90 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21:55:13
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第十四話 ―天空を落とすモノⅡ―



準備を整え、狐狸部隊と北郷隊は次の出撃に備えた。
【アホウドリ】の襲撃は今の所定期的に襲ってきているが、次もそうだとはわからない。
しかしそんな不安をよそに、【アホウドリ】は予定通りにやってきた。

『【アホウドリ】視認しました!』

この報が入ると同時に全員が動き出す。
すぐさま立ち上がって格納庫に向かう。
ストライカーを目にした時には、整備員達がすぐに立ち上げられる準備をしている。
足を入れ、すぐに魔力を透して起動。
同時に自分の武装を受け取る。

穴吹智子を見ると、刀二本を背中に差し、何時もの機関銃を手に持って腰には弾薬。
銃には滑空砲を取り付けてあるので、手榴弾も持って行く。
副隊長の加東圭子は、新型の対戦車ライフルを担いでいた。

「・・・重くないの?」
「重いよ。でも火力はあるし射程もある。」

呆れつつも智子は他の大尉に声をかける。
四人から了解が取れ、「じゃあ、先に行くから」と加藤武子に断って出て行った。
それを見送りつつ振り返ると、最後になった早良ミチルが、装着した弾倉の具合を確かめている。

「大丈夫です。いけます。」
「よし・・・じゃぁ。狸釜隊、出撃するわ!」

すぐに指示を出し、格納庫から出ていく。
既に狐火隊は全員滑走にはいっていて、もう少しで飛び立っていきそうだ。
後続で北郷隊も出てくる。

「んしょ・・・」

最後尾の大久保小毬が、背負っている武器格納袋を何度も背負い直している。
気が付いて振り返りながら小声で、

「重そうっすね。」
「小毬さんは小さいから余計にそう見えますわね。」
「・・・もうすぐ離陸だ。・・・集中しろ。」
「「りょ、了解!」」

飯島凛と山田里子がボソボソと喋っていると、振り返らずに注意されてちょっと首を竦める。
二人が怒られているのは珍しい。
凛は元々真面目だし、里子はからかう事は多くても大事な場面ではしっかりしている。

「緊張してんのか?」
「しない方がおかしいと思うよ。」

あっけらかんと言う若本徹子だが、隣で並走する竹井醇子には彼女が緊張しているのがなんとなくわかっている。
この迎撃に失敗すれば、撤退作戦自体が危ぶまれるのだ。
小さな体に覆いかぶさる重責を思えば、仕方がない事だろう。
ちょっと不安げな隊員達を、チラリ見で確認した北郷章香は頼りになる先輩に声をかける。

「旗本さん。」
「・・・なんだ。・・・珍しい。」
「えっと、その・・・」
「・・・・・・不安か?」
「ええ、まあ・・・」

91 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21:55:44

いくら巷で〔軍神〕〔鬼神〕と呼ばれている彼女でさえも、今回の出撃は不安要素が多く、自信が持てないのだろう。
章香の不安をよそに旗本サエは、新人だった頃のように優しく頭を叩いてやった。

「・・・不安に思うなとは言わん。だがな、お前まで不安に思えば、部隊全員に自信は生まれんぞ?
 それにお前は強くなった。私が知っている。
 育てた一人として自信を持って言える「北郷章香は強いのだ」と。」
「ありがとう、ございます・・・」

感情の、起伏の少ない言葉使いではあったが、彼女なりの思いを感じて気合を入れなおす。
既に狐火隊、狸釜隊は離陸している。

「よし! 北郷隊行くぞ!!」
「「「「「「了解!」」」」」」

戦闘脚を履いた戦乙女達が飛翔していく、それを整備員達が帽子やスパナを持ち、両腕を大きく振って見送った。

―――――

坂本美緒はアドルフィーネ・ガランド大尉の右後方で飛行している。
実戦で鍛え上げられた魔眼の使用法など聞くために、前日から欧州義勇飛行隊駐屯地にきていた。
ストライカー持参で来ていたので特に問題は無い。
整備も出発前に済ませてあるから安心できる。
もっとも、美緒の魔眼制御は完璧に近く、何も言う事は無かった。

「・・・殆ど使いこなしているようだが?」
「そうなんですか?」
「ああ、他の誰かからアドバイスを?」
「いえ・・・この魔眼殺しのメガネを受け取ったときに、アドバイスが書かれた手紙も一緒にもらっていたので。」
「見せてもらえるか?」

