591 :taka:2014/12/07(日) 12:09:12
芙蓉部隊の戦史 ピケット艦ハンター

第二次世界大戦時、豊富な駆逐艦を持つ米軍が編み出した索敵網の一つにピケット艦がある。
これは艦隊の外周に強力なレーダーを搭載した駆逐艦を一定距離ごとに配置し索敵を行う。
これによりレーダーの網を張り巡らせ、敵艦または敵機の侵入を効率的に探知する事ができる。
物量とレーダーという質量共々兼ね備えた米海軍ならではの索敵方法といえよう。
1945年に沖縄沖合に襲来した米海軍大艦隊も、索敵用の駆逐艦を広範囲に張り巡らせた。
駆逐艦は同時にソナーを使用し伊号が船団に近づくのを妨害する枷にもなる。
能率、効率ともに合理的かつ贅沢な米国らしい防御網だった。

この厄介な索敵を打ち崩す為に、様々な方法が試されたが有名なのは夜襲で名を馳せた芙蓉部隊である。
彼らは主に零戦、そして彗星を運用していたがこの二種を使用し効果的にピケット艦を無力化させていたのだ。

まず、2~3機の零戦が当時の対艦攻撃法として最も革新的とされていた三式一番二八号爆弾を搭載。
発見したピケット艦に対し水平攻撃を行う。三式一番二八号爆弾は対艦用に爆薬を調整したものを使用した。
場合によっては更に機銃射撃を加え、駆逐艦の対空能力を切り崩す。
攻撃する側は、必ず右舷か左舷どちらか重点的に行う。
ロケット弾と銃撃で非装甲や弱装甲の銃座や砲塔を潰す。できればレーダーも破壊する。
レーダーを破壊できれば、例え撃破や撃沈が出来ずともピケット艦としての任務を継続出来ない。
零戦が露払いを果たした後、やってくるのは1~3機の25番か50番を抱えた彗星だった。
そして対空能力を漸減させられた駆逐艦に、爆弾攻撃を行い致命的な打撃を与える。
沈没は出来なくとも、任務を続行できなくなり網の一角を切り崩せばそれでよし。という訳だ。

これを考えたのは転生者だった。
彼は米軍が大和を沈めた時に、第一波攻撃隊を艦爆と戦闘機に纏め対空能力を削ぎ落としたのを覚えていたのだ。
米軍らしい能率的な対艦攻撃方法を、意趣返しとして上手く利用してやったのだ。

こうして、数機で編成された攻撃隊はピケット艦を発見次第攻撃し索敵網を絶えず綻びさせていった。
勿論これを出来たのは芙蓉部隊の練度と連携の高さ、その方法を支持した軍上層部の一派の支援故だろう。
なにより米軍の索敵手段を破壊する事が航空隊による航空攻撃成功へと繋がると理解し指導した美濃部正少佐の度量といえる。
沖縄沖海戦前哨においても彼らは何度も出撃を繰り返し、対空砲を受けて火達磨になった零戦がそのままフレッチャー級に体当たりするなど壮絶な攻撃を繰り返した。
中には5隻を超える駆逐艦を撃沈した猛者が集う襲撃班もおり、芙蓉部隊の活躍の1ページとして華を添えている。

終わり
最終更新:2014年12月11日 18:38