900 :ナイ神父MK-2:2015/09/06(日) 19:35:47
転生、それぞれの悲喜劇
ドイツのとある別荘地
「よし、これで完成したぞこれこそが私の夢見た世界首都ゲルマニアだ。」
男の目の前には巨大な都市の模型があり、彼が長い年月をかけて計画を立てていることが伺える。
彼の名はアドルフ・ヒトラー本来ならばドイツに第三帝国を築き第二次世界大戦の原因にもなった
人物がこんな所にいるかというとそれは彼の数奇な運命と関わってくる。
憂鬱世界で結局日本を追い越すことが出来なった彼は家族に見守られる中静かに息を引き取った
はずだった。しかし、目が覚めてみれば第一次世界大戦の真っ只中で再び伝令兵を行っていた。
最初は混乱し、情報を収集していると驚いたことに過去の自分に転生しているとしか言えない
状況であった。
この事実は彼を歓喜させた、もう一度自分が追い求めた夢を追える事にしかし、現実はそう甘いものではなく
前世とは何もかも違う状況は彼を驚愕させるには十分であった。
まず、前世の終生のライバルであった日本は
アメリカ並み巨大化し、さらに欧州の中でも弱小といっても過言
ではかったはずのオランダが大英帝国すらも上回る規模の領土と堅牢な要塞線を引いていたのだ。
この大帝国二つと敵対するかもしれないことに流石のヒトラーも心配に刈られたがその心配は杞憂であった。
戦後の日蘭は積極的にドイツを支援し、前世で経験したような社会不安も無くその中で順当に政党を立ち上げ
首相にまで上り上げた彼はベルリンオリンピックの流れに乗りこの壮大な都市計画を立ち上げ実行しようとしていた。
「この完成予想図を奴に見せてやろう。きっと驚くぞ。」
そう言って上機嫌で部屋から出た彼は、同じく転生したアルベルト・シュペーアに模型を見せるべく電話へと
向かっていった。
イギリス某所
「国民も現政権も正気なのか?」
そう言って自室で頭を抱えているのはウィンストン・チャーチルである。
彼も憂鬱世界から転生し、今度こそ大英帝国の没落を防ごうと努力してきたが、頼みの綱だったはずの
日本には前世よりも十倍以上に巨大化された上で敵意を持たれ、さらに本来持っているはずだったオーストラリア
を初めとする植民地をオランダに持っていかれていつでも心臓に刃をさせる状態で関係が悪化
しているという有様だ。
この事に加えて目に見えて没落が見えているせいで国民や上層部の反日蘭意識や黄禍論が高まり戦争まで
待ったなしの状態なのだ。
はっきり言って無謀以外の何者でもないのだが、チャーチル一人の言葉ではとまるはずも無く、
戦争への準備は着々と進んでいた。
「とにかく何としてでも大英帝国の形だけでも残さなければ…」
彼の苦悩は続く
イタリア某所
「何だ、オランダと日本が巨大化している分こっちが楽で出来そうじゃないか。」
昼時である為、自宅でパスタを食べながらドゥーチェはそうもらした。
「まずは、バチカンを抑えてペルシャ・トルコに協力できるようにして日本に
恩を売って・・・それだけじゃなく外交のついでに観光もしてみるか、大きなった分観光名所も多そうだ。」
国の計画だけでなく自身の観光計画までしっかり勘定に入れているドゥーチェであった。
都内某所
「いつ見てもこの国の本は面白いな・・・」
此処には本来居ないはずの男が図書館で漫画を呼んで居た、ヨシフ・スターリンである。
なぜ彼がここに居るのかと言うと端的に言えば亡命をした為である。
当初こそ彼も前世での地位を取り戻す為に動いていたが、ロマノフ王朝の遺産は手に出来ず
増えるばかりの仕事は彼の心身を疲弊させた、その後彼はレーニンの遺書が原因で書記長
の地位を追われそのまま日本へ逃げ出してしまったのだった。
日本に亡命したからはそのままソ連の内情と引き換えに日本国籍を手に入れ
再婚した妻と共に東京で暮らしている。
最終更新:2015年09月09日 21:06