あれから、数日が立った。
大型陸上戦艦型ネウロイは大勢の予想を反して、突如速度を上げ
予想されたX日よりも速く進められた
しかし、501部隊は万全の態勢で整えていたため、慌てることなく準備を行い出撃していった
その部隊の編成は、ハンナ・ウルリーケ・ルーデル大佐が中心とする本命部隊
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐が中心とする囮兼護衛部隊
坂本美緒少佐が中心に万が一に備えて留守番部隊の3つに分けられた
そして、ミーナ達はパ・ド・カレー上空を通過して、高度を上げていった
ネウロイに発見されやすいようにわざとだ
彼女らは長時間戦闘に備えて各ストライカーには増槽を装備し、武器を持てるだけ持って出撃していったのである
「パ・ド・カレーの上を通過シタゾ」
「ここまでは、異常ないわね・・・・このような形でもう一度戻るとは思わなかったわ」
ミーナが苦笑していると、バルクホルンが近づく
「ミーナ大丈夫か?」
「大丈夫よ。あの時の私とは違うわ」
「いや・・・・それは勿論なんだが・・・・お前の背中に背負ってるものなんだが」
バルクホルンが見ている先にあるもの
それは、いつも宮藤芳佳が背負っている弾薬箱だった
「重たくないか?無理だったら捨ててもいいんだぞ?」
「あら?いつもの宮藤さんがいないなら誰かが代わりにしなくちゃいけないじゃない
実戦ではやったことないけど、訓練はしたことあるのよ」
「それならいいが・・・・」
スーッと離れていくと、再び編隊を組んで飛行する
ネウロイに侵された大地は酷く、あちこちで建物と大地が崩れていた
「酷い光景ダナ・・・・」
「アタシの故郷もこんな状態かなー?思い出の土地が無くなるなんてやだよー」
「思い出はもう一度作ればいいだろ?」
「そうね・・・・それにしても、ネウロイ戦力圏内にいるのにネウロイが見当たらないなんておかしな話ね」
「うむ、そうだな」
「それに、先ほどからネウロイの残骸が山ほど転がってるし。爆撃隊ががんばったのかしら?」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
ルーデルの真相を知ってる三人は沈黙をしたが、エーリカが不意に眼を鋭くさせる
「見て!あそこ!!」
指をさした方角を見れば、小型ネウロイと大型ネウロイの姿があった
「来たか!まずは私に任せろ!!」
バルクホルンはそう言う否な、腰についていた装置にスイッチを押す
すると、轟音と共に炎の光を走らせながら、小型ネウロイの集団に吸い込まれたかと思うと大爆発を起こし纏めて撃墜する
「ヒューッ!サスガダナ。ミヤフジ博士謹製のフリガーファウストは」
エイラが感心したかのように口笛を吹く
そう、これは宮藤博士達が研究の息抜きに作り上げたもので
サーニャが使うフリガーハマーの弾頭を利用し、フリガーハマーを小型化、片腰に3連装入れた
箱を両腰に吊り下げて、スイッチで片方斉射、一斉斉射を選択できるようになっていた
打ち切って空箱になったら、速やかに投棄してデッドウェイにならないように工夫も凝らしていた
辛うじて、爆風を逃れた小型ネウロイもいたが、次の瞬間にはバラバラに蜂の巣にされる
「オー、遠距離でも威力を落ちナイ、セミオートショットガンは使い勝ってイイナ」
そう言いながら、宮藤博士謹製ショットガンを連射するエイラ
その様子を見たミーナは
「いいわ!この調子でネウロイを引き付けて頂戴。少しずつ大型陸上戦艦ネウロイから剥がすのよ!」
「「「了解だ!!」」」
ミーナ達の奮闘はまだまだ続くのであった・・・・
おまけ
あれから、多くのアフリカの将兵やウィッチ達が見舞いに来てくれた
真美は涙ぐみ、マイルズはヤレヤレとして見舞いのブランデーを差し入れる
それは、マルセイユがなす人望であろう
見舞いが一段落し、部屋に残ったのは、ベッドで横になるマルセイユと見舞品を整理する加東だけであった
「ティナったらすごく人気者ね。こんなにお菓子や珍しい果物を持ってきてくれるなんて」
「・・・・・・・・・・・」
しかし、マルセイユは黙ったままだ
「?どうしたのよ、具合悪いの?」
「・・・・なあ、ケイ。私はそんなに凄い存在じゃないんだ」
「急に何よ。そんなに弱気になって」
マルセイユはぼんやりと天井を見ながら続いて言う
「私は師匠に懇願して弟子一号としてライトニングフォックスに入った・・・・・
そこで11人の仲間と一緒に修行していったんだ。私は何でもできたんだ。誰よりも早く、誰よりも強く、誰よりも上手かったんだ
マルセイユは手を目の上に置いて
「みんな凄かった。マイルズは回転を極め、ナオは防御を極め、イリスは接近戦を極め、ルチアナは狙撃を極めたんだ。
それぞれが、自分が自分だけの特徴を持っていたのさ。当然何もない私は焦った。
回転も覚え、シールドも効率よくして、精霊の歌も学んだ。覚えれるものはすべて覚えた
マイルズほどの回転のキレはなく、ナオほどの固いシールドを張れず、イリスほどの斬撃も出来ない。
ルチアナもあいつほどの遠距離狙撃なんて敵わなかったよ
射撃が上手いなんて、そんなのは誰にもできることさ。そんな私の最後の拠り所が師匠から頂いた
この刀だけだったんだ・・・・・
これが敗れた以上、私はもう何も残ってないさ」
そう自嘲するマルセイユに
パンッ!!
乾いた音が響いたのだった・・・・・
終わり
次はルーデル達の視点になります
マルセイユはもう少し続きます
それではお楽しみに
最終更新:2015年08月21日 04:35