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810 :ham ◆sneo5SWWRw:2016/01/14(木) 01:56:17
この作品はGATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりと憂鬱のクロスものです。
原作の平成日本とは繋がりません。
色々破茶けてます。
こんなの無いだろ、なオリ設定もあります。
笑い飛ばす程度に読んでください。
以上の事を留意してお読みください。


GATEネタ GATE 皇軍 彼の地にて、斯く戦えり 第3話 思惑 前編


明けて1945年11月12日 午前8時30分頃


昨晩の戦闘が夢だったのかと思えるほどに、アルヌスの丘は静けさと晴天に包まれていた。
しかし、ひとたび地上に視線を向けると、地上には文字通り地獄絵図が広がっていた。

「やった自分達が言うのはなんですが、ひどいもんすね」
「ああ」

伊丹は部下の倉田と富田、そしてカリフォルニアからの観戦武官ウィラード大尉と共に戦場の検分を行っていた。
主に敵が使っている武器、軍用動物の調査や生存者の救助が任務である。

「さっき聞いたんですが、今回の敵の戦死者は概算8万5千、捕虜は1万5千らしいっすよ」
「銀座でこっち(日本側)は2万5千。向こう(特地側)は5万6千に捕虜4千。こっちに来て直後の戦闘でも4,5千以上は殺ったから・・・
こっち(日本側)は負傷者含めて合わせて約3万、向こう(特地側)は合わせて死者約14万5千、捕虜も含めれば16万5千以上にもなる、か・・・」
「敵側の心配も、ですかな?」

ウィラード大尉は伊丹に向かってそう訊ねた。
伊丹は肩を竦めて言った。

「そりゃ、自分達も軍人ですから命令には従いますよ。
でもね、こんだけ大勢が死ぬというのは結構辛いもんすよ。
おまけに弱い者虐めなんですから」
「まぁ、見たところ火縄銃すら無さそうですから、地球で言えば500年以上前の軍隊というところですか。
可哀そうな気にはなりますな。
しかし、この戦死者の数はこちらの『帝国』とか言う国も相当な打撃になったでしょうな」
「これで講和に持ち込めればいいんすけどね」
「そりゃ無理だ、倉田」

倉田が何気なく言った言葉を伊丹は否定した。
倉田は理由を訊ねた。

「なんでですか?」
「どこの国にも分からず屋の馬鹿とか現実を見ない馬鹿が居るもんさ。
そして大抵そいつらが国を牛耳ってやがる。
地球のどっかの国もそうだったろ?
『帝国』の首都にいるそいつら潰さねぇ限り、この事変も終わらねぇんじゃないか?
味方の足を最も引っ張るのは働く馬鹿、っていうし」

この会話を聞いて、ウィラードは目を背けた。
彼のかつての祖国アメリカも、大西洋大津波と太平洋戦争の連敗という状況でありながらも、頑迷な上層部のせいで戦争が続けられたのだ。
そんな彼を知ってか知らずか、二人は話を続ける。

「えー、マジっすか。俺冬の同人誌即売会までには帰りたいのに・・・」
「俺だって即売会に行きたいわ!バカたれ!!第一、それフラグだからやめろ!!」

しかし、そのシリアスはものの数分で漫才に変わってしまった。

400 :ham ◆sneo5SWWRw:2015/11/28(土) 18:19:00

一悶着した後、一同は検分を続ける。

「しかし、昨晩の夜襲は凄かったですね」

ウィラードはそう言って、昨晩の夜襲について日本側を称賛した。
あれほどの大規模な夜襲を円滑に行うことなど余程の練度が無いと難しいだろうと考えての称賛だった。
しかし、帰ってきた言葉は意外な物であった。

「え?あれぐらい普通でしょ?」
「え?」
「「「え?」」」

伊丹ら日本軍兵士が、なにを当たり前のことを言ってんだ、という顔で聞き返すのにウィラードは驚く。

「いや、あの、軍団規模で夜襲、やりましたよね・・・」
「あんぐらい、普通ですよ。師団規模の夜襲訓練だってやりますし」
「え?夜襲の訓練をですか?」
「ええ。特に昨日の主力だった第二師団は特にですが、何か変ですか?」

