧州亡命貴族と現地勢力の合意の元で建国されていった他の南ブリタニア諸王国は、異質なその攻撃的思想を警戒してはいたが、
同時に南ブリタニアの国々には欧州の革命と北ブリタニアの内戦の影響が色濃く、ラプラタのような小さな地域の事ばかりを気に掛けている余裕など無かったという理由もある。
更に、他国への武力行使ができるような勢力が存在しない小さな地域の事など、慌ただしい国内情勢の対応に追われ黙殺してしまったのである。
結果としてフリーハンドになったペンタゴンは、外部からの支援を受け着々とその力を蓄えていき、混乱に乗じて己が頂く思想の輸出を開始し始めた。
秩序ある平和な世界を築こうという耳障りの良い言葉は、常に巻き込まれる側であった弱者や貧困層を中心にして静かに広まっていく。
百が千に。千が万に。次第に各国へと影響を及ぼしかねない勢力に成長を遂げていった。
そして大きく成長してきた主義者達は、欧州革命の影響から抜け出せないのは人民を管理できない力無き愚かな大陸の国々にあるとし、暴力という手段を用い出す。
これを切っ掛けとして、真っ先に混乱期から抜け出そうとしていた南方の隣国アラウカニア=パタゴニアが自国へのこれ以上の思想流入阻止を計り、ペンタゴンとの間に散発的な武力衝突を引き起こす事となるのだが、
ペンタゴンが狙っていた南ブリタニア全土を白く染め上げようとする民主共和制原理主義化の武装闘争は、盟主自らが動いていたアフリカ・中東地域のように大きな潮流へと発展することはなく、1900年代に入るとその活動を低下させ、大陸での紛争は事実上沈静化の方向へと向かっていく。
やがて組織その物が崩壊したのか? 散り散りになってしまったペンタゴンはその姿を消し、紛争によって荒れ果てていたラプラタ周辺地域は、USAの流れを汲むラプラタ統一戦線という新たな勢力によって統一された。
この背景には急速に発展していく北ブリタニア大陸全土と南ブリタニアの一部を支配下に収めている神聖ブリタニア帝国の影響があったものと推察されたが、同時期にペンタゴンと根を同じくする思想を持っているであろう合衆国東アフリカ等も歩調を合わせるように沈黙していた事を考えると、強ちブリタニアの影響のみで大人しくなったとは断定できなかった。
こうして一度は消え去ったかに見えたペンタゴンの活動が再び活発化し始めたのは皇歴2005年に入ってから。
南ブリタニア各地に散り、静かに息を潜めながら潜伏していた彼らは、100年の時を掛けて大陸中に根を伸ばしながら機会を伺っていたのだ。
元より思想勢力・一種の宗教に近い存在である彼らには本来国家といった概念は無く、思想を広める為には自らの脚で世界中を移動することさえ苦としていない。
だが、幾ら彼らが修験者のように一所に留まる事無く活動する存在であるとはいっても、拠点というものは必要だ。
その拠点が大きければ大きい程、強ければ強い程により多くの人間を正しき世界へと導いて行ける。
しかし、南ブリタニアで最も入り込みやすい不安定な地域というのがラプラタしか無い状況であったが故に、狭い同地を最大拠点としていたのである。
そして2000年代に彼らが再び集結したのはまたもやラプラタ。
この時既に同地域には国家が存在していたが、同国が皇歴2000年代に入っても尚不安定な国内情勢を抱えていたが故の必然であったと言えよう。
『無為無策な政治で民の安寧を奪い続ける堕落した現政権を打倒し、管理された秩序ある国を取り戻すのだッ!』
まるで嘗ての南アフリカ対岸にあるマダガスカル島に存在していたメリナ王国のクーデターを再現しているかの如き素早い行動を見せたペンタゴン最高指導者ジェファーソン・デイビスを支持していたのは恐るべき事にラプラタ国民であったのだ。
元を正せばこれには国民の大きな選択ミスが背景にある。何故なら、彼らラプラタ国民が国家統一時に民主主義を求めてしまった事に起因する今であったからだ。
南ブリタニアで最後に独立した国ラプラタ東方共和国は、その名が示すとおり民主共和制国家として成立していた。
民主共和制国家――欧州で革命を起こし、王侯貴族を追い出した民主主義。
そんな政治体制の国を建国すれば、欧州を起源とする王制国家が乱立する南ブリタニアで孤立するのは必然で、細々と繋がっていた民主共和制の本場E.U.が凋落していくのと同様にラプラタの民主政権も汚職と金権政治の温床となり、衆愚政治の果てに斜陽の国へと転落していったのである。
北の隣国アルガルヴェ連合帝国と、南側のアラウカニア=パタゴニア王国は、ラプラタ民主政権の負の連鎖を横目に、北大陸を平定した神聖ブリタニア帝国内で一定の発言力を持つ欧州王侯貴族であり、南ブリタニアの源流でもあるユーロブリタニアの協力によって国を発展させることに成功していたが、経済が行き詰まり始めて援助を願い出てきた同国へは一貫して無視の姿勢を貫いていた。
無慈悲であるとも取れる非情な対応であったが、アルガルヴェは元々ポルトガル王家を出発点とする国。
故に自らを追い出した民主共和主義には嫌悪こそ感じても親しみなど持つことはない為、当然の措置であったとも言える。
仮に何かの間違いで援助しようなどとすれば、同じく起源が欧州である北隣の国ギアナ公国の反発を招き、余計な紛争を引き起こす切っ掛けとなるやも知れなかった。
国家の規模で言えばアルガルヴェこそが南ブリタニアの盟主国であると言えたが、元より南ブリタニアの国々はその殆どが欧州の流れを汲んでいる。
民主共和制国家への援助など行えば各国との関係悪化は避けられない上、露骨なまでにE.U.追従の姿勢を見せていたラプラタ支援を是とする者は国内においても皆無であった。
一方フランス王家分家筋の血こそ入っていたとはいえ、アラウカニア=パタゴニアは初代国王オルリ・アントワーヌ1世が弁護士であったが為欧州王族とは縁が薄く、唯一ラプラタを支援できる立場に在ったと考えられるが、革命以後間もない時期からのE.U.の醜態を嫌と言う程観ている為、国民が幸せになれない民主主義に良い感情を抱いてはいなかった。
王制であれ民主主義であれ、国というものは民が笑顔で幸せに暮らせるよう政を行わなければならないが、今のラプラタは民を二の次にし、自らの欲のみを追い求める政治家ばかりが実権を握り続けているのが実情である。
そして自ら民主共和制を選んだラプラタ国民は国民主権という以上、自らの選んだ政体に対し責任を持たなければならないとし、国民が変わらなければ援助は総て無為のものになると考え、アラウカニア=パタゴニア王政府も支援を断ったのだ。
北と南、2つの隣国から冷たい対応を取られたラプラタ国民は新たな変化を求め立ち上がるしかなかった。何処からも助けがない以上、自らが動き今の悪政を正す以外に道は無いのだと。
無論、ラプラタ人達には王制という選択肢は無かった。王となれるようなカリスマ性を持つ人間が存在していないというのもあったが、何故周囲の冷たい国々と同じ体制に自らを変えなければならないのか。それならばまだ共産主義思想を取り入れた方がましだと誰しもが否を唱えていた。
同じく民主共和制もない。このまま今の民主共和制が続いていけば、いずれはE.U.の様に落ちぶれていくだけ。現在進行形で貧困が広がっていく原因がその民主共和制なのだから。
ではどうすればいい? 何をすれば、何を選べば自分達の幸せを掴める?
