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615 :影響を受ける人:2014/03/15(土) 23:55:10
提督憂鬱×ストパン+零
第一話 ―始まり、人は今―

約380年近くの時を生き、今年の春にようやく古い仲間たちと合流した嶋田繁太郎の転生体、九曜葛葉は自らの働きかけにより開設された国立大阪導術士学校に来ていた。

「九曜様、何もおもてなし出来ず、申し訳ありません。」
「いえ、急に訪れたのです。こちらこそ申し訳ない。」

そう言って、頭を上げさせる。
頭を深々と下げていた女性・・・学園長は顔をあげ、目の前の伝説を見る。
見た目こそ若いが、その実年齢を知ったときは驚いたものだ。

推薦で選ばれた時は何事かと思っていた。
そして出会って、最初は訝しんだものの資料を読んでいって驚愕すると同時に納得した。
けして口外してはならない存在。

この国を守る守護神で、皇族の盾。
このような秘密を守るには、自分のような口が堅く、それでいて彼女を受け入れられる人物ではなくてはならない。
二人は向かい合うように、応接用の椅子に座る。

「それで・・・御用とは?」
「軍の招集について、です。」

息を飲む。

「・・・やはり、大陸は良くないのですね?」

予想はしていた。
よほどの事が無い限り、九曜はけして口を挟んでこない。
横槍を入れるにしても、分体を用いた連絡を寄越すぐらいだ。
こうして本人が来るという事は・・・良くないという事。

「はっきり申し上げますが、私は反対です。」
「・・・そうでしょう。」

この反対も九曜はわかっていた。
姿勢を正し、悲しみを堪えながらも、強い意志を感じる瞳を向けてくる。

「すでに中学部の志願兵召集で、何人も戦場に行っています。戦死者も・・・聞いております。」

教育者として彼女は正しい。

教育者として携わっている目の前の女性は、そういう基準でも選んでいたからだ。
以前の志願兵募集にも、反対の意を唱えている。

だがこの国に住み、国外の事も知ると、出さなければならないという理由もわかっている。
いくら九曜が過去から現在にかけて対策を立て、原作よりもウィッチの寿命が伸び、数が増えたとしても、まったく足りているとは言えないのが現状だ。

「・・・今すぐではありません。」
「わかっています。わかっては、います・・・」
「辛いのは、私もわかります。ですが・・・」

目の前で苦悩する女性は、教育者として尊敬できる人物。
公平で、誤りを素直に認め、誤りを正していく。
だからこそ、自分は彼女を選んだ。

九曜にしても、前線にかかる敵の圧力は予想外だった。
どう考えても原作よりきつい状況。
すでに高速で飛行するネウロイが出現している。
こちらも倉崎が新型ストライカーを完成させて、前線に配備しているからこそ持っている。

陸軍海軍共に同じ部品などを使用するようになった。
戦闘機も更新が済んでいる。
前世よりも夢幻会発足が遅れ、尚且つ後ろ盾があまりない状況で、これほど進んでいるのが奇跡なのだ。

