753 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:06:44
英国の底力(非合法)

提督たちの憂鬱 支援SS 憂鬱英国ジェットエンジン開発事情2

1945年5月5日。
インド洋でお披露目された、日本海軍の新型艦戦『疾風』に英国海軍関係者が大きな衝撃を受けている頃、同じ場所で、軍人達とは違う立場で衝撃を受けた者達が存在していた。

「なんてことだ…我々の努力は無駄だったというのか…」
「あれだけ頑張ったのに、日本はさらにその先を行っている…もうダメだ…」
「我が国と日本とは、いったいどれくらいの差があるというのだ…!」

装甲空母『ヴィクトリアス』の甲板上で悲嘆にくれる英国の技術者達。
彼らはヴィクトリアスに積み込まれた『秘密兵器』を整備するために乗艦していた、グロスター社とロールス・ロイス社の技術者達である。

その彼らから、少し離れた位置で佇む初老の男が一人。
彼もまた悲痛な表情を隠すことが出来ていなかった。

(私が開発した理論を、遠い東洋の島国が、完全にモノにしている。
これ以上の皮肉はあるまいな。もはや私の時代では無いのかもしれん…)

アラン・アーノルド・グリフィス。
史実ではホイットルの師であり、軸流式ターボプロップエンジンの理論を確立し、ホイットルと並ぶジェットエンジン先覚者であった彼は…いや、そんな彼であるこそ、目の前で飛行する疾風を見て、日本との技術差がいかに隔絶しているか理解し、そして絶望していたのである。

そのため、ヴィクトリアスの甲板の一角はまるで葬儀場であった。
誰も口を開こうとせず、重苦しい空気が漂っていた。
そんな空気を吹き飛ばしたのは、フランク・ホイットルであった。

「貴様ら何をしている!さっさと荷物をまとめて帰るぞ!そしてあれ以上のモノを作るんだ!!」

高速飛行する疾風を指差しながら、彼は吼えた。
今回の秘密兵器のパイロット兼技術者として派遣されていたホイットルであるが、彼もまた疾風の存在に激しい衝撃を受けていた。

「俺達の敵は日本人じゃない。だがナチ野郎どもに勝つためには、日本人に追い着き、追い越すくらいの気概が無いと不可能だ!」
「ホイットル君…だが、君なら分かるはずだ。あれに追い着くのに、いったいどれだけの困難が待ち受けているかを…」
「先生もなに弱気になっているんですか!?
 俺はあんたが大嫌いだが、同時に尊敬する師でもある。
 俺があきらめていないのに、あんたがあきらめるなんてことは許されないんです!」

ホイットルとて、必ずしも日本に追い着けると思っていたわけでは無かった。
しかし、技術者である以前にパイロットである彼は、負けん気が非常に強かった。恐れを闘志に変えることが出来る男だったのである。

そんな彼の溢れんばかりの闘志にあてられたのか、技術者達の眼に光が宿る。
上層部から無理無茶を言われつつも、骨身を削って遠心式ジェットエンジンを開発していたあの頃と同じ、熱意と若干の狂的な輝きが。

「よぉぉぉぉし!絶対にあれを超えるヤツを作ってやるぞぉぉぉぉ!」
「おぉよ!どうせ同じジェットエンジンなんだ。すぐに追い着いてみせらぁ!」
「やってやる!やってやるそぉぉぉっ!!」

完全に立ち直った若手技術者達の姿を見てグリフィスは苦笑した。
そしてホイットルに向き直る。

「…で、実際のところはどう思っているのかね?」
「さすがに、あれに追い着くのは一朝一夕には無理でしょうね」

グリフィスに問われたホイットルは肩をすくめた。
技術者であれば、あの技術的隔絶差を理解出来れば諦めるところであるが、パイロット上がりであり、英国紳士である彼は不屈だった。そして、それはグリフィス自身にも言えることであった。

「人の理論であそこまで好き勝手やられては虫の居所が悪いからな。さっさと追い着き、追い越すことにしようではないか」
「ふん、せいぜい俺の操縦に耐えられるエンジンを作ってくださいよ?」
「ぬかせ若造。貴様がぐうの音も出ないほどのエンジンを作ってやるわい」

