680 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:26:40
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
二人は戦場に向かって飛翔する。
狙うは欧州義勇飛行隊が襲っている【アホウドリ】。
群がるウィッチの猛攻に、嫌気がさしてきたのか攻撃をやめてシャッターを閉じようとしているのが見えた。
そうはさせまいと総隊長は指示を出す。
「ちっ、敵は逃げようとしているぞ! 胴体部はいい、翼を狙え!」
『『『了解!!!』』』
指示にすぐさま反応する。
扶桑国より譲り受けた20mm機関砲を装備したウィッチが、翼を滅多打ちにする。
翼を穴だらけにされ、回避行動により飛行速度が下がっているネウロイにはたまらない。
追い払うために、再びシャッターを開いて迎撃してきた。
「うわぁ!」
「っくそぉ!!」
猛烈な射撃に攻撃していたウィッチ達は離れていく。
纏わりついていた害虫を払いのけ、逃げる為に機首を自分達が来た方向に向けようとした。
その途中で、接近してくるアドルフィーネと美緒を発見してしまう。
そう何度も張り付かれたくないと思ったのか、二人に近づくように加速し始めた。
機首を二人向けると同時に、〔ガコンッ!〕という音がして機首が上下に分かれた。
今まで確認されていなかった砲門。恐らく奥の手だろう。
「おいおい・・・ここまで来てまだ武装を隠していたのか?」
呆れるアドルフィーネと、少しこわばった美緒に、三門並んだ赤く発光する器官からレーザーが放たれた。
しかし放たれはしたが、だいぶ離れている。余裕をもって躱し、突き進む。
照射時間が長い機首の攻撃は、切り払うように光線が執拗に二人を追う。
進撃を妨害され、離れそうになる総隊長を見て、他の義勇軍のウィッチが攻勢をかけた。
再び群がり始めた敵に、【アホウドリ】も反撃する。
「一緒に飛行しても埒があかん。私は上、君は下から見てくれ。」
「はい!」
「いい返事だ。下の攻撃もキツイ。気をつけろ!」
二人は視線のみで合図を送ると、有効射程より少し遠めで上下に分かれた。
すでに二人の目は・・・魔眼特有の光を帯びている
若干早いが、魔眼と言うのは集中が必要だ。このぐらいがちょうどいい。
しかし敵は上下に分かれても攻撃を仕掛けてくる。
技量の高いアドルフィーネは最小の行動で避けられるが、まだ未熟からようやく足が出た程度の美緒では、あちらより攻撃頻度が少ないとはいえきついものがある。
それでも美緒は突き進んだ。
視界の端で、徹子が銃撃している。醇子が里子を庇う。
凛が小毬を守りつつ、弾薬を隊長陣に渡しているのが見える。
(私はあまり魔眼が好きじゃなかった。
制御できず。片目の生活は辛かった。
そんな私でも役に立てる事が出来るようになった。
みんなが私を信じている。
私は・・・それを信じ、自らを信じる!)
決意を胸に秘め、〔カッ!〕と見開いた魔眼は的確に敵を透視し始めた。
翼様な薄い部分には無い、普通に機首から見始めて・・・核らしきモノはすぐに見つかった。
だが安心はしない。ミチル先輩も言っていた・・・「思い込みは油断の元で、危険な兆候だ」・・・と。
胴体を全て見て、初めて知らせる事が出来る。
慎重に観察し、螺旋をえがく様に敵後方に躍り出てインカムを起動させる。
681 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:27:36
「敵の核を発見!
機首1m先。中心部より、ちょい上です!」
『確認した。間違いない、攻撃を集中しろ!!』
アドルフィーネが号令を下すと、義勇軍のウィッチ達は一斉に機首を集中攻撃し始めた。
弱点付近を攻撃され、【アホウドリ】は嫌がる様に蛇行して、射線から逃れようとする。
だが、ここぞとばかりに彼女等は攻撃を続行する。
表面の装甲が剥がれ、削れ・・・とうとう核が露出した。
途端に【アホウドリ】が暴れだした。
弱点が露出しているのだ、慌てもする。
数名が銃に取り付けられている投擲砲で攻撃するが、なかなか命中しない。
代わりに再生しようとしている部分を破壊しているから、まだ核は見えている。
「このぉ・・・くたばれぇ!」
ウィッチの一人が急降下で接近し、扶桑から支給された墳進砲で、核を狙い撃つ。
発射された弾頭は吸い込まれるように核に当たり、起爆し、破壊した。
爆発した後、少しだけ間が開き・・・【アホウドリ】が美しい結晶に変わって爆散した。
「おお・・・」
「やったぁ!」
戦場にそぐわない、美しい光景に歓声を上げはじめた。
「気を抜くな!」
「「「「「りょ、了解!」」」」」
総隊長の一括に全員が気合を入れなおし、最後の敵に向かう
すでに二体目の解析に入った美緒とアドルフィーネがいるのだが、相棒がやられ、護衛もいなくなった【アホウドリ】は逃げようとしていた。
「逃すな!」
「クソ、銃弾が足りない!」
引き離すためと、速力を落とすために相当数の弾薬を使用した結果、各部隊の残弾が心許なくなっている。
その間にも敵を万遍なく見ていた魔眼持ち二人は、すぐに確認し合って全員に知らせる。
「機首より1.5m。中心部に有ります!」
それは嬉しい知らせだが、敵はすでに逃走に入っている。
攻撃をやめ、回復と速力に力を注ぎ始めていた。
