休日とASUKA版ギアスエンディングシチュの部分クロス。




都内の名店扱いとなった玉城BAR。

各種の名酒を多く取り扱っている隠れた名店には日々変わった客の姿。

「しまらさんッ!」

またあの客だ。
最近よく来る歳の離れた二人連れ。
聴くところによると二人ともかなり偉い身分なんだとからしいが俺はしらない。
黄緑色のマントを着た女の方はブリタニアの偉い騎士らしい 侯爵がどうとか聴いたが侯爵って貴族がどんだけ偉いのかしらん。
真っ赤な長リボンを巻き付けた金色の長髪に蒼い目をした内心お近付きになりたいと思うくらいの目が覚めるような美人だ。
男の方は中年から初老のくたびれたサラリーマン風で 昔何処かで会ったような気もするアフターファイブの飲み屋街で部下と歩いていそうなオヤジ。

「しまらさんはいったいいつになったらわらしと結婚しれくれるのれすか!!」

今夜はまた凄い剣幕だ。
こっちの耳までキーンとなるくらいの怒声。
信じられないことにあの超絶美人はくたびれたオヤジに惚れてるらしい。
あんなオヤジより俺のが百倍イケてるのになんでモテナイくんなのか納得いかない。

「飲み過ぎだよモニカさん」

オヤジの方はアルコール耐性が強いかペース配分を心得ているのか女みたいに呂律が回らなくなっている所を見た事がない。
代りにああやって酔いの回った女に絡まれるのがパターン化していたが こっちについてはいつもタジタジで対処に困っている。

「わらしをキズモノにしたクセに責任を取らないつもりなのれすか!!」

デカイ声で猥談手前の話をはじめた女にオヤジも大変だ。
慌てて口を塞いでいる。

「事実は事実だがあれはキミが俺を押し倒しての話だろう 不可抗力だ」

「なるほろ いいわけれすか・・・ そんないいわけをされるのれすか? ああそうれすかそうれすか! しまらさんにとっれわらしなんて所詮お遊びの女らったのれすね!」

女の言い分に反撃したオヤジだが また女が仕返し。

「こ コラッ なんてことを言うんだキミはッ」

事実無根と言い張るオヤジの方が多分正しい。
あのオヤジが連れの坊さんみたいな頭した こっちも金髪ロングの超絶美人を連れたオヤジと飲みに来たときにしていた話を偶然聞いていたからしってる。
酒に弱いあの女がなにかの打上げのときに進められるまま飲んで泥酔してオヤジを押し倒してナニをやっちまったんだと。
清純そうなお貴族様でも酔えば別人ってか?
けどよ なんであのオヤジなんだよクソったれ。
あのオヤジだけじゃない。
あのオヤジの連れらしい坊さん頭のオヤジなんかは いっくん リーラ なんぞと砂糖吐きそうな甘い愛称で呼び合ってたしなにか? 最近は中年から初老のオヤジどもが超絶美女にモテル世の中になってるのか?

まあクソムカつく事実だがどちらかと言えば責任を取るのはオヤジではなくあの酔っぱらい女の方だろう。

「よくわかりましたいいれしょう しまらさんが責任逃れをしようとしれそんなたいろをとるろなら・・・ このわらしが責任をとっれしまらさんをもらいましゅ!!」

おおおーー!!

姉ちゃん痺れるほどカッコイイぜーーー!!

店にいた他の客も席を立ってマントを翻しながら拳を振り上げている酔っぱらい女の宣言に拍手。
呂律の回らない酔っぱらいの話なのに勝利を掴んだみたいな姿が無駄にカッコイイ。
オヤジはオヤジで恥ずかしいからやめなさいと女を抑えている。
押さえ込まれた女は暴れるかと思いきやオヤジに抱き着いてしまった。

「じゅうで~ん しまらさんぶんじゅうで~ん」

「だからやめなさいと言ってるだろう!!」

「いやれす~ モニカのみみは愛の言葉しか聞こえないのれす~」

くそォ うらやましい。
なんであのオヤジはあんな美人に好かれて抱き着かれて嬉しそうにしないんだ。
俺なら絶対にお持ち帰りしてやるってのに!

