149 :Monolith兵:2014/02/18(火) 06:06:22
ネタSS「富永恭次が鎮守府?に着任したようです」


「俺のこの手(というか指)が唸って光る。勝利を掴めと轟き叫ぶ! 必殺エターナルフォースブリザード、発動承認!!」

 1942年8月16日、 ラ・パルマ島にある日本軍基地で富永恭次中将は人類史上初めてとなる原子爆弾の起爆スイッチを押した。その瞬間、莫大なエネルギーがケンブレビエハ火山のマグマ溜まりを刺激して、永い眠りから烈火の龍を呼び覚ました。

「ははは、来たれ! 世界を切り裂く者よ!! 混沌を齎すものよ!!!」

 凄まじい揺れが富永を襲うが、それを気にせずに富永は一人上機嫌に邪気眼派のトップに相応しく大きな笑い声を上げていた。

「計画は成功だ。撤退するぞ。」

 一頻り笑い声と叫び声をあげた為、満足したのか富永は素面に戻り部下たちに指示を出した。
 だが、それは一歩遅かった。撤退の命令を部下たちに命令した次の瞬間、基地に火山弾が直撃したのだ。



 あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。、富永は意識を取り戻した。

「俺は一体?」

 そう言った所で、火山の噴火の直後に意識を失ったことを思い出した。すると、ここは基地の中なのだろうか?薄暗い中富永は首を左右上下へ振り、回りを確認した。

(そうか。火山の噴火の影響で意識を失っていたのか。)

 それに気付いた富永は自分の五体が満足である事を確認すると、立ち上がり声を張り上げて誰かいないか探し始めた。

「おい!誰かいないのか!」

 しばらく声を上げていたが、誰からも返事が無い事を理解した富永は流石に途方にくれた。いくら邪気眼派のトップとはいえ、このような事態では弱気にもなるのだ。

「ヲッ?」

 暫くうな垂れていると、背後から誰かの声が聞こえた。慌てて振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。頭には変な被り物をかぶっており、身体は白いレオタードで包まれており、なにやら色気が感じられた。

「女?ここには女はいないはずだぞ!」

「ヲッヲッ!!」

 予想外の事態に富永は焦り声を荒げてしまったが、すぐに冷静さを取り戻した。(ただし邪気眼的に)

「ヲッだと!それにその格好は・・・。」

 その時富永の脳裏を掠めたのは、前世で気に入っていたブラウザゲームの事だった。

「お前は・・・空母ヲ級なのか・・・?」

「ヲッ!」

 少女はそのとおりだ、と言わんばかりに腰に手をやり仁王立ちをした。顔は心なしかドヤ顔であった。

「そうか・・・。クックック。どうやら俺は異次元から混沌を齎すものを召喚してしまたらしいな。」

 そう言うと、富永派ヲ級に歩み寄った。

「他に仲間はいるのか?」

「ヲッ!」

 両手で大きな円を描いているが、どうやら沢山仲間がいるらしい。

「俺は何だ?」

「ヲッヲッ!!」

 そう聞くと、ヲ級は嬉しそうに富永の周りを飛び跳ねた。

「俺は提督なのか?」

「ヲーッ!」

 ヲ級は右手を勢い良く真上に突き上げた。

「よし、俺を皆の所に連れて行け。」

「ヲッ!」

 任せろとばかりに、ヲ級は胸を叩いた。

150 :Monolith兵:2014/02/18(火) 06:07:45
 暫く歩くと崩壊した基地から外に出ることができた。そこからまた暫く歩くと、海岸へとたどり着いた。

「オオッ!」

 そこには、海上を埋め尽くさんばかりの多くの艦船が停泊していた。そして、周りを見るとモンスターみたいな外見の駆逐艦や軽巡洋艦が数多くたむろしていた。少数ながら軽空母や重巡洋艦や雷撃巡洋艦、戦艦も見受けられた。どうやらヲ級は隣にいる彼女一人だけのようだ。

