この作品にはオリキャラが出てきます。
魔改造されたキャラが出てきます。 と言うか作者好みの魔改造です。
TS要素が含まれています? 提督の憂鬱要素はほとんどありません!
ORETUEEEE要素があります。 ていうかあります。
それでもよろしければ御読み下さい。


九曜ストパン版 アンドラの魔女 後篇


「・・・なにこれ?」

マリアは分解したストライカーの前で、頭を抱えていた。
その後ろでは「やっぱ無理かニャァ・・・」と冷や汗を流しているアイアネスがいる。
親友のストライカー整備を終え、初めて触る異形のストライカー・・・パイルバンカー・ストライカーの整備に入ったのだが、構造が全く分からない。
一応整備仕様書が有ったので見比べているが、それでも意味不明な部分が多い。

そもそもマリアは空戦用ストライカーの整備技術を勉強していたのであって、陸戦用ストライカーの勉強をしていたわけではない。
齧ってはいるだろうが、こんな異形のストライカーは専門外過ぎた。

「い、一応! 三組あるから、そっちを使えばいいニャ!」
「でも・・・一度使ったら整備必須なんですよね。」
「はい・・・そうですニャ・・・」

振り返ってジト目で見ると、項垂れる似非猫娘がみえる。
最初は横目で見ていたのだが・・・あまりにも手つきが危なく見えた。
仕方なしに請負、ある程度まで分解したのは鋳物の・・・組み立て方がわからない下に陥っていた。

「すぐには無理だけど、一週間以内にやってみる。」
「え、大丈夫かニャ?」
「構造的に陸戦ストライカーに近い部分もあるみたいですから、なんとか・・・」

自分で整備もできないバカ娘は、縋りつくようにマリアに抱き着く。

「ウニャァァァァァァ! アリガトウゥゥ!!!」
「え、ちょっと離れて!」

嬉し涙を流しながら顔をグリグリしてきたが、急に抱き着いてきたので慌てて突き離そうとする。
しかしアイアネスの力は凄まじく、さすが鍛えているだけはある。
変な所で感心しつつも、下半身に手が回ってきた。

「ウニャァァァ・・・」
「変ところ触らないで!」

流石に不味いと思い始め、グルグル回るように話そうとする。
しかしそれでも彼女は離れない。
思いっきり顔を押して、離そうとするがビクともしない。
感謝するのはいいのだが・・・
そしてこんな時は必ずトラブルが起きるものだ。

「・・・・・・なにやっているの?」
「へ?」

声がしたので視線を動かすと、寝癖が付いたままの親友がいた。
恐らく同じ部屋で寝ていた相棒がいなかったので、捜しに来たのだろう。

「えっと・・・」

イリスから見た二人の構図はこうだ。
アイアネスがマリアの腰に手をまわして片手がお尻に伸びている。
マリアは顔を赤くしながら(困惑しているのであるが)、アイアネスを離そうとしている。
なんというか・・・百合の展開に見えなくもない。
だからイリスは気まずくなって扉を閉じようとした。

「ごゆっくり・・・」
「待ってぇぇぇぇぇ!!」
「ニャァァァァ・・・・・・」

―――――

朝食兼昼食を摂る親友の前で、マリアはプンスカ怒っていた
まぁ・・・見捨てられれば、怒るのは無理もない話。
先程から謝っているのだが、今だに機嫌は治っていない。
ちなみにアイアネスは頭にたんこぶをつけ、テーブルに轟沈している。

「もう、許して貰えなかなぁ・・・」
「ふん!」

この様子を見ていた村人たちは苦笑いで遠くから見るだけ。
しかし二人がこんなことになるというのはかなり珍しく、興味本位で覗きに来る者達もいた。
その視線に耐えられなくなったマリアは、溜息を吐きつつ少しだけ笑った。

「今度は見捨てないでね?」
「うん大丈夫。アイネも気をつけなきゃだめよ?」
「ウニャ・・・たんこぶ痛い・・・」

力なく、涙目で呻くのを見て二人は小さく笑った。

「そうだ! ストライカーの整備終わっているから、後で見てみて!」
「え、もう?」
「私も努力しているんだから!」
「そうなんだ・・・」

食事の手を休め、イリスは眩しい物を見るようにマリアを見つめる。
やはり彼女はすごいと思う。
マリアは最初から頭が良かった。
運動もできていた。
自分よりもよっぽど・・・