20mmをブチ当てても瞬時に回復し、まるで足止めにならない。
「こいつはどう!」
業を煮やした圭子が、対戦車ライフルで翼を狙う。
義勇軍のウィッチも、対戦車ライフルを装備した二人が反対側の翼に大穴を開ける。
流石に傷が大きすぎるのか再生が若干遅い。
しかし、他の傷を無視して回復に集中され始めると、これも有効打にならない。
相手が反撃をやめたおかげで簡単に接近できるのだが、決定打に欠けていた。
更にいえば墳進砲は残り二本。
皆に焦りが見え始めてきた。
「くそ、残弾ゼロだ!」
「くっ! 銃身が焼けついた・・・」
弾丸を撃ちつくし、あたらしい銃を取りにいくが・・・
「弾倉はこれで最後です!」
「小毬ちゃん、他の武器は!?」
「先生・・・後は投擲弾用の手榴弾しか・・・」
章香は空になった弾薬入れに呆然とする。他を見渡してみるが、どの部隊も最後の補給を受け取ったのが見える。
だが、戦線に戻る数は少ない・・・残るのは補給を受けれなくなった者達だけだ。
意を決した章香は、一つだけ貰い受けた弾倉を返す。
682 :影響を受ける人:2014/06/29(日) 16:28:15
「わかった。旗本大尉に渡してくれ。」
「え?」
「なに・・・弾が無いならば斬ればいい!」
「あ! 先生まって!!」
小毬の静止を聞かず、章香は抜刀して突撃していく。それを見た智子も自分の銃と弾倉を傍に寄ってきた隊員に渡して両手に刀を持って突撃した。
「付き合います!」
「ならば左を頼む!」
全力を発揮して戦域を離脱し始めた【アホウドリ】に向かい、二人は刀に魔力を込める。
智子は普通の強度強化だが、章香は独自の技【海割り】の為に集中する。
【アホウドリ】は目の前に飛び出した二人に気が付いたが、無視して突進していく。
重量感あふれる巨体が迫り・・・智子は上に、章香は下に潜り込んで刀を振るう。
「「せいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
一気呵成に振りかぶった刀は翼を切り裂いていく。
【アホウドリ】から見て右側には深い二つの線が、左側は・・・半ばから斬り分かれて翼端が落下していった。
近接戦闘なんて考えない欧州組は、目の前の光景に呆然とする。
もっとも、左右のバランスが崩された【アホウドリ】はそれどころではない。
仕方なく速力をおとし、全ての砲門を開こうとする。
だが一瞬だけ戸惑い、混乱した隙を徹子とミチルは逃がさなかった。
上空に待機していた二人は、最後の墳進砲を抱えて急降下を開始する。
徹子が競うように前に出てきて、ミチルは内心で舌打ちをした。
「無理して前に出るな!」
「大丈夫です。前座は、まかしてください!」
「勝手にしろ!!」
言い争いつつも、二人は再会されたレーザーの弾幕をかいくぐっていく。
徹子の自信は別に悪意味ではない。彼女の方が、シールド強度が上だし、まだ術符を持っているからだ。
そして、見た目で分かるくらい、すでに敵は及び腰になっていた。
護衛がいなくなり、相棒も斃された。
逃げるしかないが、翼が傷付けられてまともに飛べない。
もう一度智子が接近して斬りつける。圭子が対戦車ライフルで銃座を破壊する。
後ろから接近した章香が尾翼を切り落とす。武子・綾香・サエが隊員を指揮して常に銃火を途絶えさせない。
欧州組も弾丸を持っている者達が集まって射撃する。
急降下していた二人は、金属が擦れるよう尚人を出して呻く敵を・・・射程圏内に入れた。
まずは徹子が最初に発射し装甲をはがす。当たって爆炎を吹き飛ばして進む【アホウドリ】に対し、ミチルは冷たい目で剥き出しとなった核を見詰めて、引き金を引いた。
核を破壊され、最初の【アホウドリ】の様に爆散した。
結晶が散らばる空域を、美緒は茫然と見る。
「おわった・・・のか?」
「ああ、おわったよ。」
そう言って肩を叩いたアドルフィーネ総隊長を見る。
いつの間に隣を飛行していたのだろうか?
気付かなかった・・・
「ご苦労さん・・・しかしなんだ。」
「なんですか?」
「負傷者はいるが、戦死者無し。凄いぞこれは。」
それは確かにすごい。だけど実感がわかない。
困惑していると、誰かが飛びついてきた。
「うわわわわ!?」
「やったよ、美緒ちゃん!」
「じゅ、醇子!?」
「お仕事ご苦労様、やったわね!」
「穴吹隊長・・・有難うございます。」
「やりましたわね!」「死ぬかと思ったッス!」
「美緒さん、ご苦労様です!」「美緒、やったな!」
仲間にもみくちゃにされ、ようやく実感が持てたのか、少しだけ涙を流した。
その様子を、章香とアドルフィーネは顔を見合わせると少しだけ笑った。
圭子はハシャグ智子を見て、やれやれと笑顔で首を振り。
武子と綾香は、全弾ほぼ使い尽くしての戦果に頭を痛めつつも、この時ばかりは達成感に笑うことにした。
ミチルは学兵達を視線に入れて、知らず知らずのうちにホッとする。
作戦は、無事に終わった。
以上で分割・改訂・追加が終わりました。
WIKI掲載にはこの二つをお願いします。
さて次は
夢幻会と日常編だ。
今のところ予定は・・・「手紙」「御芋」「ミチルとの絡み」「交流大会」「それぞれの休暇風景」・・・ですかね?
しかし・・・とうとう100ページ越えした。新しいのを作ろう。
批判不評待っています。
最終更新:2016年02月14日 12:58