533 :名無しさん:2014/11/16(日) 23:30:04
戦後憂鬱ネタでガダルカナルネタがあんまないので投下してみる、題名は適当いいのが思い浮かばなかった
アイアン・ボトム・サウンド狂想曲 前篇
1945年5月、日本の条件付き降伏によって太平洋戦争は終結した。勝利の立役者となったアメリカ海軍であったが、
連合艦隊と太平洋艦隊の損害を見比べると、果たしてアメリカ海軍は勝者と言えるのか疑問である。
戦略的勝利はミッドウェー沖海戦のみであり、ガダルカナル、マリアナ、レイテ、沖縄においてはそれぞれ
二度の機動部隊壊滅、第7艦隊壊滅、最新鋭戦艦部隊壊滅と言う散々な結果であった、それ故、後世では
日本海軍の精強さが謳われ、アメリカ海軍は数に任せた軟弱と言われるようになる。果たしてそうだろうか?
では何故こうもアメリカ海軍は被害を蒙ったのか?…全てはある島を巡る戦いが元凶だった。
―――ガダルカナル
ミッドウェー沖海戦で帝国海軍史上最悪の敗北を喫した連合艦隊は、ミッドウェー占領を足がかりにハワイを攻略し講和を求める案を廃棄して、オーストラリアと
アメリカとの線を断ちきり、オーストラリアを戦争から脱落させアメリカを揺さぶる「米豪遮断」作戦を実行する。
そのキーポイントとなるガダルカナル島に飛行場を建設するも、アメリカ側はすぐに察知し海兵隊を上陸させ占領してしまう。これに対し日本側はすぐに第八艦隊を出撃させ、ガダルカナルをめぐりサボ島沖海戦が勃発する。結果は当時夜戦において第八艦隊は米豪連合艦隊の技量を上回っていたこと、運が味方したこと(メタだが三川軍一が転生者もあったこと)、さらに奇襲効果もあって重巡「加古」を失うだけで輸送船団と護衛船団を撃滅すると言うパーフェクトゲームを達成した。無論この損害に連合軍南太平洋艦隊は真っ青になる。重巡「ヴィンセンス」「クインシー」「アストリア」「キャンベラ」「オーストラリア」、軽巡「サンジュアン」「ホバート」、駆逐艦4隻撃沈、重巡「シカゴ」中破…人員に至ってはクラッチレー、リーフコール、スコットの3名もの将官を失い、オーストラリア海軍は主力どころを悉く喪失する羽目になった。
そして輸送船団と護衛艦隊の壊滅の隙を突き、日本軍は奪回の為の部隊を投入する。これに危機感を覚えたアメリカ海軍は現状打開の為に太平洋艦隊で稼働している虎の子の空母「サラトガ」「エンタープライズ」「ワスプ」の三隻を投入。一方ミッドウェーの復讐に燃える連合艦隊も機動部隊を派遣し、ラバウル航空隊や潜水艦との連携を以ってこれを撃滅せんとする。ここに東部ソロモン海海戦が勃発する。結果、日本側は軽空母「龍驤」を喪失するも、太平洋艦隊は空母「エンタープライズ」「ワスプ」を損失、「サラトガ」も大破してしまう。
二度の敗北で動揺するアメリカ海軍は「サラトガ」の復旧を急がせるとともに、大西洋艦隊唯一の正規空母「レンジャー」並びに護衛空母「ロングアイランド」「チャージャー」の回航を決定する。また輸送船団が壊滅した為に増援や物資を送り込むことが出来ず、やむを得ず駆逐艦による夜間輸送を行う「ワシントンエクスプレス」が行われることになった。無論日本海軍もそれを見逃すはずもなく第八艦隊は潜水艦等と協力して次々と撃沈していった。本来なら撤退するのがベストであったが(太平洋艦隊や海軍上層部は日本がガダルカナルを占領した所で維持は無理と認識していた)、オーストラリアの世論やそれに振り回される政治家達によって悪戯に優秀な駆逐艦乗り達を海の底に送りこむことになった。
535 :名無しさん:2014/11/16(日) 23:33:31
一方の日本側も当初目論んでいた「米豪遮断」から「米軍消耗」へと戦略を切り替えようとした。特に山本五十六お気に入りの樋端久利雄大佐がそれを熱心に訴えたのだ。
曰く、オーストラリアが脱落した所で英米が受ける影響は予想されるよりも少ない
曰く、仮にガダルカナルを占領した所で、維持するだけの戦力や物資が大きな負担になる
曰く、ガダルカナルに上陸している海兵隊を餌に米海軍に損耗を強いることが後の有利に繋がる
曰く、キルヤンキー!キルヤンキー!キルモアヤンキー!