先行きの見えない不安と遣り場のない怒りがラプラタの地で渦巻き、負の心が国全体を覆い尽くそうとした時―――再び彼らは現れた。
心の闇を嗅ぎ取り近付いてくる彼らは、不安に支配された人々へと語りかける。
『正しき力を持つ絶対者の下、秩序ある国を作り管理するのだ』
嘗て豊かな隣国と戦い続けた歴史を持つ彼らの記憶が蘇ってきたのだ。それも強力な指導者と共に国民が管理することで間違いを犯さない、間違う事なき民主主義という必要以上に大きく美化されて。
アラウカニア=パタゴニアと渡り合えていた力あるラプラタを取り戻そう。
半端な力を持つ者を選んだことがそもそもの間違いである。
選ぶべきは絶対的な力を持つ者の下で。
力ある絶対者の下、自分達で管理する正しき平和な世界。
民主共和制原理主義。
こうして彼らは武装蜂起した民主共和制原理主義組織ペンタゴンを熱烈に支持し、3度目の過ちを犯した。
国民の過半が反乱勢力となってしまったことで民主政権は北へ北へと追いやられ、やがてラプラタ全土がペンタゴンの手で制圧されてしまう。
2010年2月18日。首都モンテビデオの大統領府に翻る白い羽の描かれた旗を前に、ペンタゴン最高指導者ジェファーソン・デイビスの副官を勤める男は高らかに宣言する。
ラプラタ東方共和国改め、ラプラタ民主連合共和国の成立を。
この動きに対し、ギアナ・アルガルヴェ・アラウカニア=パタゴニアの3国も黙っていたわけではない。
民主共和制は忌むべき存在であったが、民主共和制原理主義は危険な存在であるが故に看過しては置けないと。
南ブリタニアの歴史は常に侵略される側の歴史であった。
古くは欧州からの南ブリタニア侵略に始まり、次いで大陸全土に欧州の文化が根付き漸く原住民に安息の時が訪れた頃には民主革命の混乱が。
更に北ブリタニアで成立した神聖ブリタニア帝国の第二次拡張期の戦争では、大陸の国総てが併呑されるかも知れないという危機を経験していた。
そして近代に入り、新たな侵略の可能性を予感させた太平洋対岸の閉鎖国家――民主共和制原理主義の盟主合衆国オセアニア。
ブリタニアの侵略主義は1800年代後半には終息していたが、民主共和制原理主義は1995年に改めてその攻撃性が確認されている。そう、ニューギニア戦争だ。
合衆国オセアニアが、北太平洋の西側全域に支配権を持つ超大国日本とぶつかることさえ厭わずに侵略的野心を持ってパプアニューギニアへと襲いかかったのは記憶に新しい。
正確には南北ニューギニアの戦争にオセアニアが介入したというのが正しく、彼の国は決して主役という訳ではなかったのだが、自国が動けば日本も動く。
列強同士のパワーゲームに発展することは目に見えていた筈であるにも拘わらずオセアニアは動いた。
遡ってみれば、太平洋戦争の時もそうであった。
当時、ある事件を切っ掛けに対立していた日ブの隙を突いて、南太平洋と東南アジアの一部を掠め取ってしまっている。
それだけには飽きたらず、日ブ戦争の行方次第では、東南アジア全土に加えて南ブリタニアにまで狂気の食指を伸ばそうと画策していた。
事実、太平洋戦争後に幾度かオセアニアと紛争になっていたアラウカニア=パタゴニアは、少ないながらもサクラダイトが採掘されていたイースター島を占領されている。
元より鎖国体制下にあり国交が無い相手。返還交渉に応じようとしないばかりか、同島の徹底した要塞化で実効支配の強化を計るオセアニアに対し何もできない状況が続いていた。
無論この世界の掟である弱肉強食に従い力を持っての対抗措置も考えたが、アラウカニア=パタゴニアに限らず、オセアニアと正面から渡り合える程の国力を持った国は南ブリタニアにはないのだ。
確認されている14隻の大型空母(満載75,000t級12隻。85,000t級2隻。)の内、6隻を中核とした機動部隊を差し向けられただけで最悪玉砕を覚悟しなければならない程力の差が大きく、南ブリタニア諸国にとって同国との全面戦争は滅びへの道でしかない。
なにせ第5世代ステルス戦闘機の運用を始めているのだ。日本やブリタニアの同世代機よりは性能が劣っても第4世代機の南ブリタニア側の勝機は薄く、片っ端から撃墜されるであろう事は容易に想像できる。
海上戦力も同様に太刀打ちできそうもなかった。
本格的な侵攻を行なっていないのが不思議なくらいに高い攻撃性を持つオセアニアが、これまで侵略の手を伸ばしてこなかったのには無論理由がある。
それは世界最大の超大国――神聖ブリタニア帝国の存在。
2010年現在において南ブリタニア大陸で明確に同国との関係が同盟乃至盟友と呼べる国は皆無であったが、自国の足下を揺るがされようとすれば否応なしに彼の国は反応する。
直接的な介入となれば話は別だが牽制程度ならば行うであろう。
しかし、イースター島紛争の際には動かなかったブリタニアが、オセアニアとの全面戦争を覚悟してまで介入して来るかといえば、疑問符が付けられるのもまた確かなこと。
実際には反応し牽制まではしても、本格的な侵攻を開始したオセアニア相手に自ら血を流してまでの撃退には乗り出さないかもしれない。
その最大の理由は南ブリタニアの国々と、神聖ブリタニア帝国の間には、強固な信頼関係が無いという処が往々にしてあった。どちらかと言えば、南ブリタニア諸国側が一定の距離を置いているわけで、良い悪いで片付けられる話ではなかった。
