思いついたネタです。
ストパンネタです。でも制作者はストパンをチョコットしか知りません。
TSネタがあります。キャラも出てきますが、よく知らないので違ったらごめんなさい。
それでもよろしければどうぞ。
あくまでもネタです。あしからず。



九曜葛葉。
ストパン世界に、遥か400年前に生まれた夢幻会の重鎮、嶋田繁太郎の転生体。
世界最高齢にして最強の“ウィッチ”。
現在は天皇家に仕える侍従長で、護衛も兼ねている。

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今日はある程度軌道に乗った夢幻会の方針に、主要メンバーと協力した者達が集まって、軽い食事会を開いている。
天皇家に仕えている九曜も来てくれて、絡んでくる男連中を軽くあしらっている。
そんな彼女の様子を、今だに中二病な奴が睨みつけるように見ていた。

「…気に食わん。」
「突然何を言っているんだ。お前は…」

隣に座っていた山本五十六が、富永恭次に突っ込みを入れる。
どうやら女性転生者と談笑している親友をにらんでいるようだ。

「何が気に食わんのだ?」
「全部だ。」

コイツはよくわからん。転生前に会ったが、相変わらず変な発言で周囲を混乱させるところは変わらない。
要領をえない為、もう一度聞いてみる。

「なんというか気に入らんのだ。何時もの嶋田じゃない。」
「そりゃ、400年も生きているのだ。かわるだろう?」

人間とてあまり会っていなければ変わるのだから。そう言ったが納得していないようだ。

「それでもだ。」

ドン!と御猪口を置くと乱暴に日本酒を注ぐ、その様子を見ていた東條英樹もやってきた。
隣に座り、漬物を摘まむ。

「でも…なんか違和感がありますよね。」
「…」

山本も違和感をぬぐえない一人。
以前ならば頼まれてもやらないようなことをし、以前ならば富永の中二病に頭を抱える所を軽く笑って流す・・・話さなかった人物とも話している。
おかしいと言えばおかしいが、“400年”という歳月がどうにも・・・

「確かに変ですね。」
「「「うぉぉぉぉ!」」」

いきなり背後に現れた辻正信に驚く三人。大きな声を上げたので九曜が振り返るが、すぐに談笑に戻る。
その様子をチラッと見た山本は、なぜか安心して溜息をつく。

「お、驚かさんでくれ。」
「ふふふ、失礼。」
「…辻さんも、嶋田さんをおかしいと思うのですか?」

気を取り直した東條が割り込んできた辻に聞く。

「ええ、一応長い付き合いでしたからね。違和感がぬぐえませんよ。」
「そうか…」
「はっ! あれか、昔の旦那が最近……(ウンヌンカンヌン)」
「(また富永がトリップしてしまった)確かに変ではあるがなぁ。どう変のなのかがわからん」
「こればっかりは私もわかりません。」

と、言ってお酒を飲みほし、近くのワインをグラスに注いだ。

「ですがね。400年生きてきた嶋田さんの精神がマトモではないのはわかります。」
「おい、それは…」
「長い年月生きている。家族の事を聞けば言葉を濁し、話題を変えようとする。」
「……」
「それとなく家の事を聞いてみましたが、現在は皇居内の一角で暮らしているみたいです。
 しかし実家は…京都が良く見える場所…それしかわかっていません。
 過去の事は辛い事もあったでしょうが、楽しかった思い出もあった筈です。
 ですが、そんな話は一切しない。怪しくて、怪しくて…ねぇ。」

辻の視線は九曜に注がれている。その視線に何が含まれているのか、山本にはわからなかったが、妙な胸騒ぎが沸き起こり始めていた。

(何事もなければいいが…)

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数日後

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昼過ぎ。
東京湾のある埠頭に客船が横付けされ、タラップが下ろされると元気そうな女の子が居の一番に降りてきた。

「ふぃぃぃ。ようやく到着したンダナ!」

扶桑国には無い髪の色をした女の子、エイラ・イルマタル・ユーティライネンは長い船旅でこった身体を、伸ばすことでほぐす。

「ウゥゥンン…ふぅ。」

簡単な手荷物を担ぎなおすと、すぐにバスが止まっている場所に向かう。
この国に来た理由は、戦場で見かける扶桑の“ウィッチ”達が皆【法術士学校】【導術士学校】の卒業生であった事と、夢の中で会う“オバサマ”に会えればと思ったからだ。

九曜はこの時代に生きているとは言っていたが、どんな職業についているとは聞いていなかったため、寄ったついでに聞いてみるつもりでいる。
あれだけの知識量と実力(夢世界での仮想戦・九曜全勝中)を持つ人物だ。
絶対に関わりがあるはず!

「大阪のガッコウに行ってみたいケド。一週間しか居られないカラナ…法術士ガッコウで我慢しヨウ。」

エイラはそのままバス停に向かい、時刻表を見る。が…

「よ、ヨメない…」

時間はわかるが、目的地が全て漢字で書かれており、まったくわからない。
当たりを見回してみるが、どう見ても民間の人ばかり。
言葉が通じるとは思えない。

「エエい!ココは度胸だ!!」

そう言って今来たバスに乗り込んでいった。



迷った。
適当に乗り継いでみたら完全に迷子になった。
うなだれながら何度も、何度も確認する。財布の中身は有限だ。

「船員サンに聞けばヨカッタ…」

嘆いていても始まらない。
しかしこんな街中で、言葉が通じるだろうか?

