996. 名無し三流 2011/06/11(土) 08:50:26
ではこのレスより開始いたします。どう見ても閣下無双フラグです、本当に(ry



***



「うん、良い機体だ」


  1974年、カンザス州。ハンス・ウルリッヒ・ルーデルは、
アメリカ軍が新規に開発した地上攻撃機、A−10に搭乗していた。

  この日は、A−10の地上陣地、防空陣地に対する攻撃性能をテストする日だった。
このテストには米軍の現役パイロットが参加する事になっていたのだが、
同機の開発顧問として招かれていた"戦車撃破王"ハンス・ルーデルはフェアチャイルド社と米軍に対し突然、
「自分もこのテストに参加したい」と言い出したのだ。

  当時ルーデルがパイロットとしてはやや高齢であった事や、
元ナチスドイツの軍人であるという事で社と軍は懸念を示したものの、
ルーデルの熱意に折れて結局はこれを認める事になった。


「防御能力も十分。それに操縦性もかなりのものだ。
  これなら敵戦闘機が襲って来ても安心だな」

  ルーデルはそう言いつつ標的用に設置された防空陣地へマーベリックを発射する。
AGM−65はまだA−10へのインテグレーションが済んでいないので、シミュレーション上の話ではあるが……





  その直後、異変は起きた。





  ルーデルのA−10が突然、激しい振動を始めたのだ。


「エンジンの異常か!?」


  しかし不思議な事に、A−10の計器類は何の警告も見せない。

  ルーデルは計器を斜め45°の角度で叩いてみるが、効果は無かった。
そうこうしている内にA−10の周囲は、謎の虹色の光に包まれていった。
997. 名無し三流 2011/06/11(土) 08:51:10
「くそ……一体何がどうなっているんだ」


  答える者はいなかった。
そしてA−10を完全に包んだ虹色の光が消え、機体の振動が無くなった時、
ルーデルは眼下に信じられないものを見た。


「KV−1だと…………!?」



                提督たちの憂鬱  ネタSS  〜ふたりは戦車撃破王〜



  彼の眼下にいたのは、紛れも無くソ連戦車KV−1の一団であった。
その横にはKV−1に似たフォルムを持つ妙な戦車もいる。
そしてもう一方にはわらわらと動く人影が見える。
それはヘルメットから察するに、第二次大戦中のドイツ国防軍の歩兵であった。

「馬鹿な。映画の撮影でもしているのか?」

  そう思った次の瞬間、KV−1が歩兵部隊に向けて発砲した。
それは榴弾だったらしく、着弾地点の周囲にいた兵隊が薙ぎ払われていく。

「いや、連中は本気か……!」


  ルーデルの心に迷いは無かった。彼はA−10を急旋回させると、
KV−1の方目掛けて突貫し、GAU−8アヴェンジャーを撃つ。
機首下の30mmガトリング砲から放たれた鋼の雨は、
KV−1やKV−1似の戦車をあっという間にスクラップにしていく。


  方やWW?初期の戦車。方や戦後に開発された最新鋭の地上攻撃機。
勝敗は火を見るより明らかであった。戦車隊を壊滅させると、
スクラップとなった戦車を横目にルーデルは考え込んだ。


  彼は、理由は分からないが自分はWW?の世界に逆行してしまったらしい、
と確信していた。至近距離から見たドイツ兵は自分があの時見てきたのと殆ど同じ格好だったし、
何よりも地上の、空の、その雰囲気が紛れも無く東部戦線の空気をかもし出していたからだ。


「だが、問題はそこではない……仮に自分が本当にあの時に逆行してしまったとしたら、
  私はこれからどうすればいいのだろう?」


  あの独ソ戦に参加し、再びソ連軍を相手に戦う。そういう考えもあった。
しかし突然、訳も分からぬ飛行機を持って現れ、「自分は未来から来た」などと言う人間を信用する所があるだろうか?
それに、あの時代にこのA−10はオーバーテクノロジーの塊だ。
戦うのならこの機体が良かったが、当時のドイツでもA−10をまともに運用できるかは甚だ怪しかった。


「というか無理だな。弾も、燃料も、装甲も、要求される技術レベルが違いすぎる。
  一回の会戦ぐらいなら単機で戦局をひっくり返す事もできなくはないだろうが……」


  だが、時間は彼にそういう事を考えさせる余裕を与えなかった。
998. 名無し三流 2011/06/11(土) 08:51:42
「おいヘンシェル。イワンの戦車隊、完全に壊滅しているぞ?」

「妙ですね。救援要請があってからまだ少ししか経ってません。
  もう誰かが全滅させたのでしょうか?」

  1機のJu−87がKV−1の残骸の周囲を旋回する。
見るに、KV−1は爆弾とも対戦車砲とも違う「何か圧倒的な火力」によって殲滅されたようだった。
穴だらけになったKV−1の装甲がそれを物語っている。

「味方が新兵器でも投入したのですかね」

  後部座席からエルヴィン・ヘンシェルが問う。

「さあな。………待て、あの機体は何だ?」

  東部戦線随一のスツーカ乗り、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルはKV−1だった鉄の塊の、
さらに向こうを飛行する今までに見たことの無い飛行機をすぐに視認した。
そして間髪入れずに無線機で呼びかける。

「こちらはスツーカ隊のハンス・ルーデルだ。貴機の所属を問う」



「見つかったな」

  A−10の中で、ルーデルは単機で飛んでくるJu−87を発見した。

「あの歩兵隊からSOSを受けてきたのか……」

  救援要請があったとはいえ単機、それも鈍重な爆撃機で飛んでくるとは随分骨のある奴だ、と関心するルーデル。
しかし、彼はその理由をすぐ理解する事になる。A−10の無線が受信した声を聞いて。



《こちらはスツーカ隊のハンス・ルーデルだ。貴機の所属を問う》



                        〜  to  be  continued...?  〜



***



という訳で、「A−10に乗ったルーデルさんが憂鬱世界に転移して、しかもあっちのルーデルさんと邂逅しちまったぜ!」
という何とも酷いSSでありました。続きは……どうしようかなぁ(爆)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年01月02日 05:31