悪態とは裏腹に、ホイットルとグリフィスは固い握手を交わしていた。

754 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:20:40
インド洋演習終了後、帰国した彼らは、開発を凍結されていた軸流式ジェットエンジンの開発を再開した。
疾風の脅威を知った政府上層部も、優先的に資材と人材を回すと確約し、メトロヴィック社の工場は俄かに活況を呈することになる。

いわゆる『疾風ショック』によって、軸流式ジェットエンジンの必要性を痛感した技術者達であったが、同時にターボプロップエンジンの開発も必要と判断していた。
これはインド洋演習で、日本海軍が披露した四式艦上警戒機『旭光』の存在によるものである。

プロペラ機でありながら、レシプロ機とは明らかに違う爆音、そのサイズに比して巨大な出力。当時その場にいたグリフィスは、それがターボプロップエンジンであることを看過していたのである。
自らの理想を先に実現されていた彼の悔しさは想像に難くない。そのためか、本命の軸流式ジェットよりも早く開発が進み、1945年の秋には試作が完了。同年中に耐久試験を完了し、1946年初頭に実用化された。

英国初となる実用ターボプロップエンジンは、グリフィスの指導の下、ロールス・ロイス社が開発したものであった。
グリフィス自身が構想していた軸流式ターボプロップエンジンとは違い、こちらは既に技術的に確立している遠心式ジェットエンジンをベースに開発が進められた。
言わずと知れた名機ダート(Rolls-Royce Dart)である。

重量比出力がレシプロエンジンの倍以上ありながら、安価なケロシンで稼動するターボプロップエンジンは、当時の英国の軍民問わずに広く受け入れられた。
民間では運航コスト削減のために従来のレシプロ旅客機のエンジン換装が急速に進み、計画中の旅客機も軒並みターボプロップ機となった。
それに対応するべく、ダートの出力向上も史実通り、いや史実以上の高出力化が行われ、最終モデルでは4000馬力級の大出力となったのである。

軍用目的では、特に空軍と海軍が熱心であった。
従来のレシプロ戦闘機の延命策とジェット戦闘機の補佐として期待されたのである。

空軍では、スピットファイアがターボプロップに換装され、良好な運用実績を残した。
そのため、現存する機体のほぼ全てがターボプロップに換装された。
ターボプロップ化の際に、機体構造の強化と電装系を一新されたスピットファイアは、新たにスパイトフルの名を与えられた。
当時の最新のジェット戦闘機と共に英国の空を守り、空軍から退役後も軽攻撃機として、華南共和国やアフリカの植民地に配備されて奮戦したのである。

海軍では、マルチロール機(実質戦闘爆撃機)ペレグリンをターボプロップ化した。
エンジン重量が半分となり、さらなる大出力(RDa.10/1相当)を得ることに成功した本機は、4t近いペイロードのおかげで多種多彩な武装を搭載することが可能となり、対艦対空対地とマルチな運用が可能であった。
こちらもスパイトフルと同様に、一線を引いてからも長らく現役に留まった。

ペレグリンは当時の英国海軍にとって、理想の機体であったが、正規空母以外での運用が難しかった。
後にRATOを使用することで軽空母での運用も可能になったのであるが、目下の脅威であるドイツのUボートに対抗するには数も、運用出来る艦船も足りなかったのである。

そこで白羽の矢が立ったのが、ソードフィッシュである。
複葉機でありながら、その多用途性と使い勝手の良さから元より重宝されていた機体であるが、これをターボプロップに換装して高性能化することでUボートに対抗することにしたのである。

ターボプロップ化されたソードフィッシュは、複葉機ならではのメリットであるSTOL性能を受け継ぎながらも、他の性能は軒並み向上しており、対潜哨戒に活躍した。

運用は、船体上部に全通飛行甲板を設置した民間の商船で行われた。いわゆる史実のMACシップである。
英国本国からアフリカ方面、ブリティッシュコロンビア行きの輸送船団の中には必ず配置されており、海面下のUボートににらみを利かせていた。

