884 :影響を受ける人:2014/05/25(日) 21:59:17
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
救援を受けて北郷隊は最低限の武装をし、狐火隊は最大限の準備をしてむかった。
昔はろくでもない通信機だったそれは、今では鮮明に言葉を伝えてくれる。
便利ではあるが、時には聞きたくない言葉も伝える。
『こちら〇〇陣地! 新型ネウロイの爆撃を受け、陣地は滅茶苦茶だ! 救援を乞う!!』
『くそ! 撃て、ウテェェェェェ!!』
『ギャァァァァ!』
『痛い・・・痛いよぉ・・・』
『あはははははは。腕、腕が取れ・・・あはははは』
『負傷者を下げろ! 学兵急いで逃げろ!』
『弾薬が足りない。急いで持ってきて!』
「っく・・・!」
「こりゃ、本格的に不味いわね。」
幸い、地獄の叫びを聞いていたのは隊長と副隊長のみ。
チラリと後ろを見るが、誰もが真剣な眼差しで飛行している。
視線に気が付いたサエは、速度を上げて章香の横に並ぶ。
「・・・学兵は下げるか?」
「いや。連れて行く。」
苦虫を潰した顔で答え、智子は溜息をつく。
「今から戦場の厳しさ・・・というか、“よくある光景”を見せるの?」
「ああ、早いか遅いかの違いでしかない。」
章香はきつく唇をかみしめ・・・
「これは、ある意味通過儀礼だ。」
と言った。
その決意を見た二人は内心で「無理しちゃって」などと考えつつも否定はしなかった。
すると基地から緊急連絡を受けた圭子が声を上げる。
「爆撃隊が出撃したって! 海軍陸軍合同で、地上をはう敵を叩くらしい!」
「なら、私たちの任務は残っている航空型の排除ね。」
「頼むぞ。穴吹隊長。」
「任してよ。」
自身に満ち溢れていても油断をしていないその様子に、昔も今も頼もしく感じる。
順調に飛行していくと、頭上を通常の戦闘機隊が進撃していった。
恐らく彼等も緊急出撃したのだろう。
通常戦闘機は防御できないから、ネウロイの攻撃でたやすく落とされることもある。
だが、ウィッチが持てない大口径機銃を詰めるし、大量に弾丸をばらまけるのである意味羨ましい。
軽く手を振ると、バンクしてくれた。
そして彼等と、彼女等の向かう先に黒煙が吹き上がる戦場が見えてきた。
北郷隊は高度を下げ地上に向かう。
狐火隊は上空から落ちてきた敵をタコ殴りにする。
徹子や凛、美緒も何か言いたかったが、訓練で隊長木の言う事は聞く事をよく言い聞かせられているので、何も言わずについていく。
そして到着すると、ホバリングしながら後退する兵士たちの手伝いを開始した。
「ひどい・・・」
「これは・・・・・・」
初めて目にしたそこは、血だらけの兵士と、鉄の棺桶と化した戦車が燃え盛る台地だった。
醇子は思わず口を手で覆い、美緒は絶句する。
話には聞いていた。
新聞も見ていた。
だから知っていた・・・つもりになっていた。
886 :影響を受ける人:2014/05/25(日) 21:59:49
自分の目で見た目の前の光景は、自分の想像を絶していた。
思わず燃える戦車の中を見て、後ずさった。
「ひっ!」
「美緒、どうした?!」
「ひ、ひとが・・・」
いつの間にか震えはじめていた手で、ユックリと燃える戦車を指差し・・・
「人が燃えてる・・・」
「え・・・」
徹子は指差した先を見た。
穿たがれた場所から燃え盛る黒いモノが見える。
それは五つの曲がった突起があって・・・
「ぅっ・・・!!」
目を背けて口を押える。
燃えているのものがわかってしまった。
さっきから硝煙の匂いに混じっているモノの正体がわかった。
急いでその場所を離れ、負傷者を運ぶのを手伝にむかう。
「頑張って下さい!」
「ぅぅ・・・」
別の場所では醇子が、里子共に重症の陸戦ウィッチを運んでいた。
頭から血を流し、腹部の血が止まらない。
ストライカーは脱げているのにやたら重く感じる。
「すぐ、後方に下がって治療が受けられますから!」
「きばるっす! 生きるんっすよ!」
「ぁ・・・ぅ、うん・・・」
息も絶え絶えのウイッチは、何を思ったのか手を上げて呟く。
「・・・、・・・・・」
か細い声は戦場の音で消され、何も聞こえない。
しかし醇子は聞いた。聞いてしまった。
最後の力を振り絞ってあげた手は、力を失ってだらりと下がる。
「もう少し・・・もう少しなのに・・・」
目の前には衛生兵が詰める半地下の救護施設が見えていた。
しかし負傷していたウィッチには耐えられず。そのまま死亡した。
涙があふれ、何度拭っても流れ落ちる。
章香から「決して安心させるな。一度でも気を緩めさせると・・・死ぬ。」と聞いていた。
だから安心はさせなかった。
けれども間に合わずに死んでしまう兵士もいる。
醇子と里子は二人目の死亡を確認していた。
