720. earth 2011/05/09(月) 22:33:09
妄想と勢いで突っ走ったネタのネタなので本編とは関係ありません(笑)。


  西暦194X年、日本対米中連合の太平洋戦争は、大日本帝国の完全勝利という形で終った。
  世界随一の超大国であったアメリカを降したことで、大日本帝国の太平洋の覇権を確固たるものにした日本海軍であったが
それゆえに彼らは膨張した自身の軍備を削減しなければならなかった。
  対独戦争、対米戦争と立て続けの対外戦争のために膨れ上がった軍備を削減しなければ、大日本帝国の財政がもたないのだ。
  すでに大蔵省からは矢の催促が届いている。  

「ポスト削減のせいで恨みを買いそうだ」

  対米戦争終了後も何故か総理を続投させられている嶋田は、官邸の執務室でため息をつきながら海軍縮小に着手する。
  彼は海軍内部を取りまとめつつ夢幻会の会合で辻と喧々囂々の議論を行った。
  嶋田としては、ある程度の軍事的プレゼンスを維持するために、最低限の軍備を維持しようと必死に辻相手に交渉に挑んだ。
何しろ広がった日本の勢力圏を守るためには、戦前以上の軍備が必要だったからだ。
  
「戦時量産空母の祥鳳型は大半が売却か、予備艦行きかのどちらか。赤城は保存で、天城は解体。隼鷹型2隻は練習空母に。
  戦艦も金剛型と扶桑型は即時解体。伊勢は予備艦指定……やれやれ兵力のやり繰りが大変だ」
  
  議論を終えた嶋田はため息をつく。だが辻は尚も不満そうな顔をする。

「何か不満でも?。改大鳳型空母である白鳳、大和型戦艦2隻の建造を認めたんですよ。
  それに赤城と天城は白鳳が、伊勢、日向は大和型2隻が配備されるまでは現役にするんですから。
  アメリカが滅亡した以上、暫くは正規空母6隻(+練習空母2隻)、軽空母3隻、戦艦6隻(+予備艦2隻)、超甲巡2隻が
  あれば打撃力は十分でしょう。それに警備のための巡洋艦は可能な限り維持しています」
「……従来のような決戦のための海軍は不要と言うわけですか」
「時代の流れです。受容れてください」

  米海軍が滅んだ今、日本海軍に対抗可能な海軍は存在しなかった。
  日本海軍はライバルを滅ぼした故に、これまでの自身の存在理由を消滅させてしまったのだ。  
  かくして日本海軍は軍縮に舵を切る。だが残酷な神はこれまでに流れた血の量に満足していなかった。
  
「奇妙な霧だと?」

  日本近海に突如として現れた黒い霧。向こう側が全く見えない深い霧に偵察機を突入させる日本軍。
  その先には信じがたい光景が広がっていた。

「は?  日本列島がもう一つある?」
721. earth 2011/05/09(月) 22:33:51
  霧の先に現れたのは西暦1941年8月2日の大日本帝国。
  南部仏印に進駐してアメリカの怒りを買い、石油の全面禁輸を受けて行き詰った並行世界の、夢幻会の人間からすれば
過去の日本であった。
  夢幻会の人間もあまりの予想外の展開に唖然とする中、2つの日本は接触を果たすことになる。  
  そして彼らは双方のギャップに戸惑うことになる。

「日露戦争で使った三八式歩兵銃が主力小銃?  冗談だろう?」
「これ本当に九七式戦車か?  こんな砲じゃあ、満足に米軍の戦車でも撃ちぬけないぞ。あと発動機も信頼性に欠ける」
「砲兵が貧弱すぎないか?  これだとソ連軍どころか、米軍相手にだって満足に戦えないだろうに」
「補給を軽視し過ぎてないか?」

  史実日本を知らない夢幻会以外の陸軍将校は、史実日本陸軍を見てあっけに取られる。
  勿論、それは海軍も同じだった。

「この機上無線機、雑音だらけで殆ど使えないぞ」
「オイルも質が酷い。あと部品の精度も、もう少し何とかできないか?  どうも基礎分野が疎かになっている気がする」
「電探がない?  見張だけで戦争ができると思っているのか?」
「向こうの潜水艦は静寂性という概念がないのか?  すぐに探知できるが」

  他にも色々とあるが、彼らが一番驚いたのは陸海軍の仲の悪さだった。

「「「連中、外国と戦争する前に海軍(陸軍)と戦争してないか?」」」

  何でここまで差が出るのだろう、と誰もが不思議がった。
  勿論、それは史実側も同じだった。いや、むしろ彼らの場合は驚愕したと言ってよい。  
  夢幻会がある世界の帝都東京に建設されつつある多数の高層ビル。整備された高速鉄道網。整備された道路を行きかう
大量の自動車。巨大な港湾に入る豪華客船や巨大タンカー。アメリカのデトロイトには及ばないが、世界有数の規模であろう工業地帯。
  この国が軍事力だけでなく、経済力でも自分達を圧倒していることを端的に示していた。
  加えて陸海軍が協調し、兵器開発や生産、さらに物資面でも融通しあっていることを知って軍高官はひっくり返った。

「「「何をどうやれば、あんなに海軍(陸軍)と協調できるんだ?」」」
    
  史実側の日本帝国は、この別世界の日本の異質さに驚き、警戒しつつも、この隣国(?)を利用しようと目論む。
特に海軍は軍縮で廃棄予定の空母や航空機、それに各種の誘導兵器を熱心に欲しがった。米国の両洋艦隊計画に怯える彼らにとって
廃棄される予定の兵器は余りに魅力的だった。
  一方で夢幻会が存在する世界では、村中少将を筆頭にした親夢幻会派とも言うべき派閥が蠢動を始めた。

「衆愚政治の果てに、袋小路に嵌った帝国。賢人政治によって太平洋の覇者となった帝国。この2つの差をみれば
  我が国がとるべき道は明らかだ!」

  かくして夢幻会の、会合メンバーの苦闘が始まる。


  ……って、ネタなので続きません(爆)。

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最終更新:2012年01月02日 05:05