一方、ルーデル中隊はドーバー海峡までは一緒に飛行していたが
ドーバー海峡を越えたあたりで分離していた
違いはミーナ中隊が高高度を飛行していたのに対し、ルーデル中隊は地を這うかのように低空で飛行していたことだ
「ふえー・・・まるで蛇のように低空飛行するんですね」
「その通りだ。低空に這うことでネウロイから発見されるリスクを減らせる。今しがた連絡が入ったが、ヴィルケ中佐がネウロイと遭遇した」
「えー!!大丈夫なんですかー!?」
「大丈夫だろう。対地攻撃しかできない私ですら落とせたんだ。
回避のユーティライネン、ゴリラのバルクホルンがいるんだ。ヴィルケ中佐も中々と腕前と聞く
彼女たちがいるのに、これで手古摺るようでは、話にはならんよ」
「爆撃専門で航空ネウロイを落とせるのは隊長だけですよ・・・」
アーディルハイドさんが何か言ってきましたが聞こえませんでした。
「それにしても・・・・先ほどからネウロイの姿が見えませんけど・・・」
「ああ・・・・ここら一帯は私が偵察のついでにネウロイを破壊しておいた。お前たちが安全に進撃できるようにな」
「えー!・・・そんな事していいんですかあ?確か、偵察中での交戦は厳禁されたはずじゃあ・・・」
「その通りだ。但し、相手が襲い掛かってきたときは別だ。実際にここは多くのネウロイが私に襲い掛かってきたよ
他の戦区では私の姿を見たら、すぐに逃げ出す。ここのネウロイは他と違って根性があるようだ」
「ネウロイが逃げ出すのは隊長だけだ・・・・」
ポルシェさんも何か言ってきますが聞こえません
「しかし・・・・ルッキーニ少尉を朝の偵察に連れていく事はできなかったな。磨けば輝く物があるのだが部屋にいなかったし」
「うじゅ?アタシも行かないといけなかったのー?ごめんなさい」
「いや、これは私の自主的な行動だ。作戦前にじっくり体を休ませることも大切だ」
「それなら、あっしを毎朝連れていくのは止めてほしいでやんす・・・」
もう一人の子も何か言ってきましたが聞こえません
そんな会話をしていた私達でしたが、ルーデルさんが突然眼を鋭くさせます
「むっ・・・来たか」
その言葉を証明するかのように水平線の向こう側から黒いしみが滲み出すかのようにネウロイが現れました
地上のネウロイが大地をすべて覆い尽くす数で、地上の土が見えません
「うにゃー!!すごい数だよー!!」
ルッキーニちゃんがびっくりしていますが、ルーデルさんが
「ビビるな!我々の目的は超大型ネウロイの破壊にある!小型ネウロイは全部倒す必要ない!!全機、私に着いて来い!!」
と発破掛けます!!
そして、ルーデルさんがますます高度を低く取り着いて行ったら、地上からのネウロイからのビームが飛んできます
「ルーデルさん!危ない!!」
その光景を見た私は、ルーデルさんの前に出ようと思ったのですが・・・
「心配ない」
「ええーーー!!」
なんと、全員が覆い隠してしまうほどの巨大なシールドを張って防いで見せてくれました
「どうした!この程度か!?この程度なら私のシールドを破ることはできんぞ!!」
そう言うや否な、背中に背負っていたMG42を取り出し
「沈め」
MG42が咆えると次々とネウロイが砕け散っていきます
って、あれえ?確かポルシェさんが言うには・・・・・
「すごーい!!よーし!アタシもやるー!!」
ルッキーニちゃんはそういって、ルーデルさんよりも前に出てM1919A6を構えて
ネウロイの真正面に向けて撃ったのですが・・・・
「うにゃー!!弾かれたー!!どうしてー!?」
そうだった。ルッキーニちゃんの射撃が弾かれたようにルーデルさんが持つMG42では
真正面で陸上ネウロイを撃破するのは難しいと聞いたことあるのですが、何ででしょうね?
「ルーデルさーん、なんでルーデルさんなら真正面で撃破できるんですかー?
