23 :ナイ神父MK-2:2015/08/25(火) 23:00:45
日蘭世界第二次世界大戦
~英米の苦悩~


アメリカのペンタゴン、現在ここでは来る日蘭同盟との戦争に供えての作戦会議が行われようとしていた。
しかし、海軍将官には暗い表情が目立つ、そんな中で現大統領であるルーズベルトは会議を進めるべく話し始めた。

「現在の民意の状況では、開戦は避けられないが、今の我が国が配備を進めている戦力で日蘭の戦力を打破できるのかね?」

「緒戦の内だけであるなら対抗することは難しくありません。しかし、万が一にも我が軍が敗れる事になればその時は、
そのまま本土に対して砲弾が飛んでくることになります。」

そう硬い表情で答えたのは太平洋艦隊司令チェスター・ニミッツ大将である。
その言葉にルーズベルトは顔を顰めた。

「しかし、オランダはイギリスが引き付け、我々が相手をすることになるのは日本だけのはずだ、
それでも難しいのか?」

そう楽観視する大統領を前にニミッツは眩暈を感じるも、話を続けた。

「現在、日本・オランダ共に友邦に対して戦艦を初めとする艦船を販売し、海軍戦力の増強を図っております。
また、ドイツ・イタリア共に新型戦艦の開発を行っており、イギリスはおそらく自国海路を守ることで精一杯になるでしょう。
イギリスが敗北することになれば我が国は一国でオランダと日本を相手取ることになります。」

「何の為にダニエルプランやビンソン計画に予算を割いたと思っているんだ、なんとしてでも日蘭の艦隊を破り、
アジアにおける我が国の権益を確保できるよう努めてくれ」

「…了解しました」

ニミッツはそう返事を行い退室した。
疲れきった顔で自身の執務室へ戻った彼を待ち受けていたのは、タイ王国海軍と東ロシア帝国海軍が新造艦隊
の編成を完了しいつでも行動が開始できるという情報であった。
気が付けば、ニミッツは祈りたくなるような気持ちでこの情報を持ってきた仕官へと真偽を確かめていた。

「これは確かな情報なのか?」

「はい、我が軍の諜報部だけでなく、イギリスの諜報部からも掴んでいる事から確かなものだと思われます。」

日蘭と協力関係にある2カ国の艦隊再編完了の報はアメリカ海軍へと更なる苦境へと追い込みながら
アメリカ軍内を駆け抜けていった。


イギリスではネヴィル・チェンバレンが頭を悩ませていた。

「ビンソン計画だと?これを実行すれば我が国の財政が破綻しかねないぞ」

そう、計画を持ってきたアメリカ外交官に言い放ったが、外交官は表情一つ変えず返答してきた。

「しかし、現状貴国の戦力では日蘭に対抗するは難しいのでは?特に現在はペルシャとトルコにも
戦力が増えてきていると聞きます。それに対抗し、我々が勝利に至る為の最善の手段だと考えています。
また、フランスはすでに了承しイギリスが了承して頂ければより確実なものになるでしょう。」

海軍を増強する余裕の少ないフランスが了承したことには驚いたが、事実現在の帝国海軍では
インド洋周辺の防衛が難しくなってきていることも事実であった。
心臓たるインド・スエズ運河と経済的負担や参加しなった場合の戦後の自国の状況を天秤に掛けた結果、
イギリスは計画参加を了承した。

「貴国の賢明な判断に感謝いたします」

感謝を述べると外交官は退室した。
しかし、英国はまだ知らない諜報をアジアやインド周辺に集中させたことによって
ドイツやイタリアへの諜報活動が少なくなりその間に両国が日蘭から招いた技術者の協力で
新型戦艦を開発していることに、そしてその事に気が付いたのはすでに開戦後であった。

余談
日本のとある新聞では現在の状況についての二つの風刺画が話題になっていた。
一つは痩せこけたフランスの横で、ビンソン計画と書かれた丸太でチェーンソーを持った撫子からの攻撃を防御しているアメリカと
もう一つは胸の位置にインド、首筋の部分にスエズと書かれたイギリス軍人風の男がペルシャ風の男とトルコ風の男から押されて
後ろで剣を構えたドイツとイタリアが待ち構えるというものであった。

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最終更新:2016年04月09日 22:26