421. ひゅうが 2011/11/21(月) 22:13:21
→414-416の続きを妄想w

――同  帝都東京  明治神宮

「というわけでまた仕事が増えましたよ・・・プレートの動きの監視なんて私の仕事じゃないでしょうに。だいたい木花咲夜姫がドジったからって・・・」

「まぁまぁ嶋田どん。これも護国のお勤めでごわすよ。」

代々木の杜で、深いため息をつく男を白いひげがよく似合う老人がなぐさめていた。
老人は今は廃止された詰襟の黒い海軍軍装で、男は開襟ブレザー型の軍装である。

「しかしですね東郷提督・・・死んでからもあの辻と仕事をすることになるなんて・・・」

「その点は天照さんも謝っていたと思うが?」

「ああ、御上。陛下はいいですよねぇ・・・毎日今上陛下と夢の中で囲碁打ったり夢枕に立っても不思議じゃなくて・・・」

「こらこら、孫をいじめるな。貴殿も神になったのだから少しは貫録を身につけんか!」

「ああ、明治大帝陛下まで・・・。」

男たちが集結していたのは、空中だった。
もちろん参拝に向かう人々は気がつかない。
ただ、静謐な気にそこに「なにか」がおわすことを知ることができるだけだった。

彼らの周囲では、木霊たちがくすくす笑ったり飛び回ったりしている。
さすがに、杉など単一の木だけでなく独立して生態系を構成できる「限りなく自然に近い森」を目指して作られただけある。

この森のしくみは、今では各国で真似されており、再建されつつあるニューヨーク国際自治都市のセントラルパークもこの方式になることが決まっていた。

「というか、呼ばれてまで怒られに来るのも凹むのですが・・・。」

「なに、靖国の同朋(はらから)は遠慮して貴殿らくらいしか来れんのでな。こちらから出向くにしても恐縮されてしまう。まぁ東照宮か伊勢あたりなら別なのだがな。」

凛々しい青年の姿をした明治帝は莞爾と笑った。

そうなのだ。
いつのまにやら死んだあとに神になっていた嶋田は、「新たな神」として半ば強引にここに引っ張り込まれ、最近は恐れ多いことに仲間に加わった主君とともに神々の相手をさせられていたのだ。
もちろん、仕事もさぼれない。

ここのところ活動的になっている地殻や気象、果ては(迷惑なことに)安全祈願にくる帝国海軍の遠洋航海部隊やら政治家やらの対応もしなければならない。
元来生真面目な嶋田は、そんな役目を生真面目に果たしているだけあって、あの辻と並んで神々の間でも出世候補の筆頭に挙がっていたのだった。
なお、近衛公や伏見宮あたりは靖国神社で「神コミケ」向けの同人誌や同人映画の製作に余念がないらしい。


「だいたいあの辻がこんなことをしなければ・・・」

「辻なら見たの。」

嶋田が血走った眼を声がした方に向ける。

「監察官!どこに!?どこにいました!?」

ブンブン。思い切り両肩を把持して貧乏神を半ば脅迫するように問いただす嶋田。
色々な意味で辻に染まっている。

「あ・・・あっち・・・八百万堂の近くで・・・」

「お〜の〜れ〜辻!待っていろ!今から正義の鉄槌を下しにいくぞ〜!!」

たちまち積乱雲が発生し、ものすごい速度で西へと向かっていった。


「また神格があがってるの・・・」

「ふむ。なら次の出雲会議の議長は彼に任せて見せるのがよいでごわすな。」

「有望な若いのが入ってきてくれてよかったな。」

「まったく。ところで祖父上。こんどの神コミケですが――」

嶋田の仕事と気苦労は、当分は終わらないようだった。

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最終更新:2012年01月04日 10:32