ターボプロップ化によるペイロード増大により、最新の探知機器と多量の対潜兵器を搭載し、複葉機の特徴である長時間の低速飛行が可能な性能は、Uボート乗りを恐怖のどん底に叩き落したのである。

思わぬ成功に気を良くしたのか、このころの英軍では、あらゆるレシプロ機がターボプロップ化されることになる。
しかし、肝心の軸流式ジェットエンジンの開発は、難航したのである。

755 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:25:40
エンジン技術は、よく年輪に例えられることがある。
要は近道せずに、地道に積み重ねていくしか無いということである。
膨大なトライ&エラーの果てに、作っては壊し、作っては壊した果てにエンジン技術は成るのである。

「えぇいっ、耐久性が無さ過ぎる!1時間しか飛んでいないのに、推力が眼に見えて落ちているぞ!それに推力自体も不足している!」

荒っぽいランディングをした試験機から降りたホイットルは、駆け寄った整備員に開口一番に不満をぶちまけた。

「前のエンジンよりも改良はしているのですが…」
「ああ、前よりは確かに良くなっているさ!だが、まだ足りんのだ!少なくてもこのままでは、インド洋のアレには勝てん!」

タオルで汗をぬぐいつつ、ドリンクで喉を潤すホイットル。その横では、技術者達が機体に搭載した計測機器のデータを確認していた。エンジンも交換され、外されたエンジンは解析に回されることになる。

「よし、整備が終わり次第飛ぶぞ。あとどれくらいかかる?」
「2時間ください!」
「遅い!1時間でやってみせろ!」

ホイットルは開発現場から離れ、軸流ジェットの運用試験を行っていた。
地上での耐久試験とは違い、機体をぶん回し、激しい縦G、横Gをかけて、エンジン自体の耐久性を試験する危険な任務である。彼自身も既に数回、エンジンストールした機体からパラシュート脱出を経験していた。

ホイットルが、文字通り命を懸けて手に入れたデータは、軸流式ジェットエンジンの開発に大いに役立った。
しかし、それでもドイツには追い着いていなかったのである。

軸流ジェットエンジンの開発が難航していることは、政府上層部も危惧しており、当時の円卓の重要議題となった。

「…で、成功の目算はあるのかね?」
「パフラヴィー朝開闢時に、現地で築いたコネは未だに生きております」
「ナチ共に尻尾を振る現政権に、不満を持つ勢力と密かにコンタクトを取っているところです」
「MI6とLRDGの共同作戦となります。現在、細部を煮詰めているところです」

彼らは技術者で無いので、技術的な支援など出来るわけもなかった。が、別の形でなら支援は可能だった。
技術は年輪-それは覆しようの無い真理である。が、時と場合によっては覆ることもあるのである。

756 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:31:23
1945年某月。
イラン帝国南西部に位置するフーゼスターン州の港湾都市であるホッラムシャフルは、早朝にも関わらず喧騒に包まれていた。

日本との合同演習のため、ドイツの陸空軍、そして親衛隊の戦力が次々と揚陸されていく。その様子を遠方から見つめる男達がいた。

「事前の情報通りだな」
「ええ。奴らはこのままアバダン周辺に展開するでしょう。あそこは平地だし、大規模な製油所がありますので、燃料の心配をせずに機動出来ます」
「しかし、それは地図上の話だよな?」
「そうですね。確かに地形は平坦ですが、アバダン周辺は湿地帯が多くて機甲戦闘には適しません。もっとも、承知の上での選択かもしれませんが」
「…まさか、対ソ戦を前提に?」
「考えすぎかもしれませんが。湿地帯と泥濘地。どちらも戦車にとっては機動しにくい地形です。杞憂で済めば良いのですが…」

デビット・スターリング少佐は、SASの創設者として名高いが、この時点では陸軍のLRDG(長距離砂漠挺身隊:Long Range Desert Group)に所属していた。
史実とは異なり、アフリカ方面ではなく、中東方面における遅滞戦術を担当していたため、今回の作戦に抜擢されたのである。

