20XX年、彼女は日本の頂点に限りなく近い位置に立ち、そして病に倒れた。
15歳でアイドルとして小さなプロダクションからデビューした彼女は、その小さな事務所の牽引者として彼女の所属した
事務所を日本の三大アイドルプロダクションの一つへと押し上げた。
同じプロダクションのアイドルたちと競った人気投票でこそ一位をとることは適わなかったが、ほとんどの人がそのプロダクションの看板といえば彼女だと言った。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼女を病が襲った。
彼女の罹患した病気は今でも原因がよくわかっていない病気で、特徴としては37℃後半の微熱が月単位で続き、その果てに衰弱して死に至るというものだった。
とにかく安静に、それこそほぼ寝たきりに近い状態でも余命一年。
それが医師に病状を伝えられた彼女の担当プロデューサーが彼女に告げた残り時間だった。
そして彼女はその残った命をほぼ一瞬で、まるで花火の様に盛大に美しく燃やし尽くすことを決意した。
そして彼女は一つの伝説を作った。
彼女のラストライブは夏休みという時期も相俟って五日間で100万人を動員。
業界の怪物にこそ及ばないまでも記録的な数字をたたき出した。
ライブの内容も五日間連続だったにも関わらず、最後の五日目まで歌、ダンス、トークのずべてにおいて過去最高と言って良い素晴らしい内容だった。
そして五日目、最後のライブを終えた彼女は楽屋に引き上げた直後に倒れ、そのまま救急車で病院に運ばれた。
しかし既に意識は無く、医者も手が無いと匙を投げた。
そして二日後、奇跡的に意識を回復した彼女は見舞いに訪れた担当プロデューサーに感謝の言葉を告げ、そして息を引き取った。
一つの時代を作れたかもしれない少女は18歳と言う若さで世を去った。
ふと彼女は誰かに呼ばれたような気がして目を開けた。
焦点の合わない目でぼんやりと天井を見る。
彼女の所属した事務所の年上の後輩の勧めで見た有名なアニメの主人公のせりふがなぜか頭を過ぎった。
ドアが開く音を聞いて彼女はそちらに顔を向けた。
白い服を着た女性がこちらを見て目を丸くしている。
彼女はこのアイドルになってからの習慣として営業用の笑顔を浮かべた。
そうすると白い服の女性は何かを叫びながら走っていった。
彼女はなんなんだいったい、とまだほとんど働いていない頭でぼんやりと考えていた。
白い服の女性、看護師が駆けていって直ぐに白衣を着た医者が飛んできた。
それから一時間ほど後に両親も飛んできた。
医者と両親の話すことを総合すると彼女は車にはねられ、一週間も意識が戻らなかったらしい。
そこで違和感を覚えた彼女はいくつか両親と医者に質問をしてその答えに頭を殴られたようなショックを受けた。
彼女の実家は花屋を営んでいたし、飼っている犬の名前も一緒だった。
しかし、両親と医者は今の彼女は15歳の中学生だと言う。
そしてそれ以上に彼女を打ちのめしたのは、彼女のいるの名前だった。
この国の名前は大日本帝国。
彼女にとって歴史の中にしか存在しない国だった。
彼女は退院した後一週間図書館に通いつめて新聞や本を読み漁り、そして深い虚無感に襲われた。
世界恐慌頃までは彼女が学校で習ってきたものとほぼ同じだった。
しかし、1942年に勃発した太平洋戦争と大西洋大津波。
東海岸で発生した細菌兵器由来と推測される疫病、
アメリカ風邪。
日本軍の手によりメキシコに投下された世界初の原子爆弾。
アメリカ合衆国の崩壊と日本、イギリス、そしてナチスドイツによる分割。
日本とイギリス主導のPaRTO(環太平洋条約機構)とドイツ主導のEAA(ヨーロッパ枢軸同盟)による冷戦。
彼女の知る物とまったく異なる歴史。
それ以上に、彼女が残してきたつもりのものはどこにも無かったと言う事実に彼女は打ちのめされた。
電車をどこでどう乗り継いだのか、気がつくと彼女は渋谷ハチ公像のそばでぼんやりとしていた。
一つ大きなため息をついて家に帰ろうとする彼女の耳に聞き覚えのある音楽が届いた。
