872 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:08:30
ネタSS「憂鬱日本欧州大戦 -魔王のいる風景-」


  • ドイツの場合

「見えたぞ、日本空母だ!」

 ドイツ空軍少尉ハンス・ウルリッヒ・ルーデルは前方に見えた艦隊を見て、後部機銃手のアルフレート・シャルノヴスキー上等兵に向けて叫んだ。

「聞こえていますよ少尉。何とかなりましたね。」

「ああ、冬のバルト海で海水浴なんてしなくて済んだ。」

 ルーデルは心底安心した様子でシャルノヴスキーに答えた。

 彼らは、クロンシュタット・レニングラード奇襲作戦で、クロンシュタット軍港への攻撃任務に就いていたのだが、運悪く敵の対空砲の破片によって燃料タンクが破損。帰還が困難となった。
 そこで、ドイツ空軍と共に作戦に就いていた日本海軍の空母に拾ってもらえるようになり、日本の空母艦載機と共に艦隊に向かっていたのだった。艦隊も艦載機の収容のために出来るだけ進出しており、何とか艦隊にたどり着くことが出来たのだった。

『こちら日本海軍空母赤城、ドイツ空軍のルーデル少尉聞こえますか?』

「ドイツ空軍少尉ハンス・ウルリッヒ・ルーデルです。今回助けていただき、感謝します。」

 無線から母音が強い日本訛りのドイツ語が聞こえてきた。少し聞き取りにくかったが贅沢も言ってられなかった。
 日本の第2次遣欧艦隊は、到着後からフィンランド支援に今回の軍港攻撃まで休み無く戦い続けてきたために、ドイツからの連絡将校と通訳を用意する時間も乗せる時間も無かった。その為、陸軍からドイツ語が話せる士官を派遣してもらい、今回の作戦で連携を取れるよう取り計らっていた。

 今回の作戦では、渡洋爆撃の経験が皆無のドイツ空軍の先導をする為に日本海軍から艦爆を1個小隊派遣していた。
 なお、ドイツ空軍は97式艦爆(史実彗星)の500km/h超の速度性能に加えて500kg爆弾を抱えての急降下爆撃ができる能力を実際に見て、後にライセンス生産を日本に打診する事になる。
 スツーカは確かに優秀な爆撃機だったが、制空権の無い敵地への爆撃では消耗率が高く、パイロットも少なく無い数が失われていた。そこで、高速かつ重武装な97式艦爆を導入して、貴重な爆撃機パイロットの消耗を抑えようとしたのだ。
 ちなみに、オリジナルでは空冷エンジン搭載だったが、一部のドイツ製97式艦爆ではDB601を搭載した物が生産され、転生者達から「ドイツが史実彗星を作りやがった。戦車はソ連で爆撃機は日本ってこれなんて火葬戦記?」などと言われる事になる。

 それは兎も角、ルーデルは日本艦隊の上空へと進んでいった。

『赤城右舷に救助活動用の短艇を出してある。そこに不時着水して欲しい。』

「なんだって!冬のバルト海に着水しろと言うのか!1分も経たずに心臓が止まってしまうぞ!!」

 ルーデルは不時着水しろという言葉を聞き、すぐさま無理だと反論した。冬のバルト海は氷結していない所でも水温は2℃くらいであり、夏でも4℃ほどまでしか上昇しないというまさに極寒の海である。そのような所に不時着水しろというのは、自殺を強要するも同然であった。

873 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:09:00
『その機体では空母への着艦は出来ない。不時着水しか方法は無い。』

「そんなのやって見なくては解らないだろ!」

 ルーデルはそう答えると、高度を上げるべく上昇を始めた。燃料漏れで既に燃料計はほぼゼロを指していたが、出来るだけ燃料を消費して炎上するのを防ぐためだ。
 赤城からは『着艦は無理だ。不時着水しろ。』と何度も考え直すように言ってきていたが、ルーデルはそれを無視した。

