284 :影響を受ける人:2014/05/12(月) 22:03:48
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第九話 ―真実・現実 参―



最前線に来た坂本美緒達を待っていたのは、本土と変わらない訓練だった。
訓練時間が足りない事は承知済みだったとはいえ、若本徹子にとっては不満でしかない。

「くそぉ・・・」
「徹子さん。歯ぎしりしていないで、銃の手入れをして下さいな。」
「委員長は悔しいと思わないのか?」

“私不満です”と言う顔で、横にいるお嬢様を睨むように見る。
その顔を見て、溜息を一つ。

「多少はありますけれど、仕方ありません。隊長陣がお決めになった事ですし。」

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北郷章香は元々この基地で活動していた。
ある意味古巣に戻ってきたようなものだ。
旧知の仲の江藤敏子と執務室で話し合いを始めた。

「ほんの数か月なのに、ずいぶん長くいなかった感じがするわね。」
「そうだな・・・旗本さんと、澤桐が負傷して後方に下がって以来か。」
「そして、そのまま志願兵の教育・・・どうなの? 使える?」

少しだけ昔話をして弾んでいたのだが、本題に入ると二人の顔は真剣なものとなる。

「正直厳しい・・・何もかもが足りなかった。」
「そう・・・報告書だと、【スズメバチ】を二体撃墜したようだけど?」
「あれは運が良かっただけだな。だが、私たちの到着まで逃げ回っていられたか?と問われれば、悩んでしまうが・・・」
「そうなの。」

フゥと息を小さく吐き、椅子に寄り掛かって天井を見る。

「とりあえず。今晩、隊長と副隊長を皆呼んで会議ね。」
「頼む。」


その夜・・・


久しぶりの再会に喜ぶ一同(主に穴拭)は、持ち込まれた問題に頭を抱えた。
学兵は確かに両部隊にもいるが、どちらかというと・・・部隊が壊滅的被害を受け、負傷した人員の代わりに配属された・・・という感じ。
この部隊で育てたわけではなく、それなりに経験してからやってきたのだ。

「新人も新人いいところじゃない。戦場に出てほしくないわ。」

本音を言って、智子はお茶をすする。
彼女の横に座る副隊長も頷く。

「そうだね。いくらなんでも短すぎる。共同するにしても、足手纏いにしかなりそうもない。」
「彼女たち、結構やる気みたいだけど?」

黒江綾香がフォローするように言うが、本音は同じだろう。

「やる気だけで、経験はできない・・・襲撃規模を考慮して配置するしかないと思うぞ?」

加藤武子は無難な提案をする。
しかし、敵の襲撃規模を考えると、そんな余裕があるかわからない。
予想できた答えの数々に、頭が痛い文香であったが、とりあえず考えていることを述べる。

285 :影響を受ける人:2014/05/12(月) 22:04:22
「しばらくは、基地に慣れさせるために訓練しているつもりだ。」
「・・・勘を取り戻す。」
「旗本さんも入院長かったですからね・・・」

武子が苦笑するが、鉄火面であるサエの顔は変わらない。

「・・・訓練はしていた。」
「後は戦場で、ですか。」

このメンバーの中で、最高齢で古参兵である旗本サエは頼りになる人物。
今まで、なんでこの人が低い階級にいるのか、分からなかったくらいだ。
喋る様な人ではないが、的確に指示してくれる。
この後も細々としたことを話し合ったが、普段は通常訓練。
余裕はないが、後方に適度に敵を置くれそうなら出撃してもらうことにした。

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「だけど・・・」
「それぐらいにした方が良いよ。」
「淳子。お前は不満がないのか?」

銃の整備を終えた親友に対し、不満を垂れ流す。
そこに美緒と里子もやってきた。

「仕方ないんじゃないかな?」
「しょうがないっす。隊長の命令はぜったいっすよ。」
「くそ!」

誰も賛同してくれないことに腹を立て、その様子を見た親友二人は顔を見合わせて、内心で大きくため息をつく。
美緒が口を開いた直後、整備質に誰かが入ってきた。
皆が振り返ると、早良ミチルがちょうど入室してきたところだった。
固まっている一段を見つけると立ち止まり、顔が一瞬だが嫌そうに歪む。
それを見た徹子は、睨みつけた。