樋端が異様な熱意に対し山本はそれに賛同し、「米豪分断」から「米軍消耗」へと切り替えることを選択。これが功を奏し、アメリカ海軍は多くの駆逐艦や巡洋艦を海の底に放り込みアイアン・ボトム・サウンドとしていった。ちなみに樋端もまた転生者であり、海軍甲事件の際には体調を崩したことで死なずにそのまま中央に配属された後は古賀、栗田、南雲の3羽鳥、高田利種等と共にマリアナ、レイテと本領を発揮することになる。余談であるが1943年4月18日一ヶ月前から「死んでたまるか!俺は死なんぞ!」とブツブツ呟いていたり、どうにかして体を不調にさせるような奇行を試みる樋端の姿が見られたと沖縄沖海戦で戦死した宇垣纏が死ぬ寸前に書き上げた「戦藻録」に記されている。
しかしサボ島沖海戦でアーレイ・バーク大佐率いる駆逐艦部隊が、戦力的に圧倒的な五島存知少将率いる日本海軍相手に対し果敢に挑み、レーダー性能の優勢と日本側が奢っていたこともあり、駆逐艦1隻の撃沈と引き換えに重巡「古鷹」、駆逐艦「初雪」「吹雪」撃沈、重巡「青葉」「衣笠」を大破と言う大勝利を挙げる。久々の大勝利に湧くアメリカ海軍、特にバーク大佐の「ワレ、31ノットデ追撃中」の電文は後世に語り継がれるほど有名である。しかしそれも局地的な勝利であり、連日のようにガダルカナルに嫌がらせのように艦砲射撃する日本海軍と海兵隊からの悲鳴のような救援要請に、度重なる失態から叩き出されたゴームレーに変わり南太平洋艦隊司令長官であるハルゼーは戦局逆転を図り、ガダルカナル救援並びに機動部隊撃破の為に投入可能な戦力を投入する。
空母「サラトガ」「ホーネット」「レンジャー」、護衛空母「ロングアイランド」「チャージャー」、戦艦「サウスダコタ」(「ノースカロライナ」は前の海戦で中破しており投入不可能)、投入可能な空母を全部投入してきたのだ(ボーグ級やサモンガン級も就役しているが流石に就役したてで戦線投入は不可能だった)。ノロマで装甲もぺらっぺらな2隻の護衛空母まで投入する程なのだから、アメリカ海軍はどれだけ真剣(追い詰められていたのか)だったのか分かるだろう…最もアメリカ海軍はとことん運に見放されていた。10月26日に繰り広げられた海戦の結果は「史上最悪の海軍記念日」と称される散々の結果で終わった。
海戦前に哨戒中の木梨艦長が乗る「伊19」が放った魚雷3本が第16任務部隊の空母「サラトガ」に命中する。当時世界最高峰の威力を誇る酸素魚雷と当たり所の悪さ、またダメコン失敗により「サラトガ」は沈没、おまけに一本の魚雷がサウスダコタの艦首に命中し損傷を負わせ離脱、そしてもう一本があろうことか艦隊防空期待を背負った「サンファン」に命中、しかも魚雷発射管真下に命中したことで魚雷が誘爆し轟沈する悲劇が起きたのだ。その後の航空戦では「飛鷹」が健在(これは転生者が色々やらかしてくれたお陰)であったこと、機動部隊を率いるのが復讐に燃える南雲忠一と「闘将」角田覚治であったことから、放たれた攻撃部隊は第16任務部隊を強襲、「サンファン」轟沈「サウスダコタ」離脱と言う防空戦力の要を失った
任務部隊は袋叩きを喰らい空母「レンジャー」沈没、重巡「ポートランド」大破、後方にいた第18任務部隊(史実にもいなかったCVEを基幹とする任務部隊)も補足され、護衛空母「ロングアイランド」「チャージャー」は装甲の薄さから爆撃で呆気なく沈み、第17任務部隊は2隻のアトランタ級巡洋艦の活躍もあったが、「ホーネット」は南雲・角田の猛攻を受けて最終的に総員退艦となり、日本海軍の駆逐艦に撃沈された。
537 :名無しさん:2014/11/16(日) 23:36:53
一方の米海軍の攻撃部隊は「翔鶴」「瑞鳳」「筑摩」を損傷させるが、「サラトガ」を早期に失った代償は大きく、1隻も沈めることが出来ないまま、空母「ホーネット」「サラトガ」「レンジャー」、護衛空母「ロングアイランド」「チャージャー」、重巡「ペンサコラ」(この時は史実とは違い第18任務部隊に所属していた)、軽巡「サンファン」「サンディエゴ」(被弾機の体当たり受けた後に魚雷をもろに喰らう)、駆逐艦「ポーター」「カッシング」「ヒューズ」「スミス」沈没、戦艦「サウスダコタ」重巡「ポートランド」大破、軽巡「ブルックリン」中破…文字通り大敗であった。日本側はミッドウェーの復讐が完了したことに大喝采を上げ、アメリカ海軍は稼働空母全てを喪失したことに唖然とし狂乱、ハルゼー更迭が叫ばれたが、ニミッツやスプルーアンスがハルゼーを庇ったこともあり、全ての責任が機動部隊指揮官のフレッチャー少将に被されて(本来ならキンケードだが復讐に燃えるフレッチャーが指揮官となっていた)有耶無耶となった。
ちなみにアメリカ本土ではかつてフィリピンでやったように、大敗を糊塗するかのような日本側の正規空母「ヒデヨシ」「イエヤス」戦艦「ノブナガ」撃沈と言う大本営発表をやっており、とある転生者達がその放送を聞いて「あらら~、米帝ちゅわぁん、ちょっといけていないんじゃない~」や「ブックス!」と言っていたらしい。
一定の戦果に満足していた連合艦隊だが、先の海戦で搭乗員の被害も膨大であったことから一度戦力を再編することになり、暫くは双方とも空母がいない状況に陥る。そして狂想曲の幕は上がる…第三次ソロモン海戦、戦艦「比叡」の艦橋のその男はいた。後に「ソロモンの悪夢」と呼ばれる男の姿が。
第18任務部隊
護衛空母 「ロングアイランド」「チャージャー」
重巡「ペンサコラ」
軽巡「ブルックリン」
駆逐艦「オバノン」「モンセン」「スタレット」「クラーク」「モーリス」
以上です、一応史実なぞった展開ですが、すこしだけ改変したネタになっていきます
南太平洋で米軍ボロ負けぶっこいたらキンケードはそのまま更迭されちゃうからフレッチャーに泥被ってもらいます
最終更新:2014年11月18日 11:55