 そして、プロペラの回転に以上が出始めたのを感じ取ったルーデルは、赤城へと向かって高度を徐々に下げていった。
 無線の向こうの日本軍人は既に諦めたのか、『Ju87にはワイヤーフックが無い。代わりに後部車輪にワイヤーを引っ掛けろ。』とか『機体は思い切り船に押し付けろ。速度は失速しかけるまで下げろ。』等とアドバイスを送ってくれていた。
 この変化は、被弾して主脚が降りなくなった機体を仕方なく不時着水させたところ、パイロットが心臓麻痺を起こして一時意識不明になった事が原因だった。この事から着艦が難しい状態でも、出来るだけ着艦できるように方針を転換したのだ。
 他の機体は既に空母に収容され、残るはルーデルとシャルノヴスキーの乗るJu87ただ1機となっていた。

「これより着艦を試みる。」

『幸運を祈る。』

 これまでに2度ほどタッチアンドゴーを繰り返して、無いよりはマシな程度の経験を積んで挑んだ、ルーデル初めての、否ドイツ空軍初めての空母への着艦だった。

 空からは針みたいな頼りない存在だった艦が、見る見るうちに巨大な航空母艦だと解るほどに接近していた。機首を若干上げながら、スロットルを絞り失速寸前まで出力を下げた。操縦桿がこれまでに無いほど重く感じ、機体を安定させるのが恐ろしく難しかった。それでも赤城の飛行甲板すれすれの高度までゆっくりと持っていき、飛行甲板がすぐそこまで来たところで、機首を上げたまま降下した。
 その瞬間激しい衝撃が走ったが、アドバイスどおり機体を飛行甲板に押し付けエンジンを停止した。その瞬間嫌な音が聞こえたが、構う余裕は無かった。暫くして機体が停止した事を理解した。

「ハハハ・・・。ほら、何とかなっただろ?」

『初めての着艦おめでとう。少尉がドイツで初めての母艦航空隊員だ。』

「まだ震えが止まらない・・・。日本海軍の連中は毎回これをしているのか。」

 ルーデルは初めての着艦が成功した事に笑い声を上げ、普段冷静沈着なシャルノヴスキーは普段では想像できないほど、体を震わせ顔は青ざめていた。
 機体から降り立った2人の周りにはすぐに人垣が出来た。初めての空母への着艦を試みて、ぶっつけ本番で成功させたのだ。日本海軍の将兵は口々に彼らの健闘を称えた。
 ルーデルは自らの機体を改めて見て、よく生きていられたなと感じた。対空砲だけで無く敵機の銃撃の後が生々しく機体に刻まれており、スツーカの特徴的な固定脚は半ばから折れ、プロペラは捻じ曲がっていた。着艦の際の衝撃で折れたのだ。

「ルーデル少尉、ようこそ空母赤城へ。歓迎します。」

「暫くご厄介になります。」

 暫くすると、艦橋から幾人かの士官が出てきた。その中の1人だけ陸軍のカーキ色の制服を着ており、ドイツ語を話している彼がこれまで自分と無線でやり取りしていた人物だと理解できた。周りが海軍式の敬礼をする中で、ただ1人陸軍式の敬礼をするのは目立っていた。
 そして、ルーデルとシャルノヴスキーは士官達と握手をした。

 なお、ルーデルと握手をした士官に一人だけ転生者がおり、心の中ではルーデルが赤城に降り立った上に握手できた事に舞い上がっていた。

(赤城にルーデルキター!これで勝つる!!)

