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- 242. ひゅうが 2011/11/19(土) 06:43:58
- >>238-239
に感動したので、私も「劇場版の後半の山場」らしきものを考えて書いてみましたw
――魔都 上海・・・。
そこは、第2次世界大戦の事実上の勃発の地であり、2度にわたる上海攻略戦で破壊しつくされてもなお肥大化を続けるまさに魔窟であった。
中華民国北京政府と華南連邦、大越共和国(福建共和国から改称)や満州国といった大陸の7つの国家が鍔迫り合いを繰り広げる「シナの唯一の海への出口」である国連自治都市は、英連邦下での独立が決定した香港と違い、どろどろとした怨念に満たされている。
高さ300メートルを誇る上海電算公司ビルから町を見下ろせば、30年代のそれと変わりない華やかさの隣で九龍城もかくやというスラム街が広がっている。
酒、賭博、女といったありきたりのものに、人身売買、麻薬、闇の貴金属や美術品市場、列強の最先端機器の横流し、そして兵器といったものまで、ここでは金次第で何でもそろう。
後背地に成都の国民党民国派と社会主義諸派との何度目かになる内戦状態と、ソ連崩壊後の混沌としながらも活気にあふれた「自由化された」トルキスタン諸国連合の握る中央アジアを抱えている中ではその発展はいびつながらも加速しつつあった。
が――
「おいおい・・・ここはいつ1942年にタイムスリップしたんだ?ここはカリブのゲリラ地帯じゃないんだが・・・」
次元大介はあきれた声で軍艦の甲板に立っていた。
戦艦「大和」。
大日本帝国海軍が誇る、世界最大最強の水上戦闘艦である。
それだけではない。その周囲には、この世界でも最強の軍事力をもつ「おっかない」連中がうようよしていた。
16万トンを誇る巨大原子力空母「信濃(2代目)」と「甲斐」を東シナ海におき、実質的なヘリ空母である強襲揚陸艦「下北」「国東」「大隅」「知床」の4隻と補給艦8隻が中央に。
さらに後方の第2那覇基地(嘉手納宇宙港から移転)や下地島基地には、日本人以外が大規模に持つことは不可能な4個戦略爆撃航空団が最新鋭の72式制空戦闘機「天鷹」やかのスツーカの魔王をして「最良の対地攻撃機」といわしめた69式対地攻撃機「黒豹」たちが空中給油機や2ダースにもおよぶ早期警戒・電子作戦機とともに待機している。
これらの露払いを行うべく、大日本帝国は戦艦「大和」を筆頭に、2万トン近くに達する超大型水上戦闘艦4、大小のイージスシステム搭載艦10、汎用水上戦闘艦18という大艦隊と、攻撃型原子力潜水艦4、戦略型原子力潜水艦2を東シナ海に進出させていた。
まるで、一昔前の朝鮮半島危機の頃のようだった。
事実、本土の防衛基準体制は「3‐甲」になっている。事実上の全面通常戦争態勢だ。
「なに。おいたがすぎた子供には、徹底してお仕置きをする必要がある。それだけのことです。」
「あんたか・・・。」
心底いやそうな表情でルパンは肩を落とした。
投資をおこたらない男、辻正信は、怒りを押さえこむように静かに笑っていた。
「あの亡霊は、我々を怒らせすぎました。我々のものに手をつけたのはまだいいとして――わが国はもとより全世界に死と混乱をもたらし、その隙にすべてを掠め取り自民族による世界制覇を考えるなど――まさに痴人の戯言ですが、実行しようとしたこと自体が許せない。」
一度ならず見逃したがもう限界だ。と辻はくつくつ笑った。
「市ヶ谷に、大本営総長代理が入られました。間もなく政府と国連はこう発表する予定です。『極めて遺憾であると言わざるを得ない』と。」
辻の一言に、ルパン一味は総毛立った。
極めて遺憾とはいわないものの、限りなくそれに近い――辻はそう言った。
大本営総長であるかしこき人から全権委任を受ける・・・平時にその権利を持つのは、軍の最高階級にして元老であるあの男、『大宰相』嶋田繁太郎以外にはありえない。
そして彼には、核は一応使用しないものの、すべての通常戦力運用の権限が与えられている。
「君らは、行ってください。我々が露払いをします。行って峰不二子くんを助けてきてください。その点でのみ、我々は全力であなたがたに助力しましょう。」
「妙なことになったもんだな・・・。教育により視野を広げずにただひたすら穴倉の底で憎悪を募らせていたらああなるのか。なるほどあんたが女学校やら学校を作るのに情熱を燃やしたのもよくわかる。」
「ルパン!何してる!早く乗らんと逮捕するぞ!」
ブラウンのジャケットを着た銭型がヘリの中から呼んでいる。
ルパン一味は頷くと、駆けだした。
「さて・・・これが最後のご奉公になりますか・・・嶋田さん。きついのを一発頼みますよ・・・」
――のちに第3次上海事変と呼ばれる軍事行動、その1時間ほど前の出来事だった。
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最終更新:2012年02月13日 21:04