842 :Monolith兵:2014/11/19(水) 03:13:33
※このSSは「大逆転!合衆国海軍奮闘す」の続編です。

ネタSS「栄光の英国面よ永遠なれ」


 1944年、イギリスは窮地に立たされていた。
 第2次世界大戦と大西洋大津波によりイギリスの国力は大幅に低下してしまった。その状態で、海を挟んでドイツやフランスと対峙せねばならず、便りとするべき同盟国はいなかった。
 アメリカは大西洋大津波とアメリカ風邪に対日戦争で力尽き、日本はイギリスの裏切りにマジ切れ状態で、関係改善は年単位で時間がかかりそうな状況だった。
 それでも、旧型艦や戦時急造艦だったが、日本から中立国経由で艦を輸入する事が出来、カリフォルニアからも空母ホーネットをレンタルする事に成功した。更には、カリブ海限定だったが16インチ砲戦艦もレンタルする方向で話が進められていた。

「日本やカリフォルニアから艦を融通出来たが、それでもまだ戦力が足りない。」

 イギリスの海軍省で、海軍士官達は顔を突合せて話し合っていた。イギリスは日本から巡洋艦や駆逐艦、海防艦を輸入していたが、それでも戦力不足は深刻だった。本来ならば航路防衛用の阿賀野型軽巡洋艦を空母随伴艦に使用しているほどである。

「R級等の旧式戦艦は軒並み退役。ネルソンもロドニーもだ。空軍も富嶽を迎撃可能な戦闘機の開発と既存機の生産でかなり苦しいらしい。」

 空軍でも日本から航空機を輸入していたものの、富嶽や烈風改といった新鋭機は流石に輸入できなかった、そして、ドイツは富嶽に掃討する爆撃機の開発を始めているらしく、新型戦闘機の開発は急務だった。

「問題は枢軸がイギリスへ上陸戦を仕掛けてきたとき、それを迎撃する能力が我が軍に無いことだ。
 パイクリート船やパンジャンドラムで迎撃する計画だが、それでも苦しい。」

 ここで室内は沈黙に包まれた。
 史実ではネタ兵器であったパイクリート船やパンジャンドラムであったが、これを実戦配備しなければならないほど彼らは追い詰められていた。更にはその能力は未だ未知数で、本当に効果があるのかも不明だったのだ。

「・・・そういえば、太平洋戦争で日本は誘導ロケットを実戦に投入したとか。」

「それは最上級の軍事機密だろう。日本が早々技術を渡してくるとは思えん。それに、仮に渡したとしてもあのユダヤ人以上の業突く張りどもだ。どれほどの対価を要求されるか・・・。」

「いえ、実は日本だけでなくカリフォルニアも対メキシコ戦で誘導爆弾を投入したようです。カリフォルニアは日本製兵器の導入で、それまでの兵器の一部と入れ替えているとか。
 彼らから誘導爆弾の技術を導入できれば、我々の戦力の底上げが可能なはずです。」

 カリフォルニアは独自の兵器開発が困難となり、一部では日本製兵器を導入し始めていた。その中には誘導兵器も含まれている可能性があった。
 日本製には劣るだろうが、アメリカ製誘導爆弾の技術を手に入れる事が出来れば、欧州枢軸に対抗する戦力を底上げすることも可能ではないかと思われた。

「よし、その方向でいこう。」

 そして、ここから一つの話が始まった。

843 :Monolith兵:2014/11/19(水) 03:14:48
 さて、カリフォルニアへ誘導爆弾の技術を購入しようと動き出したイギリスだったが、カリフォルニアはあっさりと誘導技術の売却に応じた。疑問を感じるも、目的の物を手に入れる事が出来たイギリス軍は早速誘導爆弾SWODの解析を始めた。
 そして、彼らはアメリカの変態技術に戦慄する事になる。

「爆弾自体は何の変哲も無いな。やはり誘導装置が・・・。って、何でこんなに鳩が沢山運ばれて来るんだ!」

「いえ、それが・・・この鳩が誘導装置だそうで・・・。」

「・・・・は?」

 然しもの変態紳士も鳩が誘導装置だと言われては絶句した。
 気を取り直して調査を続けていくも、鳩が誘導装置の要であると言う現実は覆らなかった。

「鳩・・・鳩が爆弾を誘導すると言うのか!!」

「アメリカ人って・・・変態共め!」

 イギリス人技術官達は余りにも現実離れした技術に天を仰いだ。
 実は、カリフォルニアがイギリスにSWODをあっさりと渡したのはこれが原因だった。SWODは鳩で誘導する訳だが、鳩の調教度合いや体調によって命中率にかなりのばらつきがあったのだ。更に、鳩の調教にかなりの時間と手間がかかる為、戦争が終わった今のカリフォルニアにとっては維持費も馬鹿にならなかった。

「だが、鳩での誘導は性能のばらつきはあるだろうが、コストは安くつく。実績もある程度あるから即戦力にもなるな。」

「この誘導装置は安価だから爆弾やロケットだけじゃなく、あれにも搭載できるだろう。」

 鳩誘導爆弾のインパクトは大きかったが、安価に生産出来るとあってイギリスはこの鳩誘導装置の実用化を進めて行く事になる。
 そして、この誘導装置が安価且つ大量生産が可能という事で、ある秘密決戦兵器にも搭載する事が決定された。そう、陸上回転爆雷、パンジャンドラムに。

 なお、イギリス軍が鳩誘導式パンジャンドラムを開発していると知った転生者達は、余りにもあれな情報に互いを殴りつけ夢では無い事を何度も確認したそうである。


おわり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年07月14日 18:07