933 :Monolith兵:2014/11/26(水) 01:44:41
ネタSS「提督達の☆聖戦」
終結した第1次世界大戦の決着を付けるため、1919年パリ講和会議の席上で当時のアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンはかねてより暖めていた、国際平和維持機構の設立を提案した。
政治的独立と領土の保全を相互保障し合う、特殊な盟約に基づいた国際連盟は紆余曲折を経て設立にこぎつける事が出来た。
だが、国際連盟は良心による相互保障に期待する所が大きく、平和維持を実現するための能力に乏しかった。その為、国際連盟の掲げる理想の実現は不可能であると考える者は多かった。
そんな時、大日本帝国全権代表である西園寺公望は、今後の平和を考えるならば国際連盟には平和維持のための抑止力となる軍事力が必要である!と主張したのだ。
西園寺は
夢幻会からの情報でこれからの歴史を知り得ていたが、それ故に第2次世界大戦の勃発を防ぐ事が自分にとって何よりも重要な使命であると考えていた。
国際連盟に軍事力を持たせ、各国の戦力を分散させ相互監視する事で戦争を防ぎ、それによって日本国内での不穏な動きを封じ切り、逆に他国の危険な動きも牽制する。彼は史実では21世紀になっても未だ実現できなかった、国際平和強制執行軍の設立を主張したのだ。
「平和を実現するのには、人の良心にだけ依存するのは危険だと思っている。」
「同意します。それに、各国軍が仮称国際連盟軍に将兵を派遣すれば、些細なきっかけでの軍事衝突も未然に防げる可能性があります。それに、連盟加盟国が一貫した態度を取る事で、短期で戦争を終わらせる事も可能なはずです。」
「我が国は国土が戦場になった事で疲弊している。だからこそ、長期の平和を実現する為の軍事組織の設立は願ったりだ。全力を持って挑もう。」
イギリスのロイド・ジョージ、フランスのジョルジュ・クレマンソーは西園寺の提案に強い興味を示し、彼らの助力もあって、前年の国際連盟に続いて1921年国際自衛隊が設立される運びとなった。
国際連盟に平和強制実行部隊が常設されるという情報は、世界中を巡り当然日本にも伝わった。この情報を知った転生者達は、余りにも史実と逸脱した状況に混乱し、こうなった原因を調べ回った。
その結果、彼らは西園寺の近くにいる1人の陸軍大尉に辿り着いた。
「石原莞爾だと・・・!?」
「なんて事だ!これじゃあ、先の見通しが立たないぞ!!満州事変といい、今回の件といい、あいつは疫病神か何かか!!!」
転生者達は、史実情報から日本の国力を増大させる計画を立てていたのだが、石原の介入によりそれが崩壊してしまったのだ。不幸な事に、この時夢幻会を構成していた主要な者達は、仮想戦記について詳しい物がおらず、従ってある火葬戦記について知らなかった。
「こうなれば、連盟軍いや国際自衛隊における主導権を日本が握る他無い。幸い我が国は国際自衛隊の発案者。であれば、国際自衛隊に置ける発言権は英仏並には与えられるだろう。
史実どおり米国が国際連盟に参加しない以上、国際連盟と国際自衛隊を通じて、米国の牽制と太平洋戦争の勃発の阻止をするほかない。」
そして、彼らは動き出した。その果てに何があるか知る者は・・・。
その頃、国際自衛隊の設立を知ったある帝国海軍将校が空ろな目をして新聞を眺めていた。
「国際自衛隊・・・、もしかしてここは帝国の聖戦の世界なのか?いや、だとしたらアラスカが日本領じゃないのはおかしい。
いや、それどころじゃ無いぞ!帝国の聖戦の世界だとしたら、日本は米ソを相手に大立ち回りをしなくてはならなくなる・・・。」
嶋田繁太郎は国際自衛隊の設立を知り、未来に不安を感じていた。かの物語では、最終的に日英仏を中心とする国際連盟が勝者となったが、状況の違うこの世界ではそうとも限らないのだ。
「そういえば帝国の聖戦では、あのハルゼーが日本海軍の機動艦隊を指揮してたよな?
下手したら部下か同僚になるのか、あのブルが。・・・よし頃合を見て退役だ!」
しかし、この後軍令部長伏見宮博泰の呼び出しから、退役する事は適わず、ハルゼーと山口コンビを目にする事になるのだが、それは遠い未来の話であった。
おわり
最終更新:2015年07月14日 18:04