898 :影響を受ける人:2014/08/24(日) 22:15:08
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
それでも良い、という方のお読みください。
一晩明け、北郷隊一同は旅館前の門にいた。
軽いジョギングで汗を流して温泉に入り、少し遅めの朝食を食べ終えている。
そして今から自由行動だ。
「諸君らはまだ学生と言う年齢であるが、軍に志願している以上軍属でもある。」
「「「「「「はいっ!」」」」」」
「軍人の名に恥じぬように行動する事。」
「「「「「「はいっ!」」」」」」
真面目な顔で訓示をする章香に、元気よく、規律よく答える学兵達。
しかし、真面目な顔もここまでだ。
表情を緩めてほほ笑む。
「今日まで皆よく頑張ったな。私は隊長として嬉しいよ。
さて、夕方までは自由行動だ。皆、英気を養ってくれ!」
「「「「「「は~い」」」」」」
昨夜、気が滅入る様な話した。
だが目の前の子達はそんな事も忘れたかのように、どこへ行こうか話し合っている。
いや、忘れてはいないだろう。
むしろ心配させないように、振舞っている可能性もある。
取りあえず楽しそうな様子に安心していると、サエが前に出た。
「・・・その前に確認だ。」
「え、なんのですか?」
醇子と話していた美緒がキョトンとしてサエを見る。
「・・・使用金額はいくらだ?」
「4円(現在価格12,000円)ですわ。」
素直に答えたのを見て全員に財布を出す様に言う。
無論、素直に従う四人・・・四人?
皆の視線が徹子と里子に向いた。
「えっと、ハィ・・・」
皆の視線に押されて里子は渋々財布を出す。
どう見ても指定金額以上入っている。
それを見た徹子も諦めて、里子と同じような財布を出した。
「・・・なぜ多い。」
「パアッと使いたいから・・・じゃダメッスか?」
「存分に遊びにたい!」
問うと、二人らしい回答に苦笑する章香だが、サエは無言で拳骨を落とす。
鈍く響いた音に皆ビビり、落とされた二人は頭を抱えてうずくまった。
しかしサエは財布の没収だけはせずに後ろに下がる。
どうやら拳骨だけで大目に見てくれるらしい。
「・・・その金はお前たちが稼いだ金だ。
・・・如何こうは言わん。」
「は、ははは・・・」
軽く溜息を吐いて言うが、皆ビビって渇いた笑いしかできない。
そんな微妙な雰囲気を払拭するべく、章香は手を大きく叩いた。
「さぁ! たっぷり遊んできてくれ!」
899 :影響を受ける人:2014/08/24(日) 22:15:40
―――――
学兵達は二つのグループに分かれて行動する事になった。
美緒・醇子・徹子
の導術士学校組と、
凛・里子・小毬
の法術士学校組とだ。
無難で、問題なさそうな組み合わせ方である。
隊長と副隊長は、午前中と昼食は一緒だが午後は別れて行動するらしい。
視点は法術士学校組を映す。
―――――
凛を先頭に進む一行は有る場所に向かっていた。
彼女たっての希望で、ウラジオにある白尾神社にお参りに行くのだ。
昔災害にあったという彼女の祖先は、白い九尾に命を救われてからと言うモノ、ずっと信仰の対象として白天九尾を祀っている。
実家の庭に専用の神社があるという徹底ぶり。
初めて招待された里子もびっくりの信仰だった。
一応基地にも、神棚の横に九尾の神棚を設置してある。
しかし・・・やはり凛としては、ちゃんとした場所にお祈りしたかった。
ちなみに白い九尾を祭る神社は多い。
そしてその土地にはそれぞれ逸話が残っているのだが、大抵は災害に会って救いに来たのが中心だ。
事前に警告もする事もあったらしい。
そんな関係で、白い九尾の神社は無事故・無災害が主なご利益があると言われている。
鳥居をくぐると、狛犬ではなく八尾狐が迎えるのも特徴の一つだろう。
「申し訳ありませんわね。」
「いえ、私もお祈りしたかったですし。」