嘗て侵略戦争を繰り返し、中央ブリタニアと南大陸の一部を併呑していった国が、あるときを境にして平和主義に方針転換したからといって諸手を挙げて受け入れられる訳がないのだ。
勿論、ブリタニアの地に住まうユーロブリタニアへの感情は別物であり、彼の勢力には全面的な信頼を寄せている。
義に厚い彼らはブリタニアに身を置いている国無き国で有りながらも列強と肩を並べられる程の力を持ち、南大陸の発展に付いては感謝しても仕切れない程の援助をしてくれたのだから。
更に言えばユーロブリタニアの上層部に居る嘗ての欧州王族と大諸侯は南ブリタニアの王族にとっては血の繋がった親戚であり、寄せている信用の強さもその他と比較にならない。
では、その一方でブリタニアはどうか? といえば、ブリタニアもまた同じで、貿易によって発展に欠かせない大きな恩恵を南大陸にもたらしてきた。
インフラ整備。各種産業の支援。豊富な天然資源の友好国価格での取引。挙げれば幾らでも出て来る。しかし、1800年代の侵略の歴史がどうしても引っ掛かってしまうのだ。
南北ブリタニアは複雑な関係にある。彼らにとって現在の神聖ブリタニア帝国は友好国ではあっても全面的な信頼を置くのは難しい。
だがその一方で、ブリタニアに身を置くユーロブリタニアには全幅の信頼が置けるという。
無論諸王国の王族内でも意見は割れている。
『この百有余年の間ブリタニアは対外的侵略戦争を一度たりとも起こしては居らず、ユーロブリタニア同様全幅の信頼が置ける国となった。故に万が一の時は頼るべきである』
『一度頼れば植民地化される危険性とてあり得るのではないか? 今は友好的な関係を築ける穏和な国となっているが過去は消せない。それに将来的にはどうなるか……』
『日本を見てみろ。彼の国もブリタニアと歴史上類を見ない程の大戦争を繰り広げてきたが、今や互いの背中を預け合う強固な関係を築けているではないか』
『日本と我々では比較にならない。日本は唯一ブリタニアに対抗できる可能性を持った超大国故に対等な関係を築けたのであって、我々南大陸の諸国家では力の差が有り過ぎ一方的な隷属関係を強いられる可能性とて考えられる』
『例えそうなっても民主共和制原理主義によって白く染め上げられるよりは遥かにましだッ! メリナの王室は脱出した王女1人を残して全員処刑されたのだぞッ! それに残された民はどうなるッ!』
『だが、我々に護るだけの価値や国益を見出していなければ救援要請をしたところで突っぱねてくるかも知れん。如何にブリタニアと言えどもあの原理主義者共が相手なら相応の血が流れること必至なのだからな』
平行線を辿る彼らは、とにかく今はオセアニアへの警戒とペンタゴンへの対応を優先すべき時だとして、各々の対策を打ち出していく。
このまま手を拱いていればペンタゴンは必ずや思想の輸出を始める。それが民主共和制原理主義というものだ。
各国共に嘗てのような混乱期ではない自国に早々浸透していく筈がないと考えてはいたが、南ブリタニアの至る所に主義者が潜んでいるという可能性を考えると到底楽観視できる状況にはなかった。
どういった形で入り込んでくるのか分からない。昨日までの友人が今日はテロリストなどという信じたくない状況が発生することも考えられるのだから。
彼らは隙を見せれば総てを奪う。国も資源も人の心さえも白く染め上げてしまう。
実際、1800年代の大陸混乱期には爆発的な勢いで原理主義者が増えていったという過去がある。
それ故に南ブリタニア諸国は民主共和制原理主義を恐れ、その危険性についても良く理解していた。
特にアラウカニア=パタゴニアは過去に一度ペンタゴンと武力紛争を起こしていた経緯もあり、このまま何もせずに放置しておくつもりなど更々なかった。
時代が移り変わろうと、彼らの攻撃的な思想は何ら変わってはいないのだから。
2010年3月。
エクアドル公国とペルー王国を加えた南ブリタニア5ヶ国は、共同で『ラプラタは現在主権者不在の無政府状態であり、民主共和制原理主義組織ペンタゴンによるラプラタ民主連合共和国を国家として承認しない』との声名を発表。
それも大陸南部に幾つかの拠点を持つテロ組織が、最大拠点のラプラタで無法な行いをしているだけであると断じ国境を封鎖し、ラプラタ民主連合共和国首班を名乗るペンタゴン最高指導者ジェファーソン・デイビスを無差別大量殺人等の罪で改めて国際手配。
予想されうる嘗てのようなテロ攻撃と、一国家の基盤を乗っ取った事によって手に入れた軍事力の行使、および思想の輸出に最大限の警戒体勢を取った。
そしてやはりというべきか。ペンタゴンは国境封鎖の報復として武装闘争の選択を採ってきた。
ラプラタ空軍基地を飛び立ったEF2000ユーロファイターの編隊がラプラタ川を越え、アラウカニア=パタゴニア東部最大の都市ブエノスアイレスを急襲。スクランブル発進してきた同国空軍と戦闘になった処から戦いの火蓋は切られた。
事ここに至り、戦争の道を選ぶペンタゴンを非難したラプラタ国民も居たが、時既に遅し。
誤った選択をし続けた彼らは否応なしに巻き込まれていく。理性ある者も、そして白く染まった原理主義者も。
