アグレッシブ九曜・マルセイユ編 憂鬱×ストパン 
漫画『アフリカの魔女』に掲載されている、最初のハルファヤ峠防衛戦を元としています。
ネタモノであり、かなり独自要素が強いです。
俺tueeeee要素もあります。
TS要素もあります。
それでもよろしければ、ユックリミテイッテネ・・・



ブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊セシリア・G・マイルズ少佐。
かの有名な九曜葛葉の弟子のひとりであり、【ライトニング・フォックス №6】で『ツイン・シールド・ソー』の異名を持っている。
その戦闘の仕方により、最近では『バトルダンサー』の方が有名だ。
一年と言う短い期間で知り合った仲間達は、何よりもかけがえの無いモノとなっている。
個性が強すぎて、まとめ役だったヘルミオーネと一緒に泣いたのは、かなり有名だったりするが・・・

そんな彼女はアフリカの大地で戦っている。
当初はそのまま教官職に就く予定だったのだが、実力を疑問視した一部の士官により、厳しい環境のアフリカでその成果を見ようという事となった。
そして今現在、九曜の元で習った事を部下に教えながら戦闘をしている。

「隊長!」
「なに!!」

激しい砲火の中、駆け込んできた部下が【餓地輪】の影に滑り込んできた。
自らも魔力高圧縮シールドで守りつつ、“自らが放つ弾丸を素通り”させながら視線を向けないでいう。
【餓地輪】対の一枚が四脚型ネウロイの下腹部に突進し、そのまま下から飛び上がるようにして切断する。
シールドの真空式ガイドレールを作り、取りあえず高速回転をさらに加えて二体貫くように砲撃して一息つく。
その戦闘を見ていた部下は、惚れ惚れしているようにマイルズを見上げていた。

「それで、何かしら?」
「あ、はい! 救援要請です。ハルファヤ峠の防御陣地が「それを早く言いなさい!」す、すみません!」

報告を聞き、事態を理解して部下に招集をかける。

「それで答えたの?」
「はい。一時間で行くと・・・」
「・・・」

残弾数を確かめつつ考える。

(一時間、無理ね・・・
 その前に抜かれてしまう・・・)

この辺の戦闘は終息に近くなってきている。
だからと言って勝手に抜けるわけにはいかない。
すぐに近くの指揮官を呼び出した。

「申し訳ありません。自分達は、これから峠の防衛に回りたいと思うのですが・・・」
『ああ、通信は聞いている。いってくれ。
 あそこを抜けられると、アフリカはおしまいだ。』
「はっ! これよりブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊は全速力で救援に向かいます!!」
『よろしく頼む。なに、残敵掃討ぐらいうちのガールズでも大丈夫さ。』
「油断は禁物です。パットン将軍・・・」

通信を切ると、すぐに移動を開始する。
戦闘脚の足が、足首から後ろに向かって折れ、キャタピラが砂の大地に接触する。
そして砂埃を立てながら、十二人の少女たちが駆け出す。
その前に、邪魔をしようと言うのかネウロイが三体飛び出してきた。
砲撃を放ち、異形の体を疾駆させてくる。

「邪魔よ。」

戦闘は一介接触しただけで終わった。
【餓地輪】が砲弾ごと両断し、マイルズが得意のドリル・シールドで削り貫いて四散させた。
巨大な敵に立ち向かったというのに、当の本人は涼しい顔。
部下はさすがに顔が引きつっている。
逆に頼もしそうにして見ていたのはパットン将軍だけだ。
その横で参謀が感心していた。

「いやあ。すごいな。」
「そうですね・・・さすが【ライトニング・フォックス】ですよ。」
「それもあるがな。部下の質もかなりいいぞ。
 あれだけ戦闘したのに撃ち漏らしが少ない。
 しかも全員ぴんぴんしていやがる。」
「・・・基礎体力が違うのでしょうか?」
「魔力の効率運用が違うそうだ。なんでも・・・」

パットンが葉巻に火をつけて一口だけ吸う。

「うちのやり方だと、1000の魔力があっても無駄な魔力が200位は出るんだそうだ。
 更に術式の展開と維持、節制も心がけると1000の魔力で、1500の運用ができるらしい。」
「ほんとですか?」