あのメンバーに比べれば可愛い物だったけれど。
それでも心の支えになっていたのは彼女。
自分が目指したい一番。

「わかった。後で試乗してみるね。」
「うん!」

だからこそわからない。
親友が自分に対して申し訳ないと思っていることに・・・

―――――

ストライカーを試乗したイリスは上機嫌で上空を舞う。
親友の整備はスペックを向上させていた。
無理なく改造を施したとは思えず。訓練で扶桑のストライカーを履いた時と遜色がないほど。
どちらかと言うとこっちの方が、出力が高くはある。
帰郷して、初めて履いたストライカーの出力に少しだけ振り回された。

しかしそこは【鍾馗】を使わせてもらう事で、ある程度の違和感で済んだ。
そこから自由自在に飛び回り、昔のいじめっ子たちを瞬殺している。(殺害はしていない。隣を通過した一瞬で撃墜している。)
それでもちょっと物足りなさがあったのだが、今ではそれもない。

「これなら十分戦える!」

“腕のいい整備士がいれば、戦闘機乗りは十全に戦える。”
修業の時に、見学に行った先のテストパイロットに聞いた言葉だ。
それは正しく、だからこそ敬意を払わねばならない。
どんなことでも自分一人ではやっていけない、それが人間だ。
地上の仮設飛行場に降り立ち、台にセットして発動機を止めた。

「・・・どうかな?」

そのまま台に座って一息つくと、駆け寄ってきたマリアが不安そうな顔で覗きこんできた。
その不安をぬぐうように笑顔になって答える。

「ばっちり! これならいい飛行ができそう。」
「そう? イリスにはタイトな舵の方がいいとも思っていたけど、正解みたいね。」

御互いに笑うと、飲み物を持ってきたアイアネスと共に一服する。
御菓子を食べながら談笑する三人だが、用事を思い出したアイアネスが席を外す。
それからしばらく静かにしていると、マリアが口を開いた。

「ねえイリス・・・」
「何、マリア?」

親友の、何時もとは違う雰囲気に困惑する。

「私の事、どう思っている?」
「どうって・・・たいせつな「そうじゃなくて、恨んでいないかってこと」・・・なにそれ?」

昨日の歓迎会からある思いを抱えていたマリアは、一晩悩んで思い切って聞いてみる事にしていた。
なるべくなら、誰にも聞かれそうもない此処で・・・

「昨日言っていたじゃない・・・ バロセロナは楽しくなかったって。」
「・・・うん。」
「それなのに私・・・ あんな聞き方しちゃって・・・」
「それは知らなかったからで・・・」
「そうだね。でも、私思ったんだ。期待ばっかり押し付けていた私達を恨んだりしなかったのかな?って・・・」
「・・・」

確かにイリスは、この村の殆どから期待を背負ってバロセロナに向かった。
都会は素晴らしい、そう思っての事だ。
しかしマリアは考え直した。期待が彼女を苦しめてはいなかっただろうかと・・・

「少しは・・・思ったかな。」

イリスは・・・少しだけ見える青空を見ながら答えた。

「皆の期待に応えたかった。自分だってやれるんだって思っていた。
 でもいじめられたときに、なんで自分はここにいるんだろう?って思った。
 どうしてマリアじゃないんだろって・・・」
「・・・そうなんだ。」
「マリアなら、きっとうまくやれる。
 マリアなら、勉強にもついていける。
 マリアなら・・・ そう思っていたんだ・・・・・・
 でもね、誰しもが他人をうらやむんだって知ったんだ。
 修行仲間の中で一番射撃が旨い子がいたんだ。でもそこは皆が羨ましかった。
 「自分にはそんな特技が無い!」ってね・・・
 あれだけ命中率が高いのに、何言っているんだろう?って言うのが私の感想だったかな。
 他の子も、他の子のが羨ましいってわかると皆で笑って・・・
 それからは、そう思わなくなっちゃった。
 だから私は皆を、マリアを恨んでいないよ。」

親友は、大分大人になっていた。
でも、遠くを見て楽しそうに話す姿はどうにも羨ましくて、その仲間達を恨んでしまいそうだ。
そこに何にも知らないアイアネスが戻ってきた。
なにやら細長く、大きい物を持っている。

「ニャ? なんか雰囲気がおかしいけど・・・どうしたニャ?」
「なんでもない。でも・・・それを持ってきたの?」

彼女が持って来たのは腕に装着する、九曜製の剣だ。
手入れは必要だから持ってきたのだろうが・・・

「ウニャ! 師匠も言っていたし、思い立ったが吉日ニャ!!」
「「あ、あはははは・・・」」

元気よく笑い始めた相棒に、親友共々乾いた嗤い声しか上げられない二人だった。
そんな二人を尻目に、さっそく整備しようと袋から取り出そうとする。
だがそれはできなくなった。サイレンが再び村中に響き渡ったから。

