677 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:25:05
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
前線で最初に激突したのは通常戦闘機隊。
彼等の大多数はまだ、今乗っている機体よりも性能が低いのを使用している。
これは主流派である堀井大将が強引に進めた紀伊型戦艦建造と、主砲改造の影響により航空開発部門が割を食っていた為だ。
しかし“
夢幻会”がそれに割り込み、ちゃんと予算確保をしてくれたおかげで、全金属単葉戦闘機が配備されている。
もっとも・・・前世で、最後で最強のレシプロ機を知る彼等から見れば、非力でちょっと頼りない。
だが現場にはとてもうれしい事だった。
なにせ今までの機体では、火力が足りない。【スズメバチ】には置いて行かれる。ダイブしても追い付けない。散々だった。
それがこの機体では全てが可能になったのだ。
稼働試験も終えてあるから、現場も安心して乗れる。
7.7mm・12.7 mm・ 20 mmそれぞれの装備案が考えられたが、12.7 mmの射程の長さ、それなりの火力、大量にばら撒けられる弾数により決定された。
一応迎撃機として、20 mm四丁装備も少数ながら配備されている。
新たな剣を与えられた男達は果敢に挑み、脅威を覚えた大多数の敵を引き付けていく。
この初陣で新型戦闘機は、何機か被弾して戦線離脱したものの、全機が無事に帰還する快挙を達成した。
間引きされたネウロイ部隊だが、本隊はなおも進撃してきている。
【アホウドリ】×二体 【スズメバチ】×十四体
【アホウドリ】は御互いにカバーしあうためか、平行に飛んでいる。
その周りを、護衛と思しき【スズメバチ】が飛行していた。
最近では【クマバチ】は見かけなくなってきており、油断が出来ない。
「だけど・・・やりようはある。」
呟いて、智子は後ろを少しだけ振り返る。
その視線を受け、副隊長の圭子がインカムに手を当てて指示を下す。
「最初に私達がダイブする。狸釜隊は隙を見てデカブツを攻撃して。」
『わかった。でもお供が多いから、最初にそちらを削った方がよくない?』
武子がそういうと、北郷隊隊長が割り込んできた。
『ウチが第二陣で突っ込もう。なに、デカブツを相手にするよりかは、楽なはずだ。』
『了解。智子、無茶しないでね。』
「・・・・・・しないわよ。」
戦友のからかい交じりの忠告に、ムスッとしながらも眼下の敵を見下す。
「狐火隊・・・行くわよ!!」
『『『『『応っ!!』』』』』
号令と共に、一気に天空から乙女達が駆け下る。
ストライカー独特の音に気が付いたネウロイ達は、すぐに迎撃に入った。
まず最初に【スズメバチ】六体が智子達に向かって突進していく。
敵が放つ赤いレーザーを見つつ、冷静に当たりそうなものだけ見極め、斜めに展開したシールドで受け流す。
そして智子が最初に射撃をし、見事に命中して敵が砕け散る。
続いて二体目を狙おうとして・・・三体目に変更した。
なぜなら二体目は圭子の対戦車ライフルを受け、当たった場所から折れて砕けたからだ。
急遽変更したせいか、残念ながら三体目に放った射撃は外れてしまう。
他の隊員も外れてしまったようだがこれでいい、【スズメバチ】はこちらに食い付いてきた。
後方から追撃してくるのが後ろを見なくてもわかる。
北郷隊も、反対方向に六体を引き寄せている。
二体ほど残ったが問題ない、そいつらは最後に突撃した狸釜隊の隊長と、隊員の射撃により、あっさり排除されたからだ。
678 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:25:53
「早良、ついて来い!」
「はい!」
綾香がミチルを連れて【アホウドリ】一体に攻撃しにかかる。
しかし相手もバカじゃない。上部にある二箇所のカバーが開き、赤い発行部分が露出する。
前後二箇所十二門、更に左右から丸い発行発光物体が二箇所に出てきて、二体で合計三十二門が、狸釜隊に向けられた。
それはまさしく豪雨のような逆さ雨。あまりの弾幕に腰が引けそうだ。
必死に避けて駆け下るが、攻撃のタイミングがつかめない。
術符でシールドをさらに強化しているが・・・あまりの圧力に、いつ破られるか冷や汗がまったく止まらない。
結局二人は何もできず、そのまま離脱するのを選択した。
下に抜けても攻撃は苛烈だ。
爆弾装のごとく開いた部分から、レーザーが十条襲い掛かってくる。
「くそっ!」
