214 :影響を受ける人:2014/04/13(日) 21:59:19
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第四話 ―勇気か、無謀かⅢ―



衝撃により、悲鳴が上がる壕の内部で行動をいち早く起こしたのは徹子だった。

「落ち着け!」

一括により何とか治まるものの、衝撃は連続して襲ってくるため余裕はない。
隣に並んだ凛と目配せする。彼女が頷いたのを見て美緒に話しかける。

「悪い、外の様子を見てくれるか?」
「わ、わかった。」

徹子が動揺していなかったおかげで、多少冷静でいられた美緒は御願を承諾し、もう一度魔眼で外を透視してみる。
外では二体のネウロイが飛び回って、執拗に赤いビームを結界に叩きつけている。
絶えず高角砲が射撃しているのだが当たる様子は全くない。
その事を二人にだけ聞こえるように伝えると、唸り始めた。

「どうするかなぁ・・・」
「出ていけばお叱りだけでは済みませんわ。」
「かと言って、いつまでも結界が持つわけじゃないし・・・」

確かに扶桑国独自の技術である“結界”は広域を守れるが、それを維持するには十数人のウィッチが必要であり、攻撃を受けるたびに稼働時間が短くなる。
更に他のウィッチと同調せねばならず、一度でも狂えば再展開しなければならないという欠陥がある。
この問題を解決するには・・・誰かが時間を稼がねばならない。
攻撃を受けてそんなに経っていないからまだ余裕はある。その間に先生たちが戻ってくれば、こちらが有利になる。

「私達が考えてもしょうがないよ。とにかく今は待と?」

まだソワソワしている醇子だが、会話は聞こえていたらしい。
徹子と凛も頷いて憮然としながらも椅子に座った。
しかし事態は彼女等が思っているよりも切迫していた。
彼女等の元に再び兵士がやってきて、美緒たちは緊張感と切迫した事態を思い知る。

―――――

美緒達三人とそれに凛と里子、他数名の整備兵が格納庫で作業をしている。
何故作業をしているかと言うと、基地司令の嘆願だったからだ。
本来ならば、民間人は基地から離れた場所に避難するのが決まりなのだが、近隣住民が「ウィッチがいる基地なら大丈夫」と思っていたのでこっちにくる人出が多かった。
その為避難してきた民間人が殺到してきており、気分を落ち着かせるために呪歌使いが奮闘し、警備兵が案内しているが現在上空で攻撃に晒されているという光景にパニック寸前らしい。
何とか追い払いたいが、高角砲で狙いつけるにはネウロイは早すぎて無理。
結界維持にかかる負担はどんどん重くなっており、方法は限られている。
すなわち・・・

「結局、囮作戦か・・・」
「仕方ありませんわ・・・不本意ですけれど・・・」

徹子がストライカー【鍾馗】を履いて調整している横で、凛が防護符を仕込んだ手投げ弾、効果が有るかわからないが煙幕弾を装備させていく。
その隣で飛行士に自ら志願した美緒が、醇子と共に同じように調整しつつ準備を整えている。

「重いな・・・」
「美緒ちゃん、怖いなら・・・」

心配そうに・・・いや、事実心配なのだろう。美緒は醇子を安心させようと少しだけ微笑む。

215 :影響を受ける人:2014/04/13(日) 21:59:55

「大丈夫、無理はしない。」
「うん・・・」
「いやぁ。アタイも心配されたいっす!」

里子がおどけていうと少しだけ場の雰囲気が和らぐ。彼女もストライカーを履いて飛ぶが、役割は違う。
戦線から急いで帰ってくるウィッチの弾薬補給をするため、その為に飛び上がるのだ。
銃器も使い物にならなくなっているはずなので、その交換も兼ねている。
段取りは・・・まず対空砲群がネウロイを滑走路から遠ざけるように牽制、次に美緒と徹子が発進して【鍾馗】が最も得意とする急上昇でネウロイを引き付ける。
ネウロイが二人に夢中になったら里子が飛びあがり、一目散に帰ってくるウィッチに合流する。
作戦とは言えないものだが、これしか思いつかなかった。
幸い帰ってこれそうなウィッチに連絡はついている。後は粘るだけだ。

「飛べなくて残念ですけれど。貴方がた二人の実力は認めていますわ。」
「羨ましいか?」

ちょっと自慢げに言うと、真剣な眼差しで徹子を見上げる。

「ええ、羨ましいですわ。だから・・・無事に帰って来なさいな。死ぬなんて許しませんことよ。」
「お、おう。」

気圧されて怯んだ徹子に満足したのか、離れていく。
負けたと思って少しだけブスッとしていると、となりの美緒から準備良しと合図が送られ、自分も慌ててOKを伝える。

「格納庫からの緊急発進だが、大丈夫だね!?」
「「はい!」」

伊達にあの『鬼神』と呼ばれている人に鍛えられていない。力強い返答を返し、意思を確認した兵士は、備え付けの電話に張り付いていた別の兵士に合図を送る。
同時に用の済んだ学兵達は、出撃する共に対して最後のエールを送って退避する。
そして、接近してきていたネウロイに対し、限界まで奮闘しての連続射撃による弾幕が形成された。