眉唾な話に参謀が訝しんでいる。

「ほんとだぞ。
 試しにガールズから数人派遣したら、少しだけだがかわった。
 当の本人達は「もう行きたくない」っていっていたが」

がははと笑う将軍に、参謀は「また、無茶したのかよ」となげいた。

―――――

砂漠を駆け抜けるブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊だが、いつみても異様だと隊員達は思っていた。
何せ隊長の両脇を、回転しながらついてくる巨大な円盤がいるからだ。
横から見ると全く隊長が見えない。
しかもこの円盤は、かなり凶悪だ。
斬るというよりも・・・・削りきる・・・と言う感じだ。

並のシールドで守っても、魔力をガリゴリ削られていくので対人戦では使用しないようにお願いしている。
まあ本人も使用しないが。
後は・・・ホットパンツを着用している事くらいか。
皆ズボンなのに、彼女だけ履いている。
扶桑の文化に触れたからだろう。

御茶も、紅茶以外に緑茶をよくたしなむ。
料理もおいしい・・・これは重要だ。士気にもかかわる。
ただし・・・訓練は勘弁してほしい。
自分が受けた訓練を施してくれるのは有り難いがきつい。
本人曰く「10分の1程度なんだから、弱音を吐かないで」という・・・伝説の扱きはどのくらい酷かったのだろうか?

ふと空を見上げると、飛行機雲が一筋。
あれは・・・

「あれは・・・ティナね!」

マイルズはすぐに耳に手を当てた。

〔ティナ、ティナ! 応答しなさい!!〕
〔あれ?下にいたの副委員長か。〕
〔そのあだ名、止めって言っているでしょう!〕
〔いいじゃないか、似合っているし。それで強引…z…念話を繋げてどうしたんだ?〕
〔そうね。時間もな…zz…手短に話すわ。救援に行…zz…でしょ?〕
〔峠…zzzz…ヤバいみた…zzzzz…らな。〕
〔ちょ…zzz…強引な方…zzzzz…で行くから、囮役…zzzzzzz…い。〕
〔わ…zzzz…。先…zzzzzzzzzz…いる〕

距離がありすぎて最後は雑音ばかりになったが、こちらの意図は伝えたから問題ない。
後ろから追従している隊員達は、急に隊長が黙ったので困惑している。

「ふぅ・・・」
「隊長?」

副隊長が声をかけると、振り返って速力を上げる様に指示を出す。
さて、ここからは時間との勝負だ。

―――――

先行したマルセイユは小型ネウロイ・・・フライングゴブレット・・・を軽く殲滅すると、他の飛行型ネウロイを相手にし始める。
急降下で離脱したかと思えば、地上擦れ擦れに飛行して【斬鮫】で切り刻む。
抵抗なく切れるように製造された【斬鮫】は、一度も飛行速度を緩めることなくマルセイユに自由を与える。

飛び上がって再び銃撃。
上手く誘引できたようで、大半の敵がこちらに砲火を向けてきている。

「おっと。」

近くを攻撃が通り過ぎた。

「危ない、危ない・・・副委員長に怒鳴られるよ。」

ちょっと冷や汗を流しつつ陣地を見る。
扶桑から派遣された結界士たちが張っている結界が光り輝き、敵の攻撃を防いでいるのが見える。
これだけみれば安心できそうに見えるがそうでもない。
結界と言う巨大なシールドを張れるのは一人では無理だ。
複数人のウィッチが座陣を引いて、お互いを同調させ、共鳴させることでようやくできる。

その展開時間はかなり長く、2~3時間もできるのが特徴だろう。
攻撃を受けなければの話だが・・・
攻撃を受けると、負担が術士たちに降りかかる。
そして展開時間は短くなってしまう。

既に防御陣は五陣あるうちに三陣が抜かれている。
結界の規模も小さい事から、術者も倒れていて恐らく・・・

「三人で維持しているな。」

副委員長早く来ないかな?と思っていると、その本人がやってきた。

【餓地輪】に乗って。

「・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・・はい?」

目が点になったマルセイユの視界内では、確かに回転していない【餓地輪】に乗ったマイルズがいる。
そう言えば【餓地輪】は浮く事が出来る武器だ。
それゆえに乗っているんだろうけど・・・

「あれってありか?」

さすがの彼女も混乱の境地に陥った。敵は容赦なく落としているけれど。
あの方法なら、ある程度の地形を無視して進めるというわけだが・・・
混乱させた本人は【餓地輪】から降りてさっそく砲撃を開始する。
横合いから攻められて、ネウロイ達は混乱気味に旋回を開始し始める。
そこに陣地から旺盛な砲撃が叩き込まれていく。

