888 :影響を受ける人:2014/07/27(日) 22:35:33
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。今回はちょっと卑猥な表現があります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第二十一話 ―乙女の休日Ⅳ―



トラックに揺られ、学兵一同率いて北郷隊は町に入った。
扶桑国が管理する大陸側の最大拠点、浦塩だ。
中国が遥か以前に滅び、荒野が広がる世界だが、資源はなぜかそのままであったのでそれを採掘するための拠点としても機能している。
港は史実よりも拡張され、軍港も大きい。

なによりも人が多いというのが特徴だろう。
疎らに村が点在する内陸部とは違い、物資が集中するからこそだ。
他にもオラーシャ・モンゴルといった大国も管理していて、地道に開発している。
もっとも、最近ではネウロイの跳梁により低調だが・・・

「初めて来たとき以来ですね。」

外を覗き見た小毬が、目を輝かせて人通りを見る。
荷台から見た大通りには、沢山の人が歩いていて活気があった。
大分開発が進んでいたここは、扶桑の主要都市に匹敵するぐらいの人口が住んでいるという。
目を瞑っていた旗本サエは、片目だけ開けて外の景色を見る。

「・・・ああ、だが。」
「だが。なんですか?」

なにか意味を含んだ言い方に、隣に座る若本徹子が覗き込んでくる。
それなりに濃密な日々を過ごすうちに、多少ではあるが、無表情に近い副隊長の雰囲気を察する事が出来る様になっていた。

「・・・この中には、避難してきた民間人もいるだろう。」
「そうですわね・・・」

撤退作戦は順調に進んでいる。
進んではいるが、トラブルが無いかと言われれば無いとは言い切れない。
先祖から土地を開拓し、この地に腰を据えた人々の中には、この地で死にたいと考える者もいる。
人としては理解できるが、軍隊に所属する者としては迷惑でしかない。
出来れば穏便にいきたいと思う。

たとえ同意を得たとしても、その先には職を得られるかという不安がある。
この場所に戻ってこられる保証はないのだ。
それを保証する仕事も政府の仕事。
今の政府はちょっと頼りないが、その辺はしっかりこなしているようだ。
この人波の中にも、不安を抱えている者達がいるだろう。

そう思うと、少しだけ申し訳なくなる。
もっと自分達が頑張れば・・・

「・・・民間人に苦労を強いるのは本懐ではない。
 ・・・しかし、だ。
 ・・・時にはそうしなければならない時もある。
 ・・・歯を食いしばり、不甲斐無さを忘れるな。
 ・・・それを糧にして、腕を磨け。」
「「「「「「はい!!」」」」」」

普段物静かな彼女が長々と話すのを、学兵達は神妙によく聞き、元気よく返事を返した。

「・・・まぁ、時には肩の力を抜く必要もある。
 ・・・ゆっくり休め。」
「「「「「「は~い」」」」」」

兵士から、子供らしい返事をした彼女等に少しだけ目を見開き、苦笑する。
自分が思うよりも、彼女等は強いようだ。
そしてトラックは順調に進んで、何の事故もなく旅館に、昼前に到着した。
一同は運転手に礼を言うと中に入っていく。
すぐに旅館の女将がやってきて案内をしてくれる。
こんな待遇をあんまり受けたことない美緒達は緊張しきりだ。
その様子を見て、隊長陣は苦笑する。

889 :影響を受ける人:2014/07/27(日) 22:36:04

最も緊張が続いていたのは部屋に入るまで。
扉を開けて入ると、六人で使用するにはちょっと広い部屋から、綺麗に剪定された中庭が見える。

「うぉぉぉぉぉ!!」
「ちょっと徹子さん! 荷物を投げ置かない!!」
「いやぁ、綺麗ッスね~」
「う~ん・・・うちの庭より小さいかも?」
「醇子さん・・・見比べちゃいけないと思いますよ?」
「お饅頭が置いてある! た、食べていいのかな?」

皆が感動して部屋中を見て回る中、少し離れた部屋に北郷章香とサエが荷物を置いていた。
章香は今まで着ていたウィッチ用の手甲と脚甲、白衣と青袴を脱ぎ捨てる。
そして今度は帝国海軍二種軍衣を着始める。
長ズボンであることから、正装用の様だ。
きちんと恰好を整えると、鏡の前に立ってチェックし始める。