その音源を目で追い、彼女は目を見開いた。
渋谷のビルに設置されていた電光掲示板に以前見たライバルプロダクションのアイドルがいた。
彼女は寒さでも、恐れでもなく体が震えだすのを感じていた。
「アイドルに興味がお有りですか?」
ふと気がつくとすぐ隣に真っ黒な男が一人立っていた。
手も顔もどこが目で、口で、鼻なのかわからないくらい真っ黒だが身なりはきちんとしている。
「申し遅れました。私はこういう者です」
差し出された名刺には名前と代表取締役の文字、そして『A』の文字を図案化した見慣れた天使のマークに『CINDERELLA GIRLS Production』の文字。
「アイドル、やりませんか?」
真っ黒な男に連れられてきた小さな事務所、そこで彼女は事務所の社員たちに緑の悪魔と呼ばれた事務員と再会した。
もちろん事務員から見れば初対面だろうが、それでも彼女は見知った顔に合えたことに安堵を感じた。
そして翌日彼女は担当するプロデューサーに引き合わされた。
そして彼女は前回と同じようにプロデューサーに向かってこう言った。
「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね。」
彼女の二週目が始まる。
以上ここまで。
最後に上の一文が漏れてたorz
……冷静になって考えると俺はこんな時間までいったいナニをやっていたのだろう……?
何とか日付が変わる前に帰宅。
でも書き込むのはこんな時間に……。
見直してみると、題名として一番最後に
【ネタ】渋谷凜は平行世界で二週目に挑むようです
を付け加えるのを忘れていた……。
一応かなり大雑把なネタ設定としては、
元の世界では劇的な最後による補正と相俟って、「夭折した悲運の天才」「あと三年あれば間違い無く史上二人目のSランクになれた逸材」との評価を受ける。
憂鬱世界の自分を乗っ取る形で憑依、その際「元の世界の凛」の記憶が「憂鬱世界の凛」の記憶を上書きしてしまったため、覚醒から退院直後はかなり混乱している。
持ち越しの経験値と二週目による成長率ブーストにより、彼女の所属するCGプロは、
夢幻会がもたらした恩恵の一つとも言える業界の透明化による不正に対する締付けの強化により元の世界ほどの勢いを持っていない961プロ、いまや業界で知らないものの居ない765プロを急追。
業界を765、961、そしてCGの三極時代に追い込みつつある稀代の魔人にして、魔王の再来と業界から恐れられている。
現在の目標は元の世界の魔王を超えること。
そのうち、先代魔王が刺客として送り込まれてくるかもしれない(笑)
元の世界のCGプロ社長の同位体。
ある意味最大の被害者。
いろんな意味で規格外な凛に胃を痛める一人。
最初に凜をスカウトしたばっかりに、アイドル三極時代の三極の一つの盟主に祭り上げられる。
元の世界の千川ちひろの同位体。
CGプロの事務員として勤務する。
いろんな意味で規格外な凛に胃を痛める一人。
両親の死により貧しい子供時代を送るが日本の学生奨学金(数度の改定が加えられているが、提唱者の名をとって辻基金と呼ばれる)によって大学を卒業。
大手銀行に勤めた後、何を思ったか銀行を退社、CGプロに再就職を果たす。
貯金と漢方が趣味。
元の世界の凛の担当プロデューサーの同位体。
いろんな意味で規格外な凛に胃を痛める一人。
超兵器な凛と類友で集まった個性豊か過ぎるアイドル達に振り回される。
最近ちひろ印の栄養ドリンクが手放せない。
大日本帝国第125代内閣総理大臣 元海軍少将
世界の覇権国家の一つである大日本帝国の統治の実務を担う、陛下からも信頼の厚い政治家。
高校からの腐れ縁(本人曰く)の現大蔵大臣や、江田島海軍兵学校から俺貴様と呼び合う仲だった現国防大臣をはじめ多数のブレーンを交渉と根回しでまとめる調整型の政治家。
その功績と経歴から大宰相の再来とも呼ばれる。
最近、アイドル業界に起こった異変について部下に調査を命じた。
最終更新:2014年08月26日 22:54