思いついたネタです。
ストパンネタです。でも制作者はストパンをチョコットしか知りません。
TSネタがあります。キャラも出てきますが、よく知らないので違ったらごめんなさい。
独自設定もありますが、それでもよろしければどうぞ。
最終回の最後の方の話です。補完の意味合いが強いかな?
あくまでもネタです。あしからず。
九曜葛葉が自殺未遂をした翌日。
朝速くから起き、急いで厨房に向かっていた。
まぁ、理由は簡単。
『九曜よ。この度の事は不問としよう。』
『……はっ…』
『しかしソナタに罰は与えねばなるまい。その罰だが…』
その罰は、今日一日の三食食事を作る事だった。
時折未来知識から、おいしい料理を提供していたこともあり。
九曜の料理はかなり特別な意味合いがあるのだ。
「まったく…こういうお茶目(?)な所は、昔から変わらないなぁ」
小さくブツブツと言いながらも、厨房に到着した九曜はさっそく手を洗い、今日用意されるはずだった献立を、専属の料理人から聞く。
献立としては素朴で、質素なものだが、健康に配慮したものがメインとなっている。
問題は・・・
(この食材で、オリジナルを出す事ね…だいぶネタが尽きているし。北輝次郎も転生していたから、相談した方がいいわね)
内心で溜息をつきつつ、難題に挑んでいく事になった。
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同日。
昨日遅くに帰って来たエイラと芳佳は、翌朝すぐに呼び出されて怒鳴られた。
芳佳はある意味被害者と言えるが、ストライカーを無断使用で壊し。
エイラも止めに行ったはずなのに、帰ってこない上に同じ様に壊して帰ってきた。
これで怒られないはずがない。
ストライカーは、扶桑海事変の際のコネで融通して貰った貴重品だったのだ。
それが二日もせぬうちに大破、修理に出さなければならないとなると大問題だ。
結局二人は一日がかりで寮の、全てのトイレ掃除を命じられた。
実際にはこんなものでは済まないのだが、九曜が根回しをしておいたお蔭で、これくらいで済んでいる。
弁償費用も九曜のポケットマネーから出ている。
そんなことは知らない二人は、気落ちしながらトイレ掃除に精を出していた。
「ウウ…臭いゾォ。」
「うわぁ…ここ、詰まって壊れてる。業者さんに言わないとだめかも…」
黙々と掃除をしている二人だが、芳佳がふと手を止めてエイラを見る。
「エイラさん。」
「ナンだ?」
「昨日の人は…私の御先祖様なんですよね。」
「…ソウダナ。」
冨永を吹き飛ばし、強制的に退去させた後残った三人は良く話し合った。
芳佳の意識ではなかったが、九曜の次女〇〇として行動していた時の記憶を持っている。
それをどう思っているのか。エイラはなかなか聞けないでいた。
「私…〇〇さんの気持ちがわかるんです。」
「…どういうコトだ?」
同じ様に掃除の手を止め振り返り、後ろで作業していた俯いている芳佳を見つめる
「〇〇さんの思いが、私の中に残って…
あの人に対する後悔と怒り…それが渦巻いていて、複雑なんです。
どう思えばいいのか。私、どうしたらいいんですか?」
芳佳は、エイラよりも九曜との付き合いが無い。
というかあの時が初めてだ。
知らない人なのに親しみがある。
知らないハズなのに思い出がある。
胸の内に生まれた思いをどうすればいいのか、持て余している。
それに対する回答はあっさりしたものだった。
「別に気にシナクテモいいと思うゾ。」
「…え?」
驚いて顔をあげると、うーんと唸っているエイラを見る。
「確かニ芳佳はオバサマと初めて会った。」
「…はい」
「ナラわからなくて当然じゃナイか?」
「…そう…なんでしょうか?」
「私は嬉しカッタけど♪
能力デノ繋がりダケダト思ってイタラ。
遠いゴセンゾ様だったンダ。こんなにウレシイ事はナイよ。」
ニシシと笑うエイラに、芳佳は戸惑いの表情になる。
「芳佳はコレからオバサマを知ればイイじゃナイか。
“芳佳が思う” オバサマを知ればイイと思うゾ。」
その言葉に芳佳は納得した。
そうだ。この胸の内にある思いではなく、“自分の思い”を抱けばいい。
また会えるかわからないが、そう思えばいいのだ。
「あは…あははははは」
「オッ! やっと笑ったナ!!」
二人がひとしきり笑いあい、掃除を再開して芳佳は窓を開ける。
丁寧に素早く拭いて汚れを落とし、すぐに閉めようとする。
だが、何かがそれを止めた。
―ギュッ―
「あれ?」
何事だろうとよくよく見ると、小さな手が止めていた。
「みゅ~」
「え? ええ!?」
小さな手の主は・・・
どう見ても五歳児位に小さい九曜葛葉だった。
「どうした…ッテ、小さいオバサマ!?」
「みゅ~」
すごくかわいい。
