- 918. ひゅうが 2011/12/02(金) 23:28:43
- ※ 「星条旗の艦隊」ネタですw
――西暦1945年8月 アメリカ合衆国臨時首都 シカゴ
トーマス・デューイは万感の思いで目を閉じていた。
ホテル・シカゴの臨時大統領官邸のオーバルオフィスでは、記者たちがフラッシュをたき、彼に質問を投げかけている。
「大統領閣下!一言お願いします!」
「日本のツジ新政権との対話は――」
「シマダ前首相からのアピールは米日講和を――」
「英国のチャーチル卿からの支持発言には・・・」
デューイは思った。
病に倒れ、この世界に転生してから40年あまり。
この時のために生きてきた。
白人至上主義と闘い、頼りになる同盟国となるはずだった日本帝国相手に戦火を交えたがよりよい講和を勝ち取るだけの優勢を維持し・・・
ドイツ潜水空母による東京襲撃というアクシデントもあり、夢幻会は米日講和に意見を統一できたという。
星条旗艦隊の活躍によるウラガ水道封鎖、中国大陸撤退成功、そしてハワイ沖決戦の痛み分け。
米英同盟に基づき派遣した名将スプルーアンス提督率いるイーグル艦隊の活躍は日米間の感情的な対立を緩和する役割を果たした。
「感無量です――」
デューイは言った。
「これで、我が国はペリー提督以来の過ちを正し、太平洋を米日の共存する繁栄の海とすることができました・・・政府としては、講和を達成すべくトラック環礁において日米協議を開始していることをここに明らかにするものであります。」
今頃は、バイ提督はインド洋に入る頃だろうか――
――同 インド洋 第1連合航空機動艦隊(バイ艦隊)
「でかいなぁ・・・。」
バイ提督は、超大型空母「ジョージ・ワシントン」の艦上に立っていた。
日本海軍の「タイホウ」型航空母艦を上回る満載排水量8万トンの超大型空母は、西海岸の造船所で作り上げられた「キティーホーク」型4万トン級空母やおなじみの「エンタープライズ」をはじめとする総勢12隻の空母群、そして「アイオワ」型戦艦をはじめとする高速戦艦6隻とともにインド洋へ向かっている。
周囲はアトランタ級をはじめとした西海岸で建造された新造艦群で固められ、あの苦しい時期を支えた合衆国艦隊の艦艇たちと交代していた。
「バイ司令長官に、敬礼!」
アングルドデッキをのぞむアイランドに立ったバイは、すでに先ほど米日講和が成立したことを知っていた。
だが、彼には感慨に浸る暇はない。
ドイツ第3帝国と、それに屈服したロシア社会共和国によるインド侵攻を阻むべく、彼は戦い続けなければいけないのだ。
だが、彼に恐れはない。
今や友軍となった日本海軍はタイホウ型空母「タイホウ」「ハクホウ」「ショウホウ」をすでに出撃させ援護にあたることになっているし、強力な「イブキ」型防空戦艦とユナイテッドステーツ級をも上回る「ヤマト」型戦艦も駆けつける。
海中には星条旗艦隊とためを張る強力な日本潜水艦隊が待機し、空には「フガク」や「レップウカイ」が護衛につく。これほど頼もしいことはない。
「シカゴへ打電!バイ艦隊、これよりインド洋へ突入する!!」
【あとがき】――夢幻会「ここが米国版紺碧世界だと知ってえらい苦労しましたよ本当」。
とりあえず小説版第22巻「米日講和成る」の一シーンをイメージして書いてみましたw
最終更新:2012年01月01日 21:54