- 447. earth 2010/08/22(日) 21:20:59
- 本編が詰まったので、ネタを投下します。
プラント及びドラえもん技術の解析によって日本の科学力はあっという間に100年以上の進歩を遂げた。
1950年代には日本の異常すぎる発展の原因を探るべく、世界中から大量のスパイが送り込まれていた。
その中には、10代の少年少女も多数居た。彼らは日本の中学、高校に留学生として入り、情報収集を開始
していた。このおかげで日本の学校はやけに国際色豊かになっていた。
夢幻会良識派がこの光景に危機感を抱く中、一部の自重しない人間達はトンでもない計画を思いつき、会合の
場でそれを堂々と発表した。
「『統合学術都市』整備計画?」
嶋田は牟田口や富永などの、陸軍でも指折りの問題児達が連名で提出した計画書を見て眉を顰めた。
「その通り!! 日本の明日を担う若者、特に才気溢れる人間達にエリート教育を施すことがこの計画の
趣旨です!」
牟田口の台詞に出席者の多くが感心したような顔をした。
「確かに、プラントやドラ技術の恩恵に預かるだけではいけませんからね」
「創造力豊かな人材の確保は重要だ」
「来るべき異世界進出に備えて、人材が大いに越したことはありませんからね」
来るべき本格的な異世界進出、そして現地勢力との対決を考慮すれば人材の確保は必要不可欠だった。
人口増加著しい帝国であったが、それでも総人口は1億人を超えた程度。地球に君臨するなら、何とか
なるかもしれないが、異世界と相対するとなると心もとないことこの上ない。
辻を筆頭とした官僚達は本格的な進出を開始する前に日本人口を2億人にまで増やすことを目論んでいた。
勿論、全人口を日本本土で養うことはできないので、余剰人口はアラスカやカムチャッカなどに送り
こむつもりだ。アラスカ支配を恒常化するためには、ある程度、都市を整備しなければならないので
国家プロジェクトとして推進するつもりであった。
- 448. earth 2010/08/22(日) 21:21:37
- (あの問題児達も、我が国の現状を理解してくれたようだ)
嶋田は上機嫌の様子で計画書を読み進めていく。しかし読み進めていくうちに彼は眉を顰めていった。
「………なんですか、これは」
「文字通り学術都市の整備計画ですよ。そうあらゆる分野の研究を行う都市の」
牟田口は堂々と言い放った。嶋田は本人の正気を疑いながら矢継ぎ早に言った。
「だからといって、禁○目録の学園都市や、ナイ○ウィザードの輝明学園、ネ○まの麻帆良学園等を
ぱくったものを一箇所に、それも人工島の上に作るなんて狂気の沙汰ですよ!!
これにどれだけの労力がかかると思っているんです!?」
「それゆえのプラントではありませんか。これはプラントを使用する原則に違反するものではありません」
「……しかし、どれだけの人員がいると? 教員の確保だって」
「別に今すぐにやるというわけではありませんよ。年単位の計画になるでしょうし、その間に
異世界から少しずつ人材や情報、技術を集めれば良いでしょう。それに人工島に作ることで機密の問題も
ある程度はクリアできるでしょう」
正論を吐く牟田口に苦い顔をしながら、嶋田は嫌味を飛ばす。
「ふん。どうせ、ネ○まの関西呪術協会本部みたいに巫女さんだらけの学園でも作りたいんだろうが」
「趣味と実益が両立するのであれば問題はありませんよ」
この計画の立案者達は、出席者達にこの計画の重要性と、それが実現された時に出現される学園の
光景の素晴らしさを説いて回る。
「リアル魔法少女が……」
「動く巨大人型兵器が……」
「歌エネルギーが……」
「試験召喚戦争が……」
最終的に計画は承認され『統合学術都市』整備計画は国家プロジェクトとして推進されることになる。
- 482. earth 2010/08/28(土) 02:06:04
- 疲れたときに思いついたネタのネタ(爆)。
『統合学術都市』整備計画の決定に伴い、東経140度31分、北緯20度50分、東京の南約1800kmの位置に
人工島の設置が開始された。
計画を知る人間の中には「それは何て蓬莱学園」とか「いえメリダ島だろ、JK」と言い合う者も
多く居たが、元ネタに詳しくない嶋田はそれらに突っ込めず(もはや突っ込む気力も無いと言う)
単に主要航路から外れているから良いかと割り切っていた。
夢幻会では数少ない常識人の嶋田は変態たちの趣味の京になりそうな統合学術都市整備計画に便乗
する形で、赤道付近に新たな人工島を建設して、そこに大日本帝国宇宙軍の一大拠点を置く計画を
会合の席で提案した。
ただ、嶋田が目論んでいる物は、統合学術都市のために建設される人工島よりも、はるかに高値の
ものであった。
「再配置が可能な巨大人工島を建造する予算なんてありませんよ」