「何だ、その目は。」
「・・・別に。」
「私が学兵で、戦場に出ているのに、何で自分は出れないのか・・・そう言いたいのか。」
「分かっているなら意見具申してくれませんか。そのために訓練してきたのに。」

食って掛かるような口調だが、ミチルは気にならない。

「何で足手纏いを出さなければならない。」
「足手纏いじゃない! 本土でネウロイの襲撃を防いだんだ!」
「だからなんだ。一度きりの戦闘でもう有頂天か? そんなやつに後ろは任せられない。」
「っく・・・」

徹子にとってあの戦闘は、教えてもらった事を生かせた初の実戦だった。
内心ではちょっとだけ誇らしかったが、驕るつもりはない。
しかし、意気込んでやってきたのに、貢献できない悔しさが、彼女をイラつかせている。
だからといって無鉄砲ではない。

もっともな意見に、悔しそうに堪えるしかない。
ブルブルと震えて耐える親友と先輩を、オロオロと交互に見る淳子に代わり、場の空気を変えようと美緒が話しかける。

「せ、先輩は・・・どうしてここに?」
「銃の整備だ。」

そういって手短な椅子に座り、肩にかけた銃を机の上に置いた。
銃は陸軍が開発した最新式で、装弾が楽であり、威力も十分。
その性能を知った海軍は、資金を渡して銃を確保している。
当初は対抗して銃を開発するつもりだったらしい。
しかし大蔵所の魔王が殴りこんできて計画は中断された。

もっとも、現場は共通の武器を使うことで整備性が上がり、すぐに替えがあるというのはうれしいことだ。
ほかにも共通部品や兵器を、順次揃えていく事が進められているらしい。
この働きは夢幻会によるものであるが、誰も知らないし知っても意味がない。
やり易ければどうでもいいのだ。

286 :影響を受ける人:2014/05/12(月) 22:04:58
「自分の命を預けるものを、大切に使わなくてどうする。」
「そうですわね。でも、だいぶ使い込んであるように見えますけれど?」
「・・・これでも、だいぶ前に取り替えたばかりなんだがな。」
「そんだけ、戦場はキツイんっすね・・・」

感心するように頷く里子を軽く睨みつける。
その眼光に皆少しだけ下がった。

「キツイ・・・と言う言葉ではすまない!」

声を荒げてミチルは美緒達を順繰りに見ていく。

「想像出来るか?
 朝一緒に食った仲間がいなくなることを、
 自分の不注意で死ぬ先輩を、
 目の前で息を引き取る兵士の顔を、お前たちは想像出来るのか!」
「「「「「・・・・・・」」」」」

鋭い視線から感じられる威圧に誰も答えられない。
あの徹子ですら、少しだけ青ざめている。
息を大きく吸って、気持ちを落ち着けたミチルは静かに整備を始めた。

「用が済んだなら出て行け。寝られるときに寝るのも兵士の仕事だ。」
「えっと・・・はい・・・」

意気消沈してしまい、一行はそのまま整備室から出て行いった。
残されたミチルは、静かになった部屋で銃を分解する。
部品を分かるように置き、手早く拭いては油をさしていく。
黙々と作業をこなしていたが、疲れたのか背伸びをして体をほぐす。
少しだけ休憩する事にし、考え始めたのは先程彼女等に言った言葉。

「・・・」

自分しかいなくなった、静寂に包まれた整備室で呟く。

「そうだ・・・足手まといは、いらない。」

ミチルの目は、前の部隊が壊滅した原因を睨むように宙を見ていた。



以上です。
ミチルのイメージは【艦これ:日向】なんですけれど、いまいち掴めん(汗
戦闘は次回にすることにしました。
自分的に近衛扱いとなる【アホウドリ】零編に出てきた高速爆撃機が相手となります。
いきなりきついでしょうけど、頑張ってほしいですね。

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最終更新:2016年02月14日 12:54