それでも運び、指定された場所に遺体を置いて手を組ませる。
死者に対してこれしか彼女等にはできない。
悲しみに暮れる二人の頭上を、弾薬を急いで運ぶ凛と小毬が通り過ぎた。
「弾薬まだか!」
倉崎製陸戦ストライカーを履いたウィッチが吠えるように叫ぶ。
「今持ってきましたわ!」
「こ、これでいいですか?」
重機関砲弾をばら撒いて敵を粉砕しているその横に、限界まで積載した二人が到着する。
「機関銃ちょうだい!」
「弾倉が足りない。十寄越して!」
「対戦車ライフルは無いのか?」
「倉庫が吹き飛んでしまって、ありませんわ。」
「ちっ・・・円盤型手榴弾があるか。これでいく。」
「携帯飲料水もありますけど・・・」
「「「「全部くれ!!」」」」
887 :影響を受ける人:2014/05/25(日) 22:00:27
集合した陸戦ウィッチは群がって、欲しい物をあらかた奪い去る様に持って行ってしまった。
その勢いに呆然とした二人だが、大急ぎで戻る。
弾薬を欲しがるのはここだけではない。
近くの弾薬庫は破壊された。だから遠くから持ってこないといけない。
その輸送に遅れが出てはいけないのだ。
前線では章香とサエが、低空飛行で見事な回避をしつつ敵を削っているが。
それでも弱くなっているこの陣地を抜こうと、敵は殺到してきていている。
撃っても、撃っても、減る気配がない。
彼女等が基地に帰れたのは、他の応援の部隊が到着し、稼働可能な機体全部をつぎ込んだ爆撃機群の爆弾の雨を降らせ始めた時だった。
―――――――――
宿舎の一室。
空いていた部屋に海軍所属の学兵達は、詰め込まれて暮らしている。
「・・・」
「・・・はぁ・・・」
彼女等は戦場の無慈悲さ、惨劇を知った。
そして本当の過酷さも知った。
簡単に消えていく命。無慈悲な敵。
空とは違う緊迫した空気・・・
肉体的な疲れと、精神的な疲労が蓄積し、誰もが無言だった。
静かな部屋に美緒はいない。
惨状を思い出して吐き気を催して外に出て行ったからだ。
胃の内容物を全て吐いてもなお吐き続け、頭から水をかぶって何とか気持ちを落ち着けた。
しかし部屋に戻る気も起きずに、宿舎の壁にもたれかかる。
「・・・」
ぼ~っと少しだけ暗くなり始めた空を見上げる。
「どうした。」
「・・・ぁ」
声をかけられて顔を向けると、ミチルが立っていた。
「戦場はどうだった。」
「・・・酷い所でした。」
本当は“酷い”という言葉だけでは言い表せられなかった。
もっと言いたい。叫びたい。でも言葉にできない・・・
「そうか・・・」
一言つぶやいてミチルは去っていった。
訓練をしていた時・・・
『ここは子供の遊び場ではない。
ここは最前線だ。即戦力だけが必要とされている。死にたくなければ・・・帰れ!』
今ならわかる。自分はまだ子供だった。
まだ子供だと言い訳していたのかもしれない。
ならば除隊するか?
その誘惑に、美緒の心には少しだけ迷いが生まれた。
近くの林まであるいてきて、、懐から出したのは・・・タバコ。
そこから一本取り出すと火をつけ、不機嫌そうな顔で受けつつ空を見上げる。
思い浮かべるのは前の部隊・・・泣く時も、笑う時も一緒だった仲間達、厳しくも頼りになった隊長陣。
彼女等は、もういない・・・
ミチルの顔は不機嫌そうな様子は無く、寂しくて、悲しくて、今にも泣きそうな顔だった。
888 :影響を受ける人:2014/05/25(日) 22:01:09
以上となります。
今回書きたいこと書いたら長くなってしまった・・・
そしてようやくタバコが出せたぜ!
戦場の様子が出せているかな?もうちょい グロイ ほうがよかったか?
そうすると読む人選ぶし・・・だめか。
【倉崎製陸戦ストライカー】
倉崎重工初の陸戦ストライカー。モデルはエステバリスの脚部。
陸戦ストライカーは足首を後ろにまげて、キャタピラを引き出して走行するのだが、これは踵にキャタピラを集約させたタイプ。
変形させないから頑強性が売り・・・なのだが、重量があるため小回りが利かず、重量級に指定されている。
しかし出力は今出ている陸戦ストライカーでも最大級。
装備できる砲も最大級で、大戦初期の中型サイズなら一撃で仕留められる性能を誇る。
シールドも強固なので陣地に籠って、移動するトーチカ代わりに活躍している。
さらに改良・・・重量増加・出力向上して重戦ストライカーの制作を狙っている。
【円盤型手榴弾】
フリスビーの様に投げる手榴弾。
何を血迷ったのか、開発部が作った珍品。
ウィッチの向上させた馬鹿力で投げることが前提で、ピンを抜くという手榴弾らしいところもある。
自分でばら撒く地雷の様な使い方しかなく、不評で終わった。
ツワモノは全部繋げて、チェーンマインの様にして使用していたとか。
最終更新:2016年02月14日 12:55