327 :影響を受ける人:2014/07/13(日) 22:10:10
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
弾薬運搬係と言うウィッチが生まれたのは、重火器が連射できるようになってからだと言われている。
当初は弾薬だけを持っていき、足りなくなったら補給するという役割だった。
しかし銃の性能が上がり、より連射できるようになり。
様々な銃器が出来上がる様になるとただ弾薬を運べばいいというわけにもいかなくなった。
最初は木箱を持って行っていたのが、ちゃんとした棚のある木箱になり。
引き出すのが面倒という事で観音開き式になり。
銃と弾薬を別の入れ物にしていたのをやめて統一化し。
よりたくさん入れ易く、取り出しやすくしていった。
今では軽量を重視して薄い木製の合板と、フレームを航空機でも使用するジェラルミンに変更。
大量積載の負担を、なるべく少なくするように工夫されている。
扶桑国ではこれを【弾薬積載箱】とよび、リベリオンでは【ガンパウダーケース】と言うように各国とも呼び名が違う。
さらに面白いのは、各国とも特徴がよく出ている事だ。
リベリオンでは…予備機関銃×4・予備弾倉×30…であるが、カールスラントでは…予備機関銃×3・予備機関銃用弾倉×20・狙撃銃×2・狙撃銃用×8…といった具合に違う。
例として出したがこれは最初期に近いものである、が今でもその特徴は変わっていない。
そして、これを運用するウィッチは戦場から少し離れた所にいるので、さぞ楽だろうと思われるだろう。
しかしそんな事は無い。
まず、戦場の部隊員の様子を全て伺わなくてはいけない。
弾切れを起こせばすぐに戦力がとなってしまうから、急いで補給しなければならない。
一時的に戦場から離れるから、後ろから撃たれる可能性が高いのだ。
それを見極め、大急ぎでこちらから迎えに行って補給をする。
そして補給中はほとんど動けなくなる。
補給を受けるウィッチは素早く補給する事も重要だが、運搬するウィッチも敵が来たら仲間を守るためにシールドを張らなければならない。
補給を中断すればいいのだろうが、そううまくはいかないのが現実だ。
常に周りに気を配り、自分でも牽制弾を放ち、尚且つ回避する。
これだけでも大変なのに、ジャムを起こした銃をその場で修理したりする。
ベテランともなると部品を入れた袋を持ち、シールドをテーブル代わりにして素早く直してしまうという。
「・・・っていう話を聞いたことがあるわね。」
「そうなんですかぁ。」
先輩の話を聞いていた小毬は、感心しながらも【弾薬運搬箱】の整備する手を休めない。
部隊の命ともいえる箱の整備は重要であり、整備員に任せていても、最終的には自分達でしっかり見る。
正式名【弐拾参式 多目的 弾薬 銃器 運搬専用 貨物積載 重箱】は、現在…機関銃×4・弾倉×20・投擲用弾×10・術符小箱×10(30枚入)・魔力強制回復薬×6・救急箱×1・刀×2…と言う具合に多い。
部隊によっては改造を施して、より沢山入れられるように工夫している。
「ぐぬぅ・・・ここの出っ張り邪魔ね。ヤスリ無い?」
「あ、こちらに有ります。」
「ありがとう小毬ちゃん。」
狐火隊の学兵である隊員はお礼を言い、さっそく削りにかかる。
世界が違えども、もったいない精神は共通なのか、弾倉と薬莢は必ず持って帰ってきている。
弾倉は入れ替えるように入れればいいのだが、乱暴に入れたせいで一部尖がって入れられなくなっていたらしい。
「これ、絶対、隊長の、せいね!」
328 :影響を受ける人:2014/07/13(日) 22:10:45
フンフン!と気合を入れて削る様子に小毬と狸釜隊のウィッチは苦笑する。
「あははは・・・」
「穴吹隊長、乱暴だからね~」
狸釜隊員は扉を一度閉じて開く。
〔ガシャン!〕と言う音共に何も入っていない、機構丸出しの状態で少しだけ外に飛び出てくる。
閉じる動作をすれば、再び〔ガシャン!〕と言う音共に奥に引っ込む。
「よし。」
次に銃器を入れる両サイドの箱を動かす。
クルンと下側を支点に回り、二つに割れて中身のない内部をさらけ出した。
本来はここに機関銃一丁と弾倉×5が入っている。
右左共に調べ終わると、ようやく一息つく。
「よいしょっと・・・」
小毬もバネに異常がないか確かめ、可動部分に油をさし、納得するように頷いて手を休めた。
御茶を手に取って飲むと、もうぬるくなっていた。
かなり集中して作業していたようだ。
お茶請けのサツマイモを食べながら話を咲かせる。
「そうなのですか?」
「そうなんだよね。元々いた人が上がり間近で、しょうがないから来たんだけど、運は良かったと思うよ。」