そんな彼と会話していたのは、MI6の職員である。正確には中東を担当しているMI2の職員であるが。

イラン帝国-パフラヴィー朝の成立には、英国が深く関わっていた。
皇帝に即位したレザー・シャーの統治は英国による秘密裏の援助が無ければ立ち行かなかったのである。

史実では英国勢力の浸透を防ぎつつイランの開発を進める政策に転じたために、1941年に強制的に退位させられたのであるが、この世界ではドイツの庇護を受けることによって、未だに帝位に就いていた。

レザー・シャーの手腕によって、表向きは英国勢力の台頭は防げたのであるが、そこは世界に冠たる諜報大国である。
情報収集の手段としてのコネクション作りはしっかり行っていたのである。

ちなみに英国は世界中で同様のことを行っており、情報網の維持費が財政を圧迫していたりするのであるが、見返りも大きかったのでこれまでは特に問題は無かった。

しかし、世界に誇る大英帝国秘密情報部(MI6)も、先年の大失態により、厳しい批判に晒されていた。
汚名を返上するためにも、情報部の存在意義を再び認めさせるためにも、今回の作戦は失敗出来なかったのである。

757 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:36:54
事前の情報通りに、ドイツ陸空軍と親衛隊は、フーゼスターン州のアバダン近郊の平地に展開したのであるが、各軍とも隣接せずに、かなり離れた距離にバラバラに布陣していた。

「…なんというか、お互いの仲の悪さが良く分かる光景だな」
「しかし、好都合です。これだけ離れていれば相互連携も取り難いでしょう」
「作戦開始は何時ごろになる?」
「高官のスケジュール把握と、歩哨、見張りの配置、お宝の場所の把握もありますので、1週間程度は必要かと」
「了解した。こちらも準備を進めるとしよう」

1週間後。
アバダン近郊の廃屋に集結したMI6とLRDGの面々は、お互いの姿を確認して、お互いに何をするのか大体察していた。

「こりゃまた良くも仕立てたな。本物と区別がつかんぞ」
「うちの職員にサヴィル・ロゥで修行した職人がいましてね。本物と比べても、いや、本物以上であることは保証しますよ」

どこからどうみてもルフトヴァッフェの高官にしか見えない見事な仕立てに、スターリング少佐は感嘆していた。
他の職員も、それぞれドイツ軍の制服や作業服に身を包んでいた。これもまた、本物と区別が出来ないくらいに良く出来ていた。

「で、そちらはラクダですか…」
「ああ。砂漠は俺らのホームグラウンドだ。ラクダを操るなんてわけもない」

対するLRDGの隊員は、現地の民族衣装を纏い、ラクダに騎乗していた。
携行する武装は最低限にまとめられていた。万が一捕まっても、英国の関与を疑わせないように、ソ連製の兵器を所持し、身分証の類は一切身に着けていなかった。

ちなみに、これらのソ連製の武器は、一度完全にバラしてから調整が行われていた。
あまりのジャムっぷりに少佐が嘆いたくらいであるが、根気良く調整した結果、どうにかまともに撃てる銃となっていた。

758 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:43:55
結論から言うと、作戦は成功に終わった。想定以上の大成功であった。
真っ先に狙われたのは空軍であった。LRPGは、基地に銃弾を撃ちこみ、守備隊が追跡を開始するのを確認すると、事前に想定されたルートをラクダで逃走を開始したのである。

不慣れな地形で追跡に苦労している守備隊とは裏腹に、ラクダで移動するLRDGは機動力を損なうことなく移動出来た。
守備隊を撒くことに成功した彼らは、途中で隠してあったレンジローバーに乗り換えて離脱したのである。

襲撃で基地全体が浮き足立っている最中、密かに進入する者達がいた。
完璧にルフトヴァッフェの士官、あるいは整備員に変装しており、流暢なドイツ語を話す彼らを疑う者はいなかった。
彼らは図面を撮影し、あるいは部品を頂戴すると、進入してきたときと同じく、密かに去っていったのである。

陸軍と親衛隊にも同様の手口で作戦を成功させた彼らは、ドイツ軍の貴重な情報を大量に手に入れることが出来た。資料の一部は、後に日本にも提供されることになる。

ここまで書くと、まるでドイツ軍が無能のように見えるが、これは事前の情報集と、念入りな下準備があったからこそ可能であったことである。
それにプラスしてドイツ側の不運もあるのであるが、一例を挙げるとこのようになる。

