687 :第三帝国:2015/10/22(木) 21:38:17
続いたネタ10 GATE~
夢幻会、彼の地にて戦いけり
炎龍を撃退したが残念ながらコダ村の住民から犠牲者が出てしまった。
そして各自が行くあてを頼りに分かれる時、住民から見捨てられた身寄りの無い人間、その数23名。
老人や子供が不安の表情を浮かべ伊丹を注視してたが、
「大丈夫、まかしておきなって」
アルヌスの丘に連れて帰る決断を下した。
上からは人道支援で雛民の護送を命じられても保護して連れて帰る許可は出ておらず、
下手をすれば見捨てるように命令されることもあったが定時報告をサボることで凌ぐつもりであった
もしも突っ込まれてもこの世界の住民との交流を図るため、と拡大解釈する予定だ。
そして日本軍側の指揮官であった小野田少尉も同じ考えで伊丹と口裏を合わせた。
のだが。
「まさか避難民の受け入れ許可が出るなんてあの時は思わなかったですよ」
「日本軍と話し合って事前にある程度予想された状況だ、それに現地協力者を作る絶好の機会だったからな」
まるで予想したかのように身寄りの無い避難民受け入れ許可が届き、
処罰や避難民を見捨てることを覚悟していた伊丹にとって驚きであった。
その裏事情をアルヌスの丘に帰還した伊丹が柳田から聞いて初めて知った。
「で、柳田さん。わざわざ俺を個室に呼び出して何の用ですか?
たぶん裏で色々事務方として動いていたことを感謝しますけど、
これから避難民の食事やら住む場所やら色々必要な書類を処理しなきゃならないので」
「まあ、そう焦るな伊丹」
面倒くさそうに言う伊丹に対して柳田が制止を促す。
「まずはこれを聞いてみてくれ」
「レコード?向こうの日本の物ですか?」
絶滅危惧主の音楽媒体に伊丹の脳内に疑問符が浮かぶ。
柳田が言わんとしている意図が読めなかったからだ、しかし。
「こ、これは!?」
レコードから流れる音楽は伊丹に聴き覚えがあった。
というよりも懐かしさのあまりに驚愕してしまった。
そう、アニメ「涼宮ハ○ヒ」のEDテーマ曲「ハレ晴れユカイ」であった。
「お前もそうか、二科に所属するオタクもそんな反応をしていたよ。
何でもこの曲は1930年代から向こうのお嬢様学校でダンスと一緒に流行っているそうだ」
「せ、1930年代っい!?」
688 :第三帝国:2015/10/22(木) 21:41:14
伊丹は驚きの声を挙げる。
ハ○ヒと言えば2000年代流行した作品であるのだが、
それが70年も前に流行している事実に理解が追いつかなかった。
いや、可能性は1つだけある。
「柳田さん、これってやっぱり…」
「お前が書いた報告書、
未来人云々について公式的には認めていないが、
上の人間は歴史の流れに何らかの可能性を覚えている、と言っておこう」
上の人間も未来人の可能性を内心認めていると柳田は言った。
「なあ、伊丹。
永田町は知りたがっている、
この特地だけでなく別の歴史を歩んだ日本の正体を。
1940年代にトランジスタを実用化させているような進みすぎた日本とその世界を。
政治家に経済界の連中は大日本帝国との交易、そして油田に各種資源開発に色めき立っている」
「でも、お高いでしょ。
その代償やら外圧やらで」
伊丹が肩を竦める。
「ああ、実際あるさ。
中国やら韓国やらは大日本帝国と国交を結んだことは軍国主義者の復活を意味するらしい。
国内の馬鹿左翼と不愉快な仲間達は連日銀座と帝国の大使館前で飽きずに抗議活動をしているし、
アメリカは特地だけでなく帝国に興味を示していると来た、ああ、たしかに外圧は鯨や自動車以上に凄い、世界的な経済問題もあるからな。
だが、特地と帝国日本があれば世界の半分を敵に回しても良いほどの価値がある可能性がある、それを見極める必要があるんだ」
エリート官僚として人一倍愛国心が強い柳田が日本を取り巻く現状を伊丹に説明した。
「まさかたかが二尉の俺がこんな話を聞くなんてな。
で、そんな世界を出し抜くためにこの世界の情報を必要で、
今回俺が連れてきた避難身との交流を利用して現地協力者に仕立て上げ、
最終的にはこの特地に存在する資源、世界情勢の調査に役立つ人材を育てると」
「なんだ、分かっているじゃないか、伊丹。
お前には避難民を現地協力者に仕立て上げる任務が近々正式な命令として下されるだろう。
それと大幅な自由行動が認めれる、何グリーンベレーも現地協力者を育成するだろ?それに習ってみるといい」
「Sなんてならなきゃ良かった…」
伊丹が特殊作戦郡に所属していることを知る柳田の言葉に伊丹が本気で後悔する。
「ふん、給料分せいぜい働くんだな、
それと小野田少尉とは引き続き一緒に行動してもらうからな」
柳田が有能な怠け者である伊丹にそう伝えた。
おわり
最終更新:2015年12月24日 22:42