この作品にはオリキャラが出てきます。
魔改造されたキャラが出てきます。 と言うか作者好みの魔改造です。
TS要素が含まれています? 提督の憂鬱要素はほとんどありません!
ORETUEEEE要素があります。 ていうかあります。
それでもよろしければ御読み下さい。
ある山道を一台のトラックが走行していた。
その二台にはいろんな機材があり、そこに便乗して二人の少女がのんびりと景色を眺めていた。
「いやぁ、本当に山ばっかりだよニャァ~」
「だから言ったでしょ。山ばっかりで詰まらないって・・・」
「そんな事無いって。それを言うなら、ウチの実家周辺は平原ばっかりなんだからニャ」
「この話をするのも何度目かしら。」
そう言ってクスクス笑うと、相棒も「ニャハハハハ!」と笑った。
イリス・モンフォート
アイアネス・アッカーソン
二人はとある人物に師事し。
一年間の修行を終えて、イリスの故郷に向かっている最中だった。
イリスは国からの命令で戻るのだが、アイアネスは許可を貰っているとはいえ、そのまま付いてきている。
少々申し訳ないと思っていたが「自分もマリアに興味が有るからニャァ。」ともことで少しだけ軽くなった。
「それにしても・・・なにゆえアンドラに直接配置?」
「おそらくだけど、地形的に救援に向かっても遅くなるからだと思う。
それならアンドラから直接飛んでもらった方が・・・」
「近いか・・・」
「一応、滑走路代わりになりそうな平地があるから、何とかなると思う。」
「滑走距離が短くて済むのが空戦ウィッチの特徴の一つだけどニャァ・・・
先生も言っていたけど、これって上層部が私等の扱いに困って・・・
だと思うのは気のせいじゃニャいよね?」
「切羽詰っている・・・だと思いたい。」
そう言ったが、イリスとしてもアイアネスと同じ思いなので苦笑するしかない。
彼女達が言っていることは事実だ。
彼女等を派遣した上層部は、たった一年でこれほど力をつけるとは思っていなかった。
ブリタニアとカールスラントは目の前で、獣神形態【九曜葛葉】の戦闘を見ていたからそれほどではなかった。
むしろ扶桑では当然と受け止めている。
だが、他の国々は逆に持て余してしまった。
ほぼ個人プレーをしてしまうくらいに突出した彼女等の能力に、周りが振り回されてしまうのだ。
困り果てた二人の上層部は故郷に一度帰る事を良い事に、そのまま任地として配属したのだった。
「まぁ、どんな場所でも楽しめればいいニャ」
「ふふ・・・」
お気楽で前向きな相方に笑みを見せる二人を乗せて、トラックは進んでいった。
―――――
村に到着すると、イリスに気が付いた村人たちが盛大に歓迎してくれた。
イリスはこの村の住民にとって誇りだ。
久しぶりに排出されたウィッチとして期待を集め、バルセロナにいったのだ。
その時に別れには、村の殆どがやってきて見送ってくれたのである。
「げんきだったかい!」
「お姉ちゃんお帰り!!」
「いやぁ、なんというか・・・見違えたな!」
「えっと、その・・・」
揉みくちゃにされ、困り果てていると一人の少女が両手をとった。
「お帰り、イリス!!」
「マリア!」
親友の帰還の方を聞いて、急いでやってきた彼女は嬉しそうに笑っていた。
息は切れているようだが、よほどうれしいのかその笑顔は太陽の様だ。
そんな彼女を、下から覗き込むように見上げるアイアネス。
「おお、その子が“マリア”なのかニャ?」
「・・・え?」
部外者にようやく気が付いた一同はちょっとだけ下がる。
「えっと、紹介するわ。私の友人で、同じ修行仲間のアイアネス・アッカーソン。」
「よろしくだニャ。」
頭を下げてお辞儀をする少女に皆お辞儀する。
その中で、一人だけイリスの発言におかしさを感じたものがいた。
「修行?」
不思議に思い、不審な目で親友を見るマリア。
「えっとね・・・」
「そう言えば、言っていないんだっけかニャ?」
困った顔になって横にいる友人に視線を向けるが、カラカラ笑うだけ。
どうしようとアワアワし始める・・・同時にサイレンが鳴り響いた。
「まずい!」
「ネウロイだわ!!」
「防衛線に急げ!」
サイレンが鳴り響くと同時に、村人は手慣れた感じに散っていった。
一瞬呆然としていた二人だが、マリアに「お願い、手伝って!」と言われて、慌てて後ろに止まったままトラックの荷台に飛び乗った。
「どうするんだニャ?」
「ここだと私のストライカーは使えない。貴方の足が頼りよ!」
「まぁそうニャるよね~」
そう言ってシートをめくって出てきたのは異形のストライカーだった。
―――――
マリアは走っていた。
ここ最近は出てきてい無かったネウロイが出現した。
ここを通る避難民はそう多くは無いが、必ずしも誰もいないとは限らない。
一応木材と土嚢を積み上げた防御陣地があるが、兵隊は少ない。
足りない戦力は、村の住民が積極的に支援する事で補っているのが現状。
その補助でマリアは無線を持って、人の足でしか行けない索敵ポイントに走っていく。
