- 684. earth 2010/11/21(日) 21:39:34
- 疲れたときのネタです。続編は不明です。
《青の使者》 第二話
アズラエルの発案によって、火星に出現した異星人の存在はBETAと呼称されることになった。
『BETAですか。たしかにしっくりとくる名前ですな』
モニター越しに賞賛してくるサザーランドに、アズラエルは内心の苦々しさを隠しつつ
返答する。
「大したことはありませんよ。それより各国の反応はどうなっています?」
『各国ともにヒステリー状態です。コーディネイターなど問題にならない化物が現れたのですから』
各国の議会では火星で建設していた恒久都市群がどんな目に合わされたかが報告されると、
軍備増強が叫ばれるようになっていた。
「あのような化物たちの地球侵攻だけは阻止しなければならない!」
一部の議員は、被災地の復興を進めるべきだと主張したが、火星での蛮行が地球で繰り返されて
よいのかと返されると多くの議員は沈黙を余儀なくされた。
さらにミラージュコロイドを搭載した無人偵察艦や無人偵察用MS(ブリッツガンダムの改良型)
などの偵察の結果、並行世界の地球が危機的状態に陥っていることが判ると、議員達の危機感は
尚も高まった。
何しろ最近まで人類同士で戦争して、10億人を超える犠牲を出したのだ。もしもここで、あんな
化物たちが押し寄せたら目も当てられないことになる。
さらに火星での戦いの結果、彼らには話し合いが通じそうも無いことが判っていた。
故に彼らは軍事力増強を決定した。地球の衛星軌道に攻撃衛星を設置し、さらに月基地では
大出力のレーザー砲を装備した砲艦の建造が決定された。しかしそれでも足りないとの意見があり
巨額の資金と資材はかかるものの、かつての大戦でザフトが建造したジェネシスを、復活させる
べきではないかという過激な考えを持つ人間さえ出始めている。
- 685. earth 2010/11/21(日) 21:40:13
- 「防衛力強化はよしとしても、並行世界に介入しようとする連中は問題ですよ。
連中、BETA由来の技術や資源を獲得したいと思っているんでしょう」
アズラエルはため息を漏らした。
「大統領も、火星で得られたBETA由来の技術や資源に興味津々ですからね。
(的確なアドバイスしすぎたか……短期間で勝っちゃったもんな)」
地球連合軍はアズラエルの要請を受けて火星に降下し、コロニー群を破壊したBETAに対して
容赦の無い攻撃を行った。戦術核は勿論のこと、アルキメデスを衛星軌道において地上を照射したり
さらにマスドライバーを使って大量の隕石を地上に降り注がせた。
さすがのハイブも雨霰と降り注ぐ隕石、そしてコロニーさえ蒸発させることが可能なアルキメデス
の攻撃には耐えることができずに崩壊した。
アズラエルはBETAが変な知恵をつける前に、投入可能な戦力と火力をたたきつけたのだ。この結果
BETAは地球連合軍の戦術に対応する前に、火星から消滅することになった。
勿論、崩壊したハイブの中には、少なからざる数のBETAがいたが、地球連合軍は多数のMSと
無人MSを投入してこれを辛うじて駆逐した。
(ここで終れば良かったんだけどな)
多くのハイブは反応炉ごとつぶれたが、一部のハイブでは反応炉が生き残っていた。
この結果、地球連合はG元素をはじめとしたBETA由来の技術を手に入れたのだ。しかし手に入れた
技術、特にG元素は多くの人間にとっては垂涎の的であった。
そして欲に駆られた人間達は、より多くのG元素や技術があるであろう並行世界への進出を目論んだ。
この欲ボケ連中と共謀したのが、東アジア共和国やユーラシア連邦だった。彼らは国内の不満を逸らす
ためにBETA脅威論を煽りたてたのだ。
『いずれにせよ、このままでは大規模な派兵は免れないでしょう。
何しろ我々は先制攻撃を受けたのです。何としても報復せよ、との世論もあります』
「だからβ世界に出兵すると。まったくそんなことよりやることはあるでしょうに」
アズラエルはそう言ってぼやくものの、彼の力をもってしても流れは止められない。
(ロゴスの爺連中もG元素に妙な色気を見せている。どちらにせよ、派兵は決定か)
アズラエルの憂鬱を他所に、地球連合はBETAの出現ポイントと見られる巨大な回廊(後にゲートと呼称)
の先にある並行世界をβ世界と命名し、介入を決定した。
この決定にともない、派遣軍の編成とゲートを監視、警備する恒久拠点の建設が決定されることになる。
勿論、アズラエル財閥は久しぶりの軍需に沸き立ったものの、アズラエルの不安と憂鬱は晴れること
はなかった。
あとがき
……続編は不明です(爆)。
あくまでもネタなので。
最終更新:2012年01月02日 05:54