「猶予は半年です。」
「っぅ・・・!」

だから九曜は無慈悲に宣言する。

「覚悟を、決めて下さい。」

そう言って立ち上がり、立ち去ろうとする。
扉の前まで歩き、ノブに手をかけようとした時、学園長が立ち上がった。

「九曜様は、九曜様は御出にならないのですか!?」
「・・・」

確かに自分が出れば戦況は楽になる。
だが、同時にそれは劇薬となる。

「私言う存在が、いかなる影響をもたらすか・・・アナタでもわかるでしょう。」

それがわかっていても、女性は縋りたかった。
目の前にいる生きる伝説。
それ故に人々は希望を持ち、邪まな思いを抱く。

「私を恨んでも構いません。猶予は半年・・・覚えておいてください。それでは・・・」

九曜は退出した。
悲しみと苦悩を抱かせたまま・・・


――――――――――


「よっ! と・・・」

616 :影響を受ける人:2014/03/15(土) 23:55:43

校庭の鉄棒で、一人の少女が器用に何回も逆上がりをして一息を突く。

「32回連続、更新だね!」

何回まわっていたか数えていた友達の少女がはしゃいで手を叩く。

「いやいや、まだだよ。100回はまわってやる!!」
「そのまえに目が回るよ・・・」

気合を入れて宣言すると、隣で同じ様にまわっていた少女が呆れてツッコむ。
坂本美緒・若本徹子・竹井醇子。
導術士学校小学部六年生の若き、後のエース達だ。

「食堂のラジオで聞いたけどさ、大陸・・・押されているみたいだな。」

鉄棒の上で足をブラブラさせながら、徹子は呟いて空を見上げる。

「そうだね・・・最近の勉強に、訓練はストライカーを使ったのが多くなったよね。」
「意識的に、だろうな。」

不安そうな醇子の横で、美緒も頷く。

「お、れ、は! 早く戦場に行きたいけどな!」

もう一度逆上がりをしつつ勇ましく言う徹子に、二人は苦笑しつつも頼もしさを感じる。
元々彼女は軍属志望で入校した口だ。
親の都合で入ってきた醇子と、検査で判明して入学した美緒とはちょっと違う。

法術士学校に入れられそうだったのだが、自分から親に噛み付いての入学だったのだ。
戦場で飛翔し、戦うウィッチに憧れたというのもあるだろう。

「中学部の先輩の中には、志願で軍に行った人もいるらしいけど。」

美緒が少し物憂げな表情で徹子を見る。
その視線にムッとして、鉄棒から降りた。

「実力なら問題ないさ。同学年じゃ敵無しだぜ!」

事実ではある。
学問はともかく実技は成績優秀だ。
教えている先生も、時に危なくなる場面もある。

ライバルである坂本美緒も同じく、実技において匹敵する実力者だ。
そんな二人は、醇子に宿題を一緒にやってもらって、なんとか成績をキープしているが・・・

「美緒だって、その“魔眼殺し”のメガネのお蔭で、最近は上がっているし。この三人なら敵無しだ!」

徹子は、醇子の指揮能力に全幅の信頼を置いている。
以前、クラス戦訓練において、ワンマンプレーで生徒を撃墜していた徹子を罠にはめ。
その後、徹子と同じグループだった美緒すら撃墜している。
その頃から彼女は信頼を置いているのだ。

「確かにそうかもしれないけど・・・」

苦笑しつつも右目にかけてある“魔眼殺し”を触る。
このメガネは、制御に苦しんでいた彼女の為に作られた特別性だ。
何でも学園長がある人物に頼み込み、制作してもらったものだとか。

あまりの好意に恐縮し、ぜひ制作費用を支払いたいと申し出たのだが・・・
金額を聞いて絶望した。
およそ5000円。今の金額に変換すると、15,000,000円すると言う高額な金額。

それをタダでくれるというのだから、気絶しそうになるのも無理はない。
さらに魔眼の、使い方のアドバイスが書かれた資料までもらい、緊張に潰れそうになったのは良い思い出だ。
もっとも、制御できるようになったからと言って、美緒の自信につながるわけではない。

「この生活、いつまで続けられるかな?」

少し俯く醇子の呟きに、美緒は答えられない。
神ならぬ自分では何も言えないのだ。
ただ、青い空を見上げるしかなかった。



以上で九曜ストパンの零編スタートとなります。
基本的に展開としては原作基準です。
ですが、ネウロイ側に高速飛行型がすでに出現して、前線を苦しめています。
また、ガーランドさんを出せるかわからなくなったため、この時点である程度美緒の魔眼制御を可能にしました。
ごめんね、ガーランドさん。
そして原作師匠である北郷章香さんは、扶桑陸軍第一戦隊メンバーと一緒に、既に前線で戦闘しています。
ちなみに部下もいます。6人くらい。(内容:戦闘員4人 弾薬運搬兼盾1人 呪歌使い1人)
次回も頑張ろう。

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最終更新:2021年09月18日 19:41