46 :ハニワ一号:2014/12/03(水) 20:40:06
惑星日本ネタSS
かつて地球と呼ばれた星に日本という弧状列島が存在していた。
数百年前、統一政権が誕生して戦国時代という長き戦乱が収まったばかりの日本という国は、ある日に突然に謎の消滅をしてしまったのだ。
そう伝説に語られるムー大陸やアトランティス大陸のごとく一夜にして海底に沈没してしまったかのようだ。
最初こそ日本の突然の消滅は大きく騒がれたがやがて日本という国は忘れられ世界各国の記録に痕跡を残すのみとなるだろう。
そして将来にとある好事家が日本の記録を再発見して特異な事例から日本がムーやアトランティスと同列に語られなぜ突然消滅したのか研究の対象となる事だろう。
第4惑星火星と呼ばれるはずだった惑星。
そこは本来ならば星は赤く生命も存在しない不毛な惑星であったはずだった。
だがこの世界での火星は何者かの超越者による干渉かそれとも奇跡的な幸運によって地球に似た惑星として存在できたのかそれとも他の理由があるいのか詳しいことはわからないが地球同様に青く海が存在して知的生命体こそ誕生していなかったものの生命に満ちあふれて火星独自の生態系が発展していた。
そんな火星に数百年前に地球で謎の消失をしたはずの日本が存在していたのだ。
そう日本は海底に沈没したのではなく火星に転移してしまったのだ。
火星に転移した日本の範囲は史実の日本の範囲に加えて樺太と千島列島全域も一緒に転移してしたのだ。
そして日本人たちは数百年もの年月をかけて火星を開拓して発展してきたのだ。
日本人たちは転移した惑星の事を火星とは呼んでいなかった。この星の事を日本人たちはこう呼んでいた。
「惑星日本」と・・・。
47 :ハニワ一号:2014/12/03(水) 20:40:43
「火星が地球化しているだけでも驚きなのにそこに日本が転移して惑星日本になるとは・・・。」
「惑星日本か・・・。惑星丸ごとが日本の物になるとは確かに惑星日本と呼ぶのがふさわしいな。」
「まさか火星人がタコでもなくゴキブリでもなく日本人になるとはな・・・。」
「しかもARIAファンの過去の転生者たちの熱意(暴走ともいう)によってARIAのネオ・ヴェネツィアに似た都市が誕生しているし・・・。」
「そういえば地球に日本が存在しないことで地球の世界情勢とかどう変化するでしょうね。」
「ロシア帝国が満州、朝鮮を飲み込み清帝国を蚕食して肥大化して東アジアに深入りした結果、欧州の友好関係や同盟関係が変化して第一次世界大戦の様相が変わってしまう可能性もありますし、様々な手段で地球の情勢を情報収集した結果待ちですね。」
夢幻会の面々は転生した先が惑星日本となってしまった火星だと知って困惑するやら苦笑するやらたが中国や朝鮮が隣人ではなくなりもう関わらずにすむと知っただけでも大喜びでバンザイしたほどだ。
米国や欧州も地球と惑星日本の距離からすぐに惑星日本に手を出すことは難しいだろう。
だからと言って地球と関わらずに安心して引きこもって惑星日本や宇宙開発に専念できるというわけではなかった。
日本が転移したのは1600年代初頭の江戸幕府が誕生した頃だ。幸いにして当時夢幻会がすでに誕生して江戸幕府を動かしていた。そのため火星への転移という混乱も最小限に抑えることができたのだ。
そして火星の重力が地球と同様となっていた事も大きかった。(このことは何らかの存在が過去に重力制御の技術で火星の重力を地球と同じようにしたのかそれともこの世界で火星が史実の火星とは違って偶然に地球と同じような重力を持ってしまったのか様々な議論がある。)
事態を把握した当時の夢幻会は中華や朝鮮と縁が切れたことに大喜びしたが数百年後の事を考えるとそう喜んでもいられなかった。
なぜならば史実と違い生命が存在せず人の住めない赤い惑星ではなくテラフォーミングせずとも人類が移住可能な青い惑星が太陽系に存在して、その青い惑星である火星を目指して大航海時代見たく欧米の白人勢力が史実よりも宇宙開発に力を入れて火星に植民や資源目的で惑星日本となった火星にやってくることが予想された。
確かに平和的なファーストコンタクトが成立して地球の諸国家と友好関係を結び交易ができれば理想的だろう。
48 :ハニワ一号:2014/12/03(水) 20:41:23
だがこの世界の地球では日本が転移してしまった事により日本が存在せず、代わりに白人の国家に対抗できる非白人の国々が存在しないことによって地球では史実よりも強く白人によって支配された時代が続いていく事が予想されたのだ。
そして火星に住む火星人(日本人)が地球の黄色人種に似た存在だと知った彼ら白人国家が惑星日本に対してどう出るかが不安要素だった。