 後に、某艦隊カードゲ-ムが出た際に、赤城の幾度目かの改装でルーデルが装備されるようになるのだが、それはまだ遠い未来であった。

874 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:09:31
  • 日本の場合

 日本はアメリカとの睨み合いから開放され、ソ連に対して攻勢に打って出てウラジオストックとナホトカを占領したものの、ソ連のイラン侵攻によって連合国の勝ち点はゼロになってしまった。

「ソ連は極東方面へ少なくとも20万程度の増援を行うつもりです。シベリア鉄道への空爆で、それを遅らせていますが、これが到着すれば更なる攻勢は難しくなります。」

「敵の兵站はぼろぼろです。少なくともハバロフスクまでは攻略できるでしょうが、こちらも大きな被害を受けるでしょう。
 それ以降はハバロフスクで防衛体制を整える事になるでしょう。クイビシェフカ・ヴォストーチナヤ(ベロゴルスク)まで押し上げるのは戦力的にも時間的に難しいですが、ゼヤ川を通る橋を破壊できれば可能性はあります。」

 田中と東条の報告に会合出席者達は思い思いに話し始めた。
 今回のウラジオストックとナホトカ上陸には合計7個師団が投入され、朝鮮半島からも10個師団ほどが陸路進撃した。結果、沿岸州の内アルチョーム以南を日本は占領し、ウスリースクのソ連軍と対峙している状態だった。
 ウスリースクには少なくとも2個軍団が集結していたが、制空権は日本側にあり、ソ連軍の物資はほとんどが空爆で焼かれたと見られていた。よって再攻勢をかければ陥落は可能だと陸軍では見ていた。

「アメリカ軍の方は何か動きはあったか?」

「特に何もありません。ただ、奉天軍との間で何らかの問題が生じたのか、関係がギクシャクしているようです。」

「奉天軍と?まあ、大統領が代わってから対日戦から対ソ戦へと方針が180度変わったからな。それも仕方ないだろう。」

 近衛は米中の関係が少し悪くなっていると言う報告を聞き、アメリカの方針転換の影響が出ているのかと納得した。

「米中が激突する可能性は?」

「極めて少ないでしょう。奉天軍はアメリカの支援無しでは立ち行きません。不満はあってもアメリカの方針に従うほかありません。」

 辻は米中の激突を心配したが、それを田中はありえないと断言した。奉天軍が有する軍事力も経済力も、アメリカの支援あってこそである。それがなくなったら、彼らは中華の田舎勢力に過ぎなくなってしまうのだ。国民党と対立している現状で、アメリカと事を構えるのは愚策であった。

「まあ、米中が戦争をするのなら、その間我々は自由に動くことが出来る。それにアメリカに支援して恩を売る事も出来るな。
 どちらにしても、アメリカが連合軍支援に動いている現状では、日米激突の可能性は極めて低い。アメリカの本格的な介入を警戒しつつ、戦争を進めていけばいい。幸い、他の連合国もアメリカには警戒しているしな。」

 伏見宮の言葉に出席者達は頷いた。

「それから、フランスの状況だが、イタリアとの対決は不可避となった。イタリアがソ連側に回るのは予想もしていなかったが、流石にイタリア相手にフランスが負ける事も無いだろう。」

 近衛が笑いながら言った事に、出席者達も笑い声を上げながら同意した。史実では、イタリアは枢軸国であったにも関わらず「連合国の勝利に最も貢献した国」とすら言われているほど、枢軸国特にドイツの足を引っ張ったのだ。一部ではドイツ軍をも上回る戦果を上げた部隊も存在したが、それらはごく一部だった。

875 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:10:03
「イタリアの事は置いておくとして、フランスは国家と軍の建て直しを進めている。その内、経済の建て直しで連合各国に支援を求めている。具体的には財務や経済関係者の派遣を要請された。私はこれに応じようと思うのだがどうだろうか?」

 フランスは内戦が終わり、混乱していた政治や経済、軍事などを建て直すために各国から支援を求めていた。軍事については、既に日英独の軍人や技術者がフランス入りしており、装甲車両や航空機の開発の支援や兵器のライセンス生産の準備などを行っていた。
 フランス内戦で、梅毒元帥事ガムラン元帥やその取り巻きがクーデター側に立った為、フランス陸軍は人事を刷新できていた。お陰で、貧弱な国産兵器の改良や他国の兵器のライセンス生産が進む事になった。具体的には、軽戦車はS35のままで中戦車はⅣ号戦車を、戦闘機は低速で非力な国産戦闘機の生産は停止し(開発は続ける)イギリスのスピットファイアをライセンス生産する事になった。