「さて、私はちょっと出かけてくるよ。」
「・・・ああ、大佐によろしく。」
「正直苦手なんだけど・・・」

といって鏡越しに見ると、ジト目で見られた。
乾いた笑い声をしつつ、鏡から離れて軍帽を被る。

「昼食をとったら買い物をして、それから風呂ですよね?」
「・・・軽く食べ、基地のパシリを終わらせる。」
「夕食まで戻れるかわかりません。」
「・・・わかった。」

そう言って出ていくと、廊下に美緒と醇子が出てきていた。

「あ、先生・・・その格好は?」
「これ? ちょっとお偉いさんに会いに行くんだ。」

苦笑して答え、通して貰う。
気になるキーワードに醇子が反応した。

「おえらいさん?」
「私の上司が来ていてね。呼び出しを喰らったんだ。」
「あの! 昼食はどうするんですか!?」
「あっちで食べるから~」

手をひらひら振って去っていく後姿を見て、二人は「かっこいい・・・」と呟く。
脱ぎ捨てた服を、いちいちサエが畳んでいると知ったら幻滅するかもしれないが。
今この時、章香の姿は“出切る女”という感じだった。
真実を知らないというのは幸せである。

―――――

「あ~あ。隊長も来ればよかったのに・・・」
「仕方ありませんわ。上の人に呼ばれたら、隊長も断れませんもの。」

本当に残念そうに言う徹子の横で、凛がしごく真面目に答える。
不機嫌そうにブツブツ言いながらも、着ている服をかごに入れていく。

「お風呂なんて久しぶりだね。美緒ちゃん。」
「そうだね。いままで、水浴びみたいな感じだったし・・・」
「良くてドラム缶風呂ッス。」

里子は思い出す様にしみじみと言うと、目の端から涙が流れた。
その思いに同意するように小毬も頷く。

「それも出撃となったらお預けでしたし・・・」
「やっと体を洗える気がしますわ。」

素っ裸になった凛はタオルを体に巻きつける。と、悪戯心が刺激された徹子が背後に回ろうとする。
しかしそこは鍛え上げれれた兵士、すぐに感づき、振り返って警戒心をあらわにする。

890 :影響を受ける人:2014/07/27(日) 22:36:36

「なにをしようと・・・?」
「な~んにも?」

明後日の方を向いてしらばくれる徹子に、青筋を浮かべるた。

「・・・それ位にしておけ。」
「いて!」

呆れた副隊長が軽くゲンコツをくれて、頭を抱える徹子を無視して確認する。

「・・・皆脱いだな? ・・・入るぞ」

そう言って、風呂場をと脱衣所を仕切るガラス扉開けた。

「・・・ふむ。」
「「「「おお! 寮のより広いかも!!」」」」
「実家のよりは、ちょっと広いくらいですわね。」
「露天風呂だからじゃないかな?」

お金持ち二人のセリフに、その場にいた全員が「金持ちって・・・」と思った。
ちなみに小毬は軍人の家系ではあるが、それほど裕福と言うわけではない。

「それよりも一番風呂だぜぇぇぇぇ!!」
「あ、ちょっと!!」

喜び勇んで飛び出していった徹子にを止めようと手を伸ばす。
だが、出だしが早かった彼女の背中をむなしく空を切るしかなかった。
その横を、黒い影が通り過ぎる。

「いやっほぉぉぉぉぉぉ!」

徹子は勢いそのままにジャンプし、

「ぉぉぅぅ〔ガシッ!〕ぐえぇ!」

首を掴まれた。
何事かと振り返ると、そこには般若が立っていた。

「・・・体を、洗え。」
「ハィ・・・・・・・・・」

あまりの迫力と、今までに無い圧力のこもった視線にビビった徹子はカクカクと頷く。
そこに仲間が集まって口々に責めたり、諌めたり喋りはじめた。
取りあえず反省した事を見て取ったサエは、皆に体を洗うよう指示しようとしたのだが、その前に怒声が響いた。

「うるせぇぇぞぉぉぉ!!
 静かに入れねぇのかグァァァァァ!!!!

まるで獣が咆哮するような声に、学兵達はビビッて固まった。
声は湯気がたちこめる風呂の方からした。
イラついた声の主が立ち上がり、湯気を吹き飛ばすように振り返って息を飲む。
おおきい・・・・・・一段下がっていることから推測しても、二メートルはあろうかという大女。
まるでボディービルダーのような筋肉があり、短く切った髪が粗暴さを見せる。

顔立ちは悪くないようだが、獣のような雰囲気が台無しにしている。
というか軽く唸っている。
風呂から出てくるとその大きさがよりわかる。
大女はズシンズシンとこちらにやってきて、旗本サエに気が付いた。
最初は訝しむようにサエを見ていた大女は、次第に嬉しそうな顔になっていく。

「・・・おまえ。真嶋か。」
「旗本さぁぁん! 久しぶりじゃないですかぁぁぁ!!」

元北郷隊、真嶋志麻との出会いだった。



以上です。
出したかったキャラ、真嶋志麻の登場だこらぁぁぁ!
副目標として、元北郷隊は全員出すつもりです。
次回も風呂回だぜ!!

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最終更新:2016年02月14日 13:13