まるでそれが日常と言わんばかりに話す伊丹に、ウィラードは大いに困惑する。

「あ、いや、えっと・・・日本軍ってそんなに夜襲の訓練をしますか?」
「というか、昔から日本は夜襲で勝利した戦いがありますからね」
「そうですね、1000年くらい前の平安時代の争いでも夜襲していましたし、元軍の襲来も夜襲で苦しめましたし、戦国時代も夜襲で勝利した戦いはいくつかありますし」
「近年だと日清日露もそうですしね。一次大戦のときも夜襲主張して断られたって聞きましたね」
「だいたい、夜襲くらい大したことないのになんで難しいとか言うんだろうな?」
「さぁ?」

完全に置いてけぼり状態のウィラードを残して、3人は普通に会話する。
この日、日本側が夜戦の難しさを気にせず、普通に感じていることに大きなギャップを感じた観戦武官が続出した。

「夜は日本のホームグラウンドだ」

後に彼ら観戦武官は本国にそう報告する。
そして、日本軍の情報を得たい英連邦、独枢軸圏、ソ連共産圏の情報部は、観戦武官達の本国に潜ませた諜報員からこの情報を得て、日本の夜襲対策に血眼になるのであった。

401 :ham ◆sneo5SWWRw:2015/11/28(土) 18:19:33


1945年11月15日深夜 ドイツ第三帝国 ベルヒテスガーデン ケールシュタインハウス


ここベルヒテスガーデンは、ドイツ・オーストリア国境に近い山岳地帯に造られた風光明媚な保養地であったが、ナチス党によって周辺を買収されてからは、ナチス高官の別荘が立ち並び、ヒトラーも自らの別荘、ベルクホーフを構えた。
第二次大戦中には、ベルクホーフを基点として地下に実質的な統合作戦本部たる総統大本営の1つが置かれるようになった。

そしてケールシュタインハウスは、このベルヒテスガーデンを見下ろす海抜1881mの山頂に建つヒトラーの別荘の1つである。
日本による世界恐慌の荒稼ぎの影響で史実より2年遅れて1942年に完成したボルマンによるヒトラーの誕生日プレゼント(同年に英独停戦がなったためにこれの記念も兼ねた)であるこの山荘は、岩の間を爆破して作った山道か、金張りと鏡で内装を施された青銅の扉で守られたエレベーターでしか登る事が出来ない。
逆を言えば、暗殺者やスパイにとって重要な侵入・脱出経路が限られるため、安全性・防諜性が高いと言える。

そんなケールシュタインハウスで深夜、ヒトラーは軍や諜報部などの高官や側近を集めていた。
理由は勿論、日本に現れたゲートとその先の特地についてである。

「大西洋大津波に特地・・・つくづく神はどうして、日本にこれほどまでに加護を与えるのだ?」

自らも座る円卓に高官らを座らせていたヒトラーは、そう言って苛立っていた。

現状、日本は恵まれていた。
世界恐慌では唯一影響を受けないどころか、各国から技術と人材を買い漁り国内の発展に活かし、第二次大戦と太平洋戦争は英独が引き分けで疲弊したというのに、日本は損失が少なく、大西洋大津波では、欧米各国が大被害を受けて苦しいのに、遠く離れた日本に被害は無い。
おまけに近年の数々の発表で更なる躍進をしようとしている。
そんな中で止めを刺されたのが、門の出現である。

当初こそ、日本の首都で大規模な被害を受けたことに内心喝采したヒトラーだったが、門の向こうの特地について詳細な情報が手に入るとすぐに顔を青ざめた。

「ほとんど未開と言って良い土地。
その土地に眠るであろうと予測される膨大な資源。
その特地に存在する国家の技術レベルの圧倒的な格差。
おまけにその国、帝国などという輩から門開通直後に先に戦争を仕掛けられた?
これで日本が特地の帝国を滅ぼせば、あの地の膨大な資源を独占されてしまうではないか!!」

ヒトラーはそう言って両手で円卓を大きく叩く。
その衝撃に高官らはビクつく。
だが、彼らとしてもヒトラーが言う通り日本が資源を独占してしまうことを危惧していた。
ただでさえ軍事技術では圧倒的な差が開いているのだ。
ここで日本が資源大国となってしまうなど悪夢でしかない。
しかもその供給ルートの妨害が事実上不可能なのだ。
U-ボートで通商破壊しようにも陸路であるから無理であるし、日本の首都のど真ん中だから陸軍も空軍も手を出せるわけがない。

膨大な資源によって支えられた工業力でドイツよりも優れた兵器を大量生産し、欧州を制圧する日本。

彼らはそれを幻視した。


もっとも、夢幻会からすれば、

寝言は寝てから言え!
俺達を過労死させる気か!!
てめぇら侵略国家と一緒にすんな!!!

