189 :taka:2015/02/03(火) 09:29:12

史実の舐めプができなくなったガトー級の悲哀
いや、統合的に見てWW2最良の潜水艦ってのは事実ですけどね……(震え声


「遠ざかります……推進音が2つ、4時から接近」
「このままだ、静かに行くぞ。コップ一つ落とすなよ?」

空調を落としたせいで、制服が汗でびっしょりだ
半袖短パンでも南国の湿度と温度は苦痛そのものである
いい加減不愉快になった制帽を脱ぎ、艦長は汗がびっしりと浮いた額を軽く拭った

「状況に変化は?」
「ありません、連中この付近に我々が居ると判断しているようです。Lorna(東海)が上空から誘導している可能性も」
「くそ、ジャップめ。友軍の空母が近くにいればすぐさま叩き落としてくれるものを」

推進音は遠ざかったり近づいたりを繰り返している
それほど対潜用の探知機が優れてないからか、それともこの艦長の指示した深度が上手く表面層のダクトに入り込んでいたからだろうか
今のところは見つかっていない……今のところは

「敵船団は?」
「聴音によれば、更に遠ざかっています。襲撃音が聞こえない所をみると、他の艦も制圧されたか攻撃できない状態と思われます」
「くそっ」

何度も舌打ちをするたびに、機嫌が悪くなる艦長の態度を恐れたのか副長の顔がわずかに引きつる
しかし、状況が良くなることはない。敵の護衛艦は変わらず自艦の近くを徘徊している
複数でしかも感知を張り巡らせているか至近距離だ
これでは船団どころか、護衛艦への攻撃も危険である
上空に電子戦の装備をした敵機が張り付いていれば尚更の事だ

(せめて、エアカバーさえなければ、遠ざかった所で潜望鏡深度まで上がり魚雷の斉射を浴びせてやるんだが……)

今まで散発的だった対潜行動が急激に組織化され、日本艦船への接近・襲撃が容易ではなくなった
暗号解読によれば海上護衛総司令部らしき船団護衛のプロたちのようだ
大西洋におけるUボート狩りを担当した船団護衛と同じらしい
とは言え、米国の十分な支援を受けた英国と同規模ではないだろう……と見ていた
事実、商戦や客船改造の護衛空母数隻に型遅れの艦載機、戦時急造型の護衛艦
それは事実だった。艦隊型と比べれば貧弱と言えるラインナップ
だが、潜水艦という艦種して最小の存在を相手取るには十分だった

(連中の監視なんざ眼視による監視程度で、電探はおんぼろって話は盛りすぎだろう)

そうであれば、今頃船団を良いようにかき回し往時のUボートエースの如くスコアを稼いでいたに違いない
だが、現実はしつこい探査と直上を動き回る護衛艦によって退避し続けるしかない
(戦後の記録では、陸上発進の東海に支援された松型3隻に彼は追い回されていた)

「爆雷の炸裂音が聞こえます……まさか」
「ああ、他の艦が制圧を食らっているな」

ボォンボォンと、海中特有のくぐもった炸裂音が響いてくる
他のウルフパックに参加したガトー級は、自分たちほど上手く立ち回らなかったようだ
捕捉され、爆雷攻撃を受けているのだろう……何も出来ない事が艦長の神経をジリジリと焦がしていく

「爆雷の音が、途切れました」

やられたのか、やられたふりをしたのか、単純に爆雷が切れたのか
どの運命が僚艦に訪れたかは、確認の術がない
ポタ、ポタと垂れる汗と、配管から落ちるしずくが鬱陶しい


艦が浮上出来たのは、夜半を過ぎてからだった
換気を終え、艦上で夜空を見上げている艦長はゆっくりとタバコを吹かす
通信に寄ればウルフパックは攻撃の機会に恵まれず、1隻が中破してあわや海底へ招待される寸前までいったらしい

「しかし、連中は思った以上にやりやがるな」

以前は盛んに打たれていた船団の位置情報も著しく減少し、索敵に使わなければならない艦が増えウルフパックの数も少ない
こうしてなんとか見つけても空と海からのカバーがやってきて妨害される
主要航路から外れればともかく、航路内部での索敵とカバーは厳重だった

「全く、昼間はおちおち浮上もしてられないぜ」

彼は知らない
もう少し後のことであるが、大型爆撃機を改造した対潜攻撃機がやってきて夜の浮上も脅かされる事になるのを

やおい
最終更新:2015年04月19日 08:53