地球と火星には距離の防壁が存在しており、その困難さからすぐに武力で侵攻することは不可能であるにせよ地球と惑星日本との間で地球側の人種的偏見から対立の火種がおきて将来に地球と惑星日本による宇宙戦争が起きるかもしれなかった。
夢幻会がいくら火星の日本人の存在を隠そうとしても科学技術の発達によって地球でも火星に生命が存在して文明を持っていることが観測されるだろうし、そのため転移当時の夢幻会では将来の地球とのファーストコンタクトで惑星日本が優位に立てられるように火星の植民開発と科学技術の発展、特に宇宙開発進められていた。
地球とのファーストコンタクト時に惑星日本と地球と科学技術の差を最低でも一世紀は差をつけられるように目標が立てられることになった。
「数百年の努力の果てに20世紀前半に軌道エレベータが建設できるようになるとは思わなかったな。」
「数百年もの間に夢幻会知識で科学技術を発展させて国内外に敵らしい勢力が存在せず平和でしたから、軍備を必要最低限に抑えてその分を火星開発と宇宙開発に回す事が出来ましたからね。当然と言えば当然ですが・・・。」
「将来の万一の地球との宇宙戦争に備えて宇宙軍を成立させて、宇宙戦争に必要な軍備の研究や兵器開発には力を入れています。しかし問題なのは長い平和による日本人の平和ボケの対策の方でしょうね。」
これには夢幻会の一同も押し黙った。
地球人、特に白人や中華人、朝鮮人を詳しく知っている夢幻会を除いて、大多数の日本人たちは地球の実態を詳しく知らず地球人と友好的な関係が築けると無邪気に信じていて夢幻会の悩みの種になっていった。
火星には敵対するような火星現住の知的生命体が存在せず、また夢幻会が頑張ったおかげで大規模な内戦も独立戦争も起きておらず火星には複数の国家が群雄割拠することもなく大日本帝国によって統一されていた。
そのため夢幻会を除く大多数の日本人が平和ボケに染まってしまうのは仕方のない事だろう。夢幻会を除く非転生者の権力者たちは夢幻会の働きや説得によって地球の危険性に危機感を持つ者もいたが現実に地球の実態を見ていないために実感には乏しいのは否めなかった。
49 :ハニワ一号:2014/12/03(水) 20:42:00
しかし大日本帝国軍の軍備や戦術も夢幻会がいなければ今も刀や槍、火縄銃のままで宇宙船も開発されずに火星までやってきた地球の諸国家によって征服されたかもしれないのだ
大日本帝国軍の軍備や戦術の戦乱や内戦を経ずに変更できたのは転移以来数百年の長きにわたって日本の影の支配者として動かして成功してきた夢幻会の信頼と実績があってこそ出来たことだ。
「地球側と友好的な関係を結べる可能性ありますし、仮に地球側の勢力と敵対してもそれがすべてというわけではなく友好を結ぼうとする勢力も存在しますし地球に対して過度な警戒心を持ってしまいこちらから地球に対して摩擦を起こすようになっては本末転倒ですからね。」
「日本人が地球に対して常識的な危機感を持つようにうまくさじ加減をして友好と危機感のバランスをうまくとらないといけませんな。」
「小惑星を地球に落としたり、
アメリカ風邪のような生物兵器を地球にばらまくなどすれば地球人類は絶滅せずとも地球の文明は大きく後退して我々の悩みの種はなくなり安心して宇宙開発に専念できるのですがね。」
「おいおい、気持ちはわかるがそれはやっちゃいけない禁じ手だろ。」
「やるとしてもどうしようもない最悪の事態になってからだ。」
会議の最中に出た過激な意見をいさめる夢幻会の面々たち。
「わかっていますよ。冗談で言ってみただけですよ。」
過激な意見をいった夢幻会員はそういってその場を収めた。
とはいえ夢幻会では小惑星を地球に落とす、冷戦時にステルスで身を隠した宇宙船かロケットで対立する2つの超大国に核を落として核戦争を起こして地球世界の文明を大きく後退させる等の万一の場合に備えて衝号計画を超える計画が研究、検討されているのは事実であった。
惑星日本と地球とのファーストコンタクトが惑星日本と地球との平和への道かそれとも対立への道になるかどうかは夢幻会にもわからない・・・。
出来れば平和と友好の道であってほしいと願う夢幻会だった。
50 :ハニワ一号:2014/12/03(水) 20:42:34
あとがき
ここに惑星日本をお届けします。
地球化した火星に日本列島が転移して惑星日本になってしまうお話ですがどうでしたか。
惑星日本というネタが思いついたとき
日本大陸ネタが思い浮かんだのと同様にこれは面白いネタだと思いSSとして形にして皆さんの前に出したくなりこうして本作の惑星日本が誕生しました。
日本大陸同様にお楽しみいただけたら幸いです。
最終更新:2015年01月17日 17:18