などと言って激怒するだろうが。

402 :ham ◆sneo5SWWRw:2015/11/28(土) 18:20:05


「しかも忌々しい事に中国人と朝鮮人が余計な事をしおって!!」

そう言ってヒトラーはさらに円卓を叩く。

大陸の華僑や大韓帝国は、特地の出現を快く思わなかった。
彼らにとってこれ以上の日本の一人勝ちは許せるものでは無かった。
おまけに彼らの中華思想、小中華思想からすれば、日本はアジアの長兄たる中華と次兄の朝鮮に特地を差し出すべきだ、と考えていた。

全世界から、バカ言ってんじゃねぇーよ、と言われることではあるが。

そんな彼らは、日本国内にまだ残っている親中派や親朝派、反主流派、強硬派を利用した。
特地進出を強硬に進めさせ、その支援の見返りに協力者として特地の利権に一枚噛もうという魂胆であった。

彼らの支援を受けた議員達は、銀座襲撃事件後に開かれた派遣部隊編制などにおける予算等承認のための臨時会において、
陸軍側から提示された平時25個師団体制から戦時28~30個師団体制に移行して対応する案に対し、手緩いと一喝して、更なる増強と派兵を行うように主張させた。

中には50個師団に、100個師団に拡大すべきだ、と主張する者も居たが、
陸軍が財政の負担が大きい事を理由に反対するも、特地を手に入れればその損失なんぞ倍返しに出来る、などと夢幻会を呆れさせるようなこと言う始末であった。
しかし、そんな夢幻会に思わぬ方向から助け舟が出された。

「戦争、震災、天災で臣民が苦難を受けていることを朕は憂いている。特地に眼が眩み、臣民に苦難を強いるのが臣民の代表たる議員のすることなりや?」

それは、今上天皇陛下であった。
各地で頻発する災害を常日頃憂慮されていた陛下は、前総理の嶋田に対処を厳命していたのは、周知の事実であった。
後任になった永田もそれを承知のことであり、彼とて震災復興に全力を上げるつもりでもあった。
帝国議会の開会を宣言した後、そのまま傍聴されていた陛下は、好き勝手言いまくる強硬派の主張に眉を顰め、ついに彼らを非難したのだ。

天皇陛下から非難された議員はそのまま卒倒し、他の強硬派も声を上げることが出来ず、議会は一度お開きになった。

その後が大変だった。

マスコミ各社は、強硬派を猛烈に非難し始め、一部国民がその議員の家に投石やデモを行う騒ぎになった。
また、マスコミの中には中朝の支援で特地進出を煽っていたところも寝返って非難していたが、そのマスコミがどうなったかはお察しの通りである。

嶋田内閣から引き続き、内相を務めている阿部がその対応に苦慮したわけだが、
結果的に日本の情報局の取締りがさらに強化され、各国のスパイたちが下手に動けなくなってしまい、日本国内での諜報活動が大きく制限されてしまっていた。

なお、強硬派議員やマスコミの多くが特高警察に逮捕されることなったのは、言うまでもない。
罪状は外患罪だが、国内の混乱をさらに誘発することから表向きは別に適当な罪状を付けて逮捕であったが。

403 :ham ◆sneo5SWWRw:2015/11/28(土) 18:20:35

血圧を測ったらその血圧計が壊れてしまうのではないか、というほど頭に血を上らしたヒトラーは、中華系や朝鮮系への罵詈雑言を喚き散らす。
そして、ひとしきり罵ったところで、国家保安本部長官のハイドリヒに訊ねた。

「駐日大使館から報告はどうか?」

史実現代の駐日ドイツ大使館は南麻布にあるが、戦前は永田町、現在の国会図書館の位置に大使館が存在していた。
明治時代にドイツ帝国成立と同時に建てられたこの大使館は国会議事堂の隣であり、陸軍省にも近いため、諜報活動の場としても非常に都合が良かった。
だが、さすがに仮想敵国となった国の大使館が国家の中枢のド真ん中にある状態を日本側が見過ごすわけが無く、築40年以上などを理由に移設が予定されていた。