  • 基地指令が不在だったので、迅速な対応が取れなかった。(不在の日を狙ったので当然)
  • 基地要員に体調不良を訴える者が多数いたこと。(現地住民の協力を得て、弱めの下剤を食事に混ぜていた)
  • 逃走時に、守備隊が追ってこれないルートを事前に策定。(キューベルワーゲンはジープほど走破性が高くない)
  • 3軍の連携がうまくいかなかった。(眼に見えた被害が無かったことと、面子の問題で隠蔽した)

ドイツ側は、基地に銃弾を撃ち込まれた程度としか、思っていなかった。
そのため、英国側に貴重な情報を盗まれたことに気付くことは最後まで無かったのである。

手に入れた情報であるが、大まかには以下の3点である。

  • 陸軍の主力戦車の詳細。
  • 軍用暗号の一部。
  • 最新のジェット戦闘機の機体とエンジン構造、部品の一部。

他にも手に入れた物は多く、その一部は、これまた日本に提供されることになる。

759 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:47:33

「なるほど、ここはこういう構造に…参考になるな」
「だが、ここはこうしたほうが…」
「随分割り切った設計をしているなぁ。これだと運転時間が短くなるような気がするのだが…」
「交換することを前提にしているのかもしれん。あるいは耐熱合金の性能が良いのかも…」

イラン演習は、英国上層部の予想通りの結果に終わった。もっとも、技術者達にとってはどうでも良いことであるが。

英国の技術者達は、イラン演習で手に入った、ドイツの軸流式ジェットエンジンの図面に見入っていた。
その構造は洗練されており、大いに参考となるものであった。

彼らが特に参考にした部分は、圧縮機であった。
これを叩き台にして再設計し、遠心式ジェットの燃焼器部分と組み合わせることによって、軸流式ジェットの早期実用化が図れると考えたのである。

ニーン(Rolls-Royce Nene)を代替する目的で設計された新型の軸流ジェットエンジンは、ドイツのエンジンの設計を参考にしたことから、開発速度を短縮することに成功し、1947年に試作機が製造された。

このエンジンはグリフィスによって設計された単軸式で当初、8段、後に10段の圧縮機を備える設計となり、空気流量150lb/s(68kg/s)で総圧縮比7.45であった。

エイヴォン(Rolls-Royce Avon)と後に名付けられたこのエンジンは、数々のマイナートラブルに見舞われたものの、1950年に実用化され、堅実な設計が奏功して、航空機用のみならず、船舶・産業動力向ガスタービンエンジンとして現在も使用されている。

760 :フォレストン:2014/11/12(水) 11:51:48
あとがき

というわけで、ジェットエンジン開発事情2でした。

史実で英国は、ドイツの技術者を米ソに取られてしまい、独自にジェットエンジンの開発を行うしかありませんでした。従って、自力開発は可能なのです。
しかも、この時代の英国はチート級の人材に事欠きませんし。

拙作SSで、遠心式ジェットの実用化を早めた代償に、軸流式ジェットの開発が遅れたのを、取り戻すのが今回のSSの主目的でした。
遠心式ではいずれ限界がきますし、軸流式は、ジェットだけでなく小型大出力ターボプロップの元にもなりますし。

エイヴォン自体は史実では1950年に実用化されています。
今回は非合法な手段を使って、遅れを取り戻したわけです。エイヴォンは信頼性が高く、いろいろと使い倒せるエンジンなので、史実通りに実用化出来れば、英国としては大助かりでしょう。

なお、同系列のエンジンとして、アームストロング・シドレー サファイアがあります。
ハンターや、3Vボマーに使用されたエンジンなので、こちらも早期に実用化されることでしょう。

ターボプロップは、初期ならとりあえずダートで間に合うので、多分英軍のレシプロ機の大半はダートに換装されちゃうんじゃないですかねw

重量でマーリンの半分、ちょっと細長くなりますが、出力増強で3000馬力以上は確実で、しかもハイオク要らずとくれば交換しない手はありません。
そこらへんの詳細は別の話で書くつもりです。

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最終更新:2014年12月02日 23:15