- 887. 名無し三流 2011/05/22(日) 10:23:52
- {面白そうだったので
- →869-870
- 『風雲・嶋田城!』の裏話を書いてみました。
イタリア人の思考回路はすごいですw
***
日本、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど様々な国家から派遣されてきた軍人達による運動会。
これは史実を知る逆行者達にとっては夢のドリームマッチ、嶋田にとっては大災難だったのだが、
実際に参加する軍人達にとっては正に真剣勝負だった。
世界が認める強国の1つとなった日本でのこの大会は、彼らの母国の威信がかかっていたのだ。
『ライフル射撃』の部門では芬蘭代表のシモ・ヘイヘ選手が1発目の弾を的のど真ん中に命中させ、
さらに残りの9発を的に空いた穴(1発目が命中してできたもの)の部分に的確に滑り込ませるという、
ゴルゴ13並みの離れ業を披露して他国の選手達を驚かせた。
また、他の競技でも並み居るチート軍人達がその特性を多いに発揮し、運動会は実に白熱していた。
運動会ネタ第二弾『風雲・嶋田城!』の裏話
そしてこの運動会の目玉競技の1つ、『城攻め』。
ドイツ、イタリア、フランスなどの枢軸勢力が中心となる攻撃側の本陣では、
チームの総指揮官を総統ヒトラーより直々に命じられたエルヴィン・ロンメルと、
その補佐役を同じく直々に命じられたオットー・スコルッツェニーが相談をしていた。
その間にも、攻撃側部隊からの悲鳴のような連絡は次々と入ってくる。
《畜生、またやられました、8人目です!》
《現在日本部隊と混戦中!大きな被害が出ています、増援を!》
《英部隊の襲撃を受けてます!敵はおそらく植民地兵、ええい、しつこい連中だ!!》
《こちら仏部隊!伊部隊はどこに!?このままだと逆に押し返される!》
「防衛側め、予想以上に硬い」
「芬蘭の狙撃兵部隊が実に良い仕事をしている。もっとも我々にとっては災厄だが……
ともかく、まともな攻撃ルートがこの正門と、反対側の裏門ぐらいしか無い以上取れる手は限られてくるな」
防衛側のしぶとさに感心するスコルッツェニーに、
机の上に広げられた地図を指し示してロンメルが言う。
「本物の戦争なら敵の格好をした部隊を紛れ込ませて錯乱させてやる所だが、
これがルール違反になってしまうというのだから困ったものだな」
スコルッツェニーがぼやく。防衛側および夢幻会側からすれば「ああ、助かった」と言いたい所だろうが。
「日本人は正々堂々とした勝負では、不意打ちなどの卑怯な手段は好まないそうだからな。諦めるしか無かろう。
まずは現状をこの目で確認しなくてはならん。望遠鏡はあっちだったな」
この競技では、攻撃、防衛の両チームの本陣に幾つかの高性能望遠鏡が配備されている。
前線の様子を把握するためのものだが、非常に遠くまで見え、且つ精度がとてもいいので、
「これを母国に持ち帰りたい」という選手は少なくなかった。ちなみにロンメルもその1人である。
そんな望遠鏡へロンメルとスコルッツェニーが目をやると、
そこには沢山のイタリア兵が群がり、ガヤガヤと騒いでいた。望遠鏡を観客席の方へ向けながら。
「おい、お前どの子がいいと思う?」
「俺はあのストレートヘアーの子がいいな、清楚で」
「あ、見ろよあの女。多分ロシア系だぞ。すげぇスタイルだ」
「この競技が終わったらみんなでナンパしに行こうぜ」
「「「「おう!」」」」
『私はその時、確かにオットーの何かがブツリと切れる音を聞いたような気がするのだ』
―――――エルヴィン・ロンメルの回顧録より抜粋
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- 888. 名無し三流 2011/05/22(日) 10:24:43
- 十数分後、城の裏手へ回る道。そこでは数名のイタリア人がコソコソと動いていた。
「畜生ドイツ人め、俺達からステキな望遠鏡を取り上げやがって。
しかもこんな少人数で裏口に突っ込むのかよ」
「今からでも遅くない、またコッソリ戻らないか?」
「そこで敵に見つかったら元も子もないぜ」
「またドイツ人に雷を落とされるのもゴメンだからな〜」
口々に愚痴を言うイタリア兵の1人が、木の陰にコッソリ設置されているカメラを発見した。
「何だこりゃ」
「沢山の言語で何か書いてあるぞ。お、イタリア語もある。えーとなになに………『競技中継用カメラ』?」
「どういう事だ?」
「これで俺達の様子を観察してるんじゃないのか?