「襲撃事件の日は日本軍の近衛第2師団の凱旋式があったため、多数の親衛隊員やアプヴェーア職員が出ており、幸運にも日本軍の戦闘を確認することが出来ました。
日本側の防諜体制の強化もあり、困難を極めていますが、客死した職員の移送に紛れて各種資料や目撃情報の解析に全力を上げています」

環太平洋会議に向けて多数のスパイを送り込んでいたドイツは、
銀座襲撃事件時に行われていた近衛第2師団の凱旋式にて日本軍の装備などを調査するために、
彼らスパイを多数外出させていた。

帝国軍との戦闘に巻き込まれてスパイにも死傷者が出たが、日本軍が行った戦闘の数々は目撃情報も含めてしっかりと記録していた。
時には文字通り死体の中に隠すなどして必死に運んだこれらの情報は、専門チームによって解析が進められていた。
特にヘリボーン戦術は目を見張るものがあり、空軍の降下猟兵やスコルチェニーら武装親衛隊特殊部隊を中心に研究が進められることとなっていた。

だが、当日外出していた彼らスパイの行動は、同時に村中少将を中心とした情報局に確認されていた。
そもそも近衛師団の凱旋式は、日増しに日本に侵入する数を増やす他国のスパイを把握するために情報局が行った大規模な釣りであったからだ。
鴨一覧と呼ばれるリストに加えられた彼らは、この事件での活躍から出世をした者も居たが、以降は偽情報ばかり掴まされまくり、散々な目に会うのは余談である。

「門に関してはどうか?」

ヒトラーとしては日本軍の情報も気になるが、門に関しても気にしていた。
全く未開の異世界の各種資源は元より、門によって場所も世界も跳躍できるという利点にも魅力であった。
また、異世界から出てきた人間以外の生物の中には日本軍の攻撃を物ともしなかった生物もいることが目撃情報などで確認されており、それら生物の確保も魅力であった。

「戦闘中になんとか確保し大使館内に運び込んだ生物や武器の一部などを解析中ですが、芳しくありません。
中世の技術の産物と変わらない物もあれば、全く未知の物もあり、解析に困難を極めています」

ハイドリヒの報告に不機嫌になるヒトラーであった。
現地のスパイによって、龍の鱗や各種生物のサンプル、武器を事件のどさくさに紛れて収集され、大使館に持ち込ませていた。
外交特権で日本側から追及などをかわしているが、現代科学が敗北するような理解不能の産物だらけであり、解析に当たる科学者らを発狂させていた。
しかし、ハイドリヒはそんなことを臆せずに報告を続けた。

「ですが総統、吉報はあります。異世界の人間を捕えています」

その報告にヒトラーや他の面々が驚愕の色を示す。
ハイドリヒは得意げに報告を続ける。

「彼は、銀座での戦闘中にデパートに立て籠もっていた指揮官で、同じくデパートに潜んでいた親衛隊員によって捕えられ、大使館に連れ込まれました。
我がナチスの教義に共感を覚えたようで、ドイツのために働きたいと申しております」
「信用できるのかね? 中国人と同類では困るぞ」

そう言ってヒトラーはハイドリヒに訊ねた。
第二次満州事変の真相の発表を端とし、続々と明らかになる中国人の裏切り行為には、欧州各国でも知られており、
酷い裏切りを受けて反英感情が激しいフランス人からも「イギリス人の裏切りのほうがマシだ!!」と言われる始末であった。

「彼は下級貴族の出身で母国である特地の帝国とやらで苦も無く出世する皇帝一族や上級貴族に不満を持っているようです。
また、日本軍に敗北した事を屈辱に感じており、日本軍へ復讐したいと申しております」
「ふん。利用できる価値があるというわけ、か」
「それに下級とはいえ現地の貴族です。特地への繋ぎを得ることも出来るかと」
「ふむ・・・」

ハイドリヒからのプッシュにヒトラーは思案し、そして答えた。

「よいだろう。その男の名は?」
「ヘルム・フレ・マイオ。帝国の子爵だそうです」

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最終更新:2025年03月04日 22:16