935 :影響を受ける人:2014/04/06(日) 22:41:05
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第四話 ―勇気か、無謀かⅡ―



「え・・・ネウロイが、こっちにくる?!」

美緒の叫びにその場にいた全員が絶句し、静寂がつつんだ。
次の瞬間には悲鳴が壕の中を満たす。

「落ち着きなさいな!」

騒ぎ始めた生徒を、凛が一括して押しとどめる。

「ワタクシ達は何のために志願したのですの!これくらいで騒ぐなんて、みっともないですわ!!」
「そうだぜ!それに基地には防御専門の結界士もいる。大丈夫さ!」

二人の自信あふれる言葉に、次第に落ち着いてきた生徒達は思い思いに座り始める。
自分の叫びに皆が反応し、あわや大騒動が起きる寸前になってしまい、顔が蒼くなってしまった美緒に凛が話しかける。

「坂本さん、そろそろきついのではなくて?」
「あ、うん・・・えっと・・・」
「責任を感じているのは良い事ですけど、思いつめるのは良くありませんわ。」

それにと言うと、そそくさとその場から去ろうとしていた里子の襟をむんずとつかんで、強引に引き寄せる。

「ヒィィィ!お嬢、許して欲しいっす!」
「駄目ですわ。貴方が煽っていたのも原因ですのよ。」

そう言って説教を開始した。
その光景を見つつ少しだけ心が軽くなった美緒は、親友二人からも励まされて少しだけ深呼吸をする。
そして未だ戦い続けているだろう。先生の安否を心配して、天井で見えぬ空を見上げた。

―――――

少しだけ時間は遡る。

「よし、一機撃墜!」
『こちらツルミ一番、二番と共に共同撃墜した。次に向かう!!』

海上で入り乱れての戦闘は、どちらが主導権をとっているのかわからない。
ただ、章香が出撃したのは予想よりも早い段階だった。
生徒達を壕に避難させて、相棒と共に待機場に滑り込んだ時にはもう、第一陣迎撃隊が突破されていた。

何故こんなに早く!

驚いたが現実は受け入れなければならない。
そして知るのは彼等の進撃進路だ。ネウロイは大きな迂回ルートで進撃してきていた。
主にオラーシャ・大モンゴル帝国・扶桑国三国で管理している元中華方面大陸だが、資源採掘地帯・数少ないオアシス以外は人が住まない荒野等の不毛地帯だ。
その全てを管理しきる事などできない。そこを突かれたのだ。
しかし疑問に思う事もある。なぜ彼等は舞鶴に来たのかと言う問題だ。
まぁ、その辺は大本営の頭脳を使う連中に任せればいい。

「隊長、数がなかなか減りませんねぇ。」
「馬鹿言うな、少しは減っているぞ。それより手を動かせ!」

防護符を撒き、シールドを強化して防ぎつつ、僚機の愚痴を叱責して反撃に銃撃して撃墜する。

936 :影響を受ける人:2014/04/06(日) 22:41:44
「ふぅ・・・」
「しかし、新型の高速型・・・“スズメバチ”がいなくてよかったですねぇ。」
「ああ、“クマバチ”なら容易に撃墜可能だ。だがなぁ・・・」
「数が多いですよねぇ。」

そう、問題は数だ。
第一陣が引きつけられた数は二十数機、こちらに来たのも二十数機。
第二陣となる陸軍機は今までは海上飛行を苦手としていたが、最近の軍改革で海上飛行も義務付けられていて頼もしい。
だがそれでも突破された。
そして最終防衛ラインと言える自分達が出張っているのだが・・・戦況はよろしくない。
何とか一息つき、空になった銃弾層を仕舞い込んで新しいのを取り出す。

「ばら撒き過ぎたな。これが最後か・・・」
「右に同じく、鮫島がいないのがきついですねぇ。」
「そうだな。【装甲車】がいないのはきつい。」
「・・・鮫島が聞いたら泣きますよぉ。」
「事実d『緊急、緊急!』どうした!」

