アグレッシブルートです。
加東圭子視点で進めます。
私加東圭子は扶桑陸軍をやめて写真撮影をしている。
扶桑海事変で伝説“白天九尾”こと九曜葛葉様と共に戦った事がある。
別次元の戦い過ぎて近寄れず、援護できなかったけどね・・・
その際、九曜様は海軍に・・・扶桑国で外道と称されている堀井元大将一派の攻撃を受け、半年に及ぶ休眠に入ってしまった。
もう現場は大混乱。
紀伊型戦艦の半分が、砲身をそいつらに向けて、水雷戦隊まで魚雷発射管を向けていた。(魚雷を向けた水雷戦隊は、そんな暴挙をするとは思っていなかったみたい。)
何とか体勢を立て直した九曜様の叱咤により大型ネウロイ×3・特大型ネウロイ×1を撃破する事が出来た。
大型ネウロイ×2(瞬殺)・特大型ネウロイ×1(苦戦)は九曜様が倒したんだけどね・・・
傷つきながらも、雲の隙間から洩れる陽光に照らされた九曜様は、美しかった。
言い表せられないほどに綺麗だった。
私はそんな光景を写真に収めることに成功し、これが私の新しい目標になった。
そんなこんなで、今私はアフリカにいる。
九曜様の教え子【ライトニング・フォックス】のメンバー二人がいる大地に。
「ふぅ、ここが・・・」
目の前には天幕がある。
入口にいた珍しいアフリカ系陸戦ウィッチに挨拶をする。
指呼されたので許可証を見せてみる。
その時にデッカイ銃を突き付けられたけど、すぐにおろして貰えた。
ホッと安心して中に入れてもらう。
中の内装はまるでバーの様で、宮殿みたいだ。
この時、私はマルセイユと、たまたま滞在していたマイルズの鋭い視線に気が付かなかった。
もし気が付いていたら・・・あんまり変わらなかったかも?
「ようこそ、我が王宮へ。」
「なにかっこつけているのよ。」
「副委員長、突っ込まないでくれよ・・・」
「あ、あはは・・・・・・」
二人とも、兵科も所属国も違うのに、とても仲がよさそうに見える。
これも九曜様の教育の御蔭だろうか?
結構やんちゃだったって聞いているんだけど・・・
「あ~・・・おっほん。
取材の話は聞いているよ。扶桑からはるばるようこそ。
こんな世界の果てに来るなんて・・・よほどモノ好きなんだな。」
からからと笑う彼女を見て、私は緊張を少しだけ和らげた。
初めて見た時、江藤大隊長よりも、北郷少佐(あ、今は大佐だっけ?)よりも存在感があり、自然と息を飲んだ。
でも、二人のやり取りを見て「ああ、年相応なんだな」と思う事が出来た。
椅子をすすめられて座り、それからしばらくは談笑した。
少しお酒がまわって眠くなってきた時、マティルダが後ろに回ってきたのに気が付かなかった。
談笑していた二人の様子も変わらなかったから、訝しむこともなかった。
だから、
「さて。」
マルセイユが席を立って、マイルズが手を軽く振った意味に気が付かなかった。
「ふぇ?」
なんだろうと思う前に、両肩を掴まれて椅子から立ち上がれなくなる。
混乱して左右に視線を振るうと、丸い円盤が転がってきた。
それは宙に浮いていて、轟音を出している。
よくよく見れば凄まじい勢いで回転しているようだ。
「え? ええ?」
マルセイユは立て掛けていた剣・・・日本刀を持ち上げると抜き放つ。
その刀身はとても美しく、綺麗に光を反射していた。
そのまま見ていればよかったのだが、刀は私の首の横にやってきてやっと事態を思い知った。
(な、何か知らないけどピンチ!!!)
「聞きたい事があるんだ。」
マルセイユは笑っている。目は笑っていないけど!
マイルズは虫けらを見るような眼で睨んでる!!
なんか私した?!
「扶桑でデカい戦いがあったそうだな。」
「え、あ、う、うん。」
デカい戦と言えば事変しかない。
「師匠が撃たれたって噂で聞いたんだけど・・・どうなんだ?」
目の前の存在が、先程まで談笑していた、年相応の女の子に見えない。
圧倒的な殺意が、私を貫いている。
怖い、早く逃げ出したい!
でも足は動いてくれない、口が動かない!
「なんで何も言わない!」
明かにマルセイユは怒っている。
私は失念していた。【ライトニング・フォックス】がどれだけ九曜様を慕っていたのかを・・・
慕っていた、敬愛していた人物が攻撃されて冷静でいられるはずがない。
失禁している事に気が付かず、私は涙目になるしかなかった。
「やはり事実なのか?」
「ぁぅ、そぅれはぅぅぁぁ・・・・・・」
口に出そうとするけど言葉にならない。
「ティナ、落ち着きなさい。」
「だけど!」
いぎゃぁぁぁぁぁぁ!!軽く触れて皮膚が切れたのがわかるぅぅぅぅぅ!!
「そんなに殺気を出しては、喋る物も喋れないわよ。」
「・・・わかった。」
殺気を収めたマルセイユはそのまま刀を収めて下がる。代わりに前に来たのはマイルズ。
「さてと・・・ところで扶桑では、食後に御茶が出てそれは無料だと聞いたんだ」けどホント?」
「はぇ?」
意味不明な質問が来た。
後から聞いてみたら、場違いな事を言って思考停止にさせ、落ち着かせる手段だそうだ。
結局私は洗いざらい吐かされた。
一泊した後、ものすごく謝られたけど私は気にしない事にした。
私だって大切な仲間が傷付けられたら・・・死んでしまったら冷静でいられるか。
わからないのだから・・・
アフリカを後にしようとしたんだけど、結局私はこの地から離れられなくなった。
強引に復員されて隊長にされ、陸軍から二人、海軍から副隊長として真嶋志麻を加えた三人がやってくることに。
まだシールドも張れるし、戦えるけど・・・写真と取材が・・・
人生ままならないモノね・・・
以上です。
皆様の予想通りの展開だと思われますがどうだったでしょうか?
小説版三冊を読み終わりましたが、こちらは書きません。
書くのは修行する一年間です。
最終更新:2014年08月30日 16:40