持ち前の体力と胆力で、危険な任務を積極的にこなすのだ。
それに小柄なので見つかりにくいという利点もある。
配置につくと、無線を起動させる。
「こちら“スコープ”、どうぞ。」
『感度良好、敵はどうか? どうぞ。』
「見える。小型の四脚・・・【アント】と、思われる。数は5体。」
『避難民は?』
視界を動かしてみる。
勢いよく山道を走ってくるネウロイは気になるが、それよりも人命が大事だ。
「ここからは見え・・・いた!」
少し視界の蔭になる所から、スピードを出して突き進んでくるトラックがいる。
掃討焦っているのか、かなりギリギリなハンドルさばきだ。
荷台には避難民が満載されている。
「トラック一台、避難民を満載している!」
『なんだと・・・クソッ! 距離は?』
この場合の距離は、トラックとネウロイとの距離だ。
「大体100mだと推測。」
『【アント】はそんなに早くない・・・だが一時的に防衛戦を開けるとなると・・・』
防衛を担当している隊長が迷う。
途を塞いでいるバリケードは、すぐに移動できるように工夫されている。
だが一時的にとはいえ、防衛戦を崩すのは躊躇いがあった。
山肌の斜面にも陣地はあるが、確実に足止めするなら道を塞いだ方がいいからだ。
事態は更に最悪な方向に進んでいく。
「トラックが!」
『どうした! 何かトラブルか!?』
「エンジンがおかしいみたいです!」
トラックが、いきなり前から煙を吐きだし始めていた。
その煙が多くなると同時にスピードが遅くなる。
陣地からはまだ距離がある。助けに行ける距離じゃない。
普通の人間が扱う小銃は、小型ネウロイに対しては多少効果が有るとはいえ相手は【アント】型。
装甲はたいした事は無いが、山岳地帯に対応した機動力が売りの相手に、どこまで通じるかわからない。
『お困りかニャ?』
「え?」
『だ、誰だ君は!』
『あ~、今日着任予定のアイアネス・アッカーソンで、あります・・・ニャ。』
急に入ってきたその声は、さっき会ったばかりの少女だ。
『とりあえず・・・ネウロイが出た、と聞いたんですけどニャ?』
『ああ、そうだ。避難民を乗せたトラックがいる。』
『お? 見えた、見えた・・・ あ~ありゃ、やばいニャ』
「ちょっと、何呑気に言っているよ!?」
『呑気って・・・ちょっとは余裕も持たないといけないニャ』
そんな声とは裏腹にトラックは、遂に止まってしまう。
運転手が必死にエンジンをかけようとしているのが見える。
恐怖にゆがんだ顔を見せる避難民たちが見える。
それを後ろから追撃するネウロイ達。
「もうすぐ追いつかれちゃう!」
『大丈夫にゃ。』
焦燥感で叫ぶが、無線から聞こえる声は至極冷静で、
『もう、着いたニャ』
自信に満ち溢れていた。
視界内で、最後尾の一体が、上空から突撃してきたナニかに押し潰されるのが双眼鏡から見えた。
土煙が上がり、ネウロイ達は慌てて旋回する。
そこに再び上空から飛来したナニかが、銀色の光を反射させながら先頭にいた一体を切り伏せた。
何かはシールドを多数出し、それを割りながら地面に軟着陸する。
その正体は・・・ストライカーを履いていない親友だった。
後ろ姿だが、誰だかわかる。
挟み撃ちにされたネウロイは前に二体、後ろに一体突撃する。
相手は不遇大敵。全力で殺しにかかる。
『【アント】が二体。』
跳びかかってきた二体を、冷静に・・・持っていた剣を振った。
『散りなさい。』
剣先が一直線に左右にひかれ、ネウロイは綺麗に切断され、光の粉となって散った。
「・・・凄い。」
剣については素人のマリアだが、その剣の振りは美しくみえ、感動すら覚えた。
『ヨイショ』
対してもう一つのナニかは、土煙に臆せず突っ込んできたネウロイを吹き飛ばした。
完全にくの字に叩き折れ、斜面を駆け下るように落ちていく。
いや。くの字ではなく、完全に側面から折りたたむように折れていた。
折れ曲がったネウロイは、斜面を転がっていく途中で完全に二つに分断した。
そして光の粉となって散っていく。
なにをどうしたのか全く分からない。
わかる事と言えば・・・
「なに? あれ・・・ストライカーなの?」
人間でいう膝のあたりから、長い鉄棒を突きだした異形のストライカーを履いたアイアネスがいたことくらいだ。
一本立ちをしていることから、蹴ったのだろうが・・・それでネウロイを殲滅するなんて聞いた事が無かった。
二人はすぐにトラックに向かうと避難民を誘導していく。
慌ててマリアも移動する。村に戻って避難民の受け入れをするためだ。
二人の鮮烈なデビュー。
【ライトニング・フォックス】の中で、最初に戦果を挙げた晴れ舞台。
彼女達はアンドラの地にて、どのような活躍をするのか・・・
以上で、九曜ストパン版【アンドラの魔女】前篇を書きました。
正直此処まで長くなるとは思わなかった。
でもやっぱり書いていて楽しい。 けど・・・・
夢幻会要素が全くないけどどうしようか(汗
最終更新:2014年08月30日 16:49