「財務、という事は大蔵省から人を出せという事ですね。まあ、いいでしょう。」

「おお、受けてくれるか!」

 近衛は辻が承諾した事に大げさに喜んだ。

「確かに我々も忙しいですが、フランスがいつまでもグダグダしているのも問題ですから。」

「ではよろしくお願いするよ、辻経済顧問。」

「・・・は?」

 辻は、いつの間にか自分がフランスへ行く事になっている事に、つい間の抜けた声を出してしまった。

「え、いや、私にフランスへ行けと言うのですか!」

「フランス政府から辻君を派遣して欲しいと言う声が大きくてね。いや、二つ返事で受けてくれて嬉しいよ。」

 近衛は心底嬉しそうな様子で辻に答えた。辻は次の内閣改造で大蔵大臣が確定していたが、ここでフランスの経済を建て直す方がより重要であると近衛は考えていた。
 また、ドイツ経済を建て直した実績もあり、世界恐慌での行いを知っていてもなおフランスは辻の派遣を求めたのだった。
 ちなみに、フランスのペタン首相は議会で、日本から人材を派遣してもらうことの危険性(特に辻)について批判されたが、「

赤い悪魔どもに勝つのに必要があるのなら、私は魔王とも手を結ぶ!」

 と演説し、逆に議員をやりこめていた。

「では、辻君のフランスへの派遣に賛成の者は挙手を。・・・賛成多数で可決する。では、頑張ってくれたまえ。」

 伏見宮が採決すると1人を除いて挙手した。そして、辻のフランス派遣が決定した。

「あ、あなたたちぃ・・・!?」

「まあ、諦めなさい。それに、フランスには本場のお嬢様学校がある。日本に本場の教育を齎すためにも行って貰いたい。」

「・・・いいでしょう。全てはMMJの為に!」

 こうして辻はフランス行きを了承した、なお、辻と愉快な仲間達がフランスでお嬢様学校と萌えの素晴らしさを広げまくったために、フランスは日本と双璧をなす変態(オタク)国家になるのだが、それはまだ見ぬ未来であった。

876 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:11:59
 一方その頃ロンドンでは。

「!?な・・・なんだ?とてつもなく嫌な予感がする。」

 ロンドンの遣欧派遣軍司令部で、執務中だった嶋田は突然の悪寒に体を震わせた。嶋田は第2次遣欧軍で欧州へと渡り、以降派遣軍司令部で主に各国との折衝を行っていた。

「嶋田中将、俺の名前を言ってみろー!」

 その時、突然1人の陸軍軍人が部屋に入ってきた。言わずと知れた陸軍一の邪気眼使い富永恭二だ。かれも第2次遣欧団で欧州へと渡り、後方支援を担当していた。

「富永少将、なんの用ですか?」

 四六時中邪気眼の相手をしなくてはならない嶋田は、つい富永に強く当たってしまっていた。

「うむ。海軍のパイロットだが、機体のあてができたぞ。と言っても、陸上機だがな。艦載機はフルマーとか言うガラクタやソードフィッシュとかの複葉機しか無いからな。とりあえずBf109とスツーカを確保した。」

「本当ですか!ありがとうございます。」

 母艦航空隊は壊滅した物の、機体の損耗だけでありパイロット達は殆どが健在だった。これを遊ばせる手は無いと、海軍は陸軍の手も借りて航空機の確保を進めていたが、現在は各国共にパイロット余りであり、中々確保は出来ていなかった。最初は艦載機を探していたが、グラディエーターやソードフィッシュのような複葉機やフルマーとか言う産廃ばかりで、碌なものが無かったために陸上機の確保に切り替えていた。
 そんな中、陸軍が関係が深いドイツと交渉してようやく機体を確保することが出来たのだ。