(オバサマは綺麗なブリタニア語だったモンなァ)

困り果てたエイラが悩んでいると、

「あの…どうかしましたか?」

流暢なブリタニア語が後ろからかけられた。



この日は学校が休みで、芳佳は普段ならば実家に帰って居る予定なのだが、今回は友達のサーニャの住んでいる家に泊めて貰っていた。
彼女に誘われて、初めてのオラーシャの料理を食べてちょっと幸せ。

「優しいお父さんだったね」
「うん」

口数が少ないけれど、表情などを読み取ればかなり多彩であることがわかる。
恥ずかしながら披露した歌声は、近所に住む同郷の人達も呼び込んで、ちょっとした宴会になってしまったのは軽いハプニングであった。
楽しかったけど。

「今日は早く帰らないと…」
「明日、大変だもんね」

昨日一日実家に帰っていたサーニャと、泊めて貰った芳佳だが、翌日の授業で使う教材を今日中に運び込まないといけない為、早めに寮に帰らねばならなかった。
本来ならば土曜の授業に終わった後、すぐに運び込む予定だったのだが・・・教材が破損していることがわかり。
しかも、よりにもよって“ウィッチ”が制作しなければならないものだった。

幸いすぐに代わりが見つかったものの、入荷が今日の昼以降になってしまう。
その為に帰らねばならない。今は戦時中という事もあり、実線に出でるかもしれない子達を育成しているから、必要なくても教えられているのだ。
バス停まで見送ろうとした両親を玄関で止め、名残惜しかったが二人は歩いて向かう。
そしてバス停が見えてきたのだが・・・

「あれ、どうしたんだろう?」
「…さぁ?」

二人の目の前では、クルクルバス停で回っている挙動不審者がいた。
周りの人間は外人という事もあり、どうも話しかけづらいようだ。

『船員サンに聞けばヨカッタ…』

ブリタニア語で呟いたのを聞いて、世話焼きな芳佳は声をかけることにする。

『あの…どうかしましたか?』
『エ…言葉、わかるノカ?』
『はい、授業の一環で外国語を習いますから。』
『そうなノカ…扶桑国は進んでイルナァ。』
『私たち、法術士学校の生徒なんです。』
『そうなノカ!!』

突然少女は嬉しそうに笑い、肩を掴んだ。
その行為にサーニャがちょっと「ムッ…」としたようだが、何も言わない。

『いやぁ。ソコに行こうとしたんダケド、全然わからナクテ。』
『空港から来たんですか?』
『いや、船旅ダヨ。』
『だとしたら反対ですよ…』
『なん…だと…』

愕然とした様子にさすがの二人も苦笑する。

『これから帰る所なんです。よかったら付いてきますか?』
『おお! それは頼みタイゾ!!』
『でも、関係者でない限り中までは入れませんよ?』
『大丈夫だ。エット…(ゴソゴソ)…ほら、紹介状ダゾ』

荷物袋から、ちょっと皺が付いた用紙を見せてくれたが、確かにそれは紹介状だった。

『それなら大丈夫です。あ、ちょうどバスが来たみたいですね。乗りましょう』
『アリガトウ! 君は恩人ダ!!』

感謝して手をブンブン振るうとある事に気が付いた。

『自己紹介がマダダッタナ。私の名前はエイラ・イルマタル・ユーティライネン。エイラで良いゾ』
『私はヨシカ・ミヤフジです。扶桑だと宮藤芳佳といいます』
『…サーニャ・V・リトヴャク。サーニャでいいよ』
『芳佳にサーニャか…覚えたぞ!』

三人はバスに乗り込み、法術士学校に向かっていった。
道中、彼女が戦場で戦う人だとわかり、いろんな質問をお互いにして中を深め合っていった。


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皇居の一角にある九曜専用の部屋。
そこはすぐに陛下の元に駆けつけられる場所にあり。
歴代の天皇陛下が頼りにして、良く訪れた部屋でもある。
どの皇太子達も一度は九曜に遊んでもらった。

思い出深い部屋で九曜は執務する机に座り、部屋をただ見回す。
その視線は少々虚ろで、部屋をしげしげと見まわして、一つ一つを記憶しているようにも見えた。
そして瞬きをすると机の引き出しを開き、一番奥の方にある“長方形の物体”を取り出した。

九曜はそれを・・・愛おしそうに撫で、我が子のように抱きしめる。

「……………」

何かを呟いた。
しかし、静寂に包まれていた部屋にすぐに溶け込んでしまう。
そして誰も聞く者はいない。

名残惜しそうに取り出したものを、先程と同じ場所にしまい込みしっかりと蓋をする。
机から立ち上がり、頭巾をかぶって部屋を後にする。
400年生きたモノの部屋としてその部屋は、あまりにも殺風景な寒々しかった。



以上になります。
ふぅ・・・嶋田九曜さんと夢幻会は動いてくれるけど、芳佳嬢達が動いてくれん!
エイラは動いてくれるんだけどなぁ・・・
それはともかく、あと二回ほどで終われそうな感じです。
アグレッシブの方はこちらが詰まったらまた書くかもしれません。
リアルも忙しい。インフルエンザで同僚が倒れて、人がいないからくそ忙しいうえに、精神的に疲れる場所に一時的に配置されているから、癒しが欲しい(泣
他の方々のSSも待っているぜ!!

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最終更新:2014年08月28日 11:41