辻は会合の席で、猛反対した。
何しろ嶋田が主張したのは港としての機能だけではなく空母、宇宙港としての機能を兼務した挙句に
移動が可能な島の建設だったのだ。
「プラントを使えば良いでしょう」
「プラントを酷使するつもりですか。確かに学術都市の整備に使うのに便乗したいのはわかりますが」
「別に軍事拠点として建造するつもりはありません。宇宙開発の拠点、さらに交通渋滞から戦争にいたる
混乱を避けることが出来る交通の要所、これらを兼ね備えたものを建造したいのです。
残念なことに空母部隊の運用コストは年々嵩む一方。さらに宇宙軍の整備や異世界への進出を考えれ
ば、今まで以上の空母機動部隊の運用は難しくなります。故に、この計画が必要になるのです」
「……日本の将来を支えるための社会インフラとして、この人工島を建造すると?」
「その通りです」
「ふむ……」
辻が考え込むしぐさをするのを見て、嶋田は一気に畳み込みをかける。
- 483. earth 2010/08/28(土) 02:06:51
- 「これらの拠点をインド洋、太平洋に浮かべていれば抑止力になりますし、経済的メリットも多い。
本格的な艦艇の修理や整備が可能な拠点が近くにあれば、非常時に便利です。
さらに宇宙で採掘したものを、これらの人工島に降ろし精錬、加工して各国に最短ルートで
売りつけることもできるでしょう。元手は取れるはずです」
「単なる軍事拠点というわけではなく、交通、宇宙産業の要所として建造するということですか」
「軍事力だけではなく、交通と資源を押さえることで、列強に対する我が国の優位は、これまで
以上に確固たるものになります」
趣味に走りやすい人間であったが、基本的に国益を重視する辻は、この計画を承認した。
「元ネタにちなんで、0計画とでも呼びましょうか? ただし某著者のように途中で止めない
ように。予算に見合ったものをしっかり完遂してくださいよ」
「……了解しました」
ただし金遣いの荒い人間には些か嫌味であったが。
嶋田はこのあと、精力的に動き回り0計画を推し進めていった。プラントの圧倒的というか
チートといっても良いほどの生産力によって、人工島《大和》そのものはすぐに出来上がる。
「チートにも程があるな」
嶋田はあきれ返った。しかし同時にこのプラントの能力は絶対に制限しなければならない
ものであるとも実感した。確かに酷使しすぎれば故障する危険があることは確かだが、それ
以上に経済的な問題があった。
(こんな無尽蔵の生産力でものを作ったら、他所この国の経済が破綻しかねないな)
プラントで無尽蔵に、安価にものを作れば各国企業は対抗しきれず、つぶれるだろう。
いや、それどころか日本企業だって危うい。プラントを事実上保有する夢幻会やそれに
連なる企業は恩恵を受けるだろうが、それ以外は危機的な状況に陥りかねない。
そんなことになれば、夢幻会は世界中から憎悪の的になる。
(最後の切り札として取っておくのが正解だな。いや、それがわかっていて辻はプラントの
利用を制限しているのかも知れん。あれは変態だが、頭は切れるからな……西博士みたいに)
嶋田は物思いにふけつつも、地上施設の建設に取り掛かるように部下に命じた。
だがその数日後、彼は信じられない報告を立て続けに受けることになる。
- 484. earth 2010/08/28(土) 02:07:28
- 「異世界への移動が不可能になった?」
「ええ。時空が急に不安定になったそうです」
夢幻会の会合で告げられた緊急報告に誰もが眉を顰めた。
異世界から優秀な人材を集めようとしていた牟田口は、気落ちしていたが、他のメンバーは
何とか気分を持ち直すと、今後の戦略の変更を決定した。
「異世界進出よりも、まずは宇宙進出、特に月開発に尽力したほうがよさそうですね」
「幸い、ドラ世界の技術解析は順調だ。月面基地を建設し、さらに火星に植民地を建設できれば
地球から脱出することも不可能ではない」
「日本人による太陽系帝国建設も、夢があってよいでしょう。まずは足場の確保ですね」
しかしそんな彼らをさらに驚愕させる事態が起こる。
「人工島に謎の建造物が出現した?! 警備の人間は何をしていたんだ!!」
嶋田はすぐに現地に警備隊を向かわせた。しかしその警備隊は、まるで御伽噺から出てきた
ような魔法使い達によって撃退されることになった。
「魔法使いだと?」
硬直する嶋田。すぐに頭を振り、思考を立て直そうとするが、第二、第三の建造物と異能力者
の出現の報告を聞いて頭を掻き毟った。
「何が起きている?!」
これが後に《大和事変》と呼ばれる異世界勢力との初の紛争であり、後に《学園島》と呼ばれる
世界の誕生を告げるものであった。
最終更新:2012年01月02日 05:52