狐火隊員は笑って言う。
「同じ時期に入って、不味い指揮で戦死した娘もいるみたいだし。
隊長陣が強いこの部隊にこれてよかったよ。」
「私は元々いたからそうでもないけどね。」
狸釜隊員は苦笑する。
「本当は戦いたかったんだけど、こわくてね・・・
今はこの役割に誇りを持っているわ。」
「私も戦いたかったんですけれど、どうも銃器の扱いになれなくって・・・」
「でも小毬ちゃん。整備の腕はいいみたいだけれど?」
「ああいう作業は好きなんです。パズルを組み立てるみたいで。」
「私には無理ね・・・ 歳かしら・・・」
溜息をつく狸釜隊員をみて二人は乾いた笑いをするしかない。
そして話題を変えようとした時、ミチルが入ってきた。
「すみません。銃器の整備が終わったので・・・」
「わかった。入れておくから安心して。」
自分で整備していたであろう機関銃を手渡すと、軽く礼を言ってミチルは去っていった。
その背中を見えなくなるまで追っていた小毬はボソリと呟く。
「早良先輩って、良くご自分で整備しますよね?」
「そうね。まぁ・・・仕方かないのだけれど・・・」
同じ様に見えなくなるまで見ていた狸釜隊員の表情は暗い。
そこに、狐火隊員が前のめりになって狸釜隊員を覗き込む。
「あの噂・・・本当なんですか?あの子のせいで
“所属部隊が壊滅”
したって」
「っ!!」
「え・・・壊滅、ですか?」
振り返って睨んだ狸釜隊員は狐火隊員を黙らせると、次に小毬を睨む。
睨まれた小毬は威圧する雰囲気にのまれて、硬直してしまう。
「・・・いい? このと事は誰にも言っちゃだめよ。」
「え、あ・・・は、はい!」
329 :影響を受ける人:2014/07/13(日) 22:11:31
今まで見たことない形相と、雰囲気にのまれて怯えてしまって、そのまま勢いで返事をしてしまう。
狸釜隊員は何度も同じ様に「誰にも言わない様に。」と言いながら銃と【弾薬運搬箱】を持って出て行った。
取り残された二人は茫然としていたのだが、狐火隊員はすぐに気を取り直して顔を顰める。
「やっぱ、そうなんだ。」
「・・・」
その横で思わぬことを聞いてしまった小毬は困惑していた。
今まで厳しい事を言っていた人物が、部隊を壊滅させたなんて信じられない。
間違いであると思いたいが、先程の態度から推測するに、恐らく事実だろうと思う。
皆で約束したのに・・・
どうすればいいのか、彼女は悩み続ける事となる。
―――――
外では、久しぶりに木刀を打ちつけ合う美緒と、徹子がいる。
「はぁぁぁぁぁ!」
「しぃぃ!」
導術士学校でも良く対戦していた二人だが、今行っている訓練はちょっと違う。
二人は常に動き回り、少しでも隙を見せれば切り掛かっていた。
剣道とは違う動きであり、明らかに別の動きを想定していた。
木刀がぶつかり合って鍔迫り合いに・・・しないで、美緒はそのまま右脇に駆け抜ける。
「ちっ!」
舌打ちをしつつ、徹子も走って距離を空ける。
そして対峙する二人だが、どちらの息も上がっていて限界が近いのがわかる。
それを見ていた見物人が声を上げた。
「よし、それまでだ。」
「「ありがとうございました。」」
章香が手を叩くと、二人は木刀を腰に差すように移動させて礼をする。
顔をあげた二人は・・・そのままぶっ倒れた。
「わああああ! 美緒ちゃん! 徹子ちゃん!!」
「まったく、二人共・・・」
慌てる醇子と、呆れながらもタオルを持って行く凛。それについていく里子。
倒れた二人は弱々しい動きで受け取ると顔を拭き始めた。
剣の心得がある智子と圭子は、満足そうに笑う章香を見る。
「だいぶいい感じじゃない。」
「ああ。もう二人には、接近戦をさせてもいいかもしれないな。」
「居合術、教える?」
「圭子の提案は嬉しいが・・・教えるならば美緒だな。」
「なら、徹子は私?」
智子は笑いながら言うと、章香は苦笑する。
「私が参加できない時はお願いする。」
「了解♪」
いい玩具を見つけたかのように、良い笑顔で嗤う智子をみて副隊長は頭を抱える。
「ほどほどにね・・・」
そんな二人を横目で見ていると、サエが宿舎の方からやってきた。
「・・・許可が下りた。」
「そうか。」
短く答えると、サエはまた宿舎に戻っていった。
さて、可愛い部下たちに伝えよう。
明日は“街”に行けることを・・・
以上です。
小毬ちゃんが重要な事を知りました。
そして今回、運搬役の重要性を書いてみましたが・・・どうでしょうか?
きっと個性が出てくると思うのですよ。
比べるときっと面白いはず・・・です!
そして次回は風呂回だァァァァァァぁ!!!
最終更新:2016年02月14日 13:12