―――――

マリアは今日、何度驚いただろうか?
今はイリスに手で吊り下げられて空中を移動している。
仮設飛行場からだと、監視する場所に向かうには遠すぎるのだ。
だからこうしているのだが・・・下を見れば、全速飛行してはいないがそれでもあっさり追従してくる陸戦ウィッチが見える。

その移動方法は・・・鉄杭で地面を蹴って移動すると言うモノ。
射出する鉄杭は、凄まじい勢いでウィッチの体を押し出す。
それを素早く連続で行って、とんでもない加速力を見せつけていた。
更に装備も異常だ。両肘から日差しに煌く剣が突きだしている。

「いた! 昨日よりも多い!」

まじまじと観察していたマリアだが、イリスが敵を見つけたのに気が付くと同じ方を向く。
確かにそこにいたのは、昨日よりも数が多い【アント】型ネウロイの群れだった。
上空には偵察型と思しきネウロイが旋回している。

「イリス、高度を落として!」
「わかった!」

このままでは自分は足手まといになる。
すぐに高度を落として貰い、そのまま地面を駆ける様にして着地する。
その横を、アイアネスが駆け抜けていく。
それなりに距離を取っていたが、突風が襲ってきて髪の毛を舞い上げる。
それから先はもう蹂躙と言っていい戦闘が開始された。

発見が遅かったために、防御陣地近くまで攻め込んでいたネウロイだが、乱入してきたアイアネスに翻弄されている。
彼女は味方に撃たれないように移動しつつ、横を通り抜け様に足を切断していく。
銃も撃つが、殆ど牽制にしか使っていない。
時折上空に跳ねるが、シールドを足場にして隕石の様に敵に突撃していく。
強大な瞬発力を生かして、初日見せたように蹴り殺す。

上空を見れば偵察型ネウロイは後一体。流石に早い。
しかし・・・何かおかしい。

「もしかして・・・」

マリアは今まで考え、想定していたネウロイ侵攻ルートを思い出す。
同時に適の様子を見てみると、遠巻きに囲んであまり攻勢に転じていない。
上空の敵も、逃げることに全力を投球している。
増援として飛行型が来る様子もない。
その様子を確認すると、踵を返して急いで走り始めた。
アイアネスほどではないが、山中を駆けるその足はしっかりしている。

「イリス、イリス聞こえてる?!」
『ええ、聞こえているわ。』
「恐らくだけど、そいつらは囮よ!」
『根拠は?』
「下の連中が囲むだけで攻勢に出ていない。戦闘タイプの飛行型がいない。」

しばらく返事は無かった。恐らく考えているのだろう。

『わかった。目的地は・・・』
「かわき谷。」
 『む、離れるのか?』

御互い目的地を確認していると、通信に少佐が割り込んできた。

「隊長さん、すみません。現場を離れます。」
 『済まないが、説明も無しに動かれるのは困る。』
「根拠は・・・」
 『一応話は聞いていた。本来ならば出したくはないが・・・君らに任せる。
  この土地に関して詳しいのは君等だ。自分はここの指揮でてい一杯だからな。』

そう言って通信は切れる。次に入ってきたのはアイアネスだ。

 『ニャハハハ。こっちは任せてほしいニャ。ヤル気のニャい敵に負けるつもりは無いし。』
『油断しちゃだめよ?』
 『そんなことしたら雷が落ちるニャ。』

アイアネスは笑いながら通信を切った。
あの様子なら大丈夫だろう。
イリスは山を駆けるマリアと合流して【かわき谷】を目指す。

―――――

イリスが魔女になった地、【かわき谷】はそんなに遠くは無い。
子供でもなんとか行ける距離だ。
しかし文字通り水気の無い場所なので畑などもなく、乾いた大地が広がっているのみだ。
そこを黒き外敵が歩いていた。
ネウロイ達にとってここは通りやすい土地だ。

水を好まない性質のお蔭で、山岳を通る際はこのルートぐらいしかない。
だからこそ・・・予測もしやすい。
四脚小型の【アント】型、四脚中型の【アントラー】の群れ。
その中心にいる二脚大型ネウロイは大きく突き出した崖に差し掛かった時、上空から何かが近づいてくるのに気が付き、上を見上げようとして・・・
だから逃げる事が遅くなった。