このペンタゴン側の動きに対し、エクアドルとペルーを除く3国は同組織の最大拠点であるラプラタへの空爆、掃討作戦で応戦していた。
戦車・戦闘機の数・性能。どれをとっても経済力が遥か上の3国の方が上回っている。開戦劈頭こそ宣戦布告無き先手であったが故に国境からほど近い都市への攻撃に成功していたペンタゴンであったが、それは僅かな期間でしか無く、自力の違いは時間を追う事に表れ、空陸を問わず次第に3国が圧倒していく形となる。
この流れは誰しもが予想できたこと。
ラプラタは最初から国力で負けているのだから1国と戦争しても勝てはしないというのに、3国を同時に相手取ってしまった時点で負けは決まっていた。
無論のこと、ペンタゴンもそれが分からないほど猪突猛進な馬鹿ではない。
彼らには劣勢なこの状況を必ずや引っくり返せるというある確信があった。
2010年9月。
『合衆国東アフリカ。大西洋への遠洋航海と外洋での特別演習の為、新型空母エイシェトと護衛艦艇を大西洋へ廻航。E.U.南アフリカが寄港地を提供か?』
『合衆国オセアニア。大洋州艦隊のサンダルフォン、ラジエルを中核とした機動部隊2個群をイースター島周辺海域へ移動。外敵からの侵略を想定した離島防衛訓練であり第3国の紛争とは無関係である』
合衆国東アフリカは40,000t級の航空母艦を最近になって手に入れていたが、それが嘗てオセアニアで使われていた中型空母であるのは誰でも知っている。
新型とは謳っていても近代化改修しただけの話であり、それをしたのもマダガスカル自治州だ。つまり実質現在に至ってもオセアニア製の空母である。
そして、オセアニアが機動部隊2個群をイースター島沖に展開して離島防衛訓練を行うというのも額面通りには受け止められない。
まるで示し合わせたかのようなこの動きはペンタゴンへの側面支援に他ならず、南ブリタニアは東西大洋と大陸内部の3正面作戦を余儀なくされる状況に追いやられる。
そう、ペンタゴンはこれを待っていた。
大きな動きを見せれば必ずや盟主が動く筈だと見込んでいたのだ。あのニューギニア戦争の時のように。
E.U.が寄港地を提供しているのも、南ブリタニアが大きく揺れれば欧州奪還を試みているユーロブリタニアのマイナスになるという、敵の敵は味方程度の考えであって、本腰入れての同盟関係ではない。
だが、東西からの圧力で大陸諸国が動けなくなるのは間違いなく、ペンタゴンとしては思惑通りに事が運び首尾は上々といった処であった。
何より盟主が動いた。これこそが重要なのだ。盟主の力を持ってすれば大陸諸国など物の数ではないのだから。
繰り返される空爆の中で彼らは笑っていた。これで管理ができると。
オセアニアと東アフリカのこの動きを観て、来るべき物が来たかと覚悟を決めたのは、ギアナ公国陸軍大将ウゴ・ラファエル・チャベス。
ペンタゴン、いやジェファーソン・デイビスが無謀な戦争に踏み切った時から予想はできていたのだ。
民主共和制原理主義組織の指導者はどれもこれも計算高い曲者が揃っている。盟主国であるオセアニアからしてそうであった。
日ブは言うに及ばず、E.U.や中華とも正面からぶつかることを避けながら自らの生存権拡大と思想の拡散を計ってきた。
現実にぶつかりそうになれば引き。ぶつからないのならば進む。1700年代後半の外征開始から延々変わらぬ強かさを保っている。
メリナ王国も、アフリカ東部も、中東も、大洋州も、ニューギニアも、自らの被害を最小限に抑えつつ拡大していき力を付け、今では中華連邦を越える程の国力を身に付けて世界第3位の大国にのし上がっていた。
彼らが初めて躓いたのは1995年。日本を甘く見すぎた結果、機動部隊2個群の喪失という大きな損害を出している。
この時も無理強いはせず劣勢と判断して引いていたが、これが仮に中華連邦が相手であったなら多少の無茶はしていたであろう。
海軍力では確実に勝っているのだからある程度の損害には目を瞑って自国の目的を優先していた筈だ。
「くそう…ッ、東アフリカだけならばどうとでもなるというものを…ッ」
チャベスは、ペンタゴンに合衆国東アフリカが加わったくらいならば、ギアナ・アルガルヴェ・アラウカニア=パタゴニア3国の力を結集すれば勝てると確信していた。
少なくとも戦争という戦いにおいては充分な勝算があった。
如何に東アフリカがオセアニアの強力な支援の下国力を倍増させているとはいえ、所詮地域大国の域を越えてはいない。
4大列強。鎖国しているオセアニアも加えて5大国の領域には達して居らず、その国力は大きくみてもアルガルヴェの6~7割といったところ。
問題はオセアニアであった。彼の国だけは南ブリタニアが束になっても勝てない相手だ。
なにせオセアニアは高い技術力もさることながら、実質的な国民皆兵制度を採用している軍事大国であり、専門的な技術が必要な兵器の取り扱いは別としても、単純な兵力だけなら4000万でも5000万でも動員が可能という異常な国。
総動員体制に入ったときの兵力数だけなら中華と並んで頭1つ抜きんでている。
無論絶海の大陸が本土である為、兵員輸送には手間取るであろう。それに人数が増えればマイナスの面も大いに出て来る。
だが、倒しても倒しても雲霞の如く沸いてくる敵など悪夢としか言えない。
