639 :影響を受ける人:2014/06/08(日) 20:51:56
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
「全員傾注!」
大隊長以上が集められた会議から帰ってきた江藤敏子は緊急招集をかけて、会議室代わりに使っている部屋に全員を集める。
その集合には海軍側の北郷隊も含まれており、何事かと美緒達は少しだけ不安になった。
「会議の結果、戦線の後退が決定された。」
「「「「「!!??」」」」」
「元々戦線の後退は中央で話し合われていた。
故に驚くべきことではない。」
「え・・・でも!」
ここで踏ん張っているのは、故郷を守るためではなかったのか?
国の守る巨大な盾ではなかったのだろうか?
そんな思いが生まれそうになる。
「これは決定事項だ!
・・・本来ならば後退作戦はもっと後のはずだった。」
「どういう事よ?」
智子が首をかしげて聞く。
「【アホウドリ】の被害が想定を上まっていた。」
【アホウドリ】と呼ばれるネウロイは、その名前とは違い猛烈な攻撃力をもっていた。
最初は三体で出現、二回目は五体、三度目は八体が確認されている。
襲撃間隔が長いので、かろうじて体制を整えて迎撃できるのが慰めだった。
しかし、これだけ整えても撃墜できたのはたった一体だけ・・・
「タコ殴りにしてようやくだもんね・・・」
椅子に寄り掛かり天井を見上げながらつぶやく。
そんな隊長の頭を戻した圭子は、質問する。
「確かに・・・攻撃に参加したのはリベリオン義勇飛行隊、海軍は旭川隊・柊隊、陸軍は鎌鼬隊・猫又隊。」
「総勢三十数人が寄って集って攻撃して行動を鈍らせて、束ねた手榴弾、単発式の改造した大砲、航空機が使う爆弾を集中投下してようやく・・・」
加藤武子が続けていうと、皆暗くなってしまった。
それはそうだろう。
たった一体を破壊するのにこれだけの戦力集中が必要で、他の戦線を見る事が出来なくなるのだ。
その負担は自然に他の部隊が担う事となり、疲労が溜まっていく。
その出撃に美緒達学兵も追われ、疲労困憊になって泥のように眠る日々だ。
一応魔力回復の霊薬もあるが、成長期の体にはあまりヨロシクない。
しかもかなり不味いうえに、二本以上飲むと気持ち悪くなってしまう。
だが、それでも踏んばらねばならなかった。
リベリオンから来た、義勇飛行隊もだいぶダメージを負って一時的に下がっている。
学兵を率いていた旭川隊・柊隊からも、無茶をした学兵が一名戦死、助けようとした一名が負傷して下がっている。
「・・・・・・」
それを知っている美緒達の表情は更に暗い。
「そうだ、【アホウドリ】が我が物顔で飛び回っている以上、この作戦はうまくいかない。
ではどうするのか?
簡単だ、殲滅すればいい。」
640 :影響を受ける人:2014/06/08(日) 20:52:29
眉間に皺を寄せて黒江綾香が手を上げる。
「なんだ?」
「言うのは簡単です。具体的にどうすればよろしいのでしょうか?」
「それについても回答がある。
例の撃墜した【アホウドリ】の戦況を記した資料を見て、参謀の一人が気が付いた。
どうもあの大きさのネウロイには、弱点が存在するみたいなのだ。」
「弱点?」
「ああ、そうだ。
翼や尾翼を攻撃していても余裕だった【アホウドリ】だが、機首近くを攻撃し始めたら回復と速力を上げたらしい。
そこから推測するに、機首のどの部分かはわからないが、弱点がるのだろうと推測された。」
「・・・機首を集中的に叩く・・・わけにもいかないか。」
サエに呟きが聞こえた章香も考える。
確かに弱点がそこにあるならば、そこを攻撃すればいい。
しかし・・・厄介な速さはそのままだ。
「そうだ。そこで・・・」
敏子は視線を一人の人物に向ける。
他の隊員の支援も集中する。
「え・・・えっと?」
視線の先にいた坂本美緒は困惑して目をパチパチする。
「君の魔眼を使う。」
「なるほど・・・」
美緒の魔眼はかなりの精度を誇る。
最初の頃は制御が出来ず悩みの種だったが、“魔眼殺し”の片メガネを貰って、その後の訓練で精度は急激に伸びていた。
遂には透視能力を得て、防空壕から大空を見るぐらいに。