「おにいちゃんつんつ~ん」

なんか背中に当たる冷たいもの。
先が尖って光っている。

「オイ止めろコラ! 血が出たらどうするんだ!」

「あは そのときはクララが舐めて止血するからだいじょ~ぶだよ~」

最近顕著になってきたアルバイトのいたずらが怖い。
なにが嬉しいのか刃物で遊ぶんだよコイツ。
酔い潰れた女性客を介抱してたときにされたことがあるいたずらは本気でやばかった。

髪の毛が付いてるよ? 死ぬ?

手にしたナイフを首にぴたぴた当ててきてそれはもうマジ怖かった。
刃物で遊ぶのはやめてくれと言いたいぜ・・・・

「ボトル一本追加~!」

「は~い!」

客の注文に愛想良く返事したバイトは俺の背後から離れていった。
ふう 人手が足りないからってアイツに頼んだのは失敗か?
でもアイツのおかげで客も増えたし店も軌道に乗ってる。
アイツには金も借りてるしアイツのオヤジには世話になりっぱだから今更になって止めさせるのもまずいしな。
あのヘンないたずらさえやめてくれたら文句ないんだが どうにかならないか。

「クララちゃんよく働くな でもあの子まだ未成年だろ? 大丈夫か?」

心配してくれたのは店の常連で俺の飲み友の南。
BARをやるって知らせたら早速来てくれるようになったいい奴だ。

「女いるほうが店もはやるんだよ それに俺アイツに金借りてるしアイツのオヤジにも世話ンなってっから断れないんだ」

見てくれはいい方だから客寄せには貢献してくれてるし 誰にでも愛想いいから常連作りにも一役買ってる。

「ただあのいたずらだけはやめて欲しいんだけどなぁ」

「いたずらってアレか 例のつんつんか?」

「それ以外になにがあるってんだ?」

「・・・・・・・玉城 おまえ女好きだったよな?」

「たりめーだろ 女嫌いな男のが少ないって」

「・・・・・・いや やっぱり止めとく おまえデリカシーの欠片もないから女の気持ちについてあれこれ語ったところで理解できないだろうしな」

なんだそれは?
いきなり失礼な奴だ。

「なにが言いたいんだよ?」

「モテナイくんのお前でも嫉妬深い例外がいたから気を付けろよってことだ ヤンデレって言葉がアニメにはあってな」

「おおそれはしってるぜ! 怖いよなアレ? でもイケメンのモテ夫くんがムカツクからイイ様なパターンもあって結構オモシロイんだ!」

「駄目だ・・・・・もうなにも言わん」

なんだよコイツ 人が折角話に乗ってやったのによ。

「しまらさはぁ~ん しまらさんはわらしがもらいますぅ~」

「だからこんな人の多い場所でそういうことを言うなと何度言えば!!」

あの金髪美女とオヤジまだやってるよ。

「ああいう清純そうなお嬢様っぽいのがヤンデレるんだよな でも俺があのオヤジの立場なら絶対大丈夫な自信があるぜ!」

「玉城 後ろ見ろ」

なんだよ南さっきから溜息ばかり付いて。
後ろ見たらボトルを入れ替えてきた髪も目もピンク色のバイトが立っていた。

「おうサンキューな!」

「ねえおにいちゃん クララ役立ってる?」

「それはもう大いに役立ってるぜ この店の客半分はおまえが引っ張ってきたようなモンだからな」

「じゃあよく頑張ったって褒めて」

「よォ~しよし よく頑張ったなぁ~」

まじで客の五割はこいつのおかげだ。
残り四割がこいつのオヤジで最後の一割が俺。
ああそこ考えると益々頭あがらなくなる。


今日も商売繁盛の俺の城にはいろんな客が来る。
マスターは俺 玉城真一郎。
看板娘のバイトくんは俺の友達クララ・ランフランク。
オーナーはVVってジジイ。

オーナーの伝手で仕入れた銘酒を取り揃えているBAR TAMAKI。
日本の銘酒は言うに及ばず ブリタニアの銘酒もほぼ全ての銘柄を取り揃えてる。

そこの企業戦士 もしくは騎士様 良けりゃ帰りに一杯どうだ?

可愛い店員とイケメン店主が精一杯のお持て成しで迎えるぜ?

営業時間は18時から27時。
可愛い店員目当てなら22時までに来店頼む。
あいつは一応学生なんでな。
常連さんはこれからもご贔屓に願うぜ。
一見さんも大歓迎だ。

BAR TAMAKI。
東京03-××××-××××。
多くのご利用 お待ちしてます。
BY おにいちゃんの嫁。

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最終更新:2015年06月14日 15:54