「うむ。我を崇めよ称えよ。」

 富永は自慢げに胸を逸らした。
 ちなみに、Bf109やスツーカは海軍パイロット達に「なんじゃこの米搗きバッタは!」と不評だったが、それでも戦果を積み上げていったのだから、彼らの実力が伺える。

「はははは・・・。まあ、これからも頼みますよ。」

 嶋田はそんな富永を適当にいなしながら礼を言った。

 後に、辻がこれに加わるという事を彼はまだ知らなかった。

877 :Monolith兵:2014/07/29(火) 07:12:30
  • ソ連の場合

「クロンシュタットのみならずレニングラードの港まで破壊されただと!防衛司令官は全員解任した上でシベリア送りだ!!」

 クレムリンにて、ソ連の独裁者スターリンは怒り狂っていた。フランスでクーデターを起こしソ連に友好的な政権を作ろうとしていたのだが、失敗したのだ。親ソ政権樹立の可能性は低かったが、フランスの脱落は確実だろうと見られていたのにそのどちらも失敗したのだ。
 その上に、フランスが混乱しているうちに大攻勢に出てソ連に有利な戦局になったというのに、連合軍の軍港奇襲と極東での攻勢でそれも差し引きゼロになったのだ。

「極東への増援と、イランへの侵攻で欧州戦線への戦力補充は暫く出来ません。現在はこちらが若干有利ですが、フランスが体制を建て直すと・・・。」

 赤軍参謀総長ゲオルギー・ジューコフの報告にスターリンはギロリとジューコフを睨んだが、すぐに自分を落ち着かせた。

「イランを取った以上、我々はインドへ進軍できるようになった。それに、イタリアも我が軍門に下ったも同然。これを利用しない手は無い。」

「で、ですが、イランへの戦力の派遣は時間がかかりますし、余り多くの戦力を派遣すると欧州戦線が崩壊しかねません。」

「そこまで大規模な戦力は必要ない。インドの解放はインド人やイラン人を使えばいい。彼らに武器を渡し、我が軍は後方から監督すればいいのだ。」

 それはポーランド戦で限定的に行われた督戦隊をインド進軍で恒常的に行うと言うものだった。

 そしてソ連に降伏した後のイランでは、イラン共産党とソ連による徹底的な弾圧が行われていた。イスラム教は禁止され、多くのモスクが破壊された。それに反発する者は容赦なく弾圧され、殺されるかシベリアへ送られて鉱山で一生を終えるまで働かされた。武器を取ってパルチザン活動を起こす者もいたが、拠点となる村や街ごと破壊され、虐殺された。
 イランが降伏して僅か3ヶ月で、イランの人口は1割も減少したのがどれほど苛烈な支配をソ連とイラン共産党がとっていたかが解るだろう。

「イラン人は多くが鉱山や農場へと送られているが、それでもなお多数が残っているという。人民の海を持ってしてインドを解放するのだ!」

「はい。」

 ジューコフは返事はしたが、上手くいくかどうかは未知数だと考えていた。ただ、必要な人員は少なくて済むので、欧州戦線での影響は最小限に抑えられると考え、安堵もしていたが。もし失敗しても、牽制としては十分成功するだろう。

「イタリアも尻を叩いて連合国と開戦指せるのだ!何のために大量の兵器と物資を送ってやっていると思っているのだ。」

「解りました。」

 モトロフはスターリンの命令を了承し、以後イタリアに開戦を急かすようになる。それはイギリスや日本の諜報網に引っかかり、連合国特にフランスがイタリアへの態度を厳しくしたために、開戦は秒読みに入る事になる。

 一方その頃イタリアでは、ドゥーチェが「なんでこんな事になったんだ?助けてマリア様!!」と執務室で祈りをささげていた。連合国入りを目指しての行動が全て裏目に出てしまい、いつの間にか敵になっていたのだ。
 だが、もはや自体をどうにかする方法をドゥーチェは持っておらず、フランスとの戦争を出来るだけ有利な条件で終わらせられるように、軍備を増強する以外道はなかった。

おわり

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最終更新:2014年09月26日 18:57