726 :Monolith兵:2014/11/09(日) 17:31:45
ネタSS「大日本帝国第七艦隊」


 1940年12月に米潜水艦が日本の戦艦陸奥を撃沈したと言う情報は、世界を駆け巡った。アメリカは、日本の陰謀だと反論したが、護衛の駆逐艦が撃沈して海面に浮かび上がってきた様々な物証から、アメリカの犯行は疑いないようになった。
 イギリスは日本から大きな支援を受けている手前、アメリカに肩入れする事は出来ず、かと言ってアメリカからも支援を受けているために板ばさみにあっていた。

 日米で非難合戦をしているうちに、日本の世論はアメリカに鉄槌を!と言う声が大きくなり、アメリカでも冤罪を押し付けようとする日本を撃て!と言う声が大きくなり、日米間は予断を許さない状況となってしまった。
 夢幻会の会合メンバーも、奥の手を手に入れないうちに日米戦争間近となった事に混乱したものの、嶋田はアラスカを占領し、弾道弾と核攻撃によって対米戦を乗り切るという戦略を主張し、何とか混乱を収めた。
 イギリスに対しても第2次世界大戦に影響が出ない範囲での協力を求めるべく動き出した。


 そんな中、第2次遣欧艦隊は欧州で航空戦に船団護衛にと縦横無尽に活躍していた。

「連中の様子はどうだ?」

「相変わらず付き纏ってきていますよ。」

 大西洋で船団護衛に従事していた第7艦隊だったが、その後ろには米海軍の戦艦5隻を含む艦隊が付き纏っていた。日米間の状況は予断を許さず、いつ戦争になってもおかしく無い状況だった。そんな中、日本の有力な艦隊が船団護衛と称して大西洋にいるのだ。警戒するなと言うほうが無理な話だった。

「提督、本土からの通信が・・・。」

 その時、第7艦隊に日本本土から通信が入ってきた。それには、日本が米国に宣戦布告を出したと書かれていた。

「・・・とうとうこの時が来たか。」

「米艦隊が増速しつつこちらに向かってきています!」

 古賀中将が独り言を言った時、米艦隊に動きがあった。米艦隊にも日米開戦の報が伝わったのだろう。日本艦隊に追いつこうと増速していた。どうやら砲もこちらに対して指向しているらしく、古賀は即座に合戦用意を命令した。

「イギリスの船団を守りながら、ドイツ潜水艦に注意しつつアメリカ艦隊を撃破し無ければならんわけか。」

 これは骨だぞ、と言った物の古賀は体の底から沸き立つものを感じていた。夢にまで見た戦艦同士の艦隊決戦なのである。
 古賀は、空母2隻に軽巡1隻駆逐艦4隻を付けて船団護衛を継続するよう命令すると、残りの艦艇を率いて米艦隊へと舵を切った。

「空母艦載機は対潜哨戒機と直援機を除き全力出撃させよ!」

 古賀はそう指示すると米艦隊への攻撃を命令した。


 この日から、第7艦隊はアメリカからのイギリスへの支援を継続させつつ、イギリスの協力を引き出してアメリカと戦争を行うという、想像だにしえぬ胃痛との闘いの日々を繰り広げて行く事になるのであるが、米艦隊との艦隊決戦に夢中だった古賀はそんな未来を未だ知らなかった。

おわり

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最終更新:2015年07月14日 18:00