凛があまり関係のない小毬に謝っている横で、里子はさっさと手を洗う。
「それにしても・・・同じ学校なのに、よく顔をあわせなかったッスよね~」
「そう言えばそうですわね。クラスはどちらに?」
「“と組”です。凛さんと里子さんは一緒ですよね?」
「そうッスね。寮も一緒ッス。」
「ワタクシ達は“い組”ですから・・・合わないのも無理ないですわね。」
苦笑しつつ凛と小毬も洗い終えて、本殿に歩いていく。
戦時中という事だからなのか、少し人が多く感じられる。
石畳を踏みしめながら話を再開した。
「寮は“犬の三番館”でしたけど・・・」
「うわぁ・・・アタイ等は“猫の一番館”・・・・・・」
「寮まで反対とは・・・奇妙な運ですわね?」
「そうですね。」
小毬はクスリと笑い、「でも。」と続けた。
「こうして皆さんに出会えましたから♪」
キョトンとして小毬の言った事が解らなかった二人だが、理解すると二人とも笑い始めた。
「そうですわね。こうして志願しなければ会えませんでしたわ。」
「アタイの場合、お嬢といないと学校にもいられなかったかもしれないッスからね!」
里子は、元々ウィッチの証明となる使い魔を保持していなかった。
それどころか魔力がなかった。
しかし高魔力保持者と暮らすことで、確率は低いが魔力を得る事が出来るという説があった。
一緒に住む候補として選ばれたのが飯島凛だ。
そして里子の賭けは成功する。
「“空が飛びたいから”と言ってやってきたのに、間違えて法術士学校に入学してしまったッス。」
「ワタクシも、最初は導術士学校入学を希望していましたわ。」
900 :影響を受ける人:2014/08/24(日) 22:16:27
二人で苦笑しつつ歩いていると、賽銭箱の前に到着した。
それぞれお金を取り出すが、里子はだいぶ多い。
「今までの感謝の気持ちを込めるッス!」
力強くも、ちょっと未練がありそうな視線を向けたままお賽銭を投入する。
まず、最初に二回鈴を鳴らす。
次に二回叩いて、二回お辞儀。
また一回叩いて一回お辞儀をして、鈴を一回鳴らす。
これが関東に伝わる白尾神社の、参拝の仕方だ。
それぞれお祈りを済ませると、もう一度手を洗って神社を後にした。
つぎにお店を回ってみる。
いくのは・・・置物屋。
これは小毬のお願いだった。
彼女の家は軍人の家系であるが、それほど地位があるわけではない。
しかし海軍である父は、必ずお土産を買ってきてくれた。
中でも多いのは縁起物の狐。
なんでも、渡航技術の術を教えたのが九尾の狐らしい。
扶桑で作られた船舶にはどこかしらに、九尾の狐を紋章とした印が入っているという。
そんなわけなので、今度は自分が家に送りたいと思っているらしいのだ。
神社近くのお店に入ってみると、さすがに関連するものが数多く並べられていた。
「うわぁ・・・さすがにこれは・・・」
「たくさんありますわね。あ、これ箸置きですわ。」
「いいんッスかね? それ・・・」
ちょっと罰当たりに見えるお土産に、冷や汗を垂らす二人を尻目に小毬は品物を吟味する。
どうせならば、アッと言うモノを送りたい。
時折驚かせてくる父親を見返したと思っているのだ。
そうして吟味しつつも会話を楽しむ。
買い物は女の子にとって、一つの遊びともいえる。
最終的に小毬は、手招き九尾と言う御着物を買って送る事とした。
そのチョイスに微妙な感じになってしまう。
まぁ、本人が嬉しそうだから良しとする。
さて・・・そろそろ昼食だ。
「里子さん、頼みましたわよ。」
「任せて欲しいッス! あの宿の食事よりかは落ちるでしょうけど・・・」
「あははははは・・・・・・」
以上です。
オリキャラなのに焦点が合っていなかった三人を中心に書いてみました。
後、この世界独自の文化(?)も紹介してみましたが、如何でしょうか?
こっちの日常編を書き終わったら、基地の日常編を書こう。
最終更新:2016年02月14日 13:14