うーん、でも防衛側がこんな物を持ってるなんて話は無かったしな」
「防衛側のモンじゃないなら、これの映像は一体誰が見てるんだろうな」
「そりゃ観客じゃねぇの?観客席からはこんなトコまで見えないだろうしよ」
「「「「……………」」」」
ここに来て彼らは思った。自分達の行動はこのカメラを通して観客席に届いている。
そして観客席にはあのカワイイ娘達がいる。観客席にいる以上、彼女らもこのカメラの映像を見ているだろう。
さらに、そのカメラに映っているのは自分達だ。彼女らが自分達の姿を見ているのだ。
「こういうカメラは他にもあちこちにあるかもしれねえ、いやあるはずだ」
「もし俺らの活躍がこのカメラに映し出されたなら………」
「この競技が終わったら女の子達は俺達に飛びついてくるぜ
『キャーカッコイイー』とか『ステキー』『男前ー』ってな。へへへ」
「………そうなりゃやる事は1つだ」
「おう………」
「「「「俺達が、裏門を突破する」」」」
- 889. 名無し三流 2011/05/22(日) 10:25:29
- その後。所変わって、防衛側本陣。
「ドイツ軍が正門に猛攻を仕掛けています!」
「押し返せ!」
「イタリア軍が裏門から攻め込んでいます。守備隊、苦戦中!」
「くそったれ、イタリア人め、何で少人数になるとこうも強いんだ!」
イタリア兵達の猛攻撃は、彼らが少人数であるという事を少しも感じさせないものだった。
故に防衛側も思わぬ苦戦を強いられる事になるが、苦労していたのは攻撃側も同じだった。
時は少し遡り、攻撃側本陣。
「イタリア兵が作戦開始時刻を無視して攻撃を始めました!」
「あいつら何をやってるんだ!?バカか!?」
「しかも裏門の敵守備隊を押してるようです!」
「ええい、仕方ない!B集団、A集団の正門攻撃を支援に回れ!」
ロンメルらの作戦は、『精強(と思われているであろう)なドイツ軍部隊の一部に正門を攻撃させ、
そこへ防衛側部隊の反撃が集中した隙に裏門を少人数のイタリア軍部隊に攻撃させる』というものだった。
しかし、前述のような事があってにわかに勇み足となったイタリア兵達は『時間差攻撃』という、
ロンメルらの作戦のキモをすっかり忘れてしまっていた。
結果、正門へのドイツ兵らの攻撃と、裏門へのイタリア兵らの攻撃がほぼ同時となってしまったのである。
「何をやってるんだ、あいつらは………正直、あれほど面倒な部下を持った事は今まで一度も無い」
「良い経験になると思えば良いだろう。そういう連中でも使ってやらねばならんのが我々だ」
「頭では分かっているが、どうもな。本気で戦闘しようという気が感じられんのだよ」
「それがイタリア人というものなのだろう」
眉間に皺を寄せて不愉快な顔をするスコルッツェニーをロンメルが諭す。
かくして攻防戦はさらに加熱していく。
〜あとがき〜
私もこの位が限界でした。続きでなくて申し訳ありません>>earth様
そういえば、イタリア軍にはWW2時に
「イギリス軍の捕虜になったが見事脱走、しかしその後ナンパしている所を見つかった」
というギャグマンガのような事になった士官がおるそうですが本当ですかね?
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最終更新:2012年01月02日 07:20