「諸君!」

 富永は近くにあった岩の上に上り、声を張り上げた。すると、海岸にたむろしていた深海棲艦たちが富永の方を向いた。

「私が富永恭次である!諸君らを呼び出した提督だ!!」

 すると、深海棲艦たちから歓声が上がった。それを右手で沈めた後、富永は演説を始めた。

「諸君らは何の為にここにいる?そう、戦う為だ!?」

 再び歓声が上がる。

「諸君 私は戦争が好きだ。
諸君 私は戦争が好きだ。
諸君 私は戦争が大好きだ。

 砲撃戦が好きだ。
 雷撃戦が好きだ。 
 航空戦が好きだ。
 潜水艦戦が好きだ。
 退却戦が、撤退戦が、掃討戦が大好きだ。

 海上で、空中で、海中でこの地球上で行われる戦争が大好きだ。
 艦列を並べ主砲を敵艦に撃ち込むのが好きだ。
 魚雷が敵艦に突き刺さった瞬間の事を考えると胸が躍る。
 駆逐艦の5インチ砲が、軽巡の6インチ砲が、重巡の8インチ砲が、戦艦の16インチ砲が敵艦を粉砕する瞬間が好きだ。
 20インチ魚雷が敵艦を真っ二つに叩き折る瞬間など体が震え踊るくらいだ。

  泣き叫ぶ水兵たちに銃撃を加えるのが好きだ。
 接舷して敵艦に切り込むなど考えるだけでたまらない。

 哀れな敵商船が貧弱な機関銃でけなげにも反撃してきたのを16インチ砲で木っ端微塵に吹き飛ばした時など絶頂すら覚える、

 敵の潜水艦に雷撃され竜骨を折られるのが好きだ。
 必死に守るはずだった輸送艦を目の前で沈められる時など身体は振るえとてもとても楽しいものだ。
 アメリカの物量に圧倒されながらもけなげに反撃するのが好きだ。

アメリカの空母機動艦隊に圧倒的な航空攻撃で虫けらのように潰されるのは屈辱の極みだ。

 諸君、私は戦争を、地獄のような戦争を求めている。
 諸君、私に付き従う勇敢なる艦隊諸君。
 君たちは私に何を望む?

 更なる戦争か?
 情け容赦の無い地獄のような戦争を望むか?
 鉄風雷火の限りを尽くして、七つの海を埋め尽くさんばかりの火炎のような戦争を望むか?

 戦争!戦争!戦争!

 よろしい!ならば戦争だ!

 我々は戦争を、一心不乱の戦争を望む!

 我らは僅か100隻にも満たない艦隊に過ぎない。
 だが諸君らは一騎当千の艦だと私は確信している。

 諸君らを現世に引きずり出さざる得なかった原因を作った連中を叩き起こそう。
 髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう。
 連中に制海権を失う恐怖の味を思い出させてやる。

 前艦隊出師準備をせよ!我ら深海棲艦の艦隊で七つの海を埋め尽くしてやろう!
 抜錨!抜錨!
 深海棲艦艦隊出陣だ!
 目標!大西洋及びカリブ海!
 アメリカに誰に喧嘩を売ったのか思い知らせてやろう!

 征くぞ諸君!
 今日こそが我々の真の誕生の日、独立記念日だ!!」

 その瞬間、割れんばかりの歓声が海岸に響き渡った。ただし、富永の演説を理解できたものは殆どいなかった。とりあえず大声を上げるべきだと声を上げたに過ぎなかった。

「イーッイーッ!!」

「リーリーリー!」

「タタタ!タタタ!」

「ルル!ルッ!」

「ヒャッハー!」

「ボリボリ」←只管ボーキを貪る音

「ヲッ!ヲッ!」

 それを満足な顔で見ている富永は、右手を上げて皆を静めた。

「さあ出撃だ。楽しい戦いが、糞みたいな戦争が、襲って欲しいと航行している商船団が諸君らを待っているぞ!!」

 富永は大きく腕を振りかぶり全深海棲艦に出撃を命令した。それに一際大きな歓声を上げた深海棲艦達は一目散に自分の艦へと戻っていき、我先にと出師準備を始めた。
 富永はそれを満足げに見ながらヲ級に乗り込むべく、歩き出した。


 その日、大西洋を航行する艦船は謎の大艦隊に次々と襲われた。それは、後に悪夢の始まりとして後々まで語り継がれる序章であった。

151 :Monolith兵:2014/02/18(火) 06:09:00
おまけ

 一方その頃、太平洋上を航行する2隻の艦があった。

「金剛お姉さま、後どれくらいで日本につくのですか?」

「後1日もすれば着きマース。そうすれば補給もデキマスし、深海棲艦とも本気で戦えマスヨ。」

「さっすがお姉さま!明日のことを思うと力がわきあがってきます。」

「肩の力を抜きまショー。今から力んでいたらバテテしまいマスよ?それに、他にも艦娘が着ているかもしれないノデ、楽しみデース。」

「はいっ!」

 そんな他愛も無い会話を続けながら、2隻の装甲コルベットは帆を全開にして日本へと向うのであった。


おわり

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最終更新:2015年07月14日 17:52