突然入ってきた連絡に、二人は周囲を警戒しつつ耳に手を当てる。
それは章香に焦りを生み出すものだった。

『低高度を進撃する敵機発見!こちらじゃ迎撃できない!誰かいけない!』
「・・・っ!!」

海上を見渡すが、海の色とかぶっているのでよく見えない。
何とか見つけようと必死に探していると、梨奈が肩を叩いた。

「あそこ、あそこだ!」

振り向くと海面スレスレを飛行するウィッチが見える。その先に目標はいた。

「“スズメバチ”!」
「報告にはいなかったのに!」

最悪の敵が突き進んでいた。慌てて自分達も追いかけようとするが、別のネウロイが妨害してくる。

「邪魔をするなぁぁァァァ!」

目の前に飛び込んできたネウロイを刀で両断するが、今までの戦闘で強敵と判断されたのか、更に妨害に来るネウロイを相手にしないといけなくなってしまった。
焦りと焦燥が章香を襲う。

―――――

壕の中で大人しく待機していた生徒達だが、まだ不安なのか美緒に、しきりに外の様子を聞いてくる。
それを魔眼連続使用による疲労と言って断っているが、不安を募らせる事になっているので心苦しい。

「ふぅ・・・」
「美緒ちゃん、お疲れ。」
「ありがとう。」

疲労自体は本当なので眉間をほぐして誤魔化していると、醇子が濡らしたタオルを持ってきてくれた。
有り難く頂いてメガネを置き、顔を拭いて目の上に乗せる。
冷たい水の感覚が気持ち良い。

「まるで夫婦漫才だな。」
「そうっすね。」
「「ブフッ!」」
「二人とも、不謹慎ですわ・・・」

二人のやり取りを対面から見ていた三人が、思い思いに感想を述べた。
思わず噴き出した美緒と醇子はアワアワとして周囲を和ませてくれる。
そんな空気の中、壕の扉が叩かれた。
何だろうと思い、扉についている窓を開ける。
そこにいたのは、この基地の兵士だった。

「すまない。ここにウィッチがいると聞いたのだが・・・」
「そうですけど、なにか?」
「ああ、結界を張れるウィッチの待機人員が少なくてね。何とか手伝ってもらえないかと・・・」
「それだけ、ですか?」
「・・・実は呪歌使いも欲しい。近隣の住民が避難してきてね。落ち着けるためにいてほしいんだ。
 この基地の呪歌使いは一人しかいなくて、頼めるかい?」

937 :影響を受ける人:2014/04/06(日) 22:42:23

思わぬお願いに、皆顔を見合わせる。
出来れば手伝いたい。しかし・・・

「無理にとは言わない。正直言えば、自分は来てほしくない。」
「え・・・?」
「年ゆかない子を、戦場になるかもしれない場所に連れ出そうとしているんだ。
 本当なら、大人である自分達がどうにかしなければならないのに・・・
 基地司令も、無理強いはしていない。」
「いくz「行きまわすわ。」おい、俺を遮るな!!」

勢いよく返事をしようとした徹子を邪魔するように凛が前に出た。
そして振り返る。

「別に戦闘に出るわけではありませんわ。この中に防御が得な子と、呪歌が得意な子はおりますの?」
「私、シールドが張れるし。いくらか結界もわかるよ。」
「呪歌は中の下だけど・・・出来る。」
「私は結界かな。」

人数を確認してみると呪歌使い見習いが一人、結界要員が五人いた。それを伝えると兵士はもう一度意思確認をしてから開けてもらう。
六人だけでは不安と思い、徹子は彼女等と仲の良かった三名もつけて送り出す。
兵士は残った生徒達に「必ず返す」と約束して出て行った。

「貴方にしては、考えましたわね。」
「おう!・・・って、“貴方には”は余計だ!!」

そう言って怒鳴る様子に、残ったメンバーは少しだけ笑った。
笑いが収まり一息ついた時、衝撃が壕を襲った。



以上です。
いやっふぅ!
何とか書き上げたぜ!そして今回も憂鬱成分が無いぜ!!
次回が終わったら、丸々憂鬱成分入れるんだぁ・・・

ちょっとした解説
鮫島トミ
北郷隊の弾薬補給係。銃撃は下手で、近接戦闘もダメダメな子だが、シールドが凄まじく硬く展開できる。それを生かして弾薬運搬係をしていた。
時には壁役として前線に出て、皆を守る事もある。
あだ名の【装甲車】は勢い余ってネウロイを正面からシールドで跳ね飛ばして、無傷だったことから由来している。
現在は別の隊にいる。

“クマバチ”
旧小型ネウロイのネーム。小型種は主に虫系の名前が付く。

“スズメバチ”
新小型ネウロイのネーム。速力上昇と攻撃力強化したタイプ。

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最終更新:2016年02月14日 00:26