32 :影響を受ける人:2014/05/06(火) 22:15:26
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
大海原を超えてきた学兵達は、一旦浦塩に立ち寄り最後の英気を養った。
ここから先は想像できない最前線。
一泊したのだが、誰も彼も緊張で眠れず。
少々眠たげの出発になった。
「旭川、元気でな。」
「隊長、今生の別れの様に言わないでくださいよぉ。」
「あ、ああ・・・すまん。」
ポリポリと頭を掻いて詫びる。
元々気にしていない梨奈はケラケラと笑うと、荷物を運搬するトラックの助手席に乗車して、荷台に彼女と行動を共にする学兵等が乗り込む。
それを見送るために、最近五人で移動するようになった美緒達が声をかける。
「お前ら、がんばれよ!」
「旭川隊長の足を引っ張らないよう。しっかりお勤めなさいな。」
「元気で!」
「えっと・・・ちゃんと食べてね!」
「いや、おかっさんじゃないんだから・・・」
里子のツッコミに、醇子の顔が赤くなると同時に皆は笑った。
ひとしきり笑うとトラックは出発していく。
旭川梨奈は新しい副隊長を加え、六名の学兵を部下にして戦場に向かう。
走り去るトラックを、何時までも見送りたかった章香であるが、次は自分達だ。
「よし、跨乗せよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
元気よく返事をした学兵達は、一番トラックに北郷章香・竹井醇子・若本徹子・飯島凛が乗り込む。
二番トラックには元北郷隊隊員、旗本サエ・坂本美緒・山田里子・大久保小毬(おおくぼこまり)が乗り込んだ。
「出してくれ。」
運転席の兵士に声をかけると、運転手は頷いて車を出発させた。
―――――
ガタゴトと、あまり舗装されていない道をトラック荷台が走っていく。
載せている荷物は食料品、整備用部品、手紙などだ。
今回は更に学兵を乗せている。
兵士としては苦々しい事だ。
彼は子持ちで、彼女達よりも年上の息子がいる。
子持ちの親として、故郷に残した家族を守るためにここにいる。
だというのに自分は輜重部隊にいる。
銃を持てば陸戦ウィッチと共に戦うのに、戦車に乗せてもらえれば獅子奮迅に働くのに・・・
だが今はこの荷物を待ち望んでいる前線部隊がいる。
それを確実に届けるのも大事な事だ。
隣には顔見知りであるサエが座っている。
そして荷台からは、前線の凄惨さを知らない、ウィッチの玉子達の会話が耳に入ってくる
「大久保さんはシールドが強いのか。」
「はい。防御術符を使えばもっと強く展開できます。」
「はぁ・・・ええなぁ。アタイ、このメンバーの仲じゃ普通ッスよ?」
「そんな事は無いと思うけど・・・」
「ミーちゃんは優しいなぁ。」
「ミーちゃんって言わないで下さい・・・」
明るく笑う声が聞こえてくる。
33 :影響を受ける人:2014/05/06(火) 22:16:06
「大尉、彼女等は大丈夫なのでありましょうか?」
「・・・わからん。」
運転手の突然の質問に、北郷隊で元々寡黙な人物だったサエは手短に答える。
「飛行時間は足りているのでしょうか?」
「・・・足りん。」
「政府は、いったい何を考えているのでしょうか・・・」
「・・・知らん・・・ただ。」
「ただ・・・なんでしょうか?」
視線だけを彼女に合わせると、外の景色を見ていた筈の
「・・・自分は軍人だ。ただ敵をねじ伏せるだけ・・・それだけだ。」
「しかし・・・」
「・・・軍人は戦い、“守る”のが仕事だ。」
「はい・・・」
鉄皮面であるために内心がわからないが、言ったことは実行する人だ。
隊内でからかわれた時も、本気で実行に移そうとして必死に止められたと聞く。
それでも若いウィッチ達を戦場に出すことは、納得できそうもない。
―――――
「補充要員が来るって聞いたけど?」
江藤敏子が執務室で書類整理をしていると、唐突に同僚がやってきた。
「ええ、北郷少佐が戻ってくるらしいわ。ここに。」
「へぇ・・・戻ってこれたんだ。こりゃ、楽しみね♪」
本当にうれしそうに笑うが、その笑みは獰猛なオオカミの様に見える。
「穴吹中尉・・・演習が出来ると思っているの?」
「思ってないけど・・・それでも今の実力は図りたいし。」
ケラケラ笑いながら出ていく姿を見て、大きくため息をつく。
この基地には名前は無いが、第201飛行騎兵部隊駐屯基地と便宜上呼ばれている。
別名【狐狸部隊】。内約は以下の通り。
