70 :第三帝国:2015/11/04(水) 23:19:50
続いたネタ13 GATE~
夢幻会、彼の地にて戦いけり
1945年 東京某所
21世紀の人間が1945年の日本にそんな疑念を抱いている中、
半世紀以上先の電脳技術に関する勉強会という名目で夢幻会の会合が開かれていた。
もっとも、それは表向きの話で。
「ヒャッハー、火達磨にしてんやんよ」
「ちょwwwドンキーで自爆とかやめろ!!」
「ギャー!リンクの回転切りでも墜ちるーーー!!」
大乱闘スマッシュ○ラザーズを遊んでいた、それも懐かしの64で。
テレビは21世紀の日本政府から参考として送られた大型液晶テレビで、
64とそのソフトは21世紀の日本に派遣された夢幻会派に所属するモブ官僚のチョイスであった。
「電脳技術に関する勉強会が何で64を遊んでいるんだ?」
「何時もの事じゃないですかこんなオチなんて、
ですが少年時代の懐かしのゲーム、私は久々に童心に帰れましたよ」
嶋田の嘆きに己の私利私欲に忠実な夢幻会を良く知る辻がそう答えた。
「ああ後は「頑張れゴ○モン」ですね。
64でかつて私が遊んでいたソフトは、今ではすっかり懐かしい…」
「ゴ○モンか、ボン○ンの漫画はエロかった…。じゃなくて、いい加減真面目な話をしよう!」
「おやおや」
思わず辻の言葉に乗せられた嶋田が強制的に話題転換をする。
そして、ゲームを遊びつつも2人の会話を聞いていた周囲の人間が遊ぶのを止めて聞きに入る。
「さて、諸君。
異世界。特地での活動についてだが、
伊丹が原作通り避難民をアルヌスに連れて帰ったようだ」
「ふむ、これで例の3人娘とのフラグが立ったわけか」
嶋田の言葉に近衛が頷く。
「ああ、無事その3人も確保した。
という報告は来たが…どうもテュカの父親も拾ったみたいだ」
「はて、テュカの父親は死んだのでは?」
嶋田の言葉の内容に辻が首を傾げる。
辻が知る原作ではエルフ娘のテュカの父親、ホドリューは炎龍によって死亡したはずだからだ。
71 :第三帝国:2015/11/04(水) 23:20:23
「ふふん、さてはアニメしか見ていないな大蔵大臣。
小説外伝でテュカの父親は生存しているのが確認されている」
「ええ、私。外伝を見る前に亡くなったので」
「え!?」
近衛が嬉々と辻の知識不足を指摘する。
が、思わぬ返答に眼が点になった。
「あ、その、なんだ」
「別に気にしていないで話を進めましょう、
それで嶋田さん、原作からの逸脱はそれだけですか?」
近衛が気にするのを無視して辻が言葉を綴る。
「まあな、伊丹たちとは別の偵察隊が、
行商人のトラウト・ローレンツとその妻の人狼娘を保護したとのことだ」
「人狼娘だと!」
「獣耳キタこれ!!」
嶋田の人狼娘の一言で場が多いに盛り上がる。
「総理!写真は!写真はないのですか!!」
「くそ、なんで官僚なんかになったんだ!
陸軍軍人になっていれば今頃特地にいたのにっ…!
あ、写真は自分が責任を持ってあずかりますのでこちらにください」
「軍人になって階級が上がれば戦地に行けないし…って、ずるいぞ!」
夢幻会の人間は色々な意味で欲望に素直な人間の集まりであったが、
いい歳した官僚、軍人が獣娘の写真を内閣総理大臣に対して要求する光景がそこにあった。
「トラウト・ローレンス?
自分が記憶している限り確か外伝登場キャラだったのでは?
たしかアルヌス生活共同組合が成立した段階で関わるはずです」
阿部内相が疑問を口にする。
「よく覚えているな…その通りだ。
報告によると商売のために移動中、
盗賊となった元連合軍兵士に襲われた所を助けたとのことだ」
「原作から逸脱しているな…」
原作を深く知るがゆえに近衛がそう呟く。
「さわり程度しか覚えてませんが、
前向きに考えれば現地の商人との伝手が出来た。
という点で寧ろこの逸脱はマイナスではなくプラスだと思いますよ?
現地の情報収集という点ではコダ村の住民よりも深い所まで収集できるはずです」
「む、言われてみればそうだったな」
辻が言うことを一理を感じた近衛が同意する。
何せ史実と違い、いくら情報収集を重視しているとはいえ、
空中からの偵察だけでは得られる情報は極めて限られている。
結局の所、人間から直接見聞きした情報が一番情報としての価値が高く。
これまでそうした伝手がまったくなかったが、今回得られた伝手の価値は極めて高いといえる。
「後はレレイ嬢が持つ書籍の解読、
これも言語学者に翻訳した後に各分野研究を進める。
理想は書籍から魔法の仕組みを習得、魔道師を日本でも育てることだな」
嶋田の言葉に頷く夢幻会一同。
特地はその大地に保有する膨大な資源に眼が向きがちであるが、特地には魔法という未知の理が存在する。
銀座に開いた門が電気やその他動力ではなく魔法で稼動しているように、
魔法を操る技術を習得する事で門の制御、そして魔法という新技術を独占し今後の世界で優位に立つ事を目論んでいた。
「帝国を取り巻く環境は世間一般に言われるほど容易いものではない、
その中で出現した特地は資源に魔法といった新技術と帝国の宝物庫になりうる」
嶋田の言葉に夢幻会の一同が静かに清聴する。
「まさかアルヌスの丘経由で繋がった21世紀の日本。
これは今の帝国にとってまさに天佑と言える状況といえる。
将来的にはアルヌスを通じた21世紀世界との恒久的な交易、
これが実現できれば帝国はこの先100年は繁栄と安泰を得ることができる。
だから、皆それぞれの領域で最善を尽くし、帝国のために働いてくれないか?」
嶋田の話に異論などなかった。
おわり
72 :第三帝国:2015/11/04(水) 23:27:54
以上です、
原作からの逸脱をいくつか描写しました。
第1に過去に「2人の男女のエルフ」を保護したさいの男の方がテュカの父親でした。
第2に商売繁盛編(漫画版でも登場)で登場した人物が早期に登場しました。
今後さらにどのような変化が現れるかお楽しみに
最終更新:2015年12月24日 22:38