二人はそう思い、チビ九曜をすぐに中に入れて抱きしめる。
「みゅ、みゅ~!」
「うわぁ、かわいい!」
「オオ!尻尾は一本だケド。モフモフだぁ!」
「みゅ~、みゅ~!!」
必死に逃れようと暴れるチビ九曜を無視して、二人はあまりの可愛いさにメロメロだ。
よって、正気に戻す雷撃は防げなかった。
『いい加減にしなさい』
―バチン!―
「「ピギャァ!」」
痺れて、綺麗に磨いたトイレの床に倒れる二人を尻目に、チビ九曜を中継とした念話で九曜が溜息をつく。
『もっと大きくすればよかったかしら?』
「みゅ~」
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チビ九曜を派遣したのは、迷惑を開けた埋め合わせをするためにエイラを誘うためだった。
本来ならば、二人はサーニャ達と共に買い物に行く予定なのだが、罰の為に寮で掃除をしている。
せめて何かしらの謝罪をしようと思い、誘いをかけたのだ。
無論エイラはすぐに受けた。
そして意外な事に芳佳まで来るという。
九曜は驚いたがすぐに了承し、翌日迎えに行くという事になった。
そして日曜日になり、二人は寮の前で待っていると・・・
「おまたせ」
見たこともない大きめの車が止まって、そこから九曜が下りてきた。
「え、これって…」
「倉s…知り合いが作ってくれた魔導力の車よ。」
少し口を濁らせたようだが、表情はニコニコとしている。
二人とも見たこともない、立派で豪華そうな車に、恐々と乗車する。
「ウワッ! 対面式に椅子がアル!」
「広い…」
「ふふ、私が乗るとそうでもないのだけどね。」
苦笑した九曜の言葉は本当だ。
彼女が乗ると、九本もある狐尻尾が圧迫してくる。
広々と見える空間も、モフモフの尻尾があるとずいぶん狭く見えた。
「じゃぁ、だして。」
「アイ・マム」
「「え?」」
声をかけた運転席から、九曜と同じ声が聞こえた。
どうやら分体に運転させているらしい。
能力の無駄使いだ。
更に無駄遣いと言える事をし始める。
おいておいた水筒から水が飛び出し、目の前で沸騰する。
沸騰した水に茶葉を放り込んで、念力で旨味成分などを抽出させる。
それが終わると、茶葉を全て取り出して塵籠の中に入れる。乾燥させて。
カップを取り出して入れると、二人の前に出した。
「どうぞ」
「「い、いただきます」」
お茶は美味しかったが、目の前で行われたインパクトのある入れ方の方に心奪われ、あんまり味が感じられない。
九曜はそんな二人の様子をクスリと笑い、自分もお茶に口をつける。
「あちっ!」
「本体! 大丈夫ですか?!」
「だ、大丈夫よ…少し熱く入れ過ぎただけだから…」
「気を付けて下さいよ。アナタが気絶なんかしたら、私は消えてしまうのですから。」
なんか物騒なこと話している。
それはともかく、目の前でフウフウと息を吹きかけている人物を見て、芳佳は思った。
(意外と…抜けている?)
その思いは、〇〇が抱いていた母親像と違って、ちょっと笑えた。
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目的地は転生者が経営している洋服屋だ。
元々彼は前世では軍人をやっていたのだが、二度目となるこの世界では親の家業を継いでいた。
その為か、コスプレ衣装をよく注文されて嘆いている。
2・3度会っただけだが、客としていく旨を伝え。
更に口外しない事を約束させている。
なので、安心して買い物が出来るのだ。
そう、安心・・・できるはずだった。
「なんで、辻さんがいるんですか。」
「いやぁ。あの時は一大事でしたからね。よく見ていなかったので…」
「くふふ、可愛いn ―バジン!― ぐぉ! 嶋田、なにをする!!」
「ウチノ コニ ナニ イロメ ツカットンジャ」
「キャラ、変わっていますよ。」
「東条さん…あなたはマトモだと思っていたのに…」
なんでか、
夢幻会メンバーがいた。
遠くから見る分にはいい(良くないが)。
しかし近寄って話しかけようとする野獣(九曜視点)を撃退する事に忙しく、なかなか一緒にいられない。
そんな様子を、遠目からエイラと芳佳は見ていた。
「あの人たちって…」
「アア、一昨日の人達ダナ。」
「確か、偉い人たちだったと思うけど…」
目の前では、九曜が話しかけられて答えている隙に、こっちに来ようとした男を念動で開いた扉から、念動で叩きだされている光景が見える。
恐らく九曜は見られていないと思っているのだろうが、鏡などでよく見えていた。
その姿はとても自殺をしようとした人には見えず。
寧ろ友達にじゃれつかれて困惑しているようにも見える。
「オバサマのアンナ姿、初めて見るナ。」
「そうなんですか?」
二人は掃除している最中に九曜について語っていた。