こんな異常な国に対し1国で対抗可能なのは中華連邦・大日本帝国・神聖ブリタニア帝国の3国のみ。
列強の一角であるE.U.でさえも分が悪く、長期戦となれば敗北は必至。
国力が下であっても中華連邦ならば人口と、一部の突出した軍管区のお陰で互角の戦いができるであろうが、生憎と自らが所属するギアナにその様な力は無い。
兵器の質と数、兵力、何よりも国力。総ての面で圧倒されている。
もしもオセアニアとの開戦・全面戦争へと発展すれば、必死の抵抗も何処吹く風で国中を焼け野原にされる事は目に見えていた。
ユーロブリタニアに支援を求めるという考えも過ぎったが、欧州奪還を計画しているらしい彼らが果たして兵力の提供をしてくれるかという不安が拭えない。
結果としてみれば正に四面楚歌。
「最悪の想定としてこうなることは予想できていたというのに…ッ」
今更ながらに悔やまれる。ブリタニアへの救援要請を出さなかった事が。
『我が国も南大陸の混乱を見過ごす事はできない。協力できる事があればいつでも頼って欲しい』
そう申し出てくれていた彼の国の言葉を聞き流してしまった事が。
「昔は侵略主義であったが今のブリタニアは違う――何度も進言していたというのに石頭の宰相達のお陰でこの様だッ!」
ウゴ・ラファエル・チャベス。彼は南ブリタニア諸国に数多く居るライエル主義派と呼ばれる改革主義者の1人であった。
賢帝ライエル――侵略主義を改めて国内改革に全力を注ぐという、それまでの方針からまったく違う方向へと舵を切った神聖ブリタニア帝国中興の祖。
彼の真新しい政策の数々は、それまで力による拡大のみに終始していたブリタニアに新たな風を吹き込ませ、南ブリタニア諸国にも大きな恩恵をもたらした事で知られている。
ブリタニアを変えた事で知られるのは何も彼だけではない。新大陸開祖リカルド大帝。英雄帝クレア。賢帝ライエル。そして現皇帝シャルル。
歴史の転換点に現れ、大きな変化をもたらす皇帝達は、皆南北両大陸に新しい何かを産み落としていった。
特に英雄帝クレアと賢帝ライエルの流れから一気にブリタニアの平和主義化が進んでいった為、侵略される側であった南側の国々にも両皇帝の信棒者は多いのだ。
両皇帝の時代から百と数十年。以後彼の国は一度たりとも侵略主義に立ち戻ってはいない。信用を失うのは一瞬であるが、作るのは時間が掛かる。
ブリタニアはその作る方に時間を掛けてチャベスのような心からの親ブリタニア派を生み出していた。
しかしながら、未だ不審を抱いている者も多いという事実もまた存在し、今回それが最悪の形となって表れてしまったのである。
南ブリタニア3国。
民主共和制原理主義組織ペンタゴン。
この時まさに双方の思惑は逆転していた。
3国は敗北の予感を。ペンタゴンは自らの勝利と共に合衆国南ブリタニアの実現を思い描いていた。
しかし、事態は双方の思惑を越えて動き出す。
ニューギニア戦争の時、大日本帝国は友好的な付き合いをしていた東南アジアの危機に駆け付けた。
ならば今のブリタニアはどうか? 日本と似通ってきた穏和なブリタニアは、南ブリタニア諸国と友好関係にあるのではないのか?
一度あれば二度あり、二度あることは三度ある。列強が動けばまた列強が動く。それが仮想敵国、それも最大の仮想敵であるならば。
日本がそうであったように、友好関係にあり自国の勢力圏であると考えている国が危機に晒されているのならば、要請無くとも駆け付ける可能性は大いにあるのではないのだろうか。
これは正しくなかった。動くといったその時には、もう動いているのが彼の国であるのだから。
建国以来変わらぬ絶対なる君主の下行われるという他に類を見ない迅速なる対応は、永の平和な世が続こうとも健在であったのだ。
『公海上での海賊に対する演習』
滑稽とも取れる理由を付けて南ブリタニア大陸西海岸沖の“公海”に演習目的の艦隊が現れたのは、オセアニア大洋州艦隊が“演習”の為にイースター島周辺に向かった時より2月後。
その陣容はオセアニア艦隊よりも更に大規模な100,000t超えの巨大空母と、戦艦までセットにした目を疑うものであり、彼らの言った“公海上”を埋め尽くし、大陸の防波堤となるような形で展開してきた。
迅速なその動きに紛争当事者達は皆驚きの声を上げていた。最も彼の国が南ブリタニアの要請無くとも動く時は独自に動くと判断していたオセアニア艦隊だけは終始冷静な対応をとっていたが、本国では紛争介入を押し切った国防次官が激怒していたらしい。
『これは公海上においての自国船籍の船を護る為の防衛訓練であり第3国の紛争とは無関係である』
まるでオセアニア側の発表をそのまま引用したかのように記者会見で述べたのは齢18歳の若き天才、神聖ブリタニア帝国宰相シュナイゼル・エル・ブリタニア。
『尚、防衛訓練に参加する艦隊の補給には盟友日本の補給艦隊も参加している。但し我が国は防衛訓練。日本は補給訓練での参加となり
あくまでも訓練・演習であって“第3国の紛争介入に来たのではない”これを徹底しておきます。どうやら何処かの国も離島防衛の為の“演習”に訪れているようですが』
彼は何度も繰り返す。第3国同士の紛争には介入しないと。
彼は南ブリタニアの国々が潜在的に持っている不信感を考慮した上でこのように述べている。
