- 373. earth 2010/07/31(土) 00:38:59
- あくまでもネタです。続くかどうかは不明です。
クロスオーバーSS 《青の使者》
地球連合軍とプラントとの壮絶な戦いが、地球連合軍の完全勝利に終わってから二年が経った。
人類の10%以上が犠牲になると言う史上未曽有の大戦争によって世界が負った傷は果てしなく深く
世界各地では復興に向けて必死の努力が続けられていた。
しかしその努力をうまく金に換えて儲ける復興ビジネスも盛んであった。
「あ〜久しぶりに平和だ。それにビジネスも好調。言うことなしだ」
世界各地で多くの人間が必死に汗を流している中、アズラエル財閥総帥ムルタ・アズラエルは
執務室で満面の笑みを浮かべた。
その原因は彼のデスクの上に置かれた報告書だ。そこにはアズラエル財閥傘下の企業が如何に
業績を上げているかが記されていた。
「死亡フラグは粗方圧し折ったし、ビジネスも好調。それに煩いブルーコスモス過激派残党も
静かだし、言うことなしだな。ロゴスの爺連中も自分達のビジネスが好調だから、こっちの
言うことを大人しく聞いてくれるし、これで煩わしい調整もしなくて済む」
アズラエルに憑依してから散々苦労しっぱなしだった天城修としては、今の状況が少しでも
長く続いてくれることを切に祈った。
「死亡フラグと残業地獄に囲まれた生活なんて二度と御免だからな……」
戦争中の苦労を思い出して、アズラエルはため息をついた。
しかし彼はこの1週間後、自分の祈りがあっさりと神によって却下されたことを思い知る。
- 374. earth 2010/07/31(土) 00:39:58
- 「火星のコロニー群が攻撃された? またテロですか?」
戦後、地球連合は火星の開発も推し進め、多数のコロニーを火星に建設しつつあった。表向きこそは
地球人類、いやナチュラルの生存圏を獲得するためであったが、実質的には棄民政策であった。
東アジア共和国やユーラシア連邦は自分達からの分離独立を目論んだり、政府への不満からテロを
引き起こす人間達を片っ端から火星へ放り込むことを目論んだのだ。
特に東アジア共和国は、戦後に大西洋連邦の政治工作によって日本が再独立したために少数民族の
独立運動が活発化した。おかげで戦後の停滞もあわせて国中が大混乱に陥っていた。故に彼らは強行に
この棄民政策を推進した。
大西洋連邦としては東アジア、ユーラシア両国の非人道的とも言える政策に苦々しい思いを抱いた
が、自国も南アメリカ合衆国残党のテロや不法移民の流入に頭を痛めていたので最終的にこの政策に
便乗した。かくして地球連合理事国は多数の宇宙船を建造して、火星に多くの移民(棄民)を送り込んだ。
勿論、送り込まれた移民たちは過酷極まる環境での労働を余儀なくされ、多くの人間が犠牲と
なった。当たり前だが、移民たちは地球連合の政策に憤り、抗議行動やテロを行うようになった。
(無茶な政策をするから、こうなるんだ。全く……と言ってもこっちも対案が出せないから
人の言うことをとやかく言える立場じゃないけどな)
現代日本人の感覚を持つアズラエルとしては、この政策には内心反対であったが、かといって
効力のある対案を出すことは出来なかった。何しろ地球圏に住む人間全員を満足させることなど
不可能なのだ。資源と富は有限であり、それを享受できる者は限られる。貧する者を残らず救おう
とするのなら富を持つ者が、自身の財産を切り崩す必要があるが……それをやりたがる人間など
居るはずが無い。アズラエルでさえ、限度を超えて貧者を助けるような真似はできなかった。
故に彼は憤りと罪悪感を抱きつつも、連合の政策を追認するしかなかった。
「まぁもうそろそろ飴を与えたほうが良いかも知れませんね」
アズラエルは形だけでも自治権を与え、またインフラ整備にも便宜を図ってやることを考えた。
しかしそんな考えは、サザーランドが発した言葉によってあっさり中断する。
『アズラエル様。これはテロではありません。正体不明の生命体からの攻撃です』
アズラエルはサザーランドの報告を聞いて、一瞬頭が真っ白になった。
何しろサザーランドから齎された情報は、あまりに現実離れしていたからだ。
「……エイプリルフールではありませんよ?」
『間違いありません。火星駐留軍並びに火星コロニー群は、先ほど多数の謎の生命体による攻撃を
受けたとのことです。現在、守備軍が応戦中です』
「被害は?」
『火星のコロニー群は少なくない被害を受けています。火星の衛星軌道にいる艦隊に宙対地爆撃を
要請しなければならないかも知れません』
「……火星駐屯軍をそこまで追い詰める生命体について判ったことは?」
『不明です。ですが圧倒的な物量を誇るようです。その敵性生命体の映像は届けられています』
「……見てみましょうか」
その直後、アズラエルは絶句した。何しろそこに映されていた姿は見覚えがあったものだったからだ。
- 375. earth 2010/07/31(土) 00:40:33
- 「BETA……何故、この世界に?」
だがアズラエルが思考を停止させたのはつかの間だった。彼はBETAの特性を思い浮かべ
速やかに処置を行うべきとの結論を下した。
「大西洋連邦大統領とのホットラインを繋いでください。あと国防産業連合理事会、いえロゴスの
老人達とも」
地球連合軍総司令部はこの後、火星コロニー群の放棄を決定。さらにアルキメデスと戦略核兵器、
さらにマスドライバー等あらゆる兵器を用いて火星の敵性生命体への総攻撃を行った。
多大な犠牲を支払った後、人類はBETA(この世界ではアズラエルが命名)について細かい
調査を開始し、この存在が火星と木星の間にある小惑星帯にあるゲートのような存在から出現
したことが明らかになった。
そして無人偵察艦をそこに突入させると、その向こうにはBETAによって滅亡の危機にさら
されている平行世界の地球が確認された。
「クロスオーバーなんてありか?」
アズラエルは思わずぼやいた。尤もわざわざ次元を超えてマブラヴ世界に大軍を送り込む
つもりはさらさらなかった。
「まぁ00ユニットとかは欲しいけど、投入する資金に見合うだけのものかどうか……」
しかしながら世界というのは、アズラエルが考えていたよりも遥かに強欲な人間達で満ち溢れていた。
欲深き人間たちはG元素の存在を知るや否や、G元素が豊富な平行世界への進出を目論み始めた。
東アジア共和国やユーラシア連邦は、大西洋連邦の優位を切り崩すために、大西洋連邦は自国の地位を
維持するために……平行世界の人類を救うというお題目を掲げて、軍の派遣を考え始めたのだ。
「馬鹿どもが……厄介ごとに自分から首を突っ込むとは」
頭を抱えるアズラエルであったが、状況は動き出しており、止めることは難しかった。
かくして、後にBETA大戦、次元間大戦などと呼称される大戦の幕が開ける。
- 376. earth 2010/07/31(土) 00:41:52
- あとがき
あくまでもネタです(爆)。
天城さんの名前を掲示板で見て思いついたネタなので、続きについては、不明です。
というか勢いで書いてしまったので、まともなプロットがありませんので(核爆)。
それでは。
最終更新:2012年01月02日 05:48