その中にエイラの九曜像があったのだが・・・
「夢の中ダトもっと…ナンだろうな? 大きくテ、フンワリシテいるような感じなんだケド…」
「違いますね。」
目の前ではどう見ても包容力のある人物には見えない。
なんだか楽しい人だなと芳佳は思った。
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何とかあしらい終えた九曜は、エイラの要望で倉崎重工に向かう。
この国のストライカー製造ラインを見たいとの事だった。
この世界において、前世のような史実人間の理解者がいない為、容易に会社設立が出来なかった倉崎重工だったが、努力の末に航空部門で受注をするくらいにまで成長できた。
ひとえに倉崎重蔵の地力だろう。
そこでは主に地上・航空区別なく研究が進められている。
潤沢な資金のお蔭で、軍からの依頼で宮藤一郎が所属している。
アイディア・・・ヲタク知識が彼に伝授されるたびに、「来たきたぁァァァ」と叫んでいるとか、いないとか。
芳佳に聞いてみると「家だと普通に良いお父さんです。でも、何か思いつくと煩いです」という感想に、ちょっと涙する。
一郎は急に研究室を訪ねて来た娘に驚いていたが、気をよくして研究仲間に紹介する。
原作キャラだと知った野郎どもは、熱狂し近づこうとした。が・・・
(キサマラ ソレ イジョウ チカヅク ナラ モグゾ)
九曜の遠距離殺意に止まった。
その後社長自ら会いに来て、社内を案内し。
元気なエイラに気をよくした倉崎翁は、提案をした。
「試作機を飛ばしてみないか?」
「え、良いノカ!?」
「…倉崎翁、機密は大丈夫なの?」
「見てもわからんよ。それに前線で戦う者の意見も欲しい。」
そんなこんなで試作機に搭乗させてもらい、エイラがご満悦で空を飛ぶ。
標的バルーンまで出して回避や攻撃をして、いつの間にか集まったギャラリーを沸かした。
さらに九曜との模擬戦も行うが、経験と勘で全弾回避し、未来予知の裏を突いてくる彼女にはかなわず撃墜判定をくらって、改めて強さを思い知った。
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皇居内で遅い昼食をとるという行為に、緊張しっぱなしだった芳佳は出されたお茶を飲んで少しだけほぐれた。
エイラはトイレを探しに出て行ってしまった。(分体が案内しているので心配はない。)
「つかれちゃった?」
優しく微笑む目の前の女性を見て、改めて思う。
この人は〇〇さんが抱いていた母親そのものだ。
だが、そうでない部分も見えた。
この人はあくまでも“人間”なのだと知る。
さみしさで泣くし。
理不尽な事で怒る。
そして今日見た数々の失敗等を見て、自分はどう思ったのか整理していく。
「九曜さん。」
「なにかしら?」
「私には…〇〇さんの記憶と思いを持っています。」
微笑んでいた表情が真剣なものになる。
「そう…」
「最初、私はどうしたらいいんだろうって思いました。
この気持ちは私のものなのか、それとも〇〇さんのものなのか…
今日はそれを知りたくて同行させてもらったんです。」
九曜は黙って続きを待つ。
「〇〇さんの、九曜さんに対する記憶と思いは確かに大切だと思います。
それとは私の思いは違いました。
なんて言えばいいのかわかりませんけど…思い出の通りだったけど、そうじゃなかった…かな?
最初は怖い人かなって思ったけど、可愛い所があるんだって思って「えっ?」
それから、抜けてるなぁ。なんて思ったり「ぬ、ぬけ?」
はい。洋服のお店で…「見てたの!?」はい、そうですけど?」
目の前で頭を抱え、「見られた。見られた。抜けているなんてお思われたァァァ…」と悶絶し始めたのを見て、やっぱり自分の思いは自分だけのものだと確認できる。
「あ、あの! それでですね!!」
「……何かしら?」
ショックによるダメージが抜けていないのか、声に覇気がない。
「お、御婆ちゃんって…言ってもいいですか?」
「…それは……」
「だめ…ですか?」
「いえ、それでいいわ」
頭を抱えるのをやめて苦笑を浮かべる。
「御婆ちゃんか、まぁそんな年だしね」と笑う。
芳佳の問いは、自分を受け入れてくれたという事だ。
だから自分も問う。
「私こそ、芳佳と呼んでもいい?」
「はい!」
二人は笑顔を浮かべると笑いあった。
途中、帰ってきたエイラは何が何だかわからなかったが、つられて笑った。
以上です。
エピローグ的なものですが、なんとなしに思い付いたので制作しました。
これにより、芳佳嬢も気兼ねなく九曜さんを頼る事が出来るようになります。
というか、九曜さんと芳佳の絡みが書きたかっただけなのですが。
最終更新:2014年08月28日 11:53