ミチルは呻きながら、後ろを僅かに確認しながら銃弾を叩き込む。
確かに銃弾は当たるが、瞬時に回復してしまう。
予想はしていたが苛立ちに舌打ちをしつつ、安全な場所まで離脱していく。
だが【アホウドリ】は逃がすつもりがないのか、二体とも彼女等を追撃しようと機首を傾ける。
その時、もう一度上空から押しかかる部隊がいた。
「私達を無視しないでよね!!」
同じ様に上空をとった欧州義勇飛行隊が、一体に対して集中攻撃をかけ始める。
【アホウドリ】は追撃をやめて反撃でレーザーを叩き込むが、今度は的が多すぎてうまく狙えない。
損傷がひどくなり、溜まらなくなったのか回避行動に入った。
そんな勝手な行動をとろうとする【アホウドリ】に、僚機の【アホウドリ】が慌てて近づこうとし・・・自らも強力な一撃を受け、回避行動に入る。
回避行動をしながら攻撃を放った先には、大きな筒を抱えたウィッチが飛行していた
奇しくも他の隊員と、義勇飛行隊のお蔭で有効射程距離に近づけた、狐火隊隊員の一撃だった。
使い終わったのだから捨てればいいのだが、大砲自体は何度でも使える。
もったいない精神を発揮してしまった隊員は、新しい砲を貰いに行く。
現状作戦通りに状況は進んでいた。
護衛は二段階で引きはがし、本命も連携させないように引きはがせた。
護衛も殲滅し終われば、更に【アホウドリ】を攻撃できる戦力が増える。
【スズメバチ】は既に半数以下になっていて、殲滅完了まであと少し。
全員が奮闘している戦場の空を、少し離れた所から見ている二人がいた。
「サリア、今のはまずい。少しだけ引け。」
『了解!』
「エリス! お前は突っ込み過ぎだ、死ぬ気かッ!!」
『す、すみません!』
的確に指示を出すアドルフィーネの横で、美緒は蓮度の高い欧州義勇飛行隊の戦闘に見入っている。
「すごい・・・」
目の前では狐狸部隊顔負けの突撃と、回避能力を見せるウィッチ達。
世界にもこんなに上手い人達がいるという事実に興奮しきりだ。
しかし、その隣で戦況を見ている義勇飛行隊総隊長の表情は・・・険しい。
「まずいな・・・」
「えっ?」
呟きが聞こえしまったことに、少しだけ気恥ずかしさを覚える。
美緒には不思議に思えた。
目の前では敵を完全に翻弄している友軍がいる。
魔眼で弱点を探る任務があるが、苛烈な攻撃に自分達は必要なのかと思ってしまう。
「確かに攻撃は当たっている。しかし決定打になっていない。
今は敵が混乱しているからまだいい。逃走と回復をメインにしたら逃げられる。」
679 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:26:13
それは事実だ。
今は乱射でこちらを妨害しているが、護衛が一機もいなくなったと悟れば遠慮なしに逃げるだろう。
だからこそ不味いと判断した。
火力の絶大さを示した墳進弾は、あの一撃で驚異の優先事項が上がったのか、優先的に回避している。
三発放って、三発とも外れていた。
このままだとジリ貧となる。
動くならば今しかない・・・
本来の計画では一体ずつ相手をしていく予定だったのだ。
予備として自分達を駆り出した、扶桑陸軍参謀本部の連中の慎重さには呆れたが、今となっては正解だった。
軽く深呼吸して意識を切り替える。
「坂本美緒君・・・準備は良いか?」
銃器を構えたアドルフィーネの雰囲気ががらりと変わったのがわかった。
周りの空気が変わるほどの影響を間近に受け、ゴクリと唾を飲み込む。
冷や汗が頬を伝って落ちた。
「作戦通り私たち二人で敵を透視し、敵の弱点を探る。いいな?」
「はっはいぃ!!」
緊張からなのか、声が上ずっている。
それに気が付いて、目の前の小さな侍は赤くなった。
少しだけ雰囲気を和らげて、肩を軽くポンポンたたいてやる。
「少し気を抜け。さもなければ事故を起こすぞ?」
「す、すみません・・・」
力ない返事をしたが、教えられたとおり何度か静かに息を整えて敵を見据える。
旗本サエの簡単なアドバイスに従っただけだが、先程よりましになった。
思ったよりも早くに正常に戻ったのを見て、アドルフィーネは内心で不敵に笑う。
(ふっ・・・小さくとも、侍か・・・)
ジャキリと銃を構えると、美緒も構え直した。
「この距離では正確な位置がつかめん。行くぞ!」
「了解!」
二人の魔眼使いは戦場に飛び込んでいく。
目の前では、今だに苛烈な迎撃をしている【アホウドリ】が飛行していた。
以上となります。
以前投稿したSSの前半部分となります。
続いて、分割後半をお楽しみください。
最終更新:2016年02月14日 12:57