201 :ナイ神父MK-2:2015/08/27(木) 21:50:07
時間になりましたので投稿させていただきます。
なお、作中にジョージ・ビンソン中将という架空のアメリカ軍人が
登場するのでご了承ください。

202 :ナイ神父MK-2:2015/08/27(木) 21:50:41
アメリカのトラウマとビンソン計画

ビンソン計画、後の軍事評論家たちには第二次世界大戦におけるアメリカの代表的な愚行として、軍事マニアからは
連合側の艦隊の多様性を失わせた計画として有名なものである。
その内容は各国の艦種の規格を統一し、短期間で大量の艦隊を編成して日蘭の艦隊に対抗するというものであった。

しかし、その実態は連合各国の財政に負担を与えるという重大な問題があった。
また、この計画によりフランスはまともな陸軍を揃える事が出来ず中にはナポレオン時代の大砲やマスケット銃で
武装する兵隊も見られるほどであった。※1

そして、大枚を叩いて建造した艦隊にも欠点が存在した。それは、規格を統一したことによる柔軟性の無さである。※2
ビンソン計画で建造された艦隊は米国が太平洋で日蘭相手に正面からぶつかり合うことを前提としていた為、砲撃の威力と
装甲が重視された低速艦で、速度は当時英仏が好んで使用していた高速戦艦よりも5ノットほど遅いものであった。
その為、輸送船の護衛や哨戒任務では財政を圧迫された中で建造された数少ない駆逐艦や護衛空母が酷使され、攻撃を受けても
援軍が間に合わないことも多々あった。※3

ここまでの欠陥を抱えながらもアメリカがビンソン計画を強行したのか、それはアメリカが受けたハワイ沖で受けたトラウマがある。
当時、太平洋進出への足掛かりを探していたアメリカはハワイへと目をつけ独立運動を煽り、これを支援する形で太平洋艦隊を出撃
させた。

アメリカ首脳部・国民共に自国の圧勝を信じていた為、太平洋艦隊の壊滅はまさに晴天の霹靂であった。
相手がオランダであったならまだショックは少なかったのかもしれないが、相手はオランダの腰巾着の黄色人種が支配する国で単純な
戦力比でもこちらが圧倒的有利であった、その中での敗北である。

この事は人種差別の強いアメリカに大きな波紋を与える形となり、大きな混乱を起こす原因にもなった。
いち早く正気を取り戻したのは首脳部であり、早期に混乱を収束させ、失われた艦隊の再建計画としてダニエルプランが施行され、
アメリカ太平洋艦隊は以前よりもより強大になって再建された。
しかし、アメリカ国民が受けたショックは大きく心の中にトラウマとして残った。

第二次世界大戦で再び大日本帝国との戦争が確実性を帯びてくるとアメリカ国民はトラウマを呼び起こされ艦隊の数に不安を持つようになる。
そんな中当時の海軍中将であるジョージ・ビンソン中将の提案をベースに作られたのが、ビンソン計画である。※4
この計画の発表は太平洋側に住む国民を大いに安堵させまた、国内全体の戦意高揚に繋がった。しかし、その反面研究中であった、原子力の
研究中止や新型爆撃機や戦車の大幅な開発延長に繋がり、海軍と陸軍との間に大きな溝を作る結果となった。


※1:一部懲罰部隊やアフリカから強制徴用された現地民の部隊には、銃剣を着けただけの弾の入っていない銃が渡されたり
槍やサーベルを持たされて騎兵隊として馬に乗り突撃させられる部隊あった。

※2:計画では火力・装甲・生産性が第一として設計され改装の余裕も少なく、対空砲の増設や新型の艦載機との規格が合わないという
問題も多発した。

※3:ドイツやイタリアが建造した巡洋艦や駆逐艦・潜水艦に圧倒的に速力や探知能力の面で劣り、味方が全滅した後に海域に到着し
付いた所で逆に待ち伏せされて撃沈されるといった展開も極稀だが見られた。

※4:本来ビンソン中将が提出したものでは、基礎の部分を同一規格で設計して、互換性を計り改装を容易にして各国のニーズに合わせる
というものだった。

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最終更新:2015年09月09日 20:17