「いまだ!」

ネウロイが怯んで退避瞬間、美緒と徹子は一気に飛び出す。
それに気が付いてネウロイが戻ろうとするが、二人を出すために、結界に負担をかけない為に限界まで奮闘する対抗撃砲座の兵士達により無事に飛び立った。

「美緒! ここからが勝負だ!」
「ああ!」

元気よく返事したが、正直喉はカラカラになっている。
飛び上がってそんなに経っていないが初の実戦で、頼りになる指導者がいない状況で、攻撃を避けて時間を稼がねばならないとう言う、極限な状況。
恐らく徹子も同じなのだろうが、空元気で悟増している分、自分よりも良いだろうと思っている。

「離れるなよ!」
「わかってる! そちらも!」

二人は一気に上昇した後、すぐに急降下に移る。
一撃離脱が身上の【鍾馗】は防御力も優れており。通常のシールドで呼称“スズメバチ”と言うネウロイの攻撃を防げる
それでも安全を考慮して防護符入り手榴弾を装備した。
ネウロイは目の前の新たな脅威に対して攻撃を仕掛ける。
もう基地にも、対空砲にも興味を失っているかのように乱射してきた。

「うぉぉぉ!!」
「あぁぁぁ!」

想像していたよりも激しい攻撃に、二人は怯みそうになった。
しかし 根 性 で恐怖心をねじ伏せ、教えられた回避方法で避けていくそして水平飛行に移って敵を誘導にかかる。
加速力だけならばぴか一の【鍾馗】だが、水平飛行となると少々物足りない。
その所為で追いつかれそうになるが、再び急上昇して引き離し、急降下と防護符でもって攻撃を捌く。
そうしている内に基地から離れ、滑走路から里子が飛び出していくのが見えた。

216 :影響を受ける人:2014/04/13(日) 22:00:31

さあ、ここからが正念場だ。
志願学兵の中で最も優れた乗り手の二人だが、さすがに新型と言える“スズメバチ”相手はきつい。
最初から攻撃など考えていないとはいえ、苛烈な攻撃は精神をがりがりと削る。

(耐えられるか?)

一瞬だけ弱気な事を考えてしまう。だがここで粘らないと皆が危ない目に合う。
不穏な考えを捨て、ただひたすらに回避する事に集中した。

―――――

あれからどれだけ経ったろうか。

「はぁ、はぁ・・・」

荒くなった息を整えて、後ろに張り付くネウロイを見やる。
瘴気の無い場所では、戦闘時間が限られているという話だがまったくそんな感じは見えない。
疲れなどないのか?
そう思った時、徹子から通信が入った。

『美緒、どうだ。まだいけるか?』
「正直・・・厳しいな。」
『なら、ちょっと良い事思いついたんだが、どうだ?』

彼女の口調はいつもサボる口実を思いついたかのような感じだったが、正直言って今の美緒にはそれにもすがりたい気持ちになっていた。
説明を受けて不安になったものの、何も浮かばず反論も出来なかったため頷いて実行に移す。
二人は適度な距離を保って飛行していたのだが、突如二手に分かれて急上昇に移る。
ネウロイは最初こそ戸惑っていたが、今では普通に追撃してくる。
それを見て良い所まで上昇した徹子は、急降下を開始する。美緒が上昇しているのにだ。

この事態に戸惑った敵だったが、すぐに自分達も分かれて追撃に移る。
二手に分かれた美緒と徹子は、敵の攻撃をかわしつつ水平飛行に入りタイミングを計る。
北郷章香から見れば二人の行動は厳罰モノの動きだった。
しかし二人はそれを気にする余裕もない。
そして、二人の飛行コースが上下ですれ違う時に行動を起こす。

美緒は急降下、徹子は急上昇に入ったのだ。
その機動に易々とネウロイはついていく。もう遊ぶ気はないというかのように今までの乱射が嘘の様に狙いを定める。
そして・・・近づいた美緒達は更に行動に入った。
まず、行動を鈍らせる効果のある符術手榴弾を投げる。そしてタイミングを見計らって今度は煙幕弾を発射した。

中間点でちょうどよく爆発した二つは、後から発射された煙幕弾の煙を拡散せずにいけた。
そして二人が飛び込んでいくのに合わせてネウロイも突入する。
敵の反応は目の前にある。それがどんどん近づいてきて・・・

あれ?なんで近づく??

おかしいと気が付き、ネウロイが慌てて行動に起こそうとした時にはもう時間は消費されていた。
薄い煙の中から黒い物体が飛び出してきた。それは共に飛行していた仲間のネウロイで・・・
回避も出来ずに両者は衝突し、爆発した。

「やったぜ!」
「よかった・・・」

煙幕の範囲から離脱していた二人は、それぞれしたり顔と安堵の表情で、吹き飛んで煙幕が晴れた場所を見た。
徹子が考えた方法は一つ、敵をお互いに衝突させることだった。
正直上手くいくとは思えなかったが、こうして撃破できたのを考えると・・・

「よかった・・・のかな?」

美緒はちょっとだけ親友を見直した。



以上です。
今回で初期戦闘を終わらせるためにだいぶ端折ったうえに、簡略してしまった。
それでも自分で定めた5ページ以上になってしまったけれど・・・
体調がすぐれないので、すぐに寝ます。

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最終更新:2016年02月14日 00:30