崖が襲いかかってきて、回避も出来ずに押し潰される
それをなしたのはイリスだ。
魔力刃を鎖鎌状にして崖を切り裂いたのだ。

「ゼェイヤァァァァァァ!!」

襲い来る猛禽に気が付いた生き残りは、上空に武装を向けて迎撃し始める。
しかし悲しいかな、三次元運動をする猛禽を二次元で混乱しながら迎撃するのは困難と言えた。
もう一度振りかぶり、今度は小さく、細かな魔力刃を発射した。
慌てて回避するネウロイ達だが、更なる混乱により激突してしまう事が多発してしまう。
そこに襲い掛かってくるからたまらない。

何とか耐えきった中型は、もう一度敵を補足しようと上空を見るが何もいない。
音がする方向に首をめぐらせると、剣を媒体に引き延ばした魔力刃が上から振り落とされるところ。
なにも出来ずに真っ二つに割れて消し飛ぶ。
目の前で行われるイリスのマトモな戦闘を見ていたマリアは、その荒々しくも美しい機動に見惚れていた。

「すごい・・・イリス、こんなに強くなったんだ。」

敵を次々に剣で屠るそれは、ヴァルキリーのようにも見える。
自分は二三助言しただけだが、それを瞬時に理解して行動に移した腕前はプロ顔負けだ。
殆どシールドを張ることなく敵を惨殺していく。
それを遠くの、安全な場所から見ていたマリアは、先程の切り崩した崖を見る。
あの崖は思い出の場所だった。

いくら勝利のためとはいえ、少し後ろめたい。
そんな感傷に浸っていると、崩れた崖が動いたように見えた。
嫌な予感がする。

「イリス・・・」
『もう少しで掃討が完了しそう。逃げるのもいるけど、深追いしないわ。』
「そうじゃない。崩れた土砂が動いた・・・」

注意を呼びかけたのと同時に、土砂が勢いよく吹き上がる。
そして土煙の中から、重量感たっぷり足音を響かせながら見たこともない二脚型の大型ネウロイが出現した。
しかし体は既にベコベコであり、いくら再生できるからと言ってもその姿はとても痛々しい。
不意打ちを食らって激怒していた彼は、仇を見つけると猛烈な勢いで砲撃を開始する。
その弾幕は単体で行う量としては多い。

おもわず祈るように手を握ったマリアだが、イリスは余裕で避ける。
こんなもの、師匠の弾幕に比べれば薄いも同然。
そこで良い所を見せようと剣に魔力を集め始める。

「マリア、見ていて!」
『何するつもりなの?』
「私の成長を!!」

仲間が退却しつつあるのを全く気が付かない大型は、愚直にイリスを付け狙う。
まさか自分の後ろに退却する仲間が、射線上に入るとは知らずに。
回避しながらも残った魔力の1/2程を剣に固定し、イリスは敵を睨み付けて止まる。
対して目の前で立ち止まった敵に対してネウロイは、最大出力でエネルギーを溜め・・・先に放った

『イリス!?』
「問題ない・・・」

迫りくる赤い閃光を見ながら落ち着けるように無線に応え、少し息を吸う。
そして、

「せぇぇぇぇいぃぃぃいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

巨大な魔力刃を剣先から生み出し、閃光を切り裂きながら大型ネウロイに迫る。
慌てたネウロイは、回避しようとして攻撃を止めたがすでに遅く・・・
真ん中から1メートル幅で削られるように切断された。
巨大なネウロイを切り裂いた魔力刃は、殆ど勢いを殺さず撤退していたネウロイ連中をも巻き込んで全滅させた。
地面に着弾した魔力刃は地面すら切り裂いて大穴を開けてしまった。

その威力に呆然とするマリア。
どうやら親友は、人間を止めたらしい・・・

「どう、マリア!」
「え、あ、うん・・・つよいね・・・・・・」
「あ、あれ? すごくなかった??」
「すごすぎて、なにもいえないのよ・・・・・・」

傍にやってきた親友は、子供の様に感想を聞いてくるけど・・・そんな心を余裕は無かった。
ああ、師匠と呼ばれる人よ。
私をは貴方を恨みます。
あの頃の・・・可愛い親友を返してください。



これ以降、アンドラに対するネウロイの侵攻は強まる。
しかし一度もこの村を抜ける事は出来なかった。
そこには二人の戦女神と、支える柱が存在したから・・・



以上です。
長くなってしまった・・・
書きたいもの書いたけど、登場させたい奴はできなかった。
メタルギアREXタイプのネウロイ出したかったなぁ・・・
最後は終わらせるためにグダグダになった感じがするし・・・

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最終更新:2014年08月30日 16:52