「私の・・・魔眼を・・・ですか?」
「ええ。」
頼りにされているという事実を受け、緊張が身体を駆け巡る。
同時に自分にできるだろうか?と言う不安が巻き起こった。
自分はたいした子が無い。
期待しないで欲しい。
そんな不安を知ってか知らずか、後ろに座っていた徹子が前に乗り出してきた。
「頼りにされてるぜ。」
「う、うん・・・」
「ありきたりな事しか言えないけど、頑張って!」
親友の励ましを受けたものの、どうにも前を向けない。
そんな時、ミチルが舌打ちをした。
「自信の無い奴が出ても迷惑だと思いますが?」
「・・・早良ミチル上等兵、お前が彼女等を・・・いや、やめておこう。
どちらにせよ。我々が奴らに対抗できる術は少ない。
今でさえ試行錯誤だ。
ならばありとあらゆる物を使い、問題を排除しなければならない。
次に襲来するのは来週だと判断されている。
我々は全力出撃する。狐狸部隊総出だ! 北郷隊も出てもらう。
あと、アドルフィーネ・ガランド大尉が率いる欧州義勇飛行隊も、後詰で飛ぶことが決定されている。」
「・・・大盤振る舞いね。」
狐火隊の隊員が冷や汗を垂らす。
欧州義勇飛行隊は調整に時間がかかったが、【クマバチ】【スズメバチ】の混成飛行部隊を、ほぼ独力で殲滅していた。
その戦闘力は、観戦武官として付いていっていた扶桑の参謀も瞠目し、期待大と報告している。
「坂本美緒一飛曹。」
「えぁ、はっはい!」
「悪いのだが、キミには一時的に北郷隊から外れてもらう。」
「おいおい、ウチの隊員を引き抜くのか?」
「章香、そうじゃないわ。ガランド大尉と共に魔眼による観測をしてほしいだけ。」
「・・・大丈夫か?」
「ガランド大尉は魔眼持ちらしい。実戦で鍛えられた極意を教えてもらいなさい。」
「了解しました!」
641 :影響を受ける人:2014/06/08(日) 20:53:03
綺麗な敬礼を決めた美緒だが、章香と敏子には緊張でガチガチに固まっているようにしか見えなかった。
「そうそう、この作戦が終わったらあなただけ各戦線に行ってもらうから。」
「・・・へ?」
「中央が言うには『同じ所にあるのかわらないから、全て観測するように。後できれば小型の方も観測して、報告書を上げる様に』・・・ですって。」
「それってつまり・・・」
「地獄の書類仕事が待っているわ。」
死刑宣告だった。
―――――
美緒の絶叫で会議が終わり。
隊員達はその日はどういうフォーメーションを使用するか話し合った。
いつもはローテーションを組み、一隊残しての出撃が異例の全力出撃。
話し合いにも熱がこもる。
骨子は手練れが前に出て、学兵達は援護となる。
喧々諤々の話し合いの末、何とか決まって就寝。
翌朝早くから今回の作戦で使う機材が納入され、大慌てで確認に向かう。
綾香が一つの木箱から筒を取り出して首をかしげる。
「これ何かしら?」
「機関銃の下に着ける滑空砲だな。単発式で手榴弾も発射可能らしい。」
説明書を読見ながら答える圭子に「へぇ~」とだけ答える。
「うわぁ! 円盤式手榴弾がある!!」
「連結してる・・・引っ掛けるのかな?」
「陸軍の13mm機関砲と、海軍の20mm機関砲か・・・」
「・・・ばら撒けられる。・・・ありがたい。」
「粘着爆弾? ・・・使えるのかしら?」
「ど、ドリル・・・誰か使うか?」
「「「「「使わない、重そうだし。」」」」」
「これは、墳進砲か?! 開発を急いだのか。」
「強いんですか?」
「ミチルか・・・ああこいつは一度だけ試射を見たことがある。
その時は戦車の装甲をぶち抜いていた。ただ単発式なのがいたいな。」
「火力があるならいいじゃないですか。期待できそうです。」
ワイワイと買い物を楽しむように武器を物色していく。
その光景は歳相応の少女に見えた。
以上です。
【アホウドリ】戦前夜です。
そして美緒ちゃんには重大な任務がwww
ちなみに扶桑国には魔眼使いが9人います。
空に美緒ちゃん入れて五人、陸に三人、中央に一人・・・言わずと知れた九曜さんです。
そんで【アホウドリ】の凶悪さを書いてみましたがどうでしょうか?
強すぎますかね?
批判・不評待っています。
最終更新:2016年02月14日 12:56