大隊長 江藤敏子:中佐
狐火隊隊長 穴吹智子:大尉 副隊長 加東圭子:中尉 部下四人:上等兵(内学兵一人)
狸釜隊隊長 加藤武子:大尉 副隊長 黒江綾香:中尉 部下四人:上等兵(内学兵二人)
これが今基地いるウィッチ全員だ。
書類整理に戻って頭を悩ませているとどんどん時間が過ぎていく。
すると、微妙な空気の振動が感じられた。
気になって外を見ると、ちょうどトラックが来たようだ。
トラックはそのまま建物の横を通り、格納庫近くに停車した
トラックが駐屯基地に到着すると、さっそく整備員達が群がってくる。
荷物を素早くおろして、トラックに故障したストライカーを乗せるためだ。
後は手紙などを届けてもらう。報告書も送るので、纏めておいたものもって立ち上がると、外が騒がしくなった。
何だろうと窓からのぞいてみる。
「何かしら・・・新武装でも来たの?」
だとしたら厄介だ。
亦新しい報告書を書かないといけなくなる。
正直めんどくさい。
だが・・・どうも様子がおかしい。
戸惑いを感じるような気がするのだ。
気になったので急いで外に出てみる事にした。
靴を履いて出ていくと、整備員達は苦虫を潰した顔で、積み下ろし作業にあたっている。
その様子をチラリと見てからトラックの方を見て・・・理解した。
「章香、久しぶりね。その子達が例の志願学兵?」
「ああ、そうだ。」
34 :影響を受ける人:2014/05/06(火) 22:18:59
荷卸しを手伝っていた北郷隊長に声をかけ、近寄っていき。章香も顔見知りが来てくれたことに安堵して、手を差し出す。
軽く握手すると、手を離して私物だけ持った学兵達の方を振り返った。
「この子達を宿舎に案内したいのだが・・・」
「それなら問題ない。穴吹大尉!」
大声を出して呼びかけると、物陰にいた人物が渋々顔を出した。
トラックが到着した直後に出ていったのだが、驚かそうと隠れていたのだ。
すねた子供の様にトボトボと智子歩く。
「なんでしょうか・・・」
「貴方暇よね?そうよね?書類作りを加東副隊長に任せているくらいだもの、暇よね?」
「は、はい・・・」
「なら、ちょうどいいわ。この玉子さん達を案内して、それくらいできるわよね?」
「はい・・・」
怒涛の毒を含んだ口撃に、あっさり打ちのめされてしまう。
その様子を見ていた学兵達は唖然とするしかない。
目の前の人物は有名なエースで、本土でもプロマイドが溢れているくらいなのだから。
子ども様な態度をする人物だとは思ってもみなかった。
敏子と章香は話があると言って、その場を去っていく。取り残された七人は智子が溜息をついて頭を掻いてついてくるように言う。
「事情は知っているけど貴方達、飛行時間どのくらい?」
先頭に立ち、歩きながら気になる事があったので、そのまま聞いてみるが帰ってきた答えは眉間に皺を寄せるのに十分だった。
「短い・・・」
「そりゃ、知っているけどさ。俺t「なんだ、足手まといが来たのか?」なっ! だれだ!!」
智子の発言に、徹子は同意しつつも気込みを言おうとして・・・目の前から歩いてきたウィッチが徹子たちを冷めた目で見て言い放った。
気分を害した徹子は食って掛かろうとして足を止める。
そのウィッチの、あまりにも冷たい視線が、彼女を射ぬいていた。
これが、坂本美緒達が忘れられない人物・・・狸釜隊隊員 早良ミチル 上等兵との出会いだった。
以上です。
今回新キャラがさらに増えました。
大久保小毬 法術士学校出身
軍人の家系で、自ら志願した。
親としては志願してほしくなかったようだが、本人の強い意志により実現した。
戦闘はお世辞にもうまくないので、弾薬を運ぶ係に任命されている。
旗本サエ 25歳 中尉
元北郷隊隊員。
北郷章香と出会った時から寡黙な人物。
叩き上げの古参兵であるが、良く負傷して何度も後方に下がるため、なかなか階級が上がらない。
章香に戦場のなんたるかを教えた人物だが、実力は中の中と言ったところ。
特徴的な固有能力は無いが、歴戦の勘は頼りになる。
許婚が本土にいる・・・らしい。
早良ミチル 15歳 上等兵 導術士学校出身
坂本美緒達の前に志願した学徒兵。
元々海軍に行くつもりであったので志願した。
射撃が得意だが、近接戦闘も出来なくはない。
実力は上の下と言う感じ。美緒達に対して冷たく当たる。
です。
北郷隊が徐々にできていくぜ!
そして運命の人です。彼女の行く末は・・・
さぁ・・・次は・・・どうするべ(汗
最終更新:2016年02月14日 12:54