隙だらけの敵はいい得物でしかない。
仲間を犠牲にして、一体のネウロイがマイルズを殺そうと突進していく。
【餓地輪】は二対とも少し離れた敵を攻撃し、防御している。
今引き返させても間に合わない。
攻撃はシールドで防いでいるから問題ないのだが、質量壁と化した巨体は脅威以外の何ものでもない。

あわやひき殺される・・・はずはなく、間合いに侵入したネウロイはアッパーでドリル・シールドを叩きこまれて串刺しにされた。
そしてそのまま回転開始。
20cmごとに違う回転をするドリルは、敵の体をゴリゴリ削っていく。
体に大きな穴を作られていたネウロイは、痙攣するように足をピクピク動かした後、結晶化して四散した。

一息ついた彼女の横に、マルセイユがホバリングする。

「さっきの何だ!」
「あれ? こっちに来てから思いついた移動方法よ。
 速いけど、ちょっと魔力使うから奥の手ね。」

シレッと言う仲間に、グヌヌと唸る。

「やっぱり羨ましい・・・」
(私は貴方の射撃能力がうらやましいわよ・・・)

一人は口にだし、一人は思う。
二人は同時に飛んで飛来した攻撃を避けた。

「なぁ・・・」
「はいはい、わかっているわよ。
 どちらが先に多く倒すか競争しよって言うんでしょ?」
「さすが♪ わかってらっしゃる♪」
「はぁ・・・」

溜息をしつつ、まだいたフライングゴブレットを【餓地輪】ですべて切り刻む。

「なら、今から開始ね!」
「あ!」

そう言ってマイルズは敵に突進していく、それを見てあわててマルセイユも上空に飛び上がった。

〔卑怯だぞ!〕
「あら、それは褒め言葉ね。」
〔くそ、今からだと飛行型が・・・〕
「少ないわね。苦手な地上戦・・・やる? 負けたら奢りね。」
〔うわぁぁぁぁぁぁん!!!〕

念話で負け惜しみの叫び声を聞きつつ、弾薬を節約するためにドリル・シールドでもって敵を串刺しにしていく。
陣地から指示を下していたバッハ少佐は、二人が織りなす戦闘を唖然としてみた。

銃撃し、降下して切り裂くマルセイユ。
砲撃し、切り裂き、貫くマイルズ。

二人はろくに連絡を取っていないのに、まるで今まで戦っていた戦友の様に背中を任せている。
いや、事実二人は戦友だ。
兵科は違えども二人は同じ師を仰ぎ、尊敬して技量を身に着けた。
政府のもくろみ通りマイルズは優秀な指揮官であり、教官となった。
呆然と見ていたが、参謀のシンプソン肩を叩くと正気を取り戻す。

そこに、後からやってきたマイルズの部下たちがやってきた。
奇想天外な移動方法で置いて行かれた彼女達だが、それでも予定よりも早く到着したのだ。
すぐに指示を貰って戦場に出るのだが・・・

「隊長が凄すぎて敵がいない・・・」
「いや、あっちも凄い・・・」

敵があんまりいなかった。
殆どのネウロイは【ライトニング・フォックス】の二人に注目してしまい、戦線から徐々に遠ざかっているのだ。
それでもはぐれてくるのがいるので、掃討は大事だ。

しばらくすると・・・もう、敵はあきらめて撤退に入っていた。
そして取り残される陸上大型ネウロイ。
鈍重な彼は必死に逃げる。
そんな獲物を逃がす二人ではない。

「「まて! 最後の敵ぃぃぃぃ!!」」

【餓地輪】に両足を切断され、【斬鮫】でコアに達するほどの傷をつけられ、

マイルズのドリル・シールドが、
マルセイユの銃撃が、

コアを破壊した。

―――――

救援が間に合い、兵士達に感謝されたマイルズは照れながらもお辞儀をし。
負傷者の手当てや、戦死者の収容をした。
そしてマルセイユの天幕を訪れて、まんまと酒瓶を五本もゲットしていったそうだ。
アフリカの大地で、今日も彼女は戦う。



以上になります。
二人の設定が出来たので、例の漫画版のシーンはこうなるとの予測で書いてみました。
私の拙作を呼んでいただいている方には、わかっていたと思われますが・・・
バッハ少佐を活躍させてみたかったけど、無理だった。www

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最終更新:2014年08月30日 16:39