- 788. earth 2011/05/14(土) 00:17:18
- 何故か続きが書けてしまった。ネタのネタの第二弾です。
疲れた頭でノリと妄想と勢いで突っ走っています。
史実日本との交流はメリットが少なすぎるとして、交流に消極的だった夢幻会であったが、あまり無碍に扱うと
史実日本が暴発して面倒なことになりかねないので、最低限の交流を行うことを決定した。
これによって史実日本が喉から手がでるほど欲しがっている石油をはじめとした資源、それに鉄屑や、廃棄予定の
ものを含んだ兵器の売却が行われることになった。
「まぁ旧式兵器や廃却予定の兵器を売れる国ができたと思えばいいでしょう。戦時量産型とは言え、艦船を
売りつけられる国はなかなかないですからね」
夢幻会の会合の席で、辻はそういって首をすくめる。
史実日本は米国から鉄屑さえ輸入していた。こちらの世界から出た鉄屑でも十分に需要はあり金にはなる。
(まぁさすがに史実日本が必要とするだけの資源をすべて輸出するのは不可能だったが……)
さらに史実日本は九六式や烈風を運用するにしても、こちら側から燃料や部品を購入しなければならない。
その点を考慮すればよいお客さんだった。
「しかし代金を回収できるのか?」
嶋田はそう懸念するが、辻は問題ないという顔で答える。
「菱刈鉱山などの情報を伝えますから、何とかなるでしょう。本当はこちらで押さえたいのですが、霧が突然なくなった
ときのことを考えると、下手に投資はできません」
さすがの辻もリスキーな投資はできるだけ避けたかった。
軍も異世界に遭難者を出したくないので、異世界への出向、出兵はできるだけ避けていた。自分達の世界で(不本意ながら)
覇権を持っている彼らにとって、わざわざリスクを犯してまで異世界に行く理由はなかった。
このため交易といっても、基本的には史実側がこちら側に取りに来るのが基本だった。おまけに支払いは金などの貴金属が
中心だった。
「満州の油田の情報も教えますが、まぁ連中の技術力では大して使えないでしょう。どうしても使いたいなら、こちら側の
技術を買うしかない」
「容赦なく、毟り取る気満々ですか」
「失礼な。対価ですよ。価格だって良心的です。連中も多少は余裕ができれば、早まったことはしないでしょう。
それにこちらが売却した兵器を使いこなすようになるころには、独逸の快進撃も止まっていますし、少しは頭も冷えるでしょう」
辻がわざわざ兵器の売却を行うのは金のためだけではなかった。むしろ史実日本側が羨む高性能兵器を格安で売却することで
逆に史実日本が無謀な開戦をしないように誘導することを狙っていたのだ。
「あと、史実日本の失敗振りを反面教師として、日本人の慢心を戒めるようにしましょう。驕れる日本人なんて死亡フラグです」
- 789. earth 2011/05/14(土) 00:17:50
- 余裕の出来た史実日本では、満州防衛に力を注ぎつつ、ゲートの向こう側の日本との交流を推進することで今を凌ごうと
考える勢力が台頭していた。
「とりあえず石油が手に入る算段は立った。今は自重するのが良いだろう。それに来年の8月に向こうの世界と同じように
津波が起これば状況は変わる」
日本政府、軍部では今は自重のときと考える人間が増えた。
仮に津波が起こらなかったとしても、向こう側の進んだ技術や兵器を習得してしまえば、米国ともある程度戦えると
考える人間たちは強硬派の中にも現れ始め、開戦ムードは若干トーンダウンする。
だが満州で大油田が見つかったとの情報は、日本のザルな防諜体制のせいであっさり世界各国の知るところになった。
アメリカは日本が独自の油田を手にいれ、それも何者かの助力によって油田の開発が可能らしいとの情報を手に入れて
日本への警戒を強めた。中華民国は満州の油田を手に入れるためにさらに対米工作を強化し、これにソ連も便乗した。
強欲なスターリンからすれば、満州とは本来、自分達のものであり、そこの油田も自分達が手に入れるべきものだった。
「何としても日米関係を引き裂け。日米が戦っている隙に、満州を奪い取るために」
一方、独逸も史実日本が引篭もることを警戒した。独ソ戦を始めていた彼らは日本を北進させようとけしかける。
大国の思惑に史実日本は翻弄されることになる。
史実日本が諸外国に翻弄されるころ、夢幻会もまた苦難のときを迎える。
史実日本の貧弱振り、外交面、軍事面、経済面での行き詰まりを見た人間達、特に村中少将たちは民主主義をますます
軽蔑するようになった。
「超大国であったアメリカが崩壊したのも、全ては民主主義、経済至上主義、行き過ぎた地域分権が原因だ。
むこうの日本の行き詰まり、この世界でのアメリカの崩壊、ナチスドイツの台頭、イギリスの弱体化、どれもこれも
民主主義によって引き起こされたものと言えよう」
「超大国となった帝国が繁栄を持続するためには、愚かな政治家は排除し、賢人による政治を行わなければならない」
「自分達の利益、再選しか興味のない愚物に、国家の舵取りを取らせてはならない」
夢幻会は史実日本を反面教師にした。だがそのことで史実日本の失敗が浮き彫りとなった。そしてその失敗を悉く
カバーし日本を世界有数の大国(軍事力では世界一)とした夢幻会の功績がどれほどのものだったかが明らかになった。
これによって親夢幻会派はますます勢いを増す。夢幻会に非好意的な人間たちでさえ、夢幻会なき世界の日本の姿を
見て、考えを改めざるを得なくなるほどだった。
「イギリスでは円卓と呼ばれる機関ができた。やはりこのような政治機構は有効ということか」
「西アメリカでも有力者達が夢幻会と似たような組織の立ち上げを急いでいるとの情報もある。このままでは民主主義は
退潮する。何とかしなければならないが、夢幻会の功績は否定できん。どうすれば」
「夢幻会は確かに優秀だ。だが彼らの暴走がないとも言えない。国家に組み込み、政治家が監視する枠組みを作るべきだ」
「夢幻会とうまく付き合うことができれば、旨い汁が吸えそうだ」
夢幻会による独裁を望む者、民主主義の行く末を案じる者、夢幻会を公的機関として国家に組み込もうとする者、
夢幻会の英知や権力を利用しようと目論む者……夢幻会自体の意思を他所にして、彼らは策謀する。
勿論、これらの矢面に立つのは、総理大臣であり、夢幻会最高幹部である嶋田だった。
「……神様。俺、前世で何か悪いことしましたか? それとも衝号とか粛清とかやった報いですか?」
頭を抱える嶋田。超大国のリーダーに心休まる日が来るのか、それは誰にもわからなかった。
多分、この第二弾で終わりになります。多分(爆)。
ネタで火葬戦記としてはやはり、第二次太平洋戦争(憂鬱日本&史実日本VS連合国)になり、一心不乱の大戦争を
するのが筋なんでしょうが……史実日本側に足を引っ張られて頭を抱える会合メンバーの面々が目に浮かぶ(笑)。
最終更新:2012年01月02日 05:06