確か、大口径砲じゃないと撃破は難しいと聞いたことあるんですがー?」
「ふむ・・・それといった秘訣はないのだが・・・私は普通通りにしているだけなんだが」
その後も、ルーデルさんを先頭に、ポルシェさんやリーネちゃんが横から攻撃してくるネウロイを撃破していきます
ルッキーニちゃんはさっきの事が納得いかなかったのか、ブータれています。
と、目の前に大型ネウロイが急に飛び出してきて、ルーデルさんの前に立ち塞がるようにそびえ立っていました
「ルーデルさん!!」
今度こそ、ダメだと思った私でしたが・・・
「邪魔だ」
何と!シールドを張ったまま体当たりして、そのまま貫通しちゃいました
その光景にもはや、私は呆れる他ありませんでした。
私達、全員が大型ネウロイをフライパスした時には大型ネウロイは当たり所が悪かったのか砕け散りました
と、
「もうすぐ抜けるにゃー!!」
ルッキーニちゃんが嬉しそうな声を上げたとおりに、あれほど黒かったネウロイの大地がだんだん薄くなっていきます
が、
「むっ!全機防御!!」
突然、ルーデルさんが大声を上げたので私たちは急いでシールドを張りました
その途端、甲高い音がしたかと思うと、空中・地面問わずにあちこちで大爆発しました
その凄まじさは近くにいたネウロイのいくつかが砕け散ったほどです
「うひゃあ!!何ですかー!?これ?」
リーネちゃんが怯えたかのように声をあげます
ルーデルさんはこの爆発を冷静に観察し
「これは・・・・艦砲射撃だ。海軍からの連絡はない。それに海からは遠すぎる
ということは・・・・見えたぞ」
その言葉通り、それは突然現れました。
いくつものの船をくっつけあったかのような不思議な形をしていて
艦体の上には大きな大砲がいくつも乗っていました。
その中央部に鎮座する一際大きな主砲は私たちに向けて何度も連射してきますが、私たちは大きく左右にずらすことでかわします
そして、主砲が当てにくい至近距離に接近したら、攻撃手段を切り替えたのか機関銃座から、無数の弾が飛んできます。
私は攻撃を必死にかわしていると、ルーデルさんが落ち着いた声で命令を下します
「超大型陸上ネウロイを視認。全機、これより超大型陸上ネウロイを破壊する。花火の中に突っ込むぞ!!」
そう命令を下し、上空で黒煙が上がり、夥しい火線が飛んでくる戦艦ネウロイに突入していきました・・・・・
おまけ
マルセイユは茫然とした。
現実に行われたことに脳が追い付いていなかったのだ。
ようやく、頬が熱く感じたところで理解することができた
「どうして・・・・どうして!そんな事が言えるのよ!?」
加東がマルセイユの頬を叩いたのだ
「ケ・・・ケイ・・・・」
じんわりと涙を滲ませながら、マルセイユは叫ぶ
「私の師匠の刀が敗れたんだぞ!だったら、もう何も残ってないじゃないか!」
「ふざけないで頂戴!!あなたは何もないって本気で思ってるの!?」
「そうだ!私は何もない落ちこぼれだ!!」
「それこそふざけるな!!私もね射撃は得意だったわよ!!それでもあなたのようにね
敵が勝手に吸い込まれるような射撃を軽々と何て出来やしないわよ!!
私も、マイルズから回転を教わったけど、てんでダメだった!!
貴女が才能がないと言ったら、世の中多くの人は才能がなくなるわよ!!」
「そんな事・・・そんな事・・・・」
マルセイユは顔を下に向けたが、加東はなおもいう
「私の知るハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユは才能で差別する人じゃなかった!!
才能があろうとなかろうと区別せず、分け隔てることなく接し、才能のない娘を育ててるじゃないか!!
思い出せ!!どうして、その力が欲しがったのかを!!」
「あ・・・・ああ・・・・・」
マルセイユはその言葉に脳裏にあることが思い浮かんだ
自分勝手な行動で呼び出してしまった悪魔
触手が体に貫かれて、大量の血を流しながら床に倒れる
私は誓ったんだ。二度と繰り返させない。あの出来事を
(そうか・・・・そうだった!)
「済まない・・・・私は危うく忘れるところだったよ。なぜ私が力を欲したのかを・・・
皆を・・・ウィルマを・・・・守りたかったんだ」
そういって、涙を零す・・・・
最終更新:2015年08月21日 04:36