と言って、大切に持っている手紙を見せてもらった。
そこに書かれているのは、本当に魔眼をよく知る人物でなければかかれない事ばかり。
逆に勉強になる事が書かれていたりする。
とりあえず、“視る”為に周りが疎かになる事と、どうしても行動が遅くなることを注意するくらいしかなかった。
義勇軍のウィッチ達は、少し幼い彼女を歓迎してからかったり、扶桑国のウィッチの情報を仕入れて30以上まで魔力を保有できることに驚いたりした。

そして襲撃の方が入ると、全員意識を切り替えて出撃していく。
基本的に同じ国同士で組むが、ハブられたウィッチは気の合う他国のウィッチと編隊を組む。
アドルフィーネもいつもは違う人物と組むか、司令として留守番だが今回は美緒をパートナーとしている。
順調に飛行し始めた時、第二報が入ってきて顔をしかめた。

『【アホウドリ】は二体一組。四か所を襲撃する模様!』

前回と同じ八体だが、今回二体が組んでいるという最悪なパターン。
前に撃墜出来たのは一体で飛行していたからだ。
弾幕不足を補うために、二体でやってきた。
美緒の体は自然と硬くなり、別々に飛行している仲間たちが心配になってきていた。

「不安か?」
「え・・・」

横にアドルフィーネが並んだ。

「体がこわばっているな。」

肩を掴んでもんでくるが、確かに自分でも硬くなっているのがわかる。

「そうですね・・・不安があります。」

見知った仲間ではなく、あまり知らない大人の女性と言う雰囲気を持つ彼女に、思い切って相談してみた。
戦死者を、遺体を直に見て迷いが生じたこと、いまだに自信が持てない事・・・

92 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21:56:20

「そうか。」

大尉は銃器を肩に担ぎなおすと、腕を組む。

「それほど長く生きているわけではないが・・・
 迷いが生じるのは普通だ。私も軍に入ってしばらくは迷ったよ。
 でも、空を飛ぶのは好きだった。
 それに、自分には力がある。それを使って仲間を守り、自分を守る。
 自信はそこから生まれたかな・・・
 最初は新人だから自信は小さかった。けれど、一つ一つの積み重ねが、今の自分を作ってくれた。
 もちろん成功ばかりじゃない。失敗したことだってある。
 それをフォローし、支えてくれたのは仲間だ。
 仲間を信じ、自分を信じる。
 それが出来ないと、何もかもうまくいかないよ。」

彼女の話は思いが込められていて、そして心に響く。

「まだ若いんだ。相談するのは悪い事じゃない。
 君の隊長達も、仲間達もきっと心配しているぞ。」
「・・・はい!」

肩を力強く叩かれて痛いが、心が少しだけ前を向けた。

「さて、確認だ。」
「自分達の役目は・・・敵に弱点があるかどうか・・・それを調べる事です。」
「うむ。当初の予定では一体ずつ調べるはずだったが、現実は二体だ。
 後詰だった我々も前に出ていかなければならない。
 つまりだ・・・後の保険が無くなり、二体同時に撃破しなければならない。」

自然と唾を飲み込み、また緊張し巣になるが大きく息を吸って吐く。
よし、少しだけほぐれた。
アドルフィーネがアドバイスをして、すぐに実践できる柔軟性を持つ美緒に、今後の期待感を膨らませて少しだけ笑う。
一番後ろ飛行していたウィッチが何かに気が付いて振り返る。

「総隊長、上空を友軍機が!」

指をさす方を皆が見ると、全金属単羽の戦闘機群が進撃してきていた。
こちらが大きく手を振ると、先頭の隊長機らしい機体がバンクする。
そのまま彼女達を追い越して先に進む。
彼等は先陣を切れることを誇りに思う男達だ。
同時に大きな敵を彼女達に任せるしかない、不甲斐無さを知る者達でもある。

それでも同じ戦場を駆け巡る仲間に対し、欧州義勇航空兵団はあらん限り声援を送った。
聞こえてはいないだろうが、それでも気持ちは伝わったはず。
戦場はもうすぐだ。



以上となります。
本当は今回で戦闘に入りたかった・・・
でも次回にまわします。
【アホウドリ】戦が終われば、少しだけ平穏な日々を作りたいと思っています。
どんな話が良いかな?
しかしまぁ・・・このペースで行くと、どのくらいで終わるんだろうか?
だいたい5・6ページ間隔で書いているけども・・・

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最終更新:2016年02月14日 12:56