紛争介入を名目にして南ブリタニアへの進駐を計り、隷属を迫られる。この種の強迫観念が未だ存在していることを知っているのだ。
だからこそいつでも助ける用意はできているとメッセージを送りつつ、救援要請がない以上無理とに介入するという手段は採らなかった。
これは嘗て世界有数の侵略国家として恐れられていたブリタニアの業なのだ。拡大主義を改めてより100年以上の歳月が流れても尚その残滓を残している。
それにブリタニアは戦争その物は否定して居らず、弱肉強食という考え方と基本路線も昔から何ら変わっては居ない。
強き者が上に立つ――自然の摂理であり、この世界の不変の掟。
こぼれ落ちてしまった弱者の救済も手厚いが、それは助けを求める弱者を見捨てないのもまた強者としての勤めであるからに過ぎず、努力をしようともしない弱者に対しては弱肉強食の国是の下容赦なく切り捨てる。
あくまでも拡大主義を停止させただけであり、必要と在らば戦争という手段を用いてでも問題解決を図るというのが今のブリタニアにとっての基本方針。
唯一変わったのは、協調できる他者とは共に歩むという部分であろうか。その結果手に入れたのが日本という得難いパートナーであるのだが。
だが、オセアニア……いや、民主共和制原理主義は違う。あれは明確なる敵として見据えている。協調も何もない相容れぬ存在であり忌むべき敵。
混乱ある処に必ず奴らは現れ、油断したその時には何かを奪い破壊していく。時には総てを白く染め上げ、人を人でなくしてしまう。
その相容れぬ存在が、同じく相容れない思想を持って忍び寄ろうというのなら、力を持っての排除に乗り出すのみ。
(あの連中の好き勝手な振る舞いをこれ以上放置しておくつもりはない)
シュナイゼルはイースター島に展開するオセアニア艦隊へも呼び掛ける。双方共に第3国の事は忘れて楽しい演習をしようじゃないかと。
無論、南ブリタニア沖の大西洋公海上にもブリタニア艦隊は展開していた。
旗艦である空母ハドリアヌスを指揮する顎ヒゲを蓄えた気性の激しさを感じさせる風貌の壮年男性は、眼前で相対する小さな艦隊を前にして、仁王立ちしながら自分の評価を気にし出す。
「訓練・演習といっても、なにやら血が騒ぐ。此処であの原理主義者共を叩けばニューギニア戦争の英雄のようになれるだろうか」
ニューギニア戦争の英雄とは、現大日本帝国海軍大臣……いや、国防大臣の山本五十六の事である。
15年前、共通の仮想敵国であるオセアニア相手に僅か2隻の巡洋艦大破・1隻の駆逐艦撃沈という損害と引き替える形で、2個空母群を壊滅させた大提督。
言うまでもなく個艦性能など基本的な兵器の質の差に加えて数でも勝っていたのだから当然の結果とも言えたが、それでも2個空母群壊滅というのは大きな戦果だ。
そして、その戦果を挙げたニューギニア戦争の英雄は壮年男性――南ブリタニア大陸東方派遣艦隊司令アプソン・トンプソン将軍の憧れの人。
「アプソン将軍、山本大臣のような英雄になられたいのでしたら東アフリカ艦隊ではなくオセアニア艦隊と戦ってください。東アフリカの弱小艦隊を叩いた処で大した評価にはなりませんよ」
自らが憧れる山本提督のように大戦火を挙げたいとうずうずするアプソン将軍に、勝手な事をされては叶わないと釘を刺したのはハドリアヌスの艦長だ。
優秀ではあるのだが、評価ばかりを気にするのがこの将軍の玉に瑕な処であった。
それに40,000tの中型空母1隻に旧式の巡洋艦が2隻。駆逐艦6席。計9隻。
補助艦艇等を入れても20隻行かない東アフリカ艦隊を、100,000t級空母ハドリアヌス以下50隻から成る主力艦艇で封鎖しているのだから、仮に戦闘となり勝利したとしてもアプソン将軍が山本提督と同じ名声を手に入れるのは不可能。
せいぜい弱い者イジメのアプソンとか言われて陰口を叩かれるのがオチである。
「それと、これは一応“海賊行為に対処する為の演習”“訓練”であって我々は戦争しに来たのではありません。やっこさんの言う“外洋での特別演習”とやらと同じです」
「言われずとも分っておるわッ!」
南ブリタニア西方太平洋上。
「敵……じゃなかった。オセアニア艦隊空母サンダルフォンから発艦したと思われるアンノウンが接近中」
「アンノウンだと? ニューギニア戦争の時の機体ではない新型か。ふん、引き籠もりの原理主義者共がよくもまあ第5世代に分類される機を開発できた物だ」
南ブリタニア西方派遣艦隊旗艦イングルバラのブリッジで吐き捨てたのは、同艦隊司令を務める男。
「如何なさいますか?」
「そうだな……向こうが飛ばしたのなら此方も艦隊上空に航空部隊を展開してやれ。但し撃つなよ? これは第3国の紛争には関係のない“軍事演習”なのだからな。
無論、原理主義者共が一発でも撃ってきたら遠慮することなく叩き落とせ」
「Yes, My Lord。唯ひとこと申し上げますカラレス閣下。ブリッジにどんぶり持ち込んで月見そばを食べないでください」
「ええいうるさいッ! 南雲卿より頂いた折角のお土産を見晴らしの良いブリッジで食したいという私の気持ちがわからんのかッ! それに日本の諺にもあるだろう、腹が減っては戦ができぬとッ!」
(だからって食い物をブリッジに持ってくんじゃねーよッ! 部屋で喰え部屋でッ!)
オペレーターを務める青年は凶暴な性格の艦隊司令――カラレス将軍には直接言えないので心の中で悪態を付いた。
「やれやれ。南ブリタニアに存在感を示すためとはいえ、地球の裏側まで来る事になろうとは……」
南ブリタニアへの側面支援……もとい。ブリタニアと共に対海賊合同演習に参加していた大日本帝国の補給艦隊を指揮する南雲忠一は、深い溜息を付きながらブリタニア空母イングルバラを発艦した菱形の戦闘機が似たような形状のオセアニア戦闘機を追い払うのをぼんやりと眺めていた。
「南雲司令。イングルバラより通信が入っておりますが」
「繋いでくれ」
「はッ」
繋がったモニターに現れたのは濃いヒゲ面のむさい中年男。何故かその手にはどんぶりを持っている。
「何用ですかなカラレス将軍。もしやオセアニア側に新たな動きでも?」
一応名目上の日ブ合同演習艦隊司令を任されているカラレスであった。
(態々通信を開いてきたのだからオセアニア軍に動きがあったのか? 此方はまだ何も掴んでは居ないが)
気を引き締める南雲であったが違う違うと手を振ったカラレスの言葉に唖然とさせられた。
『南雲卿。卿に頂いたこの蕎麦を先ほど食して居ったのですが……いや、実に美味ですな』
「それは此方としても差し上げた甲斐があったというものですが……まさかそれだけなのですかな?」
『ええ、それだけですぞ』
(・・・・・・作戦行動中に何をやっとるんだこの男は)
余裕の裏返しなのか、暢気に蕎麦を食っていたカラレスに呆れて物も言えない南雲は、通信が切れると再び空を舞うブリタニア軍機を眺めるのであった。
余談だが、後に南ブリタニア大陸東西に壁のように張り付いて、弾丸1つ通さなかった事から呼ばれるようになったこの作戦、
オペレーション『シールド・オブ・イージス』を切っ掛けとして、南雲忠一は駐ブリタニア日本大使館付き駐在官となり、ある不機嫌な淑女との出逢いを得て引退後の余生をブリタニアで過ごす事となる。
イースター島沖公海上。
「不用意な挑発は避けるよう全艦に通達しろ」
冷静な声で命令を下したオセアニア海軍大洋州艦隊司令。
彼は旗艦サンダルフォンのレーダーに映る自軍の倍はあろうかという艦影を睨み付けていた。
「アラウカニア=パタゴニアとのイースター島紛争の際にはだんまりだったというのに今回は素早いお出ましだったな。流石に南ブリタニア本土への侵入は許さないという訳か」
本国からの命令ではブリタニアが動く気配を見せなければ演習から“実戦”に切り替えろ。
後続部隊の出撃準備も整えてある。との連絡を貰っていたが、動く気配処か実際に眼前へと立ちはだかられてしまうと打つ手がない。
強行突破。開戦という選択もあったが、日本艦隊とぶつかったニューギニア戦争特の敗北を考えると、その時以上の戦力を目の前にして下手な手出しは出来なかった。
「国防次官殿はあわよくば大陸の半分くらいは分捕るつもりで居られたようだが……当てが外れたな」
E.U.の協力を取り付け東アフリカの寄港地まで用意させて東西から南ブリタニアを攻撃する筈であった計画が総て水泡に帰した。
サンダルフォン・ラジエルとその護衛艦群に加え、後続のサディケル・ヨフィエルを中核とした機動部隊4個群を持ってしても打ち破れるかどうかといえば比較劣勢。
75,000tのメタトロン級空母4隻と250機以上の艦載機に、潜水艦も含めた戦闘艦艇50隻。そこらの小国など2.3国纏めて潰せる戦力だ。
これに規模は小さいながらも東アフリカの艦隊が加わるのだから南ブリタニア攻略の第1陣としては申し分ない戦力の筈であった。
「相手がブリタニアや日本でさえなければ……」
その一言に尽きるだろう。
本国も馬鹿ではない。こうしてブリタニアが立ち塞がってきた以上撤退を指示するはずだ。
でなければ、勢いに任せて突っ込んだニューギニア戦争の二の舞となる。
あの時の損害は人名・金共に看過できる範囲を超えていたのだから、自らがその愚を犯すわけにも行かないし、無能のレッテルを貼られて更迭・軍法会議の途に付くなど御免被りたい。
無論、軍人であるからにはやれと命令されればやる覚悟はできている。向こうから撃ってくれば当然応戦するし全力で行くつもりであった。
唯、如何にブリタニアとはいえこれだけの正面戦力でぶつかればただでは済まない事が分っている故に、向こう側にも自ら開戦の引き金を引く意図はないだろう。
奴らの狙いがオセアニアによるラプラタ紛争介入阻止にあるのは明らかだ。
「日ブのどちらかと本気でやるつもりならE.U.も引き込まなければならんが、両国の関係を考えるならどちらか一方と開戦した時点で両方を相手取ることになるか」
現実的な事を考えながら本国よりの撤退命令を待つ彼の頭の中には、最早戦争の2文字など残ってはいなかった。
南ブリタニア東西海上に展開した4つの艦隊は演習という名目の下睨み合いを続け、東西で合わせて100隻を超える主力艦が展開しながらも双方が口にした第3国への軍事的介入ではないというその言葉の通り、終ぞ戦闘行為が行われる事はなく矛を収める方向に向かっていく。
こうして思いも寄らない形で双方の友好国が行った自称“演習”は、結果的にペンタゴン側にとって大きく不利となった。期待していた盟主の介入は最早不可能であるというのは疑うべくも無く。
「忌々しいブリタニアの小僧めがッ」
思惑を外され、戦いを根底から引っ繰り返されてしまったジェファーソン・デイビスは、隠れ潜む逃亡先でテレビに映った若く容姿端麗な帝国宰相に罵声を浴びせていた。
「だが、この程度で勝った気になるなよッ! 私が健在である限りペンタゴンは不滅……例え私が死のうとも『楽園』は不滅なのだッ! 同志達に告ぐッ! この聖戦に勝利し、全天に秩序ある美しき世界をッ!」
不利になり追い込まれた筈のペンタゴン。だが、彼らは降伏しなかった。
降伏する処か、至る所で自爆攻撃さえ敢行して激しい抵抗を見せ、不意の攻撃に晒された南ブリタニア各国軍の犠牲は良好な戦況とは真逆で日増しに増えていくばかり。
それだけではない。彼らは非戦闘地域や民間人すらもターゲットにしてきたのだ。先日もアラウカニア=パタゴニア首都ペルケンコに侵入した戦闘員に自爆テロを実行され多数の死傷者を出したばかり。
ペンタゴン……いや、民主共和制原理主義組織の何よりも厄介な処はその性質にある。
拠点を墜とされても、地域を追われようとも崩壊することはなく、思想であるが故に知らず知らずの内に浸透しては自国民がテロリストに変えられてしまうという恐怖。
これに打ち勝つ方法は2つ。1つは組織の人間を根絶やしにすること。構成員が存在しなければ闘争も何もない。
もう1つは力ある正しき者――彼らが狂信するその存在の排除。
狂信者達は力ある正しき者が居る限り負けることはない。負けてはいないのだから何度でもテロを繰り返す。
ラプラタ内部の兵器工場を潰しても潰しても外部から兵器を手に入れ、戦車や民間船擬装の軍用船すら用いて時には自らの肉体を爆弾としながら武装闘争を続けるのだ。
無論、ラプラタ東方共和国――民主政権時代の国軍が丸ごと消滅しようと彼らが降伏する事は無い。
オセアニアは言った。訓練であると。
東アフリカは言った。訓練であると。
そしてブリタニアは言った。訓練であると。
故に南ブリタニア各国は共に彼らにとっての力ある者――最高指導者ジェファーソン・デイビスの捕縛若しくは殺害を自力で行わなければならない。
間接的な援助を行ってくれた嘗ての侵略国家よりの心強い援護を無駄にしない為にも。
だが、最大目標にして行方を追っているジェファーソン・デイビス、その行方は様として掴めない。
そんな中で起きたギアナ公国陸軍大将の狙撃事件は、一連のテロ掃討作戦の報復であると容易に想像ができた。
同時に総てを台無しにしてくれたブリタニアへのメッセージであると……
*
2011年12月
E.U.南アフリカ ヨハネスブルグ
「未来を作るのは今の人間……明日という未来が今日と同じであるとは限らない」
オープンカフェのテーブルで白髪をオールバックにしたサングラスの男はコーヒー片手に新聞を読みながらぽつりと呟く。
彼が読んでいる記事の内容は、一面に掲載されたギアナ公国陸軍ウゴ・チャベス大将狙撃事件のニュース。
今日は各紙これが一面に出ている。最近の中華連邦内部の対立や中東情勢以外では最も大きな事件なのだから当然だ。
下らない芸能ニュースや的外れな批判ばかりしている何処かの新聞などもあったが、大体各社共に共通した内容でトップニュースとなっていた。
「先日までのチャベス卿は、今日という未来に自分がこうなっているとは思いもしなかっただろう」
昨日元気に演説していた彼は語っていた『我がギアナ公国軍の精鋭は大陸に巣くう癌細胞に痛烈な一撃を浴びせたッ!』と。
「さて、痛烈な一撃を浴びたのは果たしてどちらであったのか?」
その言葉がそっくりそのまま自らの身へと返ってきたのだから、痛烈な一撃を浴びたのは寧ろギアナの方だったのではないのだろうか。
彼らの空爆が、掃討作戦が、共にデイビスを追い詰めることができていないのを知っている彼からすれば、作戦指揮官のチャベスの演説は真に滑稽なものと思えた。
「ですが、仕留め切れなかったのは痛恨事では? あの猛将は復活すれば今以上の大攻勢に出て来る筈です」
まるで質問するような口調の男に対し声を掛けたのは、向かい側の席に座っていた別の男。
男は彼と同様に質問調の言を投げ掛けていたが、彼は気にする程のことでもないといった感じの軽い調子で答える。
「ふ、仕留めることこそ失敗したが1日2日で回復するような軽傷でもない。それに、ギアナも安全圏ではないのだと分からせろというのが依頼内容だ。である以上デイビスからの依頼は充分に果たせている。
治安の良い首都の直中で多くの護衛に護られながらも陸軍司令官が狙撃されたのだからギアナ国民も周知しただろう。ペンタゴンと戦い続けている以上ギアナも安全ではないのだと。少しでも不安が広がればそれでいい。
後は彼らが何処までやれるかだ。こちらとしては表立っての援助が難しい以上、東アフリカを通じて行う支援が限界なのだからな。まったくもって忌々しい限りだよあの2つの大帝国は。
奴らの目さえ無ければ、東南アジアも南ブリタニアも、疾の昔に管理できていたものを」
「確かに仰られる通りではありますが、あまりに楽観視し過ぎではありませんかヴァーチャーズ・キル。ギアナの秘密警察は血眼になって捜しています。場合によっては御自身にまで捜査の手が及びますよ」
「おやおや。私が捜査対象であるとは聞き捨てならないな。私が一体何をしたというのかね? こんな――」
彼は男の忠言に読んでいた新聞をたたみサングラスを外す。
「こんな盲目のか弱い私に何が出来るのか聞いてみたいものだ」
現れた素顔、サングラスの下にあったのは灰色に濁った色のない瞳。
誰が見ても視力が無いであろうことは分かるその灰色の目で男の両目を射貫く。
「そういえばそうでしたね。これはとんだ失礼を申しましたキル・ワーカーさん」
男は彼――キル・ワーカーという名の盲目の男に謝罪する。目の見えない者に何ができる。ましてや銃撃などという視力があること前提の行為などできませんねと。
黒その物な話をして置きながら、まるで関係ないという態度に切り替わった2人の間で淡々とした会話の応酬が続く。
「分ったら早く犯罪者を捕まえてくれたまえよ。市民の安全を護るのが貴方方警察のお役目だろう?」
「これは手厳しい。ヨハネスブルグは犯罪都市などという蔑称を付けられる程に治安が悪く、犯罪者はそこら中にウヨウヨしておりますので、その中から1人の暗殺者を見つけるのは困難を極めます。ましてや目の見えないスナイパーなど“常識的に考えて”存在する筈ありませんから」
男、ヨハネスブルグ市警察の刑事が冗談交じりに言うと、キル・ワーカーは「確かに」と一言返し、再び手にしていた新聞の続きを読み始める。
「それならば尚更必要となるな。しっかりと管理された全天に秩序ある美しき世界が」
「ええそうですね。犯罪も何もない綺麗で真っ白な、全天に秩序ある美しき世界が」
鳥が羽ばたくような赤い光がキル・ワーカーの灰色の瞳に浮かんでいる。
光り続けるその目は盲目。だが、確かに写し出していた。
手に持つ新聞一面に書き綴られた、見えない筈の小さな文字を……。
終わりです。思想などにはあまり詳しくない為色々おかしな話になっているかもしれないのですが南ブリタニアの国々の話でした。
他の国々の人口は増加しているにも拘わらずウルグアイの人口だけが史実よりも少ないのは、政治的混乱と永の景気低迷に加え戦争・紛争等の影響の結果という想定になっております。
この南ブリタニア情勢は過去話なので本編の2019年では情勢変化しております。
書きたかった内容と随分変わってしまいました。
ご批判ご意見および、どこか矛盾があったりおかしかったりする処にお気づきの際は、ご教授・御指摘の程、よろしくお願いします。
改訂版、お話し作りなどの参考になりとても助かりますので。
いつも多くの感想を頂きありがとうございます。大変励みになっております